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"あの失点"の後の10秒と、倉田と昌子という両軸〜J1第3節 ガンバ大阪vs川崎フロンターレ 観戦日記〜

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激情は万博記念公園駅から始まる。

もっと厳密にいえば大阪モノレールの宇野辺あたりから始まっていました。

万博記念公園駅、トイレ、腹痛との戦い。

 

 

 

嵐の予感はそこから始まったのでしょうか。

 

 

 

本日のスポーツ観戦日記は3月6日に行われました、2022明治安田生命J1リーグ第3節、ガンバ大阪vs川崎フロンターレの一戦です。パナソニックスタジアム吹田に観に行ってきました。

 

 

オリジナルアルバムの配信も開始したのでそちらも観てね

 

 

 

第1節と第2節ではサンガの方を観に行っていたので、今季はまだガンバのゲームをリアルタイムで腰を据えては観れていませんでした(後から見逃し配信で観た)

そんな今年初ガンバの対戦相手が川崎だぁ?役者に不足はねぇなぁ!……実は私、ガンバでもサンガでも川崎って全然現地で観てないんですよね。別に避けてるとかそんなんじゃないんですけど、色々タイミングとかもあって。多分vs川崎を唯一現地で観たのって2008年に西京極で1回あるくらい…川崎さんと14年ぶりの再会です。

 

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いつもは何気なく通ってますけど、オトナ帝国とか20世紀少年とか見てから通ると「パナスタってすげえとこにあんなあ」って思いますねぇ…。

 

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さて、2022年に初めてのパナスタに訪れたという事は、新エンブレム装飾になったパナスタに初めて足を踏み入れた事になります。

クラブのリブランディングの目的がそこにあるのは言わずもがなとして

 

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やっぱりこういう装飾にすると映えますね、新エンブレム。

 

話題のガンバウォールも初めて拝みました。

 

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想像よりでかい。

 

 

 

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ここからでも確認できるデカさ。

こういうスタジアムごと装飾してしまおうみたいなの、いいですよね。やっぱり雰囲気出ますし。自前のスタジアムを持つとこういう事出来るの強みだよなぁと。

でも代表戦やる時とかどうするんだろう。さすがに外すかしら…。

 

 

 

この日はここから。カテゴリー6。コーナー側。位置としては川崎寄りになりましたが、まぁ、結果的にこれが"あのシーン"を目の前で見る事に繋がるわけで…。

 

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この日は齋藤未月がガンバの選手として初めてパナスタのピッチに。

 

 

齋藤って湘南時代から言うまでもなく注目されていた選手じゃないですか。シンプルに好きでしたし、延期が怪我のどちらかがなければ東京五輪にも出場していたであろう選手で。それこそ「ガンバ来てくんねぇーかなぁー。でも行くなら海外行っちゃうんだろうなぁー。」的に思ってたし、そう思ってたガンバファン、というか他チームのファンもいっぱいいると思うんですよ。レンタルとはいえやっぱり心躍ったよね…。

さぁ、試合開始。

 

…まぁ、とは言っても。試合内容とか、試合のスポーツ的な側面での感想とかそういうのはマッチレビューで書きましたし↓

 

ここでは純粋に、この試合を現地で観た感想について書きたいと思います。

 

面白かったです。とにかく。

コロナの影響で活動が出来なかった時期があり、まだ第3節という段階で、一部主力も出られない中で、まず川崎相手によくここまでやったなと。自分達からアクションを起こすスタイルのサッカーでここまで面白いゲームなんて久々に見ました。スタッツとだけ見れば川崎が圧倒しているようにも見えるんですけど、スタッツの数字から予想される展開では無かったのはあの試合を見た誰もがわかってくれるはずですし。正直、試合が終わった直後……帰ろうと思って席を立ったらちょっとガクッと体勢崩しちゃったんですよね。膝の力抜けて。でもよくよく考えれば、この引き分けを悔しいと捉えられている事に気付いて。

川崎と言えば言うまでもなく、近年のJリーグに於けるトップランナーな訳ですよ。思い返せば一年前、ヴィッセル神戸がラストワンプレーの同点弾で川崎相手に引き分けに持ち込んだ試合があったんですけど、あの時に神戸の三浦淳寛監督が試合後のインタビューで「ピッチに立っていない選手も含めて全員で"勝った"試合」って言っちゃったんですよ。もちろん三浦監督の言い間違えというか単なるうっかりなんですけど、この言い間違えさえもなんかどこかしっくり来てしまった。おそらくあれを見ていた多くの人が「まあ気持ちはわかる」「実質勝ちだよな」ぐらいの感情を抱いてしまった……ここ2年間、Jリーグクラブにとって川崎フロンターレとはそういう存在だった訳です。

そしてJのクラブの中で、ガンバはそれを最もまざまざと見せつけられたチームだと言っても過言ではなくて。優勝決定戦でボコボコにされ、天皇杯決勝は0-1というスコアに沿った試合展開でもなかった。そしてゼロックス杯で少しだけ見えた川崎の肩に手をかける術もいつしか見えなくなってしまった……そんな過去も踏まえて、川崎相手に「勝点1を取れた」ではなく「勝点2を逃した」と思えているこの状況がどこか心地良く、新鮮なようで懐かしくもあったり。それもまた悔しさと共に確かな感情でした。

 

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そして、この試合を語る上では最後のシーンを避けて通る訳にはいかないというか、もう既に散々色々なところで語られてますよね。石川のミスだとか、気付かなかった周囲の責任でもあるとか、それに対する励ましの声だとか。或いは一瞬の隙たりとも見逃すまいと虎視眈々と機会を狙っていた小林悠の老練な技、ある意味プレッシャーゲームのような状況で冷静に仕留めたダミアンの仕事ぶりを讃える声とか。

完全に推測ですが……額面的に見れば「一瞬の気の緩み」とか、集中力が一瞬切れた…みたいな見え方になると思うんですけど、個人的にあの石川のプレーはむしろ集中力が行き過ぎた結果だとも思っていて。どういう状況であのシーンが発生したかと言うと、あれはガンバは2-1になってから川崎の猛攻をチーム全員で耐えて耐えて耐える展開が続いていた中で、石川がキャッチした事でやっとマイボールにする事が出来た…という場面だったんです。そしてアディショナルタイムが5分ある以上、多分「蹴って終わり」という程の時間でもない。DF陣は川崎の猛攻に耐え続けて疲労困憊…石川が真っ先に考えたのは、おそらく「一秒でも時計の針を進めなければならない」という事で、ある意味では勝利への執念がゆえのミス…とも思っています。ただ小林も上手かったんですよ。私自身、角度的には小林を視界に捉えられる位置で見ていたのに、小林が石川にチェイスするまで気付かなかったんです。角度と距離のあるスタンドから見てもそうだったので、それをグラウンドレベルで確認するのは口で言うほど簡単なことでは無いんですよね……。

 

もちろんミスはミスであり、同じく気付かなかった周囲も含めてあのワンプレーで勝点2を落としたのは覆しようのない事実で、あのワンポイントを埋めらなかったガンバと突いてきた川崎という構図は両者が歩んだ数年間を物語ったシーンだったとも思います。

 

 

ただそれでも、ピッチにうずくまった石川に対して三浦と柳澤が即座に駆け寄り、そして試合終了時点ではベンチにいたキャプテンの倉田秋は整列を待たずに一目散に石川のフォローへ向かっていった……挨拶の際には加藤やチュ・セジョン、福田らが寄り添い、ダミアンやチョン・ソンリョンなど川崎の選手の振る舞いを含めてそれは美しい光景でした。倉田のようなチームの重鎮から福田のような若手にセジョンのような外国籍選手、或いは加藤や柳澤のように入団から1年も立っていない選手と、駆け寄った選手のタイプや背景が多岐に渡っていたのはチームとしての空気は良いんだろうな…と。

 

ただ、その場面は既に多くの人の印象に残っていて、色んなメディア等でも既に取り上げられているので、試合を観ていなかった人でも知っている人は多いと思います。それとは別に、今季のガンバに希望を持てたのは…個人的に、実は"あの失点の直後"だったりもするんですね。

あの失点はほぼほぼラストプレーでしたが、逆に言えば正確にはラストワンプレーでは無かったんですよ。あの失点後にもうワンプレーだけあったんです。普通、あの時間帯で、あの展開で、あんな形で失点すれば……もう一気にガクッてきてしまうものじゃないですか。ただ、残り10秒という場面でガンバは攻め込めたんですよ。セジョンがルーズボールを何とか収めて、黒川が前線にボールを入れて、一度は跳ね返されたけど山見が粘ってマイボールにして。最終的にその攻撃は上手くいかなかったけれど、でもあの状況から3点目を取るためにギアを入れる事が出来た"失点後の10秒"に今年のガンバの変化と希望を見た気がしましたし、あそこからもう一度アクセルを踏めたガンバの姿は「ついて行かせてください」と本気で思えるものでした。

 

そしてその場面で一つ興味深いのは、試合が終わった瞬間に昌子がいた場所。DAZNで試合終了の場面を見返してもらったわかると思うんですけど…笛が鳴った瞬間の昌子はパトリックと同じライン、要は最前線にいたんですね。これがラストワンプレーになると判断して、そこでガンバが攻め込んだ時点で彼はCBながら3点目を取りに前線に行った。めちゃくちゃ陳腐な表現ですが、あの姿勢は本当に凄かったと思います。

あえて石川にフォーカスを当てる形で表現すると、整列を待たずに真っ先に笑顔でフォローに駆け寄った倉田のようにチームも選手も支えていくタイプのリーダーもいれば、昌子のように3点目をもぎ取って3-2にする事で石川のミスごと消してしまおうとするような強烈なパーソナリティで引っ張るタイプのリーダーもいる。倉田と昌子って間違いなくリーダーとしてのタイプは真逆なんでしょうけど、この2つの場面を見て…この2つのタイプは対立するのではなく、今のガンバで間違いなく両軸として機能しているんだろうなと。他のリーダー格の選手で言えば、倉田に近いタイプの三浦がいて、昌子に近いタイプの東口がいて、そしてこの4名とはまた違ったアプローチでそれらの役割を担える宇佐美がいて。このキャラクターのバランスって素晴らしいなと。

 

終了間際のパナスタに悲劇が訪れた。

「スポーツナビ:G大阪vs川崎F」戦評より一部抜粋

 

スポナビに書かれたように、確かに悲劇ではありました。

ただ、悲劇にしては大阪モノレールに乗り込む時の感情はどこか清々しかった。それは90分トータルで川崎相手にこれだけの試合を出来た事、あの場面の後でもう一度アクセルを踏む姿を見せてくれた事、そして倉田と昌子という"両軸"を再確認出来た事……。

大前提として精神論はあんまり好きじゃないです。精神論を根拠に何かを決定するのは絶対に避けるべきですし。ただ失点後の10秒を観た時に、精神論とかも案外捨てたもんじゃないな…とも少し思った自分もいたりして。この試合はまさにスポーツの激情を呼び起こすような試合でした。やっぱりスポーツに大事なのは熱量カタルシスだよね!って。素晴らしい試合でした。

 

後は宇佐美が無理だけはせずに、なんとか一日でも早くピッチでカタノサッカーを完成させてくれる事を祈るばかりです。

蒼の煌めきがパナスタに帰ってくるその時に、最高の舞台が用意されていることを祈って…。宇佐美に関しての想いは下記のnoteに綴っています。

 

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ではでは(´∀`)