サンガツでございます
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第4節、川崎フロンターレ vs 京都サンガFCの一戦です!
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「昨季後半のようなパフォーマンスを基準にできるか」「そこに応用を持ちながらシーズンを戦えるか」……それを2025年のテーマとするならば、それがまるで出来なかったのが開幕の岡山戦であり、前者ができていたのが浦和戦、そして後者ができていたのが神戸戦だったと思います。
浦和と神戸から勝点2を取った………そう文字にすれば、今の成績は2分1敗という見た目よりは悪くない。しかし曺貴裁京都の鍵はいつも「その試合を勝てる設定のゲームに持ち込めるか」どうかで、その時点での実力差はあまり関係なかったりもぬる。そう考えるとせっかく勝てる設定に持ち込んだ2つのゲームで勝点2をそれぞれ落とした事実は重い……サンガは今、その現実に直面しています。
対戦相手は川崎。開幕3連勝中の湘南などと共に、現在最も状態の良いクラブと言えるでしょう。長谷部茂利を新監督に迎えたチームはまさしく序盤戦を快走していますが、そんな強大なる相手に対してサンガは巣食う呪縛にケリをつける事ができるのでしょうか。凱歌は果たして、去年と同じ場所にて鳴り響くか!?
両チームスタメンです。
サンガは前節神戸戦からスタメンを3人変更。神戸戦でマルコ・トゥーリオが負傷退場した事で奥川雅也が左WGで移籍後初スタメンとなり、今日は原大智を右WGに配置。ジョアン・ペドロと宮本優太は開幕戦の岡山戦以来の先発起用となりましたが、岡山戦では右SBだった宮本は今日はCBで先発です。また、ベンチには松田天馬が今季初めて登録メンバーに名を連ねました。
水曜日にはACL中国遠征を控える川崎は福岡に逆転勝利を収めた前節から、GKも含めて橘田健人以外全員変更。セサル・アイダルと車屋紳太郎の両CBはいずれも今季初出場で、GKも山口瑠伊ではなくチョン・ソンリョンが復帰する形になっています。
本日の会場は神奈川県川崎市、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuです。
今日の試合では来場者に「KAWASAKI BASED.ステッカー」が配布される他、ワーナーブラザース・ディスカバリー×イッツコムエキサイトマッチと称してコラボグッズやイッツコムに関連して番組グッズが当たる抽選会の他、トム&ジェリーがスタジアムに来場。また、川崎OBの大久保嘉人氏のトークショーも開かれるとの事。
サンガにとっては昨年の初勝利もこの場所、等々力でした。思えば1996年、サンガにとってのJリーグデビューはこの場所でのヴェルディ川崎戦。その時の相手には長谷部茂利もいたりした訳ですが、縁と思い出のあるこの場所で2025年の"開幕"を!
【J1スタジアム紹介】
— Rスタジアムガイド (@RStadiumguide) 2025年2月15日
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
かつてはヴェルディ川崎、現在ではフロンターレの本拠地として使用された、Jリーグ元年から歴史の舞台になり続けているスタジアム。札幌の前身である東芝サッカー部も一時期本拠地としていた。
将来的に球技場化する計画を有している。 pic.twitter.com/jY4dtRtEaP
序盤から両チームのスタイル、スタンスが色濃く出た展開となりました。
後方からビルドアップで繋いで前進を試みる川崎に対して、サンガはハイラインハイプレスをしっかりと敢行。サンガとしてはラインは押し込まれる時間が長かった神戸戦よりは浦和戦に近い設定となる中で、得意とするプレスのパターンになるサイドから走ってDFラインを横断させ、原大智やエリアス、奥川がしっかりとコースを切りながら詰めていく…自陣からはロングボールで前にボールがある状況にする事でハーフコートゲームの形にしてから得意なプレスの流れを繰り出す…という一連の形をつくることはできていました。
サンガの最初の決定機は13分。右CKを獲得すると奥川がショートコーナーを選択し、平戸と須貝を絡めたパスワークで右サイドを突破。奥川のクロスをファーサイドで待っていた福岡が頭で合わせましたが、このシュートはGKチョン・ソンリョンに収められてゴールには至らず。
ただ、立ち上がりはサンガのハイプレスに苦しむ形になっていた川崎もこの辺りからプレス回避の糸口を見つけるようになり、サイドに追い込むコースで守備をするサンガに対して斜めへの侵入を用いる事で揺さぶりをかけるようになっていきました。
川崎は19分に山内日向汰、22分にエリソンがシュートシーンを迎えるなどリズムを掴めば、一度サイドにボールを出してからサイドのコースをケアして追い出して対峙してくるサンガの両SBとCB、フォローに来る中盤の間に生じた三角形のスペースをドリブルなりパスワークなりで狙うようになっていきます。サンガはややサイドから中央に入られた際の対応には不安は出ていましたが、一方でボールを奪い返した際にはロングボールでサンガ陣内から脱出しつつ敵陣でプレスの流れを再燃させるようなアプローチをしており、ハイライトになるような場面は福岡のシュートシーン以外はありませんでしたが、押し込まれる展開になることは回避していました。
前半はスコアは動かないまま終了。
良くも悪くも、両者のスタイルが色濃く反映されながら後半に向かいます。
後半は両チームとも1人ずつ選手交代を実行。川崎はセサル・アイダルを下げて高井幸大、サンガはジョアン・ペドロを下げて川﨑颯太を投入。それぞれ同ポジションのブラジル人選手をパリ五輪代表選手に入れ替えます。
前半の終わりは押し込まれていたサンガでしたが、後半は神戸戦と同様にラインを持ち直して形勢を整え直すことに成功。開始早々にエリアスが飛び出してチャンスを得ると、遂に訪れた歓喜の瞬間は49分でした。川崎陣内でボールを繋ごうとした川崎の選手に対して縦を須貝/横を川﨑、或いは縦を川﨑/横をエリアスがコースをカット。バックパス先の車屋の苦しいリターンを受けた橘田のミスパスを誘発すると、まるで浦和戦の失点シーンのようにエリアスが抜け出せばDF高井とGKチョンソンリョンを釣り出してラストパス。最後は走り込んだ奥川が決め切ってサンガ先制!!京都に帰ってきた古都のネイマール、遂に復帰後初ゴール!
嬉しいJ1初ゴール🙌
— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2025年3月1日
今季10年ぶりに京都復帰の #奥川雅也
カウンターから自身J1初ゴールをゲット💪
🏆明治安田J1第4節
🆚川崎F×京都
🆓#DAZN LIVE配信中#Jみようぜ #Jリーグ#川崎F京都 pic.twitter.com/r0St69YmdG
川崎は57分に家長昭博、マルシーニョ、脇坂泰斗の3枚投入というヤクザみたいな交代策を敢行。68分には佐々木のパスを受けた家長が巧みなポストプレーで河原創に託すと、攻め上がった佐々木が河原のスルーパスを受けてエリア内に侵入。決定機を迎えますが、シュートは川﨑の素晴らしいタックルでなんとか回避。70分には佐々木の絶妙なアーリークロスにマルシーニョが頭で合わせますが太田がスーパーセーブ。76分にはロングボールを収めたマルシーニョのパスに走り込んだ家長が美しいシュートを放ちましたがなんとか枠外に逃れます。
橘田を下げて山田新を投入きた川崎は脇坂をボランチに下げて猛攻を仕掛けます。サンガも米本拓司やパトリック・ウィリアムを投入し、前節同様に5バックにして逃げ切り体勢。途中出場平賀の素晴らしいブロックや、鈴木のコントロールや宮本の呼応でラインを一定の高さに保つ勇気の護持も働き試合終了!!
サンガ今季初勝利!!!!長谷部監督就任後、無敗が続いていた川崎は今季公式戦6試合目にして初黒星となりました。
なによりも、なによりもまずは勝てて良かった。とにかくそれが全てです。勝てて良かった…。
冒頭や上の記事のようにこれまでも何度か書いていますが、基本的にサンガが勝てるかどうか…というところは相手の実力よりも相性と試合の噛み合わせ、そして開始15分までにサンガが高い位置にラインを敷き、ハーフコートゲームのような状態で連続してプレスを繰り出せる距離感をキープできるかどうか、そういう設定の試合に持ち込めるかどうかでした。昨季後半からはそこにバランスの調節とショートカウンター一辺倒にならないようなアレンジを加えた事で幅を確保したのでこれまでほど露骨な差ではなくなりましたけど、基本的にその部分は変わっていません。その点で言えば、浦和戦はその設定が完璧に作れた試合であって、神戸戦は浦和戦ほど理想通りに攻撃は回らずとも守備に関してはその土台を持ってプレーできていたのかなと。
今日は立ち上がりは浦和戦と同じく、立ち上がりからハイラインを維持しながらプレスを繰り出せる状況を担保できていたので、まず川崎に対して先制攻撃…というほどのシーンはあまり作れなかったものの、試合の設定はサンガが決めた状態でプレーできていたのが前半だったと思います。サンガのプレスのやり方に関しては浦和戦や神戸戦で書いたような事と似たような事になるので今回は省きますが、それをしっかりと今日も実践できたというのが一つのポイント。ただその上で、川崎はサンガのプレスを剥がす方策も上手く持ち合わせていました。前節の神戸は力技的に押し込んできましたが、縦と横を切ってパスコースを切りに行くサンガに対し、川崎はワンツー的なパスでもドリブルで持ち出すにしても斜めのスペースを利用する事でサンガの統率を見出そうとしてきた。サンガは局面では良い守備を見せながらも、斜めに入られた時の受け渡しには苦しんだ部分があったので、その応酬の末に前半は「両者のスタイルが色濃く出た」という展開になっていたと思います。
ただサンガが良かったのは、これは今日に限らず神戸戦もそうでしたし、なぜ給水タイムのある夏場に強いのか…みたいな話にも繋がってくるんですが、ハーフタイムのようないわば流れが一旦リセットされる瞬間にちゃんとネジを締め直せる、押し込まれた状況ならちゃんとラインを高いところに設定し直せるというところで。今日も後半開始早々にエリアスが一つチャンスを作ったところから始まり、プレスとカウンターのリズムをそこから生んでいけた。平戸や福岡がいたとはいえ今日はトゥーリオがいなかったのでチャンスメイクのバリエーションさには欠けていたところがあったとはいえ、そこで少ないチャンスの糸口を好機に漕ぎ着けられたのは、攻撃の精度を高める必要はあれども現時点で出すべきものは出せたという事でもあるでしょうし、エリアスや奥川があのスプリントをしっかりと出せるほどやり方が浸透している、やり方にコミットさせている部分は評価されるべきポイントと言えるでしょう。
終盤に関しては……もちろん理想としてはもっと楽に試合を終わらせられるようになる事ですし、この試合での理想パターンで言うなら先制点の後に2〜3回訪れた好機を活かして2点リードを奪っておく事。そういう意味で、終盤に攻められ続けた状況に関しては良い事とは言えないでしょう。とはいえ1点リードの終了間際は往々にしてそういう展開になるものですし、そもそも相手は川崎のようにタレントのパワーとクオリティがあるチームですから尚更。
なにより……これは完全に結果論であって、2点リードを奪えたりもっと楽な展開で勝てたならそれに越した事はありませんが、チームの流れやシーズンを通した長期的な事を考えれば、結果的にこの展開で勝てた事が良かったのかなとも思います。というのも、サンガにとってこの試合はあの悲劇的なドローから中2日で迎えた試合でした。奇しくもその同点劇と似たような展開になった事で、ゲーム的に言うなら神戸戦からすぐに同じシチュエーションでリトライするような状況になっていたんですね。
もっと良い内容で、或いは先制した後に訪れた好機で追加点取って勝てた方が良いのは当然なんだけど、チームの流れとして考えるとあの神戸戦から中2日で奇しくも同じ状況に追い込まれながらそこを乗り越えて勝てたってのが本当に大きい。成功体験を掴む事と同じくらいトラウマ体験を消す事は重要。
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2025年3月1日
例えばサイドの選手がボールを持った時のSBの守り方、クロスに対する中の固め方は神戸戦でも出来ていた部分を引き継げましたし、神戸戦では最後の最後に途切れてしまった「5バックにした後にラインの設定をどこに持っていくか」「5バックの距離感を守ったままなるべく高いラインを保てるかどうか」の部分は鈴木義宜を中心に反省をそのまま試合に反映できていた。「5バックになると、跳ね返すのはもちろん自分たち強いんですけど、そういった時にちょっとラインがズレたりすると競ってカバーができなかったり、ちょっと人任せになっちゃうところがあったので、そこは今週の練習でカバーはできたと思いますし、その中で5バックになった時もみんな冷静にやれてた」という試合後の福岡のコメントによく表れていると思うんですけど、つまり公式戦とはいえ反復練習や復習みたいなもので、鉄は熱いうちに打てじゃないですけど、各々が試合後にそれぞれ考えた「神戸戦では何が足りなかったのか」という反省を踏まえて何ができるかを実践する機会が図らずもすぐに訪れたような形になった…と。曺監督の采配にしても守備固めに入るタイミングをなるべくギリギリまで引っ張ったり、結果的に平賀をインアウトさせる形になったとはいえ平賀にも、平賀と代わって入った松田天馬にもその選手の特性と現在の状況を踏まえたタスクをしっかりと持たせた逃げ切り采配をどう進めるかもその一貫でしょうし、実際に2人ともそれをちゃんと完遂させた訳で。
後はやっぱり……神戸戦の追いつかれ方って少なからずトラウマになり得るような追いつかれ方だった訳で、こういうのってやっぱり頭に残るんです。いざ同じ状況になった時に不安が占める要素が大きくなって、それが必要以上に重心が後ろに下がる要因に繋がる。去年の柏レイソルを見ていてもそうですが、人間がやるスポーツである以上そういうメンタル要素って「精神論」「非科学的」で切り捨てられるものじゃないんですよ。その点では、神戸戦と全く同じシチュエーションを神戸戦が終わってすぐに乗り越えられた事は、めちゃくちゃ結果論ではありますが…結果的に2点目を取れなかったおかげでこのシチュエーションへのリトライ権を得て、それに勝ってこのシチュエーションの記憶を上書きできた訳で、長期的には悠々と勝つよりもすごく大きなことだったんじゃないかなと思います。
とにかく良かった、良かった……。
【今節のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーは東京ヴェルディvsガンバ大阪のマッチレビューページに記載しています】
ではでは(´∀`)