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サガン鳥栖経営危機……そもそもサガン鳥栖とはどういうクラブだったのかという事と今回の件に至るまでのざっくりした経緯。

結局東京オリンピックは出来るのかしら…

 

どーもこんばんは

 

なにもここにピンポイントで合わせて来なくても…。

 

 

 

さてさて、3月19日はJリーグ村井満チェアマンが「2020年は降格チームをなしにする」旨を発表した事で話題になりましたが、同時にもう一つ大きな話題が上がりました。

 

 

 

サガン鳥栖、経営危機。

 

 

 

19日朝、日刊スポーツがサガン鳥栖の経営危機を報じました。

 

www.nikkansports.com

 

記事によると、鳥栖の運営会社であるサガン・ドリームスの竹原稔社長が私財を注ぎ込むなどしてここ数年で積極投資を行った鳥栖でしたが、相次ぐ大口スポンサーの撤退やそれに代わるスポンサーを見つけられなかった事が影響してJリーグに対し緊急事態を報告したとの事。Jリーグとしては「リーグ戦安定開催融資制度」の適用なども検討していますが、今季は新型コロナウィルスの影響でクラブ経営に大きな支障をきたしているチームが少なくなく、鳥栖をどうしていくかは未だ未定…との事でした(『リーグ戦安定開催融資制度』って何?」っていう感じのブログは後日…近いうちに書きます)

 

 

お昼頃には竹原社長がクラブの存続危機という報道を否定した事が西日本スポーツによって報じられました。

 

www.nishinippon.co.jp

 

鳥栖としては資金がショートする恐れやリーグ戦安定開催融資制度を申請するプランも現時点ではとりあえず無く、選手やスタッフへの給与も滞りなく支払われている状態との事。チームに対しては19日の練習前に社長が今回の経緯と状況について選手らに説明し、不安にならないよう呼びかけたそうです。

現状、鳥栖の経営状態が日刊スポーツの報じるように存続危機レベルなのか、それとも竹原社長が言ったようにそこまでのレベルまでは到達していないのかはわかりません。ただ、実際問題として鳥栖の経営状態がかなり厳しくなっているのは事実です。

本日のブログでは今回の報道に至るまでの鳥栖の過程について書いていきます。

 

今回の事態に陥った原因などについてはこちらのブログに記しております↓

 

 

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近年はずっとJ1にいたり代表選手もちょこちょこいたりフェルナンド・トーレスの獲得にも成功したり…ってところでイメージが薄くなっていますが、そもそもサガン鳥栖というチームは昔からずーーーっと経営難を叫んできたチームでした。むしろ、J1でもそれなりの戦力を揃えて定着し続けていたここ数年がクラブ歴史の中では特殊な期間と言えます。

サガン鳥栖というチームは元々、1998年に解散した前身の鳥栖フューチャーズというチームを引き継ぐ形で株式会社サガン鳥栖を発足させて1999年に「J2オリジナル10」の一員としてJリーグ加盟が決まりました。しかし当時から明らかに予算不足で、加えて2002年から就任した古賀照子社長の下で更に混迷を極めて2004年には破産寸前まで陥ります。古賀社長の下でのアレコレは書き始めるとむしろそっちがメインになってしまうくらい長くなるのでここでは省きますが……。

 

…で、問題だらけというより問題しかなかった古賀体制の株式会社サガン鳥栖から運命体系を一刷し、2005年1月に新たな運営会社として設立したのが現在の「株式会社サガン・ドリームス」でした。

これにより経営問題は解決しましたが、親会社を持たない地方クラブである以上予算規模に限界はある訳です。その為、鳥栖の補強は長らく特別指定選手を含めた新卒選手」「他チームで出場機会を失っていた選手」が殆どを占めていて、そんな選手達をハードなトレーニングなどで主力や代表クラスに成長させる…というような。例えば前者ならMF高橋義希、FW藤田祥史、MF藤田直之、MFキム・ミヌ、MF福田晃斗、DFキム・ミンヒョクなど。後者ならFW新居辰基、FWハーフナー・マイク、FW豊田陽平、MF水沼宏太、GK林彰洋辺りが代表例でしょうか。

実際にそれは地方クラブとしてのモデルケースの一つでもあり、上で挙げた選手ならJ2時代に在籍していた藤田祥史や新居はJ1へのステップアップを勝ち取り、藤田直之キム・ミヌ、豊田らは鳥栖の選手としてA代表にも選ばれています。このような選手をうまく活用する事で鳥栖のチーム成績を上がっていき、2011年にはユン・ジョンファン監督の下でJ2で2位に入ってJ1への挑戦権を得ました。J1に入っても資金が激増した訳では無かった為、補強方針はこれまでのスタイルを踏襲せざるを得ませんでしたが、クラブとしてのパターンがシステムとして確立されていた事もあって2012年には降格予想大本命ながら5位でフィニッシュを果たすなど大健闘を見せ、翌2013年もJ1残留に成功しました。

 

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ただ、鳥栖のとしての限界が見えたのが2014年でした。

ユン・ジョンファン監督体制4年目を迎えたチームは他チームで出場機会を減らしていた安田理大谷口博之らを獲得。韓国から大卒ルーキーとして入団させたキム・ミンヒョクもレギュラーに定着して躍進を遂げて優勝を争いを繰り広げます。しかし第18節で首位に立ったにも関わらずその週にユン・ジョンファン監督との契約解除を発表。首位チームの監督解任という異例の人事は「方向性の違い」的な事が発表されましたが、一説によるとこれは鳥栖の経営体力的には経営的な問題で、仮に優勝を果たしたり上位フィニッシュすればそれに貢献した選手には必然的にボーナスや給料アップを保証しなければならなくなり、クラブの体力としてそれは困難を極めるから来季は主力を大量放出しなければならないかもしれない、その点でユン監督と意見が合わずに解任に繋がった…とも言われています。要するに、これ以上予算を増やさないクラブ側と、今、目の前に訪れた強豪になれるチャンスを逃したくない現場のズレが生じた…と。この説が正しかった場合、この2014年の件は当時の鳥栖の限界を物語る決定的な出来事だったと言えます。

 

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大きな転機が訪れたのは2015年7月でした。大手IT企業である「Cygames」が、社長の渡邊耕一氏が佐賀県出身という縁もあってスポンサー契約を鳥栖と締結します。ここに2011年5月から社長に就いていた竹原社長の積極的なクラブ強化策が絡んだ事で投入する予算は一気に増えていきました。

2016年には新監督にかつてバイエルン・ミュンヘンVfLヴォルフスブルクブンデスリーガ優勝を経験したフェリックス・マガト監督の招聘を試みます。最終的にこれは実現しませんでしたが、前年にFC東京を4位に導いたマッシモ・フィッカデンティ監督の招聘に成功。年俸的な意味ではフィッカデンティ監督はユン監督や前任の森下仁志監督と比べても相当高いものだったと思います。これまでの鳥栖は外国人選手も大卒ルーキーや他クラブで出場機会を無くしていた安価で獲得出来る韓国人選手が大半でしたが、活躍出来なかったとはいえシーズン途中には代表経験を持つ選手を獲得し、実現はしなかったものの11月には来シーズンに向けて元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンの獲得に動くなど明らかに鳥栖の方針はここから変わっていきました。クラブとしてもある程度J1に定着出来るようになった事で、Cygamesという大口スポンサーがついた時点でクラブとしての脱皮を試みるのは自然な流れでしょう。実際に2017年には日本代表GK権田修一を筆頭に原川力小野裕二、元コロンビア代表のビクトル・イバルボ、韓国代表のチョン・スンヒョンなど大型補強を敢行しました。

そして2018年、開幕前に高橋祐治高橋秀人の獲得に成功すると、夏に元スペイン代表フェルナンド・トーレスを獲得。更にヨルダン代表のジョアン・オマリ、鹿島から金崎夢生立て続けに高額選手をチームに迎え入れると人件費は一気に増加。それもこれも竹原社長の積極的な投資と言えば聞こえはいいですが、結局のところCygamesありきの計画だった事は言うまでもありません。

 

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しかし2019年1月に頼みの綱だったCygamesがスポンサーから撤退を発表します。

Cygamesありきの人件費増加は当然ながらCygamesが撤退した事で経営を圧迫していく事態に繋がります。加えて2018年のフィッカデンティ監督解任と2019年のルイス・カレーラス監督解任に伴う違約金の発生も重なった事で膨らんだ支出は夏にトーレスが引退しても劇的に減る事はありませんでした。結局、そのオフではイサック・クエンカ、小野裕二高橋祐治、三丸拡など主力の大量放出を余儀なくされる結果に繋がり、更に追い討ちをかけたのが胸スポンサーのDHCの撤退でした。Cygames撤退から暗雲が立ち込めた鳥栖の経営に、DHCの撤退と今回の新型コロナウィルスによる影響がトドメを刺して今回の報道に繋がったと言えるでしょうか…。

 

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経緯としてはこんな感じです。

挙句DHCの後に胸スポンサーを務めてくれる企業も見つからず、現在はとりあえず暫定措置として佐賀新聞が胸スポンサーを務めていますが…。鳥栖の人件費が一気に膨らんだ事、竹原社長のクラブ強化方針がそういう方向である事、それらがCygamesありきの計画である事……Cygamesが撤退した時点で、今回のような事態になることは遅かれ早かれわかっていた部分は見ている側にもあったと思います。というより、今オフのスポンサー問題と大量流出を見ている訳で……これからどうなるのでしょうか…。

 

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不安事の多い…

ではでは(´∀`)