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熱さ、激しさ、そして苦味…〜天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会準決勝 京都サンガFCvsサンフレッチェ広島 マッチレビュー〜

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いよいよ鈴鹿GPが始まるねえ

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会準決勝、京都サンガFCvsサンフレッチェ広島の一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。


 

 

 

今からちょうど20年前、J2からJ1へと返り咲き、若手を中心としたメンバーでサンガは大躍進を遂げていました。リーグでは5位にまで駆け上がったサンガはその後、天皇杯という舞台で衝撃的な大躍進。その時の準決勝で戦った相手が他でもない広島でした。

松井大輔の2ゴールで勝利し、そして天皇杯決勝で鹿島に勝利したあの時から20年。昇格1年目というシチュエーション、伸びていく若手、躍動的なサッカースタイル、そして準決勝が広島で、決勝が鹿島かもしれないというトーナメントの妙……。確かにJ2降格が決まっていた当時の広島とは異なり、今年の広島は今季のJリーグで「躍進」という言葉は最も似合うチームだったので、この戦いがサンガにとっては当時と比較にならないほど苦しいものになるのは確かです。ただ、この恵まれ過ぎたような偶然が舞台ならば、これ以上に感情を駆り立てるシチュエーションもそうそうないでしょう。

苦境の先に見えた栄光を追い求め、残留争いという中に身を投じてこそいますが、それでもこのサンガの歴史を彩ったトーナメントに新たな軌跡を紡げるでしょうか。両チームスタメンです。

 

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ターンオーバーをしてきたサンガ、リーグ戦と同じメンバーを起用した広島と、そのスタンスは対照的に分かれる形になりました。

サンガは直近の第31節鳥栖戦からスタメンを全員変更しており、鳥栖戦での先発としては麻田将吾、井上黎生人、川﨑颯太の3人がベンチに入ったのみです。GKはここまで天皇杯の全4試合に出場しているマイケル・ウッドを抜擢。SBは右に荒木大吾、左に田中和樹、インサイドハーフの山田楓喜が本来のポジションとはやや異なる起用位置となる中、開幕前にアキレス腱断裂により長期離脱していた三沢直人が遂に復帰!また、ベンチにはサンガユース所属の植田悠太が登録されています。

対する広島は第31節浦和戦からのスタメン変更は出場停止の塩谷司のところを野上結貴に変更した1人のみ。ベンチメンバー18人という括りでも、塩谷の枠にキプロス代表帰りのピエロウ・ソティリウを入れた1人だけの変更となっています。

 

本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。

2018年大会以降、天皇杯準決勝はどちらかのチームのホームスタジアムで開催される形が明確になってきたので、サンガと広島の試合はサンガスタジアム、鹿島と甲府の試合はカシマサッカースタジアムで開催されるレギュレーションになっています。サンガスタジアムは2020年から稼働しましたが、2021年も2022年も、これまでサンガがホームスタジアムを使用できる天皇杯ではサンガスタジアムではなくたけびしスタジアム京都(西京極)が使用されてきました。なので、サンガスタジアムで天皇杯を行う事、そしてこのスタジアムでサンガが一発勝負というシチュエーションの試合を行う事は初めて。ヒリヒリするシチュになってきましたね…。

そして本日は声出し応援解禁試合です!厳密にはアウェイの鳥栖戦でも声出し応援解禁が実施されましたが、サンガスタジアム by Kyoceraでの声出し応援な2020年2月9日のセレッソ大阪とのこけら落とし試合以来。公式戦では初めてです!

 

 

本日は現地観戦!

行ってくるよ!横浜行かせろ!!スポーツ観戦日記は後日更新します。

 

 

 

 

前半からサンガは想定よりも高い位置でプレーする事が出来ており、基本的には広島陣内での時間を増やしながら試合を進める事が出来ていました。やはり両SBの荒木と田中は攻撃的なプレーヤーともあって、そこでセカンドボール回収から再攻撃に至るまでの攻撃の流れは作れていたと思います。

しかし、チャンスを多く作ったのは広島の方で、サンガの攻撃を断ち切ってカウンターを仕掛ければ、その殆どでシュートまでは持ち込むという完結度の高さを見せており、攻撃時間はサンガの方が長いけど、広島はサンガのDFのラインの高さや不慣れ感も利用しながらペースを作っていました。

 

サンガにとって最初の決定機は31分。広島守備陣のパスの乱れを突いて宮吉拓実パウリーニョショートカウンターを仕掛け、最後は宮吉がパウリーニョの折り返しに詰めますがシュートを打ち切れず。

しかしこの時間帯になると試合は完全に広島ペースで、20分以降は茶島雄介、ドウグラスヴィエイラ、満田誠が立て続けにシュートを放っていきますが、上福元直人に代わってGKを務めて天皇杯を勝ち上がってきたウッドの攻守連発によって阻み続けていました。

 

しかし40分、ペナルティエリア内でメンデスがハンドを犯したとして、一度プレーは流れたもののVARチェックの介入によりPK判定。これをドウグラスヴィエイラに仕留められて遂に広島が先制…。

42分には田中のクロスにピーター・ウタカが合わせるも枠を捉えられず。前半は1点ビハインドで終えます。

 

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インテンシティーの高さを売りにしている両チームの対戦であって、後半からは局地的なデュエルやぶつかり合いも激しさを増していきました。

後半の立ち上がりは広島の追加点を奪いにいく動きが多く目立ったものの、その嵐の時間をやりきると今度はサンガが押し返すようになっていきます。64分、広島のビルドアップに激しいチェックに入った金子大毅のカットを拾ったウタカが単独突破。ペナルティエリア内まで侵入して強引にシュートに持ち込むも、これは日本代表GK大迫敬介に阻まれ…。

 

するとサンガは66分に山田とパウリーニョを下げて井上黎生人とイスマイラ、72分には田中と宮吉を下げて中野桂太、そして2種登録の植田悠太を送り込み、システムも3-4-2-1に変更。76分にはウタカを下げて川﨑颯太を送り込み、中野と三沢をシャドーに置いてボール奪取の可能性を高めつつ、イスマイラにボールを収めさせてそれをフォローする為に中盤の機動力を高めに行きます。

そしてそれが遂に実ったのは79分でした。自陣でボールを奪ったサンガは川﨑が右サイドを突破。深いところまでボールを推し進めていくと、ボールは三沢を経由してイスマイラに渡ります。一度は相手DFと荒木のところで交錯する形になって混乱が生まれるも、そのこぼれ球をイスマイラが叩き込んで遂に同点!!!!今季は苦しみ続けたイスマイラの一撃が突き刺さり、遂にサンガが試合を振り出しに戻します。

 

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同点になってからの試合は完全にカウンターの応酬に。アディショナルタイムには満田のクロスをウッドが弾いたところで混乱が生まれるも、途中出場のナッシム・ベン・カリファが反応したところを何とかウッドが抑え切って後半終了。紫同士の激闘は延長戦へ。

 

 

 

しかし延長戦開始から間もない95分、住吉ジェラニレーションの縦パスを受けたエゼキエウがヒールで右サイドに流すと、ボールを受けたベン・カリファが中央に切り込んで自らシュート。サンガにとっては痛く、そして重い一撃…。

 

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延長後半に入ると、サンガはメンデスや途中出場の麻田将吾を最前線に上げてパワープレー気味にしつつ、前線でボールを収められるポイントを作ろうと試みます。

111分にはセットプレーの大混戦から川﨑のシュート、113分にはGK大迫のキックミスをカットした川﨑のパスから中野がシュートを放ちますが、これも枠を捉え切れません。そして最大のチャンスは115分、右サイドから入ったクロスに井上が飛び込むこの日最大の決定機を迎えましたが……最後に立ちはだかったのは大迫敬介……。

 

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終了間際にもセットプレーからメンデスが合わせるも、サンガの必死の猛攻もあと一歩及ばず……。J1に辿り着いたサンガが辿り着いたもう一つの舞台は、準決勝に相応しい火花を散らす好ゲームを演じながらもあと一歩及ばず。広島が2013年大会以来となる決勝進出を果たし、そして広島は2つのカップ戦の両方で決勝に残る事となりました。

 

 

 

素晴らしい試合だったと思います。手に汗握るとはこの事かというか。

曺貴裁監督が「誰が出ることになっても何を表現しようとしているのかという決意を示す試合になったと思います」と語りましたが、実際に内容としては普段サンガが志すサッカーを体現していましたし、いつものメンバーが出ていたとしても結果にそう大きな差は無かったように思います。むしろ、曺監督が語るように、ある程度誰が出ても同じスタイルのサッカーを貫ける事を示せたゲームだったようにも思いました。サンガのアグレッシブなプレスの前に、広島が普段より低いラインでプレーせざるを得ない状況が作れており、それによって広島のビルドアップをやや不安定にさせて、そこから突いていく…というやり方もチームとして共有出来ていましたし。

ただ、やっぱりアタッキングサードの差というか、今日のサンガのDFラインが慣れもあって裏にあまり強くないところを確実に突いてくるところ、そしてアタッキングサードまでボールを持ち込んだ時に、確実にシュートまで持ち込む、フィニッシュで完結させるところの差は広島との間に大きいところを感じましたし、そこを完結させられるところが今の広島の強さである事も強く感じました。

 

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今季のサンガはJ1の中でも十分戦えており、もし仮に降格という結末が待っていたとしても、2022年は十二分に誇れる戦いをしています。ただやっぱり、そこで上位に行くチームとは近くに見えるようで遠い、蜃気楼のような差がまだまだある。それを改めて肌身で感じたような試合だったのではないでしょうか。

それでも、リーグとは異なるトーナメントでこういう試合を戦えた事、自分達で掴み取った"準決勝"という特別なステージで、決勝を巡ってここまでヒリヒリした戦いができた事…若い選手も多い今日のメンバーで戦ったこの120分はクラブにとって財産です。今年はいわば、そもそもホップ・ステップ・ジャンプならホップの年。羽ばたく為の第1章だったと消化して、これからの未来に期待したいゲームでした。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会準決勝

鹿島アントラーズ0-1ヴァンフォーレ甲府

京都サンガFC1EX2サンフレッチェ広島

 

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天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会決勝

ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

10月16日14:00@日産スタジアム

 

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誰もが鹿島勝利を予想した鹿島vs甲府のカードは、現在J2の18位で残留も確定していない甲府が宮崎純真の前半のゴールを守り切って1-0で勝利。当然ながら甲府は初めての天皇杯決勝進出となり、J2勢としては2014年大会のモンテディオ山形以来となる決勝進出。そしてJ2残留が決まっているチームとしての天皇杯決勝進出は2011年大会の京都サンガFC以来2チーム目となりました。

決勝は10月16日に日産スタジアムにて開催。どちらが勝利しても天皇杯初優勝で、甲府はJ2クラブとして初の優勝が懸かっており、広島はJリーグ開幕以降で最も天皇杯決勝で敗れており(5回)、それだけに今回に懸かる期待も大きく、10月22日にセレッソ大阪と決勝戦を戦うルヴァン杯との二冠となれば、Jリーグ史上10クラブ目となる三大タイトルコレクターとなります。

 

 

駅で転んだ。

ではでは(´∀`)