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【三浦淳寛監督解任に思ふ】ヴィッセル神戸2021という最大公約数と、現場とフロントのバランス感覚

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歴史とは数多の逸話や経験の上に成り立つものだ。

日本サッカーの歴史を語る上での大きなターニングポイントとして、「アブダビの夜」と呼ばれる逸話がある。

 

ドイツW杯を目指していたジーコジャパンは多くの問題を抱えており、大一番となるバーレーン戦に向けた中東合宿の雰囲気は芳しくなかった。

この夜のミーティングについて書いた記事や本は数多くあるので、詳細についてはそちらを読んでほしいが……この夜の中心であり、この逸話の主役となったのは宮本恒靖、そして三浦淳寛の2人だった。

 

 

 

…時は流れて2022年、今、ネット上では「今年の神戸が去年のガンバとかぶって見える」と多くの人が語る。

多くの人がリンクさせて語るこの2チームの顛末…その中心にいたのは宮本恒靖三浦淳寛だった…なんて、今、妙に皮肉な状況が生まれてしまったのだ。

 

 

という訳で今回は、ヴィッセル神戸三浦淳寛監督の解任についてブログ書いてみます。  

あくまで三浦監督の戦術やらなんやらを細かく…というモノではなく、あくまで雑感程度の話だと思ってお読みくださいませ。

 

オリジナルアルバムの配信も始めたので是非聴いてみてね

 

 

 

まぁ…正直なところ、今のJリーグの中で"ヴィッセル神戸の監督"って最も難しいポストなのは確かだと思うんですよ。勝つ事だけにフォーカスできるわけでも無ければ、ベースをゆっくり作る猶予が与えられるわけでもないし。 その点で言えば、去年の神戸が後半戦で採用した4-3-1-2…あのシステムとあの選手配置は、戦力と戦術の整理という意味でめちゃくちゃレベル高かったのは確かです。理屈として確かに合点のいくシステムであり、そして配置でした。

 

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Twitterでも言いましたけど、この形のシステムと配置めっちゃ好きなんですよね。3ボランチの真ん中にゲームメーカーを置く感じとか。ガンバが2017年の序盤にトライして、この形の最高峰といえば2000年代中頃のACミランでしょうか。

 

 

ただその一方で、このシステムで人選の応用が効くポジションは一つか二つくらいしかありませんでした。特にサンペールと山口蛍…この2人は"2人ともいる事"が絶対だったんですね。そういう意味では、2021年の形は2021年の前提の中で完璧な答えであり、かつ危うい均衡で成り立っていたのが実情でした。

その上で三浦監督の失敗で言えば…このシステムが成立する条件を満たしていない試合でもこのやり方を無理に通そうとしてしまったのは要因の一つではありました。比較する訳じゃないですが、前述のガンバの場合、このやり方を成立させるには遠藤保仁井手口陽介今野泰幸の3人が揃うのが絶対条件だった中で、今野が長期離脱してしまったと。そうなった時に、当時の長谷川健太監督はこのシステムをすっぱり諦めたんですね。その辺りは割り切りと現実性の間で監督キャリアとしての差が垣間見えるエピソードになったのかな…とは思います。

 

 

 

ただ、上で書いたようにヴィッセル神戸は日本で一番監督業の難しいクラブです。これまで多くの監督が現場とフロントのバランスなるものに苦心してきた歴史があって、要は神戸で監督を続けるには現場での指導力だけではどこかで軋轢が生じてしまうし、かといってフロントに寄せたバランスだと本末転倒。それが神戸の多すぎる監督交代という結果に表れている訳ですが……その点で言えば、三浦監督が優れていたのは現場とフロントのバランス感覚が歴代の監督よりも遥かに優れていたようには思います。これは恐らく三浦監督がSDとして三木谷浩史会長と接してきた事も影響しているのでしょうが、三浦監督の指導力とフロントとのバランス監督、そして戦力と戦術の整理…その全ての最大公約数だったのが2021年のチームでした。

別に2021年の好成績が偶然だとは思いませんし、そこには当然三浦監督の功績も強くあります。ただ、最大公約数という概念に基づくと、少なくとも現時点で2021年以上の答えに辿り着くのは確かに難しかったのかな…という気はします。現時点であの形を超える答えを見つけ出せていない事実は三浦監督が一番理解していたでしょうし、だからこそ核となる選手が出られなくても、やっとの思いで成立させた最大公約数のバランスを手放す訳にはいかなかった…そこから動けなかった部分はあるのかなと見ています。

 

 

 

…さて、問題は後任ですね。

遅すぎるという意見は神戸ファンから多く出ていますが、2022年も続投させた以上、解任するタイミングとしては最適だったと思います。代表ウィークに伴い来週はJ1リーグはおやすみで、神戸はACLがあるのでルヴァン杯も組まれていません。なので次の公式戦まで2週間の猶予があり、外部招聘でも新体制を指導させるには十分な時間があって、かつACLの開幕までに公式戦を3試合戦えるというのポイントでしょう。

 

 

監督交代の際、基本的には誰かしら後任監督が発表されます。それが正式な監督では無くとも、誰が暫定監督を務めるかは大概リリースされますが、今回の神戸はそれがありませんでした。林健太郎氏か吉田孝行氏くると思ったんだけどねぇ…。おそらく神戸としては、次の公式戦となる4月2日の第6節京都戦には新体制をスタートさせられる目星はついているんじゃないかと予想しています。

個人的な推測でしかないですが、解任はおそらく第4節鹿島戦終了時点では決まっていたと思います。ただ、ACLプレーオフのメルボルン・V戦を暫定体制で戦うのはあまりにもリスキーだという事、第5節清水戦が終われば2週間の猶予が得られるという事で、この2試合は三浦監督に任せた上で後任探しを始めた…というのが神戸の動きとして予想されるところではあります。なので…発表はともかく、明日明後日には具体的な名前が報道され始めるんじゃないでしょうか。

 

三浦監督の解任は寂しい気持ちもありますが…いかんせん神戸なので、イニエスタ擁するヴィッセル神戸なので、後任に誰を引っ張ってくるのかは楽しみですね。

 

 

新体制の初陣サンガかよ!

ではでは(´∀`)