今日はラグビーもやってたのね
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFA EURO 2020 準々決勝、チェコ代表vsデンマーク代表の一戦です。
今日行われるのはチェコvsデンマーク、イングランドvsウクライナの2試合。既にスペインとイタリアがベスト4進出を決め、EURO2020も残り5試合となってきました。大会はいよいよクライマックスです。
大会を盛り上げるのは「決して優勝候補ではなかったチームがどこまで進むか」というところ。特にこの2チームはその要素に加え、大会を通じての大逆転劇を演じてきました。
チェコは初戦のスコットランド戦で白星スタートを果たしたものの、最終的にはイングランドとクロアチアに抜かれてD組3位として決勝トーナメントに進出。しかし迎えたベスト16ではC組を全勝で勝ち上がったオランダを撃破しました。グループステージで少し萎んだ流れをものの見事にV字回復させて今日に至ります。そして何と言ってもデンマーク……初戦のフィンランド戦では思いもよらぬアクシデントに見舞われ、第3戦を迎えた時点で勝点0。しかし絶対絶命の状態で迎えたロシア戦…ホームの後押しを受けて大逆転でのベスト16進出を果たしたデンマークは勢いそのままにウェールズを4-0で撃破。今、彼らは大会の主役への道を邁進しています。
もし準決勝に進めばチェコはEURO2004以来、デンマークはEURO1992以来です。デンマークにとってのEURO1992は今なおサッカー史に残る伝説として語られ続けている大会で、今のデンマークに当時の面影を期待する人も増えてきました。そしてEURO2004の活躍でFIFAランクを2位まで伸ばしたチェコは同大会グループステージのオランダ戦…今もEURO史に残る名勝負と称されるオランダ戦を制した事で勢い付き、そして準々決勝で他でもないデンマークを倒してベスト4に進みました。いつか辿った栄光の道を再び辿ろうとする両チーム。メークドラマの続きを描けるのはどちらでしょうか。
両チームスタメンです。
チェコはオランダ戦から左サイドバックのみパベル・カデジャーベクからヤン・ボジルに変更。中盤の構成は多少変えてきましたが、メンバーとしてはオランダ戦とほぼ同じです。
一方のデンマークはウェールズ戦と全く同じスターティングメンバー。ウェールズ戦ではベンチ外となったユスフ・ポウルセンもベンチに帰ってきています。
本日の会場はアゼルバイジャン、バクーのバクー・オリンピック・スタジアムです。
2015年のヨーロッパ競技大会開催に向け、建設作業はアゼルバイジャンの石油会社も絡んでの一大プロジェクトとして行われました。それもあってまさしく最新鋭と呼ぶに相応しいスタジアムになっています。芝にはSISGrassというハイブリッド芝が使用されており、これは日本のノエビアスタジアム神戸(ヴィッセル神戸)や味の素スタジアム(FC東京/東京ヴェルディ)でも導入されているものです。
18-19シーズンにはチェルシーとアーセナルのイングランド対決となったUEFAヨーロッパリーグ決勝が行われており、優勝したチェルシーではデンマークのアンドレアス・クリステンセンがフル出場しています。一方、アーセナルでGKを務めたチェコ史上最高のGKと言われるペトル・チェフにとってはバクーのこのスタジアムが現役最後の舞台となりました。
試合はいきなり動きました。開始5分、デンマークはCKを獲得すると、イェンス・ラーセンの右からクロスボールをドフリーになっていたトーマス・デラネイがいきなり合わせてデンマークが早々と先制点!!開始早々はチェコが積極的に出ていた中でこのゴールが生まれた事で、試合は一気にデンマークが押せ押せの展開に。13分にも自陣からのボールに一気に抜け出したミッケル・ダムスゴーがあわや追加点になるシーンを生み出します。
しかしチェコも徐々に前への推進力を取り戻して行きます。徐々にペースを握り返していくと、21分にはデンマークのビルドアップをカットしたところからの攻撃でルカシュ・マソプストのスルーパスに抜け出したトマシュ・ホレシュが決定的なシュートを放ちますが…GKカスパー・シュマイケルがギリギリでブロック。
その後もチェコがボールポゼッションを高めていく中で再び試合が動いたのは42分。歓喜に沸いたのはチェコではなくデンマークでした。左サイドを抜け出したヨアキム・メーレがアウトサイドキックでクロスを上げると、ファーサイドに飛び込んできたカスパー・ドルベリのゴールでデンマーク追加点!前半はそのまま終了。前半の始まりと終わりに1点ずつ重ねたデンマークが2点リードで終えます。
少しでも早いうちに1点を返したいチェコはハーフタイムのうちにミハエル・クレメンチク、ヤクブ・ヤンクトを一気に投入。後半開始早々からシュマイケルを脅かすシュートを放つなど、積極的な攻撃をデンマークに対して見舞って行きました。すると49分、右サイドからヴラディミール・ツォウファルのクロスにパトリック・シックがワンタッチで合わせてゴール!これでチェコは1点を返し、シックはクリスティアーノ・ロナウドと並んで得点ランクトップに。
嫌な流れになったデンマークは59分にポウルセンを投入。ここからはチェコが押しつつも、デンマークもポウルセンを中心とした強力なカウンター攻撃を何度も繰り返していく事で試合を一進一退の攻防戦へと誘っていきました。チェコの反撃が激しさを増し、クロスボールを多用しながら攻めていきますが、デンマークもアンドレアス・クリステンセン、シモン・ケアーヤニック・ヴェスターゴーアの堅い3バックが耐え続けます。
時間が過ぎるとともにチェコにもデンマークにも疲労の色は隠せなくなってきて、肉弾戦かつ消耗戦のような…まさしく死闘と呼ぶに相応しい攻防戦が繰り広げられていきます。チェコのパワープレー気味の攻撃に対してもデンマークがそれをことごとく跳ね返し続けて、アディショナルタイム…デンマークのクリアボールをトマシュ・カラスが左足でダイレクトでミドルシュートを放ちますが…これはゴールの左へ。試合は2-1で終了。死闘を制し、2連敗の後の3連勝を実現させたデンマークがベスト4に駒を進めました!!
チェコもデンマークも良い時間で特典を取ったのでキーポイントは多く転がっていた試合だったのですが、個人的にはカスパー・ヒュルマン監督の采配……ポウルセン投入のタイミングが結構大きかったかなと思いました。後半開始早々に1点を返され、人を変えて一気に攻勢を仕掛けてきたチェコに対して、もし仮にあの場面で中途半端にディフェンシブな選手を入れていたら展開は更にマズくなったでしょう。あそこでカウンターによく効くポウルセンを投入出来たことで守勢には回りながらも防戦一方になるような場面は回避できましたし、結果的に決定的なシュートチャンスはデンマークの方が多かったですしね。
チェコもデンマークも、ここまで勝ち上がってきた意味を証明してくれるような素晴らしいパフォーマンスと気迫を見せてくれました。チェコからすれば最初のCKは悔やまれるでしょうが……だからこそ悔しいのは間違い無いですけど、勝敗を分けた差はほんの僅かなものだったとは思います。そんな中で勝ったデンマークの歩みはもはや漫画そのもの。ベスト4進出はあの時も「奇跡の優勝」と呼ばれたEURO1992以来。その再現ではなく、全く違う別のドラマを生めるだけのポテンシャルはデンマークにはあるでしょう。
ではでは(´∀`)