RK-3はきだめスタジオブログ

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エアポケットを貫く〜2026年北中米W杯アジア最終予選グループC第9戦 オーストラリア代表 vs 日本代表 マッチレビュー&試合考察〜

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オーストラリア館良かった

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューFIFAワールドカップ2026アジア最終予選 グループC第9戦、オーストラリア代表 vs 日本代表の一戦です!

 

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3月のバーレーン戦で2026年W杯出場を決めた日本代表。ここからは来る2026年6月に向けてチームとして、あるいは個人としての物事が問われる季節に入ります。

とはいえ、いよいよW杯まで半年を切り出すとチームとしての取り組みはよりチームビルディングの方に重点が置かれる事でしょう。つまり今回は消化試合となった事で多く呼ばれた新顔にとっては、日本代表がワールドカップ仕様のチューニングに突入する前にそこに入り込める人間であることを示さなければならない。その余地となるのはこの6月と来月のE-1選手権、そして9月ぐらいまででしょう。

かつて浅野拓磨はそういう立ち位置に対して「これは選手個人にとっての予選だ」という言葉を残しました。その言葉と同じような感覚を今日のピッチに立っている選手は持っているはずですし、持たないものに次と来年を語る資格はない。対戦相手のオーストラリアはサウジアラビアの結果次第では今日決められるかもしれない。でも余裕綽々の日本に負ければW杯を逃す可能性さえ残してしまう。相手は死活問題……相手が見せてくる死に物狂いの姿勢、先を見る日本のその決意はどこまでプレーで、結果でどこまで見せてくれる事でしょうか。

両チームスタメンです。

 

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第1戦の中国戦からW杯出場を決めた第7節バーレーン戦までほぼ同じスタメンを採用した日本は前節サウジアラビア戦でも3月のメンバーの中でスタメンを入れ替えましたが、今回はメンバー自体を初招集選手や久々の代表復帰となる選手を中心に大きく変更してきた事でフレッシュなスタメンになっています。今日のスタメンのうち、ここまで予選で先発経験があるのは町田浩樹と鎌田大地のみで、最終予選に出場した選手も渡辺剛と大橋祐紀のみ。平河悠と俵積田晃太は代表デビュー。谷晃生もE-1選手権を除けば初の先発です。

 

 

 

本日の会場はオーストラリア、パースのパース・スタジアムです。

オーストラリアでは3番目の規模を誇るスタジアムで、サッカーではパース・グローリーFCが観客動員を多く見込める試合でのみ使用。オーストラリア代表にとっては最終予選のホーム最終戦となりましたがオーストラリアはホーム5試合でそれぞれ異なるスタジアムを使用しており、2次予選を含めた9試合でもメルボルン・レクダンギュラー・スタジアムが2試合開催した以外は全て異なるスタジアム。日本代表もオーストラリアと同組になったのは5大会連続となりましたが全て異なる会場でアウェイゲームを戦いました。

オーストラリアのスタジアムの多くはクリケットラグビーとの兼用を前提に造られ、特にクリケットでの使用を念頭に造られている事もあり、会場全体が楕円形になっている会場が多いのはオーストラリアのスタジアムあるあるでしょうか。ちなみに洋楽アーティストのオーストラリア公演の会場になる事も多く、エド・シーラン、QUEEN+アダム・ランバートレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、コールドプレイなどのコンサートが行われています。

 

 

 

立ち上がりから明確に日本がボールを握りながら高いラインをキープしようと試みていた事で圧倒的なポゼッション率を前半から維持する展開になっていきました。基本的に日本は3バックやボランチのところでボールを動かしていける状況を作りながら、WBをワイドにプレーさせつつ2シャドーの鎌田と鈴木のところをやや3-4-1-2的にしながら打開を試みていきます。

しかしオーストラリアは日本に対して、日本が明確にボールロストをした時以外はほとんどプレスには出てこず、自陣でブロックを組みながら隊列を維持した前後移動で陣形をキープするように守備を展開。日本もチームとして大きなミスはしなかった事で不利な展開にこそなりませんでしたが、ホームでの対戦時同様に「前半は0-0でOK」の姿勢を明確に打ち出していました。

 

 

 

しかし前半も時間が経過してくると、日本がボールを持ったオーストラリアが構えてくる状況からジリジリとオーストラリアも前へと移動させてくるようになり、静かなペースで動いていた試合は少しずつ縦への流れが生まれ始めます。

とはいえオーストラリアもリスクを負ってまで攻撃姿勢を見せてきた訳ではなかったですし、日本も少し焦れたのかボールを失う場面は少し増えながらもそこからの守備へのポジション修正はスムーズに行っていた事で大きなピンチには至らず。逆に攻撃面では鎌田がミドルゾーンに降りてきてポストプレー的な捌き方をするようになった事で噛み合っていた陣形に角度がつくようになった事でシュートを打てるスペースは少しずつ生まれていきました。その中で鎌田や平河に惜しいシーンはあったものの得点には至らず。前半は0-0で終了。

 

 

オーストラリアは後半からティーゲとボイルを下げてヤズベクとマクグリーを投入。対する日本も町田浩樹を下げて瀬古歩夢を投入して後半に突入します。

後半は立ち上がりにGK谷のキックミスからあわや決定機という場面を作られた一方、直後には俵積田のドリブル突破から好機を創出。ただお互いにそれを決定的なチャンスにまでは繋げ切れません。ただ後半立ち上がりは少しオープンな展開になりかける時間がありましたが、55分頃までのアップダウンのある時間を超えるとそこからは前半同様に日本がボールを動かし、オーストラリアが構える試合展開へと戻っていきました。

 

 

 

日本は64分に佐野と俵積田を下げて久保建英と中村敬斗を投入して鎌田をボランチにシフト。70分には大橋と負傷した渡辺を下げて町野修斗と高井幸大を送り込みます。対するオーストラリアも68分にデュークとゲリアという現役Jリーガー2人を投入。試合が終盤に差し掛かるとオーストラリアが少しずつ前線へのアクションを起こすようになってきた一方、日本も前線からのハイプレスを仕掛けていくような余地は生まれるようになっていきました。

80分には左寄りのところからボールを持った久保が細かいステップワークから右足を振り抜くも…シュートは僅かに枠の右へ。

 

 

 

しかしアディショナルタイムでした。

ほぼワンチャンスに懸けてプレーしてきたオーストラリアは右サイドの高い位置までボールを持ち運ぶと、ゲリアがインサイドに差し込んだパスを受けたマクグリーが右サイドのポケットを抉るドリブル突破。マイナスに折り返したボールの先には日本の選手もオーストラリアの選手も入っていませんでしたが、ルーズボールと化したそのボールに先に追いついたのはベヒッチ。久保のカバーはあと一歩間に合わず、オーストラリアが土壇場で待望の先制点。

 

 

試合はそのまま試合終了。劇的な決勝ゴールをこれしかないと言わんばかりの勝ち筋で取り切ったオーストラリアは、この後行われるサウジアラビアの結果次第でW杯出場が決まる王手状態に。日本は2026年W杯に向けた予選で初の黒星となりました。

 

 

 

あくまでこの試合は日本代表としての云々というよりもセレクション的な意味合いが強かったゲームではあったと思います。特にパリ五輪世代を中心に若い選手も多かったので、彼らがW杯出場が決まるかどうかの死に物狂いかつ血眼で戦いに挑んでくるオーストラリアとの対戦経験を積めた事は経験としては良かった。ですし、チームとして一定のパフォーマンスは出せていたとは思いますが、個々のアピールという意味合いでも新たなケミストリーという意味合いでも消化不良のゲームではありましたね。

大前提にオーストラリアは0-0の時間をなるべく長くし、特に前半はより顕著にそれを徹底してきました。後半に関しても立ち上がりこそ動きがあったので少しスタンスが変わったかな…と思う瞬間はありましたけど、ファーストプレーで仕掛けて相手にボールが渡ろうものなら撤退しようという共通認識はある程度できていたと思います。その中で前半の日本が見せていたように、相手が出てこないというスタンスに合わせて焦れずにボールを動かそうとしていた日本のスタンスは良かったと思うんですが、同時にそれ以上を提示できなかった事もまた確かではありました。基本的には試合を通してそういう状況がずっと続きましたし、オーストラリアとしてはそういう噛み合った状況から、お互いに選手交代を繰り出しながらその噛み合いに少しずつズレが生じる、そのエアポケットのような瞬間をどちらが取れるか…という勝負に全てを賭けてきたんでしょう。そういう局面での集中力に於いては今日のオーストラリアに今日の日本が勝ち切るのは相当厳しかったと思います。

 

 

 

その中で森保監督がちょっと読み違えてしまった部分はあったのかなと。意図はわかるので、それを采配ミス…とは言いたくないところはありますが。

おそらく鎌田を途中からボランチで起用するという事は森保監督の中でやっておきたいテストだったと思いますし、どこかしらの時間でボランチのどちらかを下げて久保を入れて鎌田をボランチに下げる…という交代策はスコアを問わず予定通りだったと思います。問題はその時に佐野を下げるのか藤田を下げるのかというところで、おそらく森保監督としてはこの試合はあまりミドルゾーンでバトルするような展開にはならず、この状況のままオーストラリアが縦の深さ、横の幅を用いたカウンターを狙うようなやり方をしてくる…と踏んで、それなら日本はボランチで配球役を2つ確保し、ボランチを基点にボールを動かしながら、カウンターの糸口となるボールロストが起こるリスクを軽減させようと考えたことにより佐野を下げて藤田を残したんじゃないかなと。あの試合状況の中でその判断に至ったと考えるとそれは決して間違った判断だとは思いません。

ただ結果として、あそこから彼らはミドルゾーンから勝負を挑むようになってきましたし、そこでボランチが釣り出されてしまう事で前半はフォーメーションをしっかりと組めていたポジショニングが崩れて全体としてのバランスが整わなくなってしまった。おそらくいつものメンバーであればある程度慣れもあるので、多少のズレならそれが自然と修復できる部分もあるんでしょうが、今日はほぼ即席メンバーでもあるのでそう上手くはいかなかったと。そこは森保監督が、采配ミスとは言わないまでも読み違えた部分ではあったのかなと。

 

 

オーストラリア館のミートパイおいしかった

ではでは(´∀`)