RK-3はきだめスタジオブログ

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【RB大宮爆誕を考える②】レッドブルの大宮アルディージャ買収の解説と、外資参入でJリーグがどう変わるかを展望するの柳沢玉田巻〜後編・CFGとの違いと考えられるハレーション…そして外資参入とこれからのJリーグ〜

 

妹はMONSTER派ですが僕はレッドブル派です

 

どーもこんばんは

 

さてさて8月6日、Jリーグに特大のニュースがもたらされました。

 

 

レッドブル大宮アルディージャ買収。

 

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その衝撃の一大トピックの雑感であったり、簡単な解説であったり、或いは今後の展望なんかを少し書いていけたらと思います。

先日更新した前編の続きになりますので、ぜひそちらからお読みくださいませ。

 

 

 

【おしながき】

そもそもレッドブル・グループとは?(前編)

なぜレッドブルは大宮を選んだのか(前編)

③CFG×マリノスとの違いと買収が良いことばかりとは言えない側面…そしてクラブ名やクラブカラーの行方は?

④大宮とJリーグ外資…今後どうなるのかの妄想と簡単な展望

 

 

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③CFG×マリノスとの違いと買収が良いことばかりとは言えない側面…そしてクラブ名やクラブカラーの行方は?

 

今回の大宮の件で比較対象として挙げられているのが2014年の横浜F・マリノスへのシティ・フットボール・グループ(以下CFG)による経営参入です。これはJリーグにとって、初めて外国資本がスポンサー単位ではなくJリーグクラブの経営に介入した事例であり、いわゆる外資参入は大宮以前ではマリノスのみだった訳ですから、印象として比較の対象に挙げられる事は自然ではあると思います。

ただどちらが良いか悪いかではなく、性質としてマリノスとCFG、大宮とレッドブルのケースは全くもって異なるものだという点は理解しなければなりません。

 

 

 

まずCFGの場合は、絶対的な存在としてマンチェスター・シティという一つのフットボールクラブを頂点に置いた形を前提とする組織です。つまりは、乱暴な言い方をすれば最終的にはマンチェスター・シティがより強くなる為の組織と言えるんですね。ですので、CFGが加盟クラブに求めるのはスカウトのネットワークとマーケティングの拡張に特化しており、むしろプレミアリーグではあくまでも後発クラブという立ち位置である彼らに取っては後者の意味合いが強く、代わりにマンチェスター・シティを中心としたCFGのデータや知見を提供する。そういう組織になっているのがCFGと言えます。

ですのでCFGからすれば、目的がネットワークとマーケティングを拡張する為の拠点を世界各地に作る事ですから、権限を得つつもハレーションは脚力抑えたい訳で、極端な話、一定の発言権が保証されているだけの権限さえ持てれば別にシティ色に染め上げるつもりはないんです。実際、メルボルン・シティのようにシティナイズドされたクラブもいくつかありますが、あくまでそれは「できるに越したことはない」くらいの話で全体のごく一部に過ぎず、CFGに買収されながらも既存のクラブ名、エンブレム、クラブカラーで活動しているクラブの方が多い。要は最終的にはマンチェスター・シティを強くする為の構造なので、全部をCFG色に染め上げる必要もつもりもないんですね。そもそもマリノスに至っては日産自動車の60%に対して40%の保有ですから、最大株主ですらないですし。

 

 

 

対してレッドブルの場合は、頂点に立つのはサッカークラブのライプツィヒでもザルツブルクでもなく、じゃあF1でもなく、Xスポーツでもない。レッドブルの場合はあくまで頂点は自社製品、レッドブルのブランドという事になります。

だからこそ彼らは、世界を制圧する時はそこにレッドブルの旗を掲げている必要があり、レッドブルの紋章の下で、レッドブルの名を冠し、レッドブルのシャツを来ている必要がある。CFGがマンチェスター・シティを頂点に置いた縦に循環していく組織図であるならば、レッドブルスクラムを組むような組織図になっているんですね。なのである程度の発言権が通るならゴーサインを出して数を増やすことを優先するシティに対し、レッドブルは100%レッドブルに染め上げられるクラブである事が重要視される為、それが出来ないチームは買おうとしない。その分、CFG辺りと比べると加盟クラブが少ない代わりに、全てが統一のロゴと統一のユニフォームで戦う。そういうスタイルの拡大戦略を図ったのがレッドブルグループです。大宮の視点で言えばマリノスにとってのCFGよりも国際的にレッドブル印をアピールしやすいと言いますか、大宮がレッドブルのブランドを利用したプロモーションを行いやすくなる…というところはメリットでしょう。

こういう複数のクラブの経営に参画してグループを作るこもをマルチ・クラブオーナーシップ(MCO)と称し、CFGとレッドブルはその代表的なケース、ある種の2大巨頭のように語られますが、どちらの良し悪しではなくそのタイプは全くもって異なるという事は押さえておく必要があります。個人的な感覚としてはMCOの王道に近い形はCFGでありながらも、MCOという言葉をより額面通りに捉えた形態になるのがレッドブル・グループという印象はありますね。

 

 

で、別にサッカーに限らず萬のことに於いて「何かを手にすれば何かを失う」のは世の常ですし、レッドブルのクラブ買収は良い面も悪い…悪い面とは言いませんが、大宮にとって必ずしも良いだけではない部分だってある事が予想されます。

結構レッドブルってすごいんですよ。割とやりたい放題なところもあるというか。例えばブラジルでは、レッドブル・ブラジルというクラブを買収ではなく新規で設立した上で、10年ほど活動した後で新たにブラジルのCAブラガンチーノを買収・合弁してレッドブルブラガンチーノを発足させ、レッドブル・ブラジルはジュニアチームに形態を変更させただとか、一番凄まじいのはオーストリア下部リーグに所属していたUSKアニフを買収してレッドブル・ザルツブルクのセカンドチームに変貌させたとか。前編では良い面を主に取り上げましたが、上述したCFGと比較してもレッドブルの参入は劇薬的な要素が強く、言うなれば結構エグいやり方もしてくる…と。

 

 

 

その中で、今のところ大きな注目を集めているポイントの一つがクラブ名・クラブカラー・エンブレムの部分でしょう。

上述したようにレッドブル・グループは、これまで買収したクラブはクラブカラー、エンブレム、クラブ名に至るまでの全てをレッドブルナイズドさせるような改革を行ってきました。例えばグループ第1号となるザルツブルクに関しては1930年代から存在した歴史あるクラブにも関わらず容赦なく変更しましたし、それはその後のドイツ、アメリカ、ブラジルでのクラブ買収も同様でした。

そう考えれば大宮でも同様の事が起こると考えるのは自然な予想と言えます。株式譲渡に際した公式のリリースではこのようなコメントがありました。

 

レッドブルのコミットメントは、ホームタウン・さいたま市で引き続き活動を継続することであり、これまでクラブがステークホルダーと育んできたチーム名やクラブカラーなどをリスペクトし、クラブが積み重ねてきた26年の歴史をベースに積極的に新たな挑戦を行っていくことで「継続と発展」を示し、クラブ理念の実現と成長循環型クラブとしての取り組みをより加速させて行きます。

株式譲渡について -大宮アルディージャ公式サイト

 

ここで書かれている事としては、少なくともホームタウンに対しては「さいたま市での活動を継続する」という言葉で断言しているのに対し、クラブ名やクラブカラーに関しては「リスペクト」「歴史をベースに」といった具合で、割りかし解釈の幅が大きい言葉を用いているんですよね。

エンブレムに関しては他のJクラブも同様であるように時代毎にタイミングで変わるもの…という認識も醸成されてきましたが、クラブ名やクラブカラーまで全て一新するとなればいつかのFC町田ゼルビアのようにファン・サポーターのハレーション、精神的な抵抗感は大きいでしょう。ましてや町田の場合はクラブ名限定でしたし、それもまだクラブ独自のものへの変更でしたが、レッドブルの場合は言ってしまえば既存のフォーマットに揃える形になる訳で。あんまりその部分を他サポの立場で「いやいや、レッドブル入るんだからいいじゃん」「クラブが無くなる訳じゃないんだし」とは気軽には言えないですし。

 

一応、大宮に関しては経営難で倒産寸前に陥っていたザルツブルクやそもそもが5部リーグ相当でプロクラブとの活動実態が薄かったライプツィヒと比較した時に、NTT側は売りたかったけど絶対に売らなければならない状況では無かったでしょうし、前編で書いたように旧クラブ側がレッドブルに提供できるものはハード面を含めてこれまで買収してきたクラブと比較すると多かったと思います。NTTもスポンサーとしての関わりは継続する意思を示していますし、現在の佐野秀彦社長もレッドブル側に「クラブ名は残して欲しい」という旨は伝えていると明言していましたからレッドブルが譲歩する可能性はこれまで買収してきたクラブと比較しても高いとも考えられます。

ただレッドブルの場合は、これまでのクラブで全てをレッドブル仕様にしてきた訳ですから、可能性としてはむしろ「例外を作りたくない」と考える可能性の方が高いのかなと。となると、三木谷浩史氏が買収した時のヴィッセル神戸のように、エンブレムとクラブカラーをオレンジから赤白に変更し、チーム名は「RB大宮アルディージャ」みたいに現在の名前を残してRBを冠する形になるのが落としどころなのかなと予想しています。

 

 

 

④大宮とJリーグ外資…今後どうなるのかの妄想と簡単な展望

 

横浜F・マリノスのCFG参入はあくまで経営参画であり、あくまでマリノスの主導権は日産自動車であるという前提がありました。そう考えるとやはり今回のレッドブル参入は外国企業がクラブの100%を保有するJリーグが初めて直面するシチュエーションとなる訳で、良くも悪くも重要なサンプルケースになるという事、大宮とレッドブルの行く末次第では、これが良い意味でも悪い意味でも一つの引き金になる可能性があるという事は確かです。

とは言っても、外資がスポンサー以上の立場で入りたい放題になるのもそれはそれで考えものかなぁ…という部分はあるので、それこそJリーグは今回のレッドブルのように、日本でしっかりとビジネスを定着させている外国企業が積極的に投資をしてくれるような流れができてくれれば…と思います。例えばオリジナル10に代表されるようなクラブの多くは伝統ある日本企業が既に持っているのに対し、ブルーオーシャンとまでは言いませんが…J2やJ3、或いはもっとそれ以下のカテゴリーのクラブをそういう企業が買う流れが出来てくれば、日本の新興企業もそれに続くかもしれない。Jリーグというゲームの勢力図に動きも出るでしょうし、Jリーグ特有の接戦を高いレベルに引き上げられるかもしれない。そういう連鎖でJリーグのクラブという個の底上げでJリーグを押し上げてくれたらいいなと思います。

加えてレッドブルは他のMCOを設けているクラブよりもプレーモデルや育成システムがハッキリしていますから、やっぱり戦術も各クラブで多彩なものがあった方がJリーグも彩鮮やかじゃないですか。まずは大宮でもそれをやろうとするでしょうし、Jリーグにとっても新たな価値観を取り込めるかもしれない。育成に関しても実際にマリノスがCFGを通じて優秀な外国籍選手、外国人指導者のリクルートに成功している訳で、そういう事が大宮でも起こる、そしてそうそう都合よくRBライプツィヒに行ける訳ではないでしょうが、必然的なネットワークは欧州に繋がりやすくなる訳ですし、選手にとってはなかなか魅力的な環境になるだろうなと。レッドブルという劇薬が、低迷するクラブにどのような化学反応をもたらすのかはどのクラブのファンでも注目したいところでしょう。

 

後はやっぱり、レッドブルが本格的に参入した訳ですから、基本的には大宮とのコラボ形式になるとしても…例えば今のF1には日本人の角田裕毅も参戦していましたし、レッドブルモータースポーツエクストリームスポーツのような、日本人の間ではオリンピックの時以外はニッチになりつつあるスポーツをバックアップしている企業ですから、レッドブルを通じた横への拡がりも期待したいところではありますね。鈴鹿GPの週に角田やフェルスタッペンがNACK5スタジアムに来たりしたら絶対楽しいじゃないですか。

 

前編はこちら

 

 

フェルスタッペンの一声でオレンジ継続とか…?

ではでは(´∀`)