決勝まで半年あんのか…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはAFCチャンピオンズリーグ準決勝、全北現代モータースvs浦和レッズの一戦です!
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さぁ、いよいよACL準決勝!ACLはベスト4までは東地区と西地区を完全に分けて行われるので、言い換えればこの試合は東地区の決勝のようなもの。ACL優勝経験クラブ同士の大一番です。
日本で最も実績を残しているクラブは鹿島アントラーズ。それはタイトルの数からしても他クラブと比較しても大きな差があります。
しかし、ACLの日本勢で…と言えば、日本勢に於いてのそれで浦和の右に出るクラブはありません。ACLと言えば浦和というのは、ACLの優勝経験を持つガンバや鹿島の視点から見ても強く否定しようと思うほどのことでは無いでしょう。彼らはその歴史に於いて、それだけの価値と熱量をこの舞台で生み出してきました。
気が付けば日本勢として、最後の生き残りチームとなった浦和。今宵、韓国最強クラブと数多の歴史を生み出してきた日本の要塞・埼玉スタジアム2002で空前の大一番を迎えます。お互いにACLを2回ずつ制したクラブ同士、果たして決勝進出を果たすのは!?
両チームスタメンです。
浦和は準々決勝のパトゥム戦と全く同じスタメン11人を起用。ベンチメンバーの変更も1人のみ。そもそもパトゥム戦もラウンド16のジョホール戦から1人しかメンバーを替えてないので、関根貴大を除く10人は3試合全てに先発した形となりました。基本的には4-2-3-1がメインシステムの浦和ですが、パトゥム戦からは岩尾憲をアンカー、小泉佳穂と伊藤敦樹をインサイドハーフに置き、松尾佑介をゼロトップ気味に中央に配した4-1-2-3システムを採用しています。
ラウンド16の大邱戦、準々決勝の神戸戦の両方で120分戦った全北ですが、1人しかスタメンを替えなかった神戸戦とは異なり、今日は神戸戦から4名メンバーを入れ替えてきました。グスタボやキム・ジンギュは日本ラウンドでは初めての先発起用。一方、この2試合で先発していたマドウ・バーロウ、キム・ボギョン、ユ・ソンヨンらはベンチスタートです。ちなみに全北のキム・サンシク監督は2007年の浦和との伝説の試合に城南一和の選手として出場し、PK戦では1番手として成功させています。
本日の会場は埼玉県さいたま市、埼玉スタジアム2002です。
今回のACL、東地区の決勝トーナメントは全試合が日本開催。ラウンド16の2試合のみさいたま市駒場スタジアムも使用し、残る試合では全てここ、埼玉スタジアム2002が会場となりました。
埼スタでのACLは多くの伝説を作ってきました。今や浦和サポーターの熱量が特集される時に必ず使われる映像が2007年準決勝のPK戦。2017年の決勝トーナメントでは済州戦や川崎戦で埼スタの魔力が呼び起こしたかのような逆転勝利を生んできました。様々な浦和と埼スタのACL経験の中でも、こうしてノックアウトステージとして行われるのは初めて。浦和にとっても、ラウンド16や準々決勝のように容易に試合が進む訳でないでしょう。魔物の棲む赤い聖地で、浦和は3年ぶりの決勝進出を決めることは出来るのでしょうか。
序盤から積極的なプレッシングを起点に試合のリズムを掴んでいった浦和。対する全北はロングカウンター気味なダイナミックな攻めの姿勢を見せようとしていましたが、試合の流れは浦和に傾いていました。11分、右サイドのスローインでダヴィド・モーベルグが伊藤敦樹に当てたタイミングで酒井宏樹がインナーラップ。これを見逃さなかったモーベルグのスルーパスを受けた酒井の折り返しに詰めた松尾佑介が詰めて浦和が先制!
その後も浦和は、スコアが動いたからもリトリート気味のシフトを敷く全北に対してボールポゼッションを高めつつ、特に右サイドで松尾とモーベルグがポジションを入れ替えながら良いサイド攻撃の形を度々作っていきました。
一方、完全に浦和にペースを握られていた全北は前半34分の段階でキム・ジンギュを下げてバーロウを投入。38分にはそのバーロウが左サイドをカウンタードリブルを仕掛け、中央に折り返したところからソン・ミンギュに危険なシュートを打たれましたが、これは枠の上に逸れて失点を回避。基本的に浦和が押し気味にゲームを進めてはいましたが、徐々に全北のパワーとスピードが目に見えて脅威になり始めた辺りで前半は終了。
しかし後半が始まった早々の55分、エリア内でチャンスを迎えたソン・ミンギュに対する大畑歩夢のタックルがペナルティキックの判定を取られてしまい、これをかつて"バルサ三銃士"とも呼ばれたペク・ソンホがきっちり決めて全北が後半の早い段階で同点に追い付きます。
同点になってからは、前半よりも均衡状態のような形で試合が進んでいきました。浦和も良いテンポの攻撃でサイドを崩しかけるような場面はあったものの、なかなか決定的なシュートシーンまで持ち込めません。そんな中で浦和は63分の大久保智明に続き、79分には江坂任、明本考浩、キャスパー・ユンカーの3人を一気に投入。全北のカウンターからピンチを迎えた直後の82分には、ゆったりしたペースのパスワークから大久保がスルーパスを放ち、抜け出したユンカーが狙いますが枠を外れます。
終盤に入るとユンカーの推進力を活かして浦和もロングボールを活用するようになっていって、アディショナルタイム直前には抜け出して時間を作ったユンカーのパスに走り込んだモーベルグが得意な形でシュートまで持ち込み、94分には明本のクロスのこぼれ球に江坂が良いタイミングでボレーで合わせますが……いずれも枠を捉えられず。
アディショナルタイムの目安となる5分を目前にしたタイミングで浦和は猛攻を開始。江坂のフライスルーパスに抜け出したユンカーが絶妙なトラップからボレーを放ちますがGKイ・ボムスが好セーブ。そしてそのCKを岩尾が蹴り、江坂が触れてファーに入ったところに走り込んだ岩波拓也がシュート!しかしこれもイ・ボムスが防ぐと、ラストプレーで明本→江坂と繋いで抜け出したユンカーのシュートがポストに当たり、こぼれ球に詰めた江坂のシュートの前に立ちはだかったのはまたしてもイ・ボムス…。
試合は延長戦、全北にとっては3試合連続で延長戦を戦う事に。
延長戦は両チームともに疲労の色が濃くなり、浦和が押しつつもお互いに重い展開にはなっていきました。そんな中でも112分には酒井のグラウンダーのクロスに江坂が右脚を振り抜くもシュートはフかす形に。逆に115分にはキム・ジンスのクロスがファーで折り返されたところに走り込んだ途中出場のムン・ソンミンがシュートを放つも、これはアレクサンダー・ショルツのブロックで阻止。
しかしそのプレーで全北がCKを得ると、途中出場のイ・ソンギはショートコーナーを選択。キム・ジンスからリターンを入れてニアサイドに低空クロスを入れると、ショルツの前に割って入った、こちらも途中出場のハン・ギョンウォンが僅かに触れてゴール…。浦和は終了間際に痛すぎる逆転弾を喫します。
しかし要塞・埼スタ、ドラマはまだまだ続きます。全北に鋭いカウンターを喰らい続けて苦しい展開を強いられた浦和でしたがGK西川周作の好セーブ連発で阻止すると、右サイドでボールを持ったモーベルグが右サイドを駆け抜けた酒井へ。パスは少しズレながらも酒井がスライディングクロスで残すと、一度は跳ね返されたボールを大久保がシュート性のボレーを放ち明本がヘッド。一度GKに阻まれたボールにユンカーが詰めて劇的同点弾!!!!!
一発勝負が生んだACL史に残る壮絶な激闘……その勝敗の行方へPK戦へ。
大旗をゴール裏に集結させたPK戦。ここで西川周作が獅子奮迅の活躍を披露。1人目のキム・ボギョン、2人目のイ・スンギのPKをスーパーセーブで阻止し、浦和は3人目のモーベルグ以外の2人がきっちり成功。全北4人目のキム・ジンスがキックをポストに当てて失敗すると、王手がかかった場面で江坂がPKを沈めて勝利!
浦和、ACL史上に残る激戦を制し、2019年大会以来となるACL決勝進出を果たしました!!!!
ただただ凄い試合でしたね……もうあんまりここでウダウダ書きたくないくらいには、浦和ファンでなくても心昂る試合でした。
前半から自分達のサッカーを出来ていた立場だったのは浦和の方でしたけど、全北は自分達のスタイルというよりは、相手に合わせてパワーを発揮できる強さを持つチームな訳で、浦和の流動性が全北のパワーとスピードに押される場面はやっぱり増えてきました。そこで浦和もスピードと機動力のあるユンカーと明本を入れて、それを操れる江坂を投入した采配は結構試合の流れを変えましたね。あれで膠着状態の試合をオープンに出来たというか。浦和としては後半アディショナルタイムの猛攻で決めたい気持ちはあったでしょうが、延長で見せた不屈の精神とドラマ性はまさに「事実は小説よりも奇なり」と言いますか、脚本なら出来過ぎな120分のストーリーでしたね。素晴らしかった。心震えました。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
ガンバが去年ACL出たの、みんな覚えてる…?
ではでは(´∀`)