RK-3はきだめスタジオブログ

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軌跡の果てとは〜明治安田生命J1リーグ第11節 ガンバ大阪 vs セレッソ大阪 スポーツ観戦日記〜


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今夜は誰かのブルースに酔いしゃがれた声に身をまかせたい

「生き急ぐ事で分かり合える」と英雄達はそう呟いた

泣きたくなるほど切ない夜は幻よどうぞ消えないで

孤独に震えて流す涙を拭い去る力は持てなくて

不器用に生きた軌跡の果てに大切な何かを失くしても

憧れに生きた軌跡の果てに大切な何かを失くしても

 

軌跡の果て / GLAY(作詞:TAKURO 作曲:TAKURO)

 

この歌で云う「果て」は、ある一つのバンドがスターダムに辿り着く為に捨てざるを得なかったモノを憂う歌だった。

今この歌をガンバに当てはめるとすれば、それはここに至るまでに見失ったモノを憂う歌になるのだろう。別に今年や去年に限った話ではなく、ここに至るまでに食い止める余地はあったのだろうか。それともある種の不可抗力のようなもので、いつかこうなる運命だったのだろうか。

メインスタンドの向こうに陽が沈む夕刻、まるで横から見た太陽の塔のように背を曲げ項垂れる背中。切ない背中を見せる背番号7に当たる夕陽はどこか皮肉な輝きでもあった。

 

 

 

【スポーツ観戦日記】

2023明治安田生命J1リーグ第11節

ガンバ大阪1-2セレッソ大阪

2023年5月3日14:00@パナソニックスタジアム吹田

G大阪得点者:ダワン(56分)

C大阪得点者:レオ・セアラ(28分)、加藤陸次樹(90分)

 

 

 

 

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"エンターテイメント"としては途轍もなく、そして終わってみれば皮肉なくらいに秀逸だったと思う。

完売どころか転売ヤーが出てくるほどにプレミアと化したチケット…34517人を内包するスタジアムは国内屈指の劇場である。大阪ダービーという因縁の対決のピッチに7番を背負った宇佐美貴史と8番を背負った香川真司が足を踏み入れた時、北側のスタンドのコレオグラフィーの中央に太陽の塔が姿を現す……今日ばかりはサポーターもまた、強烈なエンターテイメントの演者としての輝きを持っていたように思う。少なくとも今日、初めてサッカーを見たような人は心から楽しめた事だろう。このスポーツが持つ熱狂は伝わる試合ではあった。雰囲気をメインコンテンツに、興行としては間違いなく成功だった。

 

 

 

だからこそあまりにも皮肉だった。

非日常としての熱狂、日常としての嘆息……歴で何かを語るつもりはないが、特に10年以上このクラブを見てきた人間にはそれに比例するだけのため息の深さはあったように思う。「大阪ダービーに順位は関係ない」という言葉の意味はいつしかニュアンスを変え、かつて「ヴェルディや磐田みたいにはなるまい」と思っていたクラブは時間をかけてその盛者必衰の理が示す道筋を歩いていた。

意識した訳じゃないが、この日座った席は去年のダービーとほぼ同じ位置だった。同じような時間帯…違うのは差し込むのが照明か夕陽かくらいなもので、どこか山中亮輔の背中に去年のパトリッキの姿が重なって見える。ただ、その後味は去年と少し異なり、あの時より少し達観した感覚に苛まれ、その屈辱はおそらくそういう感覚が生み落としたような鈍痛に近いものだった。そんな精神状態で見たメインスタンドの向こうに陽が落ちようとする光景にどことなく、歴史という軌跡の果てのようなものを見た気がする。

 

 

去年のダービーの時ほどここで悲壮感と絶望感を垂れ流すつもりはない。

「果て」とは言えども、実際問題としてこれは果てではない。未来は良い方にも悪い方にも転びうる。今の時代はいつか終わる。その時に迎えるものが幸せな未来なのか、果ては今日この時ですらまだ幸せだったと思えるような未来なのかはわからない。

今はもう他にあまり書くことがない。整理をしにくい。感情でモノを言うなら、ただ今は現状の形容し難い感情もクリアになるような希望に縋るしかない。言うほど簡単には果てに辿り着かせてくれない軌跡の上が日常にしてしまった以上、その道が輝きに続くと信じて歩いていくしかない。舌を噛むような痛みは改めてその勝手な宿命を感じさせる鈍痛だった。

 

 

 

※シラフです

ではでは