RK-3はきだめスタジオブログ

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考えられる最高のシナリオ〜2025明治安田J1リーグ第18節 名古屋グランパス vs 浦和レッズ マッチレビュー&試合考察〜

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トヨタvs三菱!

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第18節、名古屋グランパス vs 浦和レッズの一戦です!

 

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5月も末に近づき、いよいよ夏が明けようとしている今日この頃、J1リーグもいよいよ折り返し地点です。

名古屋も浦和もその立ち上がりは芳しいシーズンではありませんでした。しかしながら、今の順位は対照的。浦和はスコルジャ監督の下で徹底的にソリッドなサッカーに務め、過密日程をも強いられた4月以降に喫した敗北は僅かに2つのみ。浦和にとっては今日を含めてあと3試合でクラブW杯に伴うリーグ離脱となり、それが終われば更に疲労を溜め込んだ状態での戦いが待っているので、チームの状態が良い今のうちに一つでも貯金を増やす必要がある立場と言えます。

対する名古屋は開幕当初からの不振をなかなか抜け出しきれていません。内容的には必ずしも美点のない試合を繰り返しているという訳ではないながらも、決め切るところを決め切れない、守り切るところを守り切れない…ある意味では長谷川健太らしくない状況が続いているとも言えるでしょう。後半戦に違う立場で戦いたいならば、もう落としてもいい勝点は1たりとも存在しません。伝統ある自動車会社をバックに持つ両チーム。オリジナル10対決の行く末や如何に。

両チームスタメンです。

 

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前節福岡戦では最後の最後で勝点を落とした名古屋は福岡戦からはスタメンを一人変更。山岸祐也は今日はベンチスタートとなり、ワントップには今季は負傷が多く出場自体が第10節G大阪戦以来となるキャスパー・ユンカーが今季初めて先発を飾っています。佐藤瑶大は昨季まで所属していた古巣との対戦となりました。

一方、過密日程の中で中2日での試合となった浦和は2-2で引き分けた水曜日の川崎戦からメンバーを7人変更。ここまで全試合に先発していたダニーロ・ボザと安居海渡もベンチスタートとなっており、第6節鹿島戦以来の出場となる井上黎生人が今季初スタメン。原口元気も第4節柏戦以来の先発抜擢となりました。

 

 

 

本日の会場は愛知県豊田市豊田スタジアムです。

埼玉スタジアムが今の日本代表のホームスタジアムなら、パナソニックスタジアム吹田と共に日本代表の第2〜3ホーム感のある豊田スタジアム。今日の試合では「JAPANカルチャー」をテーマとした施策が設けられており、場外ステージではBOYS AND MENなどの地元アイドルや愛知県の高校によるパフォーマンス、更には階段や鉄道模型の披露に加え、極め付けにはグランパスくんの書道まで披露されるという…。ちなみに名古屋vs浦和は昨年こそ浦和がシーズンダブルを達成しましたが、ホームとアウェイの相性が結構ハッキリしてるカードでもあったり。去年はダブルを達成した浦和はその流れを打破できるか。

ちなみに前回日本で行われた万博といえば愛・地球博ですが、豊スタからは名古屋駅に行くより近かったりします。

 

 

 

立ち上がりからお互いに一つずつ好機が訪れます。。浦和は4分、左サイドからマテウス・サヴィオが蹴ったCKに井上黎生人のヘディングシュートがネットを揺らすもオフサイド判定。一方の名古屋も6分には右サイドからのクロスを徳元悠平が落としたところに稲垣祥が走り込みますが相手守備陣がブロックして阻みます。

名古屋はその後もマテウスやユンカーがシュートチャンスを迎えると、堅守の浦和の前に跳ね返される形で得点には至らず。

 

 

 

とはいえ前半のリズムを掴んでいたのは名古屋の方でした。立ち上がりこそ浦和が前進するフェーズを作ることができたのでチャンスを作れていましたが、名古屋は一度6分の稲垣のシュートシーンでチャンスを作ってからは後ろから繋いでくる浦和に対してハイプレスを仕掛けながら浦和がアバウトに蹴り出してしまうような状況を誘発し、浦和が前線にボールを入れてくれば原輝綺と佐藤瑶大が絞って三國ケネディエブスが潰しに行って弾き、それをボランチが回収して攻撃に繋げる流れを徹底していました。

 

 

 

35分には徳元のアーリークロスマテウスが落としたところにユンカーがダイレクトで合わせようとしますがヒットせず。前半アディショナルタイムには三國のカットを稲垣が繋ぎ、キープしたユンカーのスルーパスに抜け出した和泉竜司が巧みなファーストタッチからネットを揺らしましたが今度はこちらがオフサイド判定でゴールは認められず。

名古屋は浦和のビルドアップ時のハイプレス、前線に長いボールを入れてきた時の3バックの役割分担とほぼ完璧に浦和に対するプレッシングを遂行してみせましたが、前半の時点で10本を超すシュート数も実らず0-0。浦和が凌ぎ切った形で後半へ。

 

 

 

浦和は後半から松本、原口、大久保を下げて安居海渡、渡邊凌磨、金子拓郎と3人を一気に投入にして形勢逆転を図ります。

後半最初のビッグチャンスも名古屋でした。左サイドでフリーでボールを持った徳元が絶妙なクロスボールを入れるとファーサイドに走り込んだ和泉がダイレクトボレー。しかしこれも枠を捉えられず。

しかし試合が動いたのは51分、中央でボールを持った長沼が右サイドに展開すると金子が持ち込んで左足でクロス。このボールに対して飛び込んだ渡邊が頭で合わせて浦和先制!前半は劣勢だった浦和が後半に投入した2人が得点機会を創造して得点をもぎ取り、一方ここまで攻め続けた名古屋としては考え得る最悪の展開に。

 

 

その後も名古屋は猛攻を仕掛けます。61分には徳元のCKをニアで和泉が合わせるもポストに当たり、こぼれ球に反応したユンカーも相手がブロック。直後には徳元のクロスにファーサイドの中山が頭で、66分には左サイドからパスを繋いで侵入し、和泉のクロスを上手く持ち出したまたしても中山が決定的なシュートを放つもどうにもこうにも決まらない1点目。

67分には名古屋はユンカーと和泉を下げて山岸祐也と永井謙佑、浦和もサヴィオを下げて関根貴大を投入。

 

 

 

その後も名古屋が一方的に押し込む展開となり、77分には中山の右からのクロスボールを山岸がフリックしたところに永井が反応しますが…またしてもオフサイドでゴールならず。

それでも名古屋は森島司と河面旺成を送り込んで83分、左サイドからのボールをファーサイドで稲垣が折り返して反応したのは原。この原に対する渡邊のタックルがファウルと判定されPKに!これを稲垣が冷静に仕留めてようやく名古屋がゴールゲット!試合は振り出しに。

 

 

その後も名古屋が一方的に押し込む展開となり、85分には左サイドで自陣から圧巻のスピードで翻した永井が決定的なチャンスを迎えますが、山岸へのパスコースを切ったホイブラーテンの好対応もあって得点には至りません。

それでもアディショナルタイム、右サイドからのロングボールを相手が弾いたこぼれ球を回収した永井が山岸に当てると、山岸はホイブラーテンを背負いながら見事なポストプレーで永井へリターン。さっきは決定機を逃した永井が今度は自分で決め切って遂に名古屋逆転!!攻撃陣が得点を取れていなかった名古屋。永井の今季初得点は最高峰のシチュエーションにて!!

 

 

福岡さんの記憶も多少過ぎる名古屋でしたが、アディショナルタイムもなんとか耐え切って試合終了!名古屋はこれで4試合ぶりの勝利にして5戦無敗。一方の浦和は他クラブより試合数が多い中で上位追撃に痛い黒星です。

 

 

 

終わってみれば名古屋にとって考え得る最高のゲームになったんじゃないでしょうか。試合の内容も、劇的逆転勝利という展開も、大入りのホームゲームでこの展開をやった事も、交代が当たった事や永井がようやく決めた事も、先制したら負けない浦和相手にひっくり返した事も。もしあのまま0-1で負けていれば内容の良さが反比例するように考え得る最悪のシナリオになったでしょうし、追いついたところで「よく追いついたゲーム」とは言えないような内容だっただけに、それをよく勝ちに繋げてきた。まさしく「最後に取った1点が全てを肯定してくれた」とでも言うべき試合だったように思います。

 

 

 

今日の名古屋は攻守においてよくデザインされていました。

攻撃面では、名古屋は例えばマテウス、永井、和泉で1トップ2シャドーを組むと流動的になりすぎる傾向がありましたが、今日はユンカーを起用した事でユンカーを最前線の中央で固定し、常に浦和の守備陣に対しての牽制のような効果を出せていた。もちろんシンプルにいつでも中央にユンカーがいるという状況も作れた事で和泉やマテウス流動性をちゃんと流動性として機能させられたところは凄く大きかったですし、そこに対して中山や徳元の幅を取る時とインサイドに入り込むバランス、機を見て3人目のストライカーとして出てくる稲垣の動きなど全てのパズルがハマったような動きを今日の名古屋は出来ていたと思いますし、ユンカーでやっていた中央に留まる、浦和守備陣を牽制する動きは途中から入った山岸も存分に務め上げていました。

守備に関しても、浦和のDF陣のビルドアップに対しては人とコースを切りに行くプレスをしっかりとかけてロングボールを誘発させつつ、いざロングボールが放り込まれた時には原と佐藤はやや絞る形で守る分三國が前に飛び出して潰しに行く役割分担ができていましたし、それを稲垣と椎橋が徹底して回収して両WBに展開する流れを構築していた事で名古屋のターンは回り続けた。特に後半は永井のカウンターにせよ山岸のポストプレーにせよWBの関与にしても、チャンスを創出できるポイントをいくつも作れていましたし、特に左サイドの打開とクロスを採算やり続けた徳元であったり、アーリークロスを入れるタイミングや自身がファーサイドのアタッカーとして入り込むタイミングの全てを正解させた中山の奮闘には目を見張るものがありましたね。センターの軸が定まった事でシャドーの流動性が効果的になり、WBのポジショニングや走るべきコースが順番に決まっていく。そういう良い循環がこの試合の名古屋にはあったのかなと。

 

 

 

浦和に関しても過密日程を強いられてターンオーバーなども敢行していく中で、分の悪い試合展開になった時の割り切ったブロックの組み方と、後半に渡邊、安居、金子の投入で攻撃時に名古屋のWB-ボランチ-CBの間の三角地帯を攻略できるような状況に持っていく事で先制点まで漕ぎ着けた後半の修正はソリッドな戦術をベースにどうやってチームを前進させるのか?という観点ですごく見応えがありました。特に渡邊はいよいよチームの状況を一人で変えれるような存在感を見せていましたし、前半の状況から後半の先制に繋げる設計は見事だったと思います。

一方で、今日の名古屋は一瞬の隙を突かれて先制点こそ許したものの、ユンカーや山岸で軸を作りそこにシャドーとWBがどう絡むかのデザイン、ボランチの関与、三國を飛び出させるための守備設計などゲームプランに隙が無かった、それもそれがこれまでやろうとした事の完成形と呼べる形を見せられたのが結局は全てだったのかなと。そういうゲームで浦和相手に、それも永井の初ゴールによる劇的勝利というのは名古屋にとっては「考えられる最高のシナリオ」だったと思いますし、逆に言えばこの勝利が連勝の糸口にならないと名古屋は反撃の起爆剤となるきっかけを失う事になる訳で、今日のようなゲームが出来たからこそ"次"を問われるんじゃないでしょうか。

 

 

愛・地球博は行きそびれてんだな俺

ではでは(´∀`)