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【韓国代表ベスト4進出から20年】もし日韓W杯の韓国vsイタリア・スペイン戦にVARがあったら……。

 

 

 

あの日、俺たちの前にはホイッスルを持った悪魔がいた。

by マルク・ユリアーノ(元イタリア代表)

 

ヘロイン所持で逮捕後「刑務所サッカー大会」イタリアが恨む“W杯韓国寄り判定”モレノ主審の業が深すぎ「20年後の今も私の心は…」-弓削高志

 

 

 

当ブログでは色々、リアタイで見れなかった者の未練として日韓W杯を振り返るブログを書いておりますが、今回のテーマは「日韓W杯を振り返る上で避けては通れないアレ」です。

 

 

本日6月22日、共同開催国である韓国代表が、アジア勢として初めてのベスト4進出を決めたスペイン戦からちょうど20年です。

サッカー史に残る名将フース・ヒディンク監督に率いられたチームは、ホームの大声援を背にポーランドアメリカ、ポルトガルと同居したグループDを2勝1分で首位通過。決勝トーナメントではイタリアとスペインという優勝候補を撃破してベスト4まで進み、準決勝ではドイツ、3位決定戦ではトルコに敗れたものの、アジア勢としての最高成績となる4位になった躍進は今でも「4強神話」と呼ばれているほどの熱狂っぷりでした。

 

 

……ただし、この時の韓国の躍進はスポーツ史に残るダークホースとして記憶されている一方で、様々な疑惑と共に語られているのも事実です。

簡単に言えば「誤審騒動」なんですけど、例えばブラジルvsベルギーやイタリアvsクロアチアのように大きな誤審が一つあった、全体的にジャッジが不安定だった…という次元を、ベスト16の韓国vsイタリア、及び韓国vsスペインでは超えてしまったのではないか、不自然な誤審は、いわゆる何らかの操作が働いたものなのではないか…という疑惑で、それほどまでにこの2試合では不自然な判定が続き、大きな誤審のみならず、ファウルにせよノーファウルにせよ殆どの接触プレーが韓国に転ぶ…と。

 

 

 

確かにね、W杯では多少のホームタウンディシジョンはよくある話なんですよ。日本もチュニジア戦の戸田和幸チュニジア戦でのタックルは「見逃してもらえた」って感じのプレーでしたし。ただ、韓国戦に関してはホームタウンディシジョンで片付けられないような事象がいっぱい起こっちゃったですよね。

イタリア戦とスペイン戦の反響は凄まじく、イタリア戦の後にはFIFAにとんでもない数のクレームが入ったり、スペイン戦の後には当時のスペイン代表選手であるイバン・エルゲラが「この先二度とサッカーが出来なくなってもいい!だからあいつらを殴らせろ!」とまで言ったのは有名な話ですね。その恨みは20年経った今でもなお彼らに残っていて、コッパ・イタリア決勝の試合前にPSYが江南スタイル歌いに来たらとんでもないブーイングを喰らったり、未だにこの試合の事が記事になったり、未だに当時の関係者から批判コメントが出たり、ロシアW杯前にFIFAInstagram安貞桓のイタリア戦のゴールが取り上げられた際にはそれだけで炎上状態と化したり……。

 

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そして、当時のイタリア代表監督だったジョバンニ・トラパットーニ氏は「あの男がやらかしてくれた韓国戦のことを思うと、怒りで言葉にならん。あの時、VARがあれば勝っていたのは我々だ」と語ったんだとか。

という訳で本日は、もし日韓W杯でVARがあったら…という観点から、ポルトガル戦、イタリア戦、スペイン戦の判定はどれくらい覆ったのか?を考えてみたいと思います。

 

 

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

CASE1 韓国vsポルトガル

主審:アンヘル・サンチェス(アルゼンチン)

 

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2002FIFAワールドカップ日韓大会グループD第3戦

ポルトガル0-1韓国

2002年6月14日20:30@仁川文鶴競技場

韓国得点者:パク・チソン(70分)

 

https://www.fifa.com/fifaplus/ja/watch/1SC9AxIloIjyTrcQNrj3Og

 

【主な争点】

ポルトガルの2人退場は妥当だったのか?

 

グループステージ最終戦。勝点4の韓国に対し、初戦のアメリカ戦で敗れた勝点3のポルトガルという構図。韓国は引き分け以上、ポルトガルは勝てば決勝トーナメント進出。韓国が負けた場合とポルトガルが引き分けた場合は他会場のアメリカの結果次第でしたが、ポルトガルは負けたら敗退決定というシチュエーションでした。

結論から言えば、この試合に関してはホームタウンディシジョンの範囲の中に収まっていたと思います。多少韓国寄りな流れではあったとしても、不自然というほどでは無かったのかなと。64分のベトに2枚目のイエローが提示された場面はちょっとキツい判定にも見えましたが、26分のジョアン・ピントの1発退場に関しては、むしろVARがある現代の方が退場になっていたようなプレーだったでしょうし、この試合のジャッジは現実的な範疇だったというか、ある程度の妥当性はあったと思います。まぁ、イタリア戦とスペイン戦を見るとこれも…って思う気持ちも少なからずありますが…。

余談ですが、現在韓国代表の監督を務めるパウロ・ベントはこの韓国戦がポルトガル代表選手としてのラストゲームで、20年後のW杯で韓国を率いてポルトガルと戦う数奇な運命に。

 

 

 

CASE2 韓国vsイタリア

主審:バイロン・モレノ(エクアドル)

 

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2002FIFAワールドカップ日韓大会ベスト16

韓国2v-1イタリア

2002年6月18日20:30@大田ワールドカップ競技場

韓国得点者:ソル・ギヒョン(88分)、アン・ジョンファン(117分)

イタリア得点者:クリスティアン・ヴィエリ(18分)

 

https://www.fifa.com/fifaplus/ja/watch/3Ie3xqHN6It2iQg9NPCyZp

 

【主な争点】

①開始4分の韓国のPK獲得

デル・ピエロへの肘打ち

ザンブロッタへのタックル

イ・チョンスによるマルディーニへの暴行

トッティのシミュレーション判定による退場

トンマージのゴールがオフサイドで取り消し

 

2002年の韓国の躍進に於いて色んな意味で象徴的な試合で、韓国のベスト4を振り返る時に真っ先に使われる映像はこの試合のアン・ジョンファンの決勝ゴールですね。…争点クソ多いやないか!!主審、バイロン・モレノを世界的スターにしてしまった一戦ですね。

この中で言えば、①はファウルをとる人はとるかな、という印象です。特に昨今のVARは良くも悪くもPKが発生しやすいシステムにはなっていますし。W杯誤審ランキングで6位に入った⑥に関しては、これはちょっとテレビの角度ではわかりにくかったんですよね。ただ今のVARの流れだと、例えばプレミアリーグで賛否両論が巻き起こったようにミリ単位で線を引っ張ったりしてオフサイドになっていた可能性はあるので、①と⑥に関してはまだ一理ある部分もなくはないのかもしれません。

ただし、②〜⑤に関してはもうアウトもアウトでしょう。特に②〜④に関しては選手生命にすら関わりかねないプレーで、④に関してはもはやラフプレーですらなく暴行。④が有名すぎて若干陰に隠れてますけど、②にしてもプレーが落ち着いた後に踏み込んでエルボーかましてるのでめちゃくちゃ故意的。③に至ってはタックルを喰らったザンブロッタが実際に長期離脱を余儀なくされていて、いずれもカードはおろかファウルも無かったのはちょっと異常としか…。VARがあれば確実にレッドになったプレーなのがこの3つでしょう。

そして最も有名なシーンであるトッティのシミュレーションに関しては……トッティにタックルしたソン・ジョングクのタックルはアフター気味に入っていて、そこで生じた接触によってトッティが倒れているわけで、百歩譲ってPKでは無かったとしても、少なくともシミュレーションでは無かったのは確かでしょう。これもVARがあればPKになっていたとは思うんですが、もし仮にPKでは無いという判断になった場合、VARのルールではイエローカード判定には例え2枚目のイエローであっても介入出来ない制度なので退場も取り消せなくなる…という難儀な部分はあります。

ちなみに、この試合の主審をつとめたモレノ氏はヘロイン所持で捕まったり、割と積極的にメディア出演に応じたりとちょこちょこ話題を提供しており、イタリア戦のジャッジに関しては③は誤審だったと認めているものの、他のプレーに対しては正しいジャッジをしたと語っています。

 

 

 

CASE3 韓国vsスペイン

主審:ガマル・ガンドゥール(エジプト)

 

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2002FIFAワールドカップ日韓大会準々決勝

スペイン0(3PK5)0韓国

2002年6月22日15:30@光州ワールドカップ競技場

 

https://www.fifa.com/fifaplus/ja/watch/1wy510yzqXQQnfLGDIEuqM

 

【主な争点】

①48分のルベン・バラハのゴール取り消し

②延長前半のモリエンテスのゴール取り消し

③延長後半のモリエンテスオフサイド

PK戦でのGKイ・ウンジェのセーブ

 

誤審騒動という意味ではイタリア戦が一番派手にやった試合ではあるんですけど、個人的には一番気の毒なのはスペインだったように思うんですよね。イタリアは上で挙げたような大きなシーン以外にも、小さなプレーの全てが韓国側に転がった事のフラストレーションが全てを狂わせた部分は大前提だとしても、例えばヴィエリガットゥーゾには決めておかなければならないチャンスが少なくとも1回ずつはあって、韓国の同点弾はパヌッチのミス絡みだったので、僅かながらイタリアの落ち度もあるにあったと思うんです。そもそも2位通過がケチの付き始めでもありますし。ただスペインに関しては、無失点に抑えて2点取ったら2点とも消されて……え?じゃあどうすれば勝てんの?っていう。

②に関してはもう火を見るより明らかなので飛ばすとして……①はエリア内のポジション争いの中で、最終的にバラハがキム・テヨンのユニフォームを引っ張ったって判定なんでしょうけど、そもそもキム・テヨンがバラハのユニフォームを破けるレベルで引っ張っていた訳で、そこがVARで認められれば…という辺りでしょう。③に関しては、少なくともVARのある現代ならオフサイドディレイは適用されていたと思います。イタリア戦の⑥よりも割と目に見えてモリエンテスはシャビのパスの際に最終ラインの後ろにいるので、オフサイドにはならないと思われます。それで何気に④ですよね。この試合に関しては①と②が強烈過ぎた余りに比較的話題にはなってないですけど、これVAR入ってたら確実アウトじゃね?っていう…。

ただ韓国側の世論としても、イタリア戦はともかくスペイン戦に関してはある程度救われた感覚ではあるんだとか。

 

 

 

実際問題、ヒディンクの神通力なるものは確かにあるでしょうし、韓国の組織力や運動量は目を見張るものがあったので、2002年の韓国代表は普通に良いチームではあったと思いますし、決勝トーナメント進出自体は不自然な結果ではないと思います。

ただ、それでも……結局何が真実なのかはわからないですが、色んな意味でやっぱり"不自然"な試合ではあったのかなと。もしどこかで日本がこの時のイタリアやスペインと同じ目に遭ったら、きっと20年経とうが30年経とうが憎しみとして残るんだろうな…と。

 

 

まぁ、仮に何かあったとしたらVARも入んないか…。

ではでは(´∀`)