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残酷な京都のテーゼ〜2018年の京都サンガを振り返ろう・上〜

「JOSHO魂」

 

布部陽功新監督を迎えた京都サンガが2017年に掲げたスローガンである。

まさかここから2年であれほどわかりやすい下降を遂げるなど誰が想像しただろうか。

 

 

 

……いや、想像は出来ていた。

これまでのサンガの流れなどを見ていれば、望まなくともその低迷は予想出来なかった訳ではない。低迷は恐らくサンガを見ている多くの人にとって想定内ではあったと思う。

だが同時にこうも思ったはずだ。

 

 

 

「まさかあそこまで低迷するとは思わなかった……。」

 

 

 

 

 

【今回から2018年の京都サンガを総括したようなブログを連載方式で書いていきます!よろしくです!では本編スタート。】

 

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まずそもそものケチというものは布部氏が就任したところから付き始める。

 

新人監督を登用するタイミングは非常に重要だ。例えばガンバ大阪レヴィー・クルピを解任して宮本恒靖を監督に就任させた時もそのタイミングに大きな疑問は残ったが、まだG大阪の場合は「緊急事態」というエクスキューズがあった。これはマッシモ・フィッカデンティからトップチームで初監督となる金明輝に監督を交代したサガン鳥栖にも同じ事が言える。

加えて宮本監督はトップチームでの監督は初とはいえ、G大阪のセカンドチームの監督としてJ3リーグを戦っていた。それさえもなく、クラブOBですらない布部氏を緊急事態でもなんでもないあのタイミングにわざわざ登用する事は全くする必要のないギャンブル人事だった。同じ事は今季の柏レイソルにも言えるだろう。布部氏も柏OBという事実が何とも皮肉めいている。

 

 

 

さて、問題はそこに留まらない。

2017年のサンガの戦いぶりや総括は以下のブログを見て頂きたいのだが


 

2017年シーズンのサンガは成績を残した訳でもなければ内容に希望があった訳でもなく、若手育成や世代交代が進んだ訳でもなかった。しかも別に、布部氏と複数年契約を結んでいた訳でもない。にも関わらずサンガは2017年シーズン終了後にわざわざ契約を更新したのである。

内部の人間ではない為、人間的な信頼などはとても厚かったのかもしれないし、その事までは把握できない。だが外部からでも観れるスポーツ的な側面から見れば「布部監督を続投させるべき理由」というものは見出す事が出来なかった。

恐らく多くのサンガファンも近い感情だったのではないか。掌返しさせてくれる事を願いながらも、どこかではなくしっかりモヤモヤした気持ちを抱えるような…。

 

 

 

2018年シーズンはまず補強も迷走していた。

すっかりJ2に染まってしまった以上、この年ならば高橋祐治がJ1の鳥栖に移籍したような事例は阻止しようがない。問題は契約満了選手について、である。

ガッツリ2017年のレギュラー選手も含まれていたのだが、その中でもケヴィン・オリスについてはある程度仕方ない面もあった。活躍はしたと思うし惜しい想いもあったが同時に怪我も多く、アジア圏ではなくヨーロッパ圏の選手だから年俸も安くはなかったのだろう。オリスの部分については、補強もレンゾ・ロペスである程度は埋め合わせも出来ていた。

 

ただボランチのハ・ソンミンの契約を自ら切った事は疑問に感じた。確かにハ・ソンミンは明らかに不用意なプレーの多かった選手でもあったし、ボランチに人材が揃っていれば切られても仕方なかったと思う。

だがそもそもボランチが殆どいなかったサンガに於いてハ・ソンミンはコンスタントに試合に出場できるだけのクオリティーはある数少ない…いや、絶滅危惧種とすら言えよう選手だった。しかもボランチのファーストチョイスとしてフル稼働していた吉野恭平サンフレッチェ広島からレンタルでサンガに来ている身。広島に帰って来いと言われれば広島に帰らなければならないというサンガの意思を問わずして来年を計算出来ない選手で、実際2018年は広島の選手としてシーズンを戦う為にサンガからは退団する事になった。

じゃあ代わりに確実に計算の出来る実績のある選手を取ってくるのか?そうではなく、サンガが獲得したのは大卒ルーキーの重廣と結局YOUは何しに日本に来たのかわからなかったマティアス・カセレスだ。

そんな状況でハ・ソンミンを切ればどうなるか。そう、開幕時点で確実に計算できるボランチが誰もいなくなるのである。

 

結局開幕時点のサンガで、ボランチを本職とする選手で確実に計算出来る選手はほぼゼロとなってしまった。

 

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シーズン前半のサンガは結局ボランチスカッドを疎かにしたツケを払い続ける事となる。

重廣がすぐに一定以上の働きを見せたのは良かったのだが、ボランチの組み合わせは一向に定まらない。DFの磐瀬剛や宮城雅文らを起用してみたり、本来は攻撃的MFの仙頭哲矢を起用してみたりした。だがそもそも彼らはボランチの選手ではなく、期待以上にフィットした重廣にしても、まだルーキーの選手に本職ボランチでない選手のカバーをさせるのはあまりに酷な話である。

 

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サッカーに於いてボランチは言うまでもなく重要なポジションだ。攻撃の起点にもなれば守備の一つの分岐点にもなりうる。

そこを怠った前半戦のサンガは結果、中盤の守備がスカスカになった。そして攻めようにもボランチにチャンスメイクを出来る人間が居ない以上前線にボールを供給できず、せっかく岩崎悠人、エスクデロ競飛王などボールを持たせれば面白いアタッカーが居るのにまずそこにボールが入らない。

 

低迷しているチームは毎年多くいるが、大抵「攻撃力に欠ける」「守備崩壊」のどちらかに振り分けられる。今年のサンガは本当に悪い意味でどちらでも無かった。編成ミスと監督の無策さ、修正能力の無さが重なって攻められないし守れない状態だった。

とはいえ、監督のコメントや様々な媒体から聞こえてくるのは危機感も何もないニュースばかり。サンガが患者、自分が医者として想像してみて欲しい。「どこの具合が悪いですか?」と聞いたら満面の笑みで「どこかです!」なんて言われるようなものである。

 

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妄信のような信頼を布部氏に抱いていたフロントも、さすがに第12節の栃木SC戦に1-3で敗れたタイミングで監督交代を決意する。監督はヘッドコーチを務めていたボスコ・ジュロヴスキー。内部昇格ではあるが実績は十分にある監督で、そもそもの経緯については上に貼ったブログでも疑問を呈したが、後任人事がボスコである事自体には異論はなかった。

とはいえこの交代はシーズン真っ只中の5月上旬。ミニキャンプなどを張る時間がないのはJ1と違ってJ2である以上仕方ないが、補強すら出来ない状況でまずは3ヶ月ほど戦う事を余儀なくされる。

 

 

ユース上がりの18歳の若手GK若原智也の台頭や、同じくユース上がりの福岡慎平、上月壮一郎といった若手が出場機会を掴み始めるなど、若手登用さえもなかった布部時代からのポジティブな変化も見られたが、成績は布部時代と大して変わらずに夏の移籍解禁前最後の試合となる水戸ホーリーホック戦に当然のように敗れた第23節終了時点でサンガはJ2最下位、22位にいた。

 

J2最下位である。J1最下位ではない。

もう一度言おう。J2最下位である。

仮にもサンガは人件費も予算規模もJ2ではトップクラスだ。戦力だけを見れば少なくともJ2で二桁順位にいてはいけない戦力を有している。だからこそ何度でも言おう。J2最下位である。

 

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7月28日、私を含めて友人3人でヴィッセル神戸vs柏レイソルの試合をノエビアスタジアム神戸に観戦に行った。私ともう1人は普段からJリーグを見ているのでサンガの惨状を把握していたが、残る1人はこの日も「イニエスタ見たい!」の一心で参加したのであって、普段はJリーグどころかサッカーすら殆ど見ていない。

 

そんな彼が「今サンガってどうなん?頑張ってんの?」なんて聞いてくるから、こう聞き返した。「逆に何位やと思う?J2って22チームあんねん。」

彼の答えが以下の通りだ。

 

 

 

「20位!……いや、ごめん、盛ったわw さすがにそんな下やないやろw」

 

 

 

現実とは無情だ。

彼にとってのありえない冗談は、むしろサンガが目指さなくてはならない順位と化していた。

いくらサンガのシーズンを憂慮していもここまでは予想し切れなかった。

 

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つづく。