RK-3はきだめスタジオブログ

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余裕とリスクの狭間にて〜2026年北中米W杯アジア最終予選グループC第8戦 日本代表 vs サウジアラビア代表 マッチレビュー&試合考察〜

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アメリカに行きたいかー!!!!

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューFIFAワールドカップ2026アジア最終予選 グループC第8戦、日本代表 vs サウジアラビア代表の一戦です!

 

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前節のバーレーン戦、ここまで順調にきた最終予選の中で最も苦戦したと言えるような前半戦になりましたが、それでも前半の流れから後半に選手交代を通じて盛り返していく姿は森保ジャパンの王道を示すような試合展開だったと思います。そういう試合でW杯出場権を掴む…決して当たり前ではない当たり前を繋ぎ止めた勝利がそういう形だった事は、心なしかカタルシスすら感じるものでした。

 

 

とはいえ予選は予選です。W杯出場を「当たり前」として過小評価したくはありませんが、同時に予選通過がこのチームの目標ではない。森保監督にしても、そのチーム造りは予選突破ではなくW杯から逆算して組み立てている事でしょう。あくまで予選は第一段階の突破に過ぎない…日本代表とはそういうフェーズに入ったんです。

選手達にとっては、チームがW杯の予選を突破する事と個人がW杯の挑戦権を得る事は決してイコールではないし、チームとしては「対アジア」「対欧州」「対南米」…アジアの強豪と呼ばれる国は複数の顔を持ち合わせて、使い分けないといけない。その手数を増やしてクオリティを高める作業がここからの日本代表に求められています。プレッシャーを背負う局面からは少しスッキリしたこの局面で、日本代表がどういう姿勢を示すのか、この試合をFIFAランクの得点以上に意味のあるゲームに如何にできるのか、ある程度は余裕を手にした立場の日本が死に物狂いで迫り来るサウジアラビアに何を見せられるか。矜持と真価が問われるゲームです。

両チームスタメンです。

 

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日本はバーレーン戦からは先発を6名変更。バーレーン戦に先発した守田英正と上田綺世は負傷を理由に既にチームを離脱しており、三笘薫もコンディション不良によりメンバー外。そのポジションにはそれぞれ田中碧、前田大然、中村敬斗を器用し、シャドーは今日は久保建英と鎌田大地の組み合わせで試合に入ります。右WBの菅原由勢と右CBの高井幸大は共に最終予選では初の先発。特に高井は今回の最終予選でJリーガーが先発するのは初めてとなり、Jリーガーの先発は2次予選シリア戦の大迫敬介以来、フィールドプレーヤーならアジアカップ準々決勝イラン戦の毎熊晟矢以来となります。古橋亨梧、関根大輝、藤田穣瑠チマはいずれもベンチ入りを果たしており、負傷の影響がある長友佑都以外は全員2試合のどちらかでベンチメンバーに名を連ねる形になりました。

 

 

 

本日の会場は埼玉県さいたま市埼玉スタジアム2002です。

ホーム2連戦の2戦目。来場者には選手入場時の演出に風船のように使用する特製ポリ袋とキリンからのハチマキが配布。また、試合前にはスタジアムの照明を落とし、レーザー照明での壮大な演出が実施予定となっています。この試合ではスタジアム内限定でイヤホンから楽しめる実況・解説サービスを展開。解説は元日本代表の森脇良太氏が担当します。

浦和レッズの本拠地にして、日本代表の舞台であるこのスタジアム。最終予選では固定のホームスタジアムとして定着しており、今大会も最終予選は全試合埼スタで行われましたが、最終戦パナソニックスタジアム吹田での開催が発表されているので今年の埼スタ開催はこれが最後となる予定です。

 

 

 

サウジアラビアが立ち上がりはセーフティーなスタンスで入ってきた影響もあるのか、立ち上がりから両WBが高い位置かつワイドに張る形でポジションを取り、日本が高いラインを設定してボールを動かせる展開が続いていました。それもあって序盤から左サイドの中村が積極的に縦に突破を仕掛けるなど打開しにいくアプローチが多く見られた中、10分には高井の縦パスを受けた田中のスルーパスに巧く抜け出した前田が強烈なシュートを放ちますがクロスバー直撃。

 

 

日本はその後も高いボール支配率を持った上で、サウジがビルドアップを試みた時には前田をスタート地点に果敢なハイプレスを行いショートカウンター気味の決定機もいくつか作っていきます。27分にはリトリートの隊列を組むサウジ相手に久保がミドルを放つなど可能性のある場面はちらほら。

一方のサウジは5バックでブロックを固めながら日本のミスを狙って突く、ボールを持った際にはロングボールを放り込んで競り合わせたボールを拾うところから攻撃を開始する日本が苦手な形の攻撃を実行。若干苦しめられる場面もいくつか出てきながらも、肝となるようなエリアはしっかりと締めながら乗り切って行きます。

 

 

 

高い位置でプレーできる状態をキープしながら、両WBで幅を取りつつ緩急を使い分けたボールの動かし方をしていきたい日本。まずは引いてブロックを組みながらシンプルなロングボールに活路を見出していくサウジアラビア。おそらくお互いの目論む試合展開からはさほど外れていないだろうな…という内容で前半は0-0で終了。

 

 

サウジは後半からアルシャンキーティを下げてマジュラシを投入。前半は中村がデュエルで圧勝していてこともあり、右WBを入れ替える形で後半に挑みます。

基本的な形は後半も変わらずに進んでいましたが、サウジも前半と比べると、特に両サイドはもう少し前で封じようとする意図を見せてきた為、日本もそれに対してアーリークロスも用いながら、前田を積極的に裏に走らせるなど前半と比べて背後へのアクションをより増やすようになっていきました。

 

 

 

日本は62分に菅原と久保を下げて伊東純也と堂安律を投入。最近は右WBで先発堂安→後半から伊東という流れが多いですが、今日は右WB伊東の前にシャドーで堂安を置いて共存させる形に。74分には前田と遠藤を下げて古橋亨梧と旗手怜央を投入し、旗手をシャドーに起用して鎌田をボランチに置く形で反撃を狙います。

しかし攻撃の流動性は前半よりも押し出し、サウジの反撃機会を与えないゲーム展開で推移しながらも、日本もアタッキングサードの攻略にはあと一歩足りずに好機の割には決定機まで結びつかない展開に。82分には高い位置でゆっくりとボールを動かしながら、堂安がインに入って空いたスペースに走り込んだ伊東を鎌田が見逃さずスルーパス。しかし伊東のシュートは僅かにGKがセーブ。

 

 

 

85分には鎌田を下げて南野拓実の突入で旗手と田中のWボランチを組む形でアタッカーを増やして1点を狙いに行きます。

しかし最後はゴール前をガチガチに固めたサウジのブロックを崩し切るには至らず試合終了。90分を通して押し込んだ日本でしたが試合はスコアレスドロー。無敗は継続しましたが連勝はストップしました。

 

 

 

前半に関してはお互いの思惑が噛み合った0-0だった印象があります。日本は高い位置に最終ラインを置いてそこからボールを動かす、WBを張らせながら2シャドーとCFがインサイドのスペースに入れるような状況を作るという流れにハイプレスを組み合わせるようにしながら押し込むことを目論み、一方のサウジは5バックで守りを固めながらロングボール主体。シンプルな形ではありましたが、日本の3バックと競り合ったこぼれ球を回収してアタッキングサードに持っていくまでのビジョンは持っていました。まあ、アジアカップ後くらいに「日本対策」みたいな形でちょっと流行り出した形に近いやつでしょうか。

そこでお互いに守備面で最後のところは護持した事で、前半は7本が押し込みつつも「ゲームプラン通りに試合が進んだかどうか?」という観点ではイーブンに近い、両者ともある程度狙い通りの内容になったゲームにではあったと思います。日本も決定機はいくつかありましたし。

 

 

しかし後半になってくると、サウジは5バックというよりは3バックの形に変えてきた印象はあったんですよね。後半のサウジは両WBが日本の両WBを前半よりは高い位置で抑えようとする意思があった。例えばサウジは明確に右サイドの選手を交代してきましたが、そこに対峙する中村が前半は左サイドを抉るようにプレーできていたにも関わらず、後半はミドルゾーンに到達したぐらいのタイミングでパスやアーリークロスを狙うようになったのはサウジ側からすれば一つの効果だったと言えるでしょう。

ただ、サイドのデュエル以外では後半のサウジは徹底的に中央を固めてきて、いわゆる「0-0でOK」の姿勢を明確に打ち出してきた…おそらくハーフタイムが終わった時点では必ずしもそういう狙いではなかったと思うんですけど、一方でハーフタイムの時点でその方向にシフトする可能性は示唆はしていたんじゃないかとは思います。そしてそのプランBを後半の早い段階から発動してきた。日本の両WBをなるべく低い位置に留めながら、バイタルエリアで日本が停滞するような形にしておく…という守備の流れは作ってきた。勝点的にも果たしてサウジがあの段階からあのスタンスでやるべきだったのか?というところはわかりませんが、サウジぐらいの実力国にあれをやられるとそう簡単には崩せないですし、それをやり切ったことはちゃんとチームの意思統一が図れていた表れではあるのでしょう。

 

 

日本からすれば、サウジのスタンスに加えて「基本的に日本は無理をする立場ではない」という事がかえって話を難しくしていたようには感じました。前述のサウジのサイド守備に対しての対応は、例えば日本がどうしても点が欲しい状況なら中村もリスクを承知で勝負しても面白かったんですけど、もし引っ掛けられたらそれが直接カウンターに繋がることは容易に想像できた。ましてや相手はサウジですし、そのカウンターはおそらく成立させてくる。サウジとしてはWBのところで引っ掛けられるかどうか、出来たらカウンター、出来なければ引き分けOKスタンスだったと想像できる以上、この試合で日本がそこまでのリスクを取る必要はない訳ですし、あのサウジを相手にすれば無茶さえしなければ勝点0になる事はない状況でした。無茶とリスクのバランスという観点で、サイドからのアプローチが横パスかアーリークロス主体になった事はある程度仕方なかったのかなと。ただ相手に引き込まれた事で古橋が背後を狙うような持ち味を発揮するスペースもありませんでしたし、旗手や鎌田がそこにスルーパスを通す事も難しかった。なかなか縦の軸で攻略する事に無理のあるゲームになってしまったところはあります。

 

 

 

ただ日本も選手交代を通じて工夫は見せていたと思います。例えば82分の伊東の決定機は一つのヒントになるような場面でした。バイタルエリアでゆっくりとボールを動かしながら、堂安がインサイドに動いてスペースを空ける、そこに鎌田がパスを出して伊東が走り込む…この動作をゆっくりとしたパス交換から堂安の動きをスイッチに鎌田と伊東が即座に呼応した。この緩急をつけた横への揺さぶりと縦パスの差し込み方は横への揺さぶりを含めて一つのヒントとして良いシーンでした。希望としてはこういうシーンを後半はもっと増やしていければ、或いはここで仕留めきる事ができていれば…という部分でしたね。高井のパフォーマンスであったり、なかなかボールはこなかったけど何度もめげずに背後へのアクションを起こして菅原であったり、見るべきものは色々ありましたし。

森保ジャパンは手数を増やし、それを使い分ける事で活路を見出していくチームですから、ここからはそれが現メンバーで異なる解釈の戦術アプローチなのか、新しいタレントを加えるのか…というところで新たな選択肢を持っておきたい。残りの1年3ヶ月でどれだけ使える手数を持ち合わせるのか。それが大事になってきます。そういう意味ではこの前のバーレーン戦は良いテストでしたし、今日のサウジアラビア戦は改めて考える事があるなあと思わされるゲームでした。とはいえ、決してネガティブなゲームではありませんでしたし、この2連戦で押さえるべきところはしっかり押さえた。評価ポイントも課題ポイントもそれらは全てW杯に向けてこぼれ落ちたサンプルで、森保監督はそれらを集めて形にする手腕には長けた人ですから、第一段階を超えた後の本仕事でどのようなマネジメントを見せてくれるのか。残りの準備に大いに期待したいところです。

 

 

アメリカ行きてえなあ

ではでは(´∀`)