親の影響でGLAYファンになった私は、GLAYを好きになってからある程度の年齢を重ねた時に、初めて親の本棚にあった「胸懐」を読みました。
GLAYのリーダー、TAKUROの2003年時点での自伝である本書。そこにはGLAYの成立過程なんかがドラマチックに描かれていたのですが、TAKUROが人生の中で2度しかないという腰を抜かすほど驚いた出来事……一つはドラマーだったはずのTERUの歌声を初めて聴いた時、そしてもう一つはBOØWYのB・BLUEを聴いた時だ…と。言ってもたかが1曲。たかが1曲が、GLAYというモンスターバンドを築き上げた男が、そのボーカルを見つけた時の衝撃に匹敵するものなのだろうか。心当たりを頼りに、家に眠るBOØWYの「SINGLES」を探し当てた17の夏。B・BLUEが発売された1986年から28年遅れの衝撃を受けた私がBOØWY、そこから氷室布袋両氏のソロ、そしてCOMPLEXを聞き込むに至るのは極めて自然な流れだったと思います。
1997年に生まれ、高校生の時にBOØWYにハマった私にとって、BOØWYはもう2度と見ることのできない、過去をなぞる事でしか感じることのできない、永遠にリアルタイムで体感できない存在である事が生まれた時点で確定していた。諦めていた…というと言い方もなんですが、そこはもはや奇跡の介在しない領域だと思っていたので、そこに未練はありませんでした。
ですがCOMPLEXは話が違う。彼らは一度だけ、私が中学生の時に再結成をした。リアルタイムね一度だけ、自分の気付かない隣側をすり抜けていた。あと3〜4年ほどハマるのが早ければ、仮に決して東京ドームには行けていなかったとしても、リアルタイムでその熱を体感できた……BOØWYの2度目、COMPLEXの3度目なんて無いだろうと思っていただけに、その未練はずっと燻っていました。
3月4日が5日になり、深夜のランニングで外に出ていた時。ふとした瞬間に開いたスマホとSNS。
その知らせを告げる一つの投稿はすぐに目に飛び込んできました。
COMPLEX 2024
なぜこのライブをやる事になったのか。そのきっかけを突き詰めていけば、それは決してハッピーな動機ではないことは誰もがわかっている事でしょう。
しかしながら、それでもこの日当てた5月16日のチケットは、私にとって燻り続けていた未練と決別する日でした。
布袋さんは「あの頃は俺たちも20代だったけど…」と語り、あの頃若者だった大人達が一晩の夢に酔った夜。BE MY BABYを作った時の布袋寅泰と同じ年になった私の、刹那にときめく3時間の物語。
2024年5月16日、東京ドームで行われたコンサート「COMPLEX 日本一心」のライブレポートと日記をお届けします。
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【オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。】
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前の日に東京ヴェルディvsガンバ大阪を観戦し、その晩は府中に宿泊。お昼前には府中競馬場を探索してから東京ドームに向かいました。
高さ制限のある京都に住まう私としては、東京のビル郡に「はえ〜、高っかいな〜」と見上げながら首を痛め、その横をすり抜けていく東京の民。悪かったな、東京に慣れてなくて。
という訳でどーん。
白と黒の2色でシンプルに、ソリッドなかっこよさを見せてくるCOMPLEXの装飾。
奇遇にも、後ろの「OUR GIANTS WILL LIVE FOREVER」も白黒で表現されてるんですよね。それだけに、偶然にも完璧な色の配置になっていました。
しかしてわたくし。グッズを買い込もうとウッキウキでグッズ売り場に様子を見に行くも、イかれた人間の列によりさすがに挫折……。通販に断念しました。さすがに府中競馬場で時間使いすぎた…。
会場入り。
ドームの席の位置はだいぶサイド寄り。
布袋側でした。
客電が落ち、轟音のように鳴り響くワルキューレ。ワルキューレの映像の中に2011年の映像も入っていたのは当然と言えば当然とはいえ、痺れましたねぇ。今と昔を反復横跳びするような映像と言いますか。
そして始めるのがあの音ですよ。もはやファンにとっては心臓の鼓動のように鳴り響くあの魂の音。
ビーマイベイベ
ビーマイベイベ
ビーマイベイベ
ビーマイベイベ
ここでね、ニクい演出だったのが、左側のモニターでは布袋さんのギタリズムマーク、右側のモニターでは吉川さんのKKマークがばーんって出てきて、それがゆっくりと真ん中のスクリーンに向かうんですよ。
そしてその二つがぶつかり、一つになり、COMPLEXになったらジャッ!ジャジャーン!!
BE MY BABYが鳴り響いた瞬間、マークが2つ重なり合うと共にあのギターが鳴った瞬間。
全身の水分を全て奪うほどの脳汁が出ましたね。
BE MY BABYという脳よりDNAが覚えているような至高のアンセムを経て、吉川氏の魂のMCと能登へのエールから始まる2曲目もこれまたCOMPLEX屈指のキラーチューン、PRETTY DOLL。今考えたら吉川さんこの時なんかあったの??って思うほど微妙に闇な歌詞からは想像もつかない極上のポップ・ロック。ポップでキャッチーながら重厚なBE MY BABYから、もう東京ドームから京都に行って帰って来れそうなくらいの疾走感。このド頭2曲で持っていかれる感じか、たまらなかったですね。6曲目のLOVE CHARADEでは布袋さんの事前の投稿もあってちゃんと最後のところまで歌えました。
そして7曲目、2人のAnother Twilight。あのカッティングとメロディアスが融合した極上のリフ。これがダイレクトで耳に入ってきた事はこの上ない幸せでした。そこからのMODERN VISIONとそんな君はほしくないはCOMPLEXの中でも上位に好きな楽曲でしてね……ナッシンライカッッディー(忠実再現)。サポートメンバーのスティーブ・エトウ氏がMODERN VISIONで打ち鳴らす鉄材ドラム、そんな君はほしくないでの終盤のお二人の謎ステップ。この2つもこれまではビデオでしか見れませんでしたからね。これが自分のこの視界にリアルで収まった喜び。布袋寅泰と吉川晃司。この2人に関してはほんと、センスとテクニックどころかフィジカルも駆使してらっしゃる…。 私は下手側のスタンド見ていましたが、まさか吉川さんがそんな君は〜の時にこちら側の花道に来てくだされるとは。最もフィジカルで最もプリミティブで最もフェティッシュ、でも最も煌びやかで最も繊細で最も色鮮やか……ライブ前半戦はそういう感覚でしたね。まあ地面師たち見たのはCOMPLEX終わってから随分後なので完全に後付けですけど…。
ところでこのライブ、2011年の時は1990年のライブとほぼ同じメンバーかつ、基本的には吉川チームで構成された印象があったんですけど、今回は1990年及び2011年のメンバーからはパーカッションのスティーブ氏以外は全員変更、尚且つドラマの湊雅史氏以外は全員布袋チームで構成されていたんですね。なので2011年のライブと比較しても、ちょっとサウンドの方向性の変化があったというか。それが一番顕著に出ていたのがMODERN VISIONだったような気がして、従来のMODERN VISIONよりもよりダンサブルといいますか、リズミカルな印象がありました。その辺りのサポートメンバーの変化によるサウンドの違いなんかも、並べて見比べるとなかなか面白そうだなあなんて思ったり。
そんな君はほしくないを終えると、今度はバラードゾーンに突入。バラードゾーンの1曲目はBLUEでした。
正直なところ、アルバムで聴いた時はBLUEにそこまで強い印象を持ってなかったんですよね。それがいざライブで聴くと……いやはや、すごかった。言ったらなんですけどBE MY BABYとか、この後に来る恋をとめないでで全身の毛穴が開き倒すのはわかりきってる話じゃないですか。元々私が一番好きな曲であるMODERN VISIONやGOOD SAVAGEで脳天が破壊されるのもわかりきった話。だからそういう意味では衝撃とはちょっと違うと思うんです。そう考えると、このライブで一番衝撃を受けたのはBLUEだったかもしれません。吉川晃司の声がまあ伸びるのなんのって。BLUEで吉川さんが見せたロングトーンと、吉川さんのどこまでも伸びる「show me the way」に絡む布袋さんのあのギターの音色。あれは圧巻、極上以外に表す言葉がなかったです。
続くCan't Stop The Silenceはもう言わずもがなでしょう。屈指の名曲。ちなみに私は最初のAメロが終わった後に差し込まれるギターが好きです。
そしてトドメの決まりではHALF MOONですよ。
2011年は演奏されなかったこのインスト楽曲。…圧巻でしたね。いやはや、私、世界のインストゥルメンタルでこれが一番好きやもしれん。五臓六腑に沁み渡る……その感覚がシジミの滋養よりズドンと来ました。半月とは言いますが、満月の夜にも新月の夜にも聴きたいし、普通に昼にも聴きたい。ああいうインストゥルメンタルを人生で一度は作ってみたいものです。なんとか私も展開のあるインストを作ろうと頑張っておるのですがね…(下記YouTube参照)
そしてライブはいよいよ怒涛のクライマックスへ…!(後編はこちらから)
という訳でWOWOWを見る
ではでは(´∀`)