RK-3はきだめスタジオブログ

気ままに白熱、気ままな憂鬱。執筆等のご依頼はTwitter(@blueblack_gblue)のDM、もしくは[gamba_kyoto@yahoo.co.jp]のメールアドレスまでご連絡お願いします。

YOKOHAMA三十二才まえ〜2025明治安田J1リーグ第17節 横浜F・マリノス vs 京都サンガFC マッチレビュー&試合考察〜

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250517225821j:image

 

YOKOHAMA二十八才まえ

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第17節、横浜F・マリノス vs 京都サンガFCの一戦です!

 

Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2025Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ!

 

 

5月15日、Jリーグは32周年を迎えました!

これまでに紡がれた日常に感謝すると共に、これからも永く続く日々を、自分もまたファンという立場で一喜一憂の一部として生きていけたらと思います。

2023年更新のページですが、過去にJリーグの歴史やトリビア的なことをを振り返れる記事をいくつか更新しておりますので、そちらも是非に。

 

 

シーズンも折り返し地点に近づいていますが、今日のこの対戦カードはおそらく一般的に「予想と大きく異なる推移を辿った2チーム」という構図と言えるでしょうか。もちろんマリノスはある程度苦しむだろうとは言われていて、サンガも降格候補にはそこまで名前も挙がってなかったので真逆…というほどではなくとも、いずれにしてもこの時期にこの位置にいる事を想像するのは難しかっただろうなと。

勝ち続けること……サンガが未だかつて知らない順位を目指すならば、サンガはここからその難しさと正面からぶつかっていく事になります。Jリーグという概念が生まれて32年、5度のリーグ優勝を果たし、一度たりともJ2に降格したことのない…その歴史の中で勝ち続けることで地位を築いたクラブを前にした試練が今のサンガに立ちはだかります。思えば曺貴裁京都は「川崎やマリノスに勝てるチームになりたい」というところから始まった。シーズンを時代の象徴にするならば、敵地で目標を超えるような勝利を手にすること…それがストーリーを結実させる為の条件です。苦い感触が残る巨大スタジアムは、今日はどんな色をサンガに見せるでしょうか。

両チームスタメンです。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250517223204j:image
f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250517223201j:image

 

サンガは連戦の影響も踏まえてか試合毎に4〜5人ほどメンバーを入れ替えることが多くなっていますが、今日も1-1で引き分けた前節名古屋戦からは5人スタメンを変更。前節の3バックはあくまで名古屋対策の意味合いが強かったので、今日は従来の4-1-2-3に戻しています。ここ数試合でインパクトを残している長沢駿が移籍後初スタメンを飾り、一時負傷離脱していた福岡慎平も第13節G大阪戦以来の復帰。平戸-福岡-川﨑の中盤セットでスタートするのは第12節横浜FC戦以来です。

5連敗中のマリノスは前節柏戦からスタメンを6人変更。マリノスも連戦の最中とあってメンバーがローテーション的に入れ替わっていますが、今日は天野純が第10節福岡戦以来、サンディ・ウォルシュが第8節名古屋戦以来のスタメン起用となりました。

 

 

 

本日の会場は神奈川県横浜市日産スタジアムです。

 

 

ACL Eliteに伴うサウジアラビア遠征を終えたマリノスは水曜日に行われた柏戦から怒涛のホーム4連戦となります。この試合ではユニフォーム付きチケットが販売されており、この日限定の特別ユニフォームの販売が行われるとの事で。また、Jリーグの日特別企画として復刻Jリーグチップスが抽選で当たるキャンペーンも。

サッカーとラグビーのW杯、オリンピックサッカーの決勝…日本のスポーツであらゆるアイコニックな瞬間を生んできたスタジアムですが、J1復帰後のサンガのマリノス戦は2023年以外はニッパツ三ツ沢球技場だったので日産での試合は2年ぶり。サンガはこれまで日産スタジアムでリーグ戦は8試合行っていますが、2008年に勝利した試合(柳沢のスーパーゴールのやつ)を除いては全敗です。様々な"苦手"突破した今年。昨年は三ツ沢を突破したので、次は日産を…!

 

 

 

 

最初のチャンスはサンガでした。

3分にはセットプレーのボールがルーズボールの応酬になったところのギャップを突いた川﨑が決定機を迎えるも諏訪間幸成がブロック。直後にも松田天馬が2度ほどシュートチャンスを迎え、更に8分には右サイドでのパス交換から福田が入れたクロスにニアに走り込んだ平戸が合わせるもブロックされてヒットし切れません。

一方のマリノスはその直後に諏訪間が負傷退場となりトーマス・デンとの途中交代を余儀なくされましたが、11分には平戸のボールを加藤蓮が奪ったスルーパス。ロングカウンターからヤン・マテウスが入れたクロスボールに遠野大弥が合わせたヘッドは僅かに枠の上へ。

 

 

 

どちらかと言えばサンガの方が高い位置でボールを持ちながら攻撃を仕掛けていき、逆にマリノスの方がカウンターに寄った攻撃を仕掛けていく展開になっていました。

マリノスは20分、遠野のパスを受けた天野純が左サイドを抜け出してグラウンダーのクロス。ニアに走り込んだアンデルソン・ロペスのヒールがゴールに流し込まれてマリノス先制…かと思われましたが、ここはロペスがオフサイドを取られてノーゴールに。22分にはルーズボールの応酬から遠野が入れたクロスにファーサイドマテウスが走り込みますがここも難を逃れます。ただ、20分以降はマリノスのカウンター時の速さと人数をかけたアタックに対してサンガがやや押し下げられる形になってしまい、なかなか前線へのポイントを付けられないようになっていきます。

 

 

 

しかしそんな嫌な流れになりそうな展開を刺したのは32分でした。自陣から鈴木義宜のパスを受けた佐藤響が身体を捻るようにロングスルーパスを送ると、ウォルシュと上手く入れ替わって抜け出した長沢が持ち運んでエリア外でマイナス気味のパス。これに走り込んだ松田天馬が右脚一閃!!ここ数試合で好調を維持するベテランストライカーの技が光るムーブ、サンガユースの傑作・奥川のスペースを作る動きから、曺貴裁京都を象徴するハードワーカーのゴラッソでサンガ先制!!

 

 

前半終了間際には山根陸のクロスのこぼれ球に走り込んだマテウスが決定的なシュートを放つもこの場面はGK太田岳志がスーパーセーブ。

前半はサンガが苦しい時間帯になっても「動きの質と量」を両立させるようなゴールで先制して後半へ。

 

 

 

サンガは57分に福岡を下げてジョアン・ペドロ、マリノスは59分に天野を下げてエウベルを投入。後半はマリノスが攻め立てようとしてくる場面は多く、実際にチャンスに持ち込む場面も少なからずあったものの、リードしている余裕、順位表でこの位置にいる余裕があったのかサンガもセーフティーに戦えていました。CBを中央に留めてSBも無理にチャレンジせずに務めながら弾き出し、57分までは福岡、66分からは途中出場の武田将平を介したカウンターに上手く繋げていきます。

 

 

 

65分にはロペスがエリア内で粘って遠野が折り返し、最後はフリーのマテウスがシュートに持ち込みましたが川﨑がブロック。やはり前線のタレントのキャラクターには強いものを持つマリノスゆえにこじ開けてくるような場面はいくつかありましたが、そんな中でもGK太田が素晴らしいセーブをいくつか見せて失点を許しません。

そして67分。中央でボールを持ったペドロが自ら持ち上がってミドルシュート。相手DFに当たってディフレクションしたボールをGK飯倉大樹が弾ききれなかったところに怠らず詰めた奥川が押し込んでサンガ2点目!!

 

 

更に81分。左サイドで細かいパスを繋いでいたサンガはペドロが一気にギアチェンジ。松田とのワンツーから左サイドをブレイクして抉って折り返すと、ニアに走り込んだ奥川のスルーにファーに飛び込んだ福田が合わせて3点目!!!マリノス相手に痛快の3得点!!!

 

 

終盤はパトリック・ウィリアムと須貝英大の投入で3バックに変更して試合を収めたサンガ。

今季培ったチームとしてのバランス整理、看板3トップが誰もいなくても代わりに出た3人が動きの質を担保、そして名古屋戦で課題となった1点リードした後の振る舞い……一つ一つをクリアし、一つ一つを上回り、マリノス相手に3-0と完勝!!!

なお、マリノスはこれで6連敗かつ11戦未勝利となっています。

 

 

 

前半はちょっと難しいゲームになるかな…という感覚はありました。

サンガもボール保持の際の攻撃構築は上手くやっていたと思います。やっぱり今日は久しぶりに平戸-福岡-川﨑の中盤でスタートしたので、中盤の底での手綱を福岡がとってボールを動かしながら平戸がより決定的なパスを狙い、川﨑がスペースの隙間を埋めるように動いていく連動が取れていましたし、ボールを持った時のクオリティに優れた奥川、運動量豊富な松田、そしてストライカーとしてボールを引き出す、相手DFを釣り出す動きに長けた長沢の3人が上手く絡んだ攻撃ができていた。前半はどちらかと言えばサンガの方がボールを保持する時間帯が多かったと思いますが、その中でこれだけ攻撃のアクションを起こせるようになった事はチームとして進歩だったなかなと。

一方で前半のマリノスは、最近は若干「対サンガ」的な対策として使うチームが増えているようにそれに沿ったアプローチをしながらも、やっぱり前線だけでどうにかできてしまうクオリティは持つチームですから、右ならヤン・マテウスの単独突破、左から天野と遠野が創造性を発揮しつつ、ボックス内にはロペスと誰かが必ず詰める…と言った具合に攻撃のポイントを複数作る、ボールを持てた時に人数をかける…といった良い攻撃の循環は作れていました。オフサイドになったとはいえそれで一度はネットも揺らした訳ですし。だからこそ、ちょっとマリノスの猛威が増して押し下げられた時間帯に自陣からの前進で得点を取り切った価値は大きかったなと。

 

 

 

後半はすごくしたたかに戦えたと思います。

名古屋戦は内容が悪いゲームではなかったものの、オープンな展開で点を取った後にどうやって守り切るか…という部分に課題を残したゲームでした。そこで今日の試合は…今日は中盤のファーストチョイスで組めた影響もあるかもしれませんが、ペドロの投入で強度と運動量を担保しつつ、武田の投入でペースを調整するポイントを設けた上でペドロが自由に、節々の隙間を川﨑が埋めるシステムに持っていく事が出来ていました。特に奥川や後半から入ったムリロ・コスタ、或いはペドロもそうですが、彼らはボールを預ければある程度のところまで持ち運んでいける選手。前がかりになったマリノスに対して、サンガとしてはセーフティーに進めながら背後を狙う、背後に走るという意識を常にしっかり持てていたんじゃないかと思います。

 

 

町田戦も顕著でしたが、1点目の奥川の外に開く動きや一度潰れてから2度目の動き出しでゴールまで繋げた松田、2点目でギリギリまで詰めた奥川、3点目で迷わずにニアに突っ込んだ奥川とファーに突っ込んだ福田。彼らの動きの質と量は間違いなくこのチームがサンガタウンで植え付けたものですし、誰一人としてそれを怠らなかった。そこに加えて今季は鈴木や福岡、武田のプレーぶりが「どこでそのスプリントを発揮するのが一番効果的か?」というところを調整してくれる。極端なほどのスタイルで意識付けをしてからバランスを取り持っていくのは、チームの成長としてすごく正しい順番でしょう。サンガは時として、原-エリアス-マルコの3トップの個の力で勝っているんでしょ?と言われることが多いチームでしたが、この3人がそのまま欠場しても良いパフォーマンスと良い結果を出している。一部のタレントのパワーだけではなく、ちゃんとチームとして勝利に値するパフォーマンスが出せるチームになった…ここ数試合はそういう事を証明するゲームだったんじゃないでしょうか。

曺貴裁は元々「川崎やマリノスを倒せるようなチームになる」というところをスタートにしたチームでした。それこそ昇格1年目となった2022年辺りには、曺監督がそういうコメントを何度か残していたことをよく覚えています。マリノスの現状が大きく変わってしまったという側面はあるにしても、マリノス相手に日産スタジアムでこういう結果を残せるチームになった。そのことにただただ感動しています。

 

J1第17節分の順位表のコーナーは川崎フロンターレvsセレッソ大阪のマッチレビューページに記載しています

 

 

でも32周年まであと8ヶ月あります。

ではでは(´∀`)