日本シリーズ面白すぎる
どーもこんばんは
さてさて、本日は明治安田生命J2リーグ第41節、ジェフユナイテッド千葉vs京都サンガFCのマッチプレビュー、そして【ズッ友の11シーズン〜京都vs千葉、名勝負選〜】と題し、2011年から2021年に渡って行われたサンガとジェフの戦いの中から印象的なゲームをピックアップして振り返っていきます。
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MATCH PREVIEW
2021明治安田生命J2リーグ第41節
ジェフユナイテッド千葉(8位)vs京都サンガFC(2位)
2021年11月28日14:00@フクダ電子アリーナ
まず改めて、サンガが昇格する為に必要な条件をおさらいしておきましょう。
勝利した場合→J1復帰決定!
引き分けた場合→J1復帰決定!
敗れた場合→甲府が引き分け以下ならJ1復帰決定!ただし、甲府が勝利した場合は勝点差3で最終節を迎える。
…という感じですね。
数字を見ればサンガが圧倒的に有利なのは間違いありません。甲府がサンガを逆転する為には甲府の2連勝とサンガの2連敗が必須。即ち、甲府の視点で言えば勝点1でも落としてはいけない上に、サンガが勝点1でも取ってはいけない訳ですから。このアドバンテージは他ならぬサンガがこれまでの40試合で積み上げてきたものです。岡山戦のマッチプレビューで私は「引き分けをポジティブに捉えてほしい」的な事を書き、実際に試合は引き分けとなりました。サンガにはある程度、精神的余裕を持つ権利があるので、そこは上手く味方につけてほしいと思っています。
一方、今の千葉は間違いなく強敵です。
序盤戦で出遅れたこともあって、結局昇格争いにはほとんど絡まずにシーズンを終えた彼らですが、元々優秀な監督と優秀な選手は揃っている訳で、彼らは第30節愛媛戦に勝利してから11戦無敗。2ヶ月負けてない連中です。このシチュエーションは前節岡山戦と少し似た部分はありますね。見木友哉なんて今キレッキレのキレッキレですし。
そして、岡山戦はサンガにとって状況としては余裕のある試合でした。引き分けでOKと書いたのもそれが理由です。しかし千葉戦は、サンガにとってアドバンテージという余裕は持ちつつも、一方で敗れればその余裕は失われることになります。最終節に持ち込まれたら、流れとして不利になるのは間違いなくサンガですから…。なのでサンガとしては、絶対にこの千葉戦で決めてしまわないといけない。相手が強敵だったとしてもここで決めなければなりません。引き分けでも良い貯金はある種、岡山戦で使ったようなものなので、今季で最もサンガの底力が問われる試合になるのは確かです。
千葉と京都……共に長い歴史を持ち、J1でのタイトル獲得経験があり、そしてJ2では群を抜いたスポンサーの安定感と資金力を持っているクラブながらどうしてもJ1に行けない…そんな歴史を繰り返したせいで、いつしか「ズッ友」なんて呼ばれるようにもなっていました。
非科学的なことはあまり言いたくないですが、このタイミングで千葉と戦うことはある種の運命なのかもしれません。千葉が勝てば、サンガを上がらせまいとするズッ友としての怨念みたいな意味合いになりますし、逆にサンガが勝てばズッ友決別宣言のような試合になる。そういう意味では、vs千葉というのは強敵で厄介であると同時に、ドラマとしては最高のシチュエーションなのかもしれません。
【ズッ友の11シーズン〜京都vs千葉、名勝負選〜】
それぞれJ1での実績とJ2では桁外れな資金力を持ちながら、ジェフは2010年から、サンガは2011年からJ2に幽閉され続けている。サンガが「ズッ友決別宣言」を果たせる事を祈って、ここではズッ友としての11シーズンに行われた試合の中から、特に印象的なものを5試合ピックアップしていきたい。
2011Jリーグディビジョン2第26節
2011年8月27日18:04@西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
千葉得点者:村井慎二(62分)
記念すべきJ2での初対戦。1年で復帰するだろう…と思われながらまさかのJ2残留を果たしてしまった千葉と、当時のJリーグ最多記録となる4回目のJ2降格を喫してしまった京都の「ズッ友」関係はこの試合から始まるが、まさかこの時にはお互い2021年までJ2を彷徨う事になるとは夢にも思わなかっただろう。
この年のJ2昇格争いは大混戦で、本命扱いされていたFC東京も首位こそ守っていたが取りこぼしが多く2位徳島とは勝点で同率。3位栃木とは1点差、そして4位千葉とは2点差という激しいレースが繰り広げられていた。一方のさんがはというと、J2降格に伴う主力の流出に加え、大木武監督就任に伴うスタイルの変換と世代交代に手間取り低迷。この時点で15位に沈んでおり、昇格はもはや目標でさえ無かった。しかしそんな中でもオウンゴールで先制すると、一度は追いつかれたが最後は当時のエース扱いだった宮吉のゴールで勝ち越しに成功。後にサンガは6連勝を達成し、最終的には天皇杯でも準優勝するほどの巻き返しを見せたが、一方の千葉はこの試合(厳密に言えばこの2〜3試合前)から勝点が伸びなくなり、昇格を逃している。
ちなみに2011年は東日本大震災の影響でリーグが1ヶ月中断。これにより第2〜7節が延期になり、元々千葉との試合は第5節に予定されていたのが9月末に組み込まれた事で第26節が初対戦となった。
2013Jリーグディビジョン2第33節
2013年9月15日19:03@フクダ電子アリーナ
千葉得点者:田中佑昌(16分)
「開幕前から自動昇格枠が埋まっていた」とも言えるようなシーズンは、案の定1位と2位をG大阪と神戸が早々に固まる。昇格争いの注目は自動昇格以上にプレーオフ枠の争いに注がれたが、そんな中でも勝点65の2位神戸に対し、勝点55で4位の千葉と勝点51で6位の京都は自動昇格の為にはもう一敗も出来なかった。残り10試合という状況での激突となる。
前半はサンガのポゼッションサッカーに対して千葉のコンパクトで積極的なプレッシング戦術がハマり、千葉はその良い流れに乗るように田中が先制点を上げる。前半は千葉にとってしてやったりな内容だった。しかしややサンガ対策としていつも以上のプレスをかけた事が仇となって体力を消耗。サンガもサンガで修正を施した結果、後半はほぼほぼサンガのペースになる。66分に安藤のゴールで追いつくと、続く77分には山瀬のゴールで逆転。サンガにとっては非常に痛快な勝ち方であった。
サンガは前節熊本戦からの連勝は7まで伸び、プレーオフ争いが激化する中でG大阪、神戸に次ぐ3位を最終節を待たずに確保。千葉も最終節の劇的ドローにより5位でプレーオフ圏に滑り込んだが、共に4位徳島に敗退してJ2残留。この辺りから「ズッ友」とか言われ始めた。
2014Jリーグディビジョン2第30節
2014年9月6日19:04@西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
京都得点者:三平和司(57分、77分)、ドウグラス(90+5分)
千葉得点者:森本貴幸(32分)、キム・ヒョヌン(81分)、井出遥也(84分)
磐田が圧倒的に優位と目されたシーズンだった中で湘南がJ2史上最強とも思えるほどの強さで優勝した2014年。松本の躍進もサプライズだったが、その裏でひっそりと千葉とサンガは不振に陥る。それぞれ監督を交代しながら7位、8位という順位に付けた両者にとって、勝点差2で迎えたこの試合はプレーオフ圏内を争う大一番だった。
前半のうちに千葉が先制。サンガも後半から投入した三平のゴールで同点に追いつく。しかし激動の展開が待っていたのはラスト15分だった。77分、三平のこの日2ゴール目となる得点で逆転に成功。このまま逃げ切り…と行きたいところだったが、81分、84分と立て続けにゴールを許して逆転勝ちムードが一気に再逆転を許す。しかしそれでもラストワンプレーで田中英雄がクロスを上げると、これをドウグラスが頭で合わせて同点。夏の新戦力2人で生み出したゴールでなんとか同点に追いついた。
ただし、京都はその後も伸び悩んだ結果、とうとうJ2では最低順位となる9位にまで転落。一方の千葉は関塚隆監督就任以降に持ち直し、リーグ戦は磐田を抜いて3位にまで浮上したが……プレーオフ決勝で6位山形に敗北。2012〜2013年はサンガ、2014年は千葉が3位にも関わらずプレーオフで敗退。この頃からJ2番長として風格すら出てきたが、2014年以降、サンガも千葉もその後1度しかプレーオフに出場出来ていない。
2017明治安田生命J2リーグ第35節
2017年9月30日15:03@西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
京都得点者:田村亮介(90分)、仙頭啓矢(90+3分)
玄米法師ことファン・エスナイデル監督が就任した2017年の千葉はなんというか、カロリーの低い食事を徹底させながら、見ている者にとってはあまりにもハイカロリーなサッカーを見せていた。選手は胃に良いもの食べてたけどジェフファンの胃はキリキリだった事が推測される。
一方のサンガは、大木体制終演後の迷走から前年に石丸清隆監督が5位に導いたが、その石丸監督を解任し、監督デビューとなる布部陽功監督を招聘。それでも田中マルクス闘莉王、小屋松知哉、ケヴィン・オリスといった即戦力に仙頭啓矢、そして争奪戦の末に獲得した岩崎悠人という期待のルーキーも加えた豪華布陣を揃えた。しかし序盤から振るわなかった結果「帰ってきたドラえもん」で言うところのどうしても辛くなった時に使うんだよ的存在である「闘莉王大作戦」を第8節の時点で発動。しまいには第9節の時点で、試合開始から闘莉王大作戦という19世紀のイングリッシュフットボールも真っ青のキック&ラッシュで見事低空飛行を決めた。
そんな中で、12位千葉と17位京都という非常にしんどい状態での試合を迎えたが、意外にも試合は白熱した展開を見せる。サンガの何かが改善された訳ではないが、千葉の超ハイラインサッカーとの相乗効果で序盤からオープンゲームになった試合はその流れの中で千葉に決定機も作られたものの、GK清水圭介の再三に渡るファインセーブで凌ぐ。するとアディショナルタイム直前、自陣FKからのロングボールを闘莉王が競り合い、こぼれたところを田村が鮮やかなミドルシュート!まさにキック&ラッシュの極致とも言えるようなゴールで先制すると、アディショナルタイムには自陣でボールを奪った仙頭が一人で決め切ってゲームセット。ある意味では布部サッカーの最高到達点のような試合だったのかもしれない。
尚、サンガはこの試合以降多少白星先行にはなったが、最終順位は12位に終わる。一方の千葉はここでサンガに敗れてから最終節まで全勝し、名古屋に敗れこそしたが6位でプレーオフに滑り込んだ。
2019明治安田生命J2リーグ第41節
2019年11月16日14:04@たけびしスタジアム京都
京都得点者:仙頭啓矢(84分)
24歳。8歳からサンガを見始めた私は、なんやかんやで人生の半分以上の期間でサンガを追っている計算になる。熱量に歴は関係ないが、それなりに長いという自負はある。その中で、この試合以上に感情を揺さぶられる事はこれから先もそう多くないと思う。日曜日の試合でサンガが勝利すれば当然感情は凄く揺さぶられるのは間違いないけれど、この試合の"それ"は少しジャンルが違うものだった。
まずこの試合に至るまでのサンガの状況を振り返る(千葉はこの年低迷していたので省略)。布部体制での記憶もあって開幕前は不安でしかなかった中田一三体制は良い意味でサンガファンの予想を裏切り、質と内容の伴ったサッカーで7月には首位にまで立った。当時のサッカーは色んなメディアに特集を組んでもらえるほどには魅力的なものだったが、他クラブのサンガ対策・露呈した選手層の薄さ・柏の復調や横浜FCの躍進が重なり大失速。気がつけば8位に転落していたが、それでも4位山形から9位岡山までの勝点差が2という大混戦の中でホーム最終戦を迎えた。
更に言えばこの試合はホーム最終戦というだけなく、翌年からサンガスタジアム by Kyoceraに移転する為、クラブ創立25周年イヤーとなるこの年までホームスタジアムで在り続けた西京極でのラストゲームでもあった。しかも相手は西京極で何度も戦ってきた千葉であり、千葉には佐藤勇人、増嶋竜也、工藤浩平、堀米勇輝とかつて西京極で紫のユニフォームを着て躍動した選手が揃う。特に今シーズン限りでの引退を発表していた佐藤にとっては現役最後のアウェイ戦。そんな試合が、佐藤にとってキャリアで唯一の千葉以外にホームと呼んだスタジアムで、しかもそのスタジアムにとってもラストとなろうとは…。そして発表こそされていなかったが、闘莉王も今年で引退する事が既定路線と目されるなど、試合前から試合終了後まで異様な雰囲気だった事を覚えている。
クラブ創立25周年記念ユニフォームを身に纏って挑んだサンガは一進一退の攻防の末、最後は84分にサンガユースで育った福岡慎平の折り返しに、高校サッカーで西京極のスターとなった仙頭が合わせて試合を決める。この勝利により、サンガは最終節にプレーオフの望みを繋いだ。試合後には佐藤勇人がサンガゴール裏を訪れると共にスタンドを周回。サンガ時代のチャントもスタジアムに響き渡った。
今思えば、あの日の雰囲気はこれまで感じた事が無いものだったし、シンプルな熱狂ともどこか違う雰囲気だったのを記憶している。試合展開、サンガの状況、佐藤勇人の件を含めた対戦相手……すべてが西京極のラストとしてあまりにも美しく、これ以上を想像できないほど完璧だった。エモーショナルとはこういう事を言うのかと感じた。まさかあの感動が1週間後、Jリーグ史に残る悪夢と共に吹き飛ばさる事になろうとは──。
さぁ、いよいよ最終決戦です。
ある種、苦楽を共にしてきたとの表現さえ似合うような千葉相手に、この11年のケリをつけましょう!
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ではでは(´∀`)