オーナークラブの利点と難点…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第4節、ヴィッセル神戸vs鹿島アントラーズの一戦です。
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昨夏は3位まで上り詰め、今季は満を持してリーグ及びACLでの優勝を目論んでシーズンに突入した神戸。しかしその道のりは非常に険しいものとなっています。開幕戦で名古屋に完敗したところから始まり、5試合を消化して3分2敗。未だに未勝利という現実に直面し、チームとしていきなり正念場を迎えています。三浦淳寛監督の進退も囁かれ始めていますが、その動向の如何を問わず、まず重要なのはとりあえず一つ勝つ事。上位争いに希望を残すか、今季の目標の下方修正を強いられるか。そこを分ける一戦と言ってもいいでしょう。
対する鹿島はレネ・ヴァイラー監督が合流出来ていない状況で、岩政大樹コーチが代行監督として3試合で2勝1敗とまずまずのスタートを切っています。ヴァイラー監督は次節湘南戦から指揮を執る事が決まっているので、公式戦で言えば2試合ありますが、岩政体制のリーグ戦は今日がラストです。東日本大地震から11年となる今日、特別な想いを持つ両者による金Jとなりました。
両チームスタメンです。
神戸は前節広島戦からメンバーを3人変更。ミッドウィークにはACLプレーオフのメルボルン・ビクトリー戦がある事を考慮してか、アンドレス・イニエスタとセルジ・サンペールはベンチスタートとなり、中盤の底には扇原貴宏トップ下には中坂勇哉が入る形になっています。
対する鹿島は4バックのうち3枚を変更してきました。常本佳吾が右SBのスタメンに復帰した他、ここまでの3試合は関川郁万とキム・ミンテがCBでスタメン起用されていましたが、今日は前節柏戦ではボランチ起用だった三竿健斗と今季初出場となるブエノのコンビでスタートします。
尚、古巣対決としても大きな注目を集めていた大迫勇也に関しては昨年の対戦同様に欠場という事になりました。
本日の会場は兵庫県神戸市、ノエビアスタジアム神戸です。
2002年日韓W杯、2019年ラグビーW杯などの国際大会に加え、2021〜2022年に相次いでプロリーグが開幕した女子サッカーとラグビーにおいてもINAC神戸レオネッサやコベルコ神戸スティーラーズも本拠地として使用するなど稼働率がなかなか高いスタジアム。楽天の傘下にあるヴィッセルのホームゲームに於いては、楽天モバイルユーザー限定の抽選会や先行入場レーンも用意されています。
本日はフライデーナイトJリーグとして行われるのと同時に「Regain MATCH」として行われ、RegainブースでRegainの申し込みを行った観客にはオリジナルタオルプレゼント等の特典があるとの事。試合前には男性5人組ユニット「One-X」によるパフォーマンスも行われます。また、試合前には両チームの先発選手がウクライナ国旗が描かれたTシャツを着用して入場しました。
本日は現地観戦!観戦日記は後日更新します。
第1節でサンガS、第2節でヨドコウ、第3節でパナスタ、第4節でノエスタ……ワイ、魔法陣完成。
第1節→サンガスタジアム by Kyocera
— R (@blueblack_gblue) 2022年3月11日
第2節→ヨドコウ桜スタジアム
第3節→パナソニックスタジアム吹田
第4節→ノエビアスタジアム神戸
ワイ、奇跡の関西スタジアム魔法陣を完成。 pic.twitter.com/OnK5EjqkAM
試合は開始早々、いきなり動きました。7分、上田綺世のシュートはGK飯倉大樹が防いだものの、そのプレーで得たCKの流れから常本がクロスを入れ、ブエノが頭で折り返したボールを三竿が押し込んで鹿島が先制。前節から4バックの3/4を変更した鹿島ですが、その3人が絡むゴールで得点を奪います。
大迫と武藤嘉紀を欠く神戸は序盤はサンペールとイニエスタもいないのにFWで起点を作ろうとしてしまった事もあって、鹿島の鋭いプレッシャーの前に中央にほとんど入る事が出来ず、ほぼ自動的にサイドに追いやられるような展開が続いて攻撃がほぼ無力化してしまっていました。それでも28分にはFKの流れから中坂のシュートのこぼれ球を佐々木大樹が押し込んでネットを揺らしますが、これは菊池流帆が直前のプレーでオフサイドを取られてノーゴール。
その後の神戸は鹿島がかなり高い強度でプレッシャーに来る事を踏まえ、3ボランチの両脇に当たる山口蛍と郷家友太もかなりワイドな位置を取りながら鹿島DF間のスペースを広げさせるようにすると、サイドの裏をリンコンや佐々木が抜け出す形でいくつかチャンスを作りました。36分には初瀬亮のクロスが跳ね返されたところに山口がミドルシュートを放ちますが、今度はGKクォン・スンテがセーブ。その後に神戸は佐々木が負傷で小田裕太郎との交代を余儀なくされ、ビハインドで前半を終えます。
後半も神戸はリンコンと小田がとにかくサイドのスペースに走る形で裏に抜ける場面はありましたが、そうすると今度は中央が足りなくなって、クロスまでは行けてもシュートまで持ち込み切れません。対して54分、鹿島は小田から2人がかりでボールを奪うと、すぐさまパスを受けた土居聖真がロングボールを放り込み、一度菊池に跳ね返されたところを走り込んだ鈴木優磨が叩き込んで鹿島が追加点。
2点目を取られた神戸はイニエスタとサンペールを同時に投入し、これまでと同様に2トップは開かせた状況でゴールを狙いにいきます。70分にはリンコンから郷家、イニエスタと繋ぎ、イニエスタの右への絶妙なパスに酒井高徳が走り込みますが…この日最初とも言えるこの決定機は酒井がミート出来ず。
クロスまでは行けるけどエリア内が手薄になる状況を打破するべく、三浦監督はリンコンを下げて槙野智章を投入し、槙野と菊池を2トップとした形のパワープレーを敢行します。しかしリンコンを下げると、今度は出来ていたサイド突破も出来なくなってしまう本末転倒な結末を迎えてしまってタイムアップ。神戸はこれで開幕から6戦未勝利。対する鹿島は、岩政コーチの監督代行期間を3勝1敗という好成績で締めました。
神戸にも試行錯誤しようとする姿勢は見えたんですよ。いつものやり方が無理だとなると、開き直って2トップのスピードを活かしたやり方に切り替えてサイドからチャンスを作れるようになったり、最後のパワープレー然り。ただ、一つアプローチを変えるとそれまで出来ていた事が全てリセットされるような形になってしまって、なんというか…神戸はずっとシングルタスクでしかサッカーが出来ていなかった印象を受けました。
一方の鹿島はFWを含めたチーム全体の強度が凄く高く、そしてそれを90分続ける為の采配を岩政コーチは確実に出来ていたと思います。鹿島がこのハイプレッシャーを続ける限り、神戸はサイドしか選択肢がなくなっていたのでDF陣は逆にサイドを捨てる事が出来た…という状況の中で、そのハイプレッシャーという前提を維持する為に、戦術的に外せないディエゴ・ピトゥカを除けば、イエローカードをもらった選手から下げてフレッシュな選手を入れたり…言い方は悪いですが、神戸の攻撃を殺す為の"前提"を90分どうやって維持するか…という側面で、おそらく岩政コーチが明確な設計図を選手に与えていたと思いますし、ピッチ上の選手もそれぞれがそれぞれの、複数ながらも一つの線の上にあるタスクをしっかり遂行した結果がこれだったのかな…という印象です。
この日に現地で聴く神戸讃歌には感じるものがありました。
ではでは。