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エンターテイメント〜Paris Saint-Germain Japan Tour 2022 ガンバ大阪vsパリ・サンジェルマン マッチレビュー〜

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PSGってBKBのリズムで言いたくなるのよ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューエアトリ presents Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2022、ガンバ大阪vsパリ・サンジェルマンの一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

まさしく真夏の祭典とも言うべき一日でしょう。

リオネル・メッシネイマール、キリアン・ムバッペ、セルヒオ・ラモスマルキーニョス……世界屈指のスタープレーヤーを数多く揃え、規格外の資金力で欧州サッカーのメインストリームに昇ろうとしているパリ・サンジェルマンは今夏、クラブにとって27年ぶりとなるジャパンツアーを敢行。7月20日川崎フロンターレ戦、7月23日の浦和レッズ戦に続いて今日が3戦目、日本ツアー最後の試合です。

……そう、日本ツアー最終戦を飾るのはなんとでございます。

 

 

歴史上、過去にあまり欧州ビッグクラブとプレシーズンマッチを戦う機会が少なかったガンバにとって、夏のジャパンツアーの日程にガンバが組み込まれているところでガンバファンとしては少しソワソワする気持ちも多々あります。いつも見ている、いつも応援している選手達が青黒のユニフォームを身に纏い、歴史に名を残す選手だらけのスーパースター集団と対峙する姿を見た時、そこにどんな感情を抱き、どんな景色が生まれるのか。チームにとっても選手個々にとっても、この試合をただのプレシーズンマッチや思い出に終わらないような試合を期待期待ところです。

我々ファンにとっても、ガンバは現在リーグで苦境に陥ってはいますが、これは一つのサッカーエンターテイメントです。花試合、お祭りとして、この90分の酔いに浸りましょう!

両チームスタメンです。

 

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ガンバは韓国代表としてE-1選手権に出場するクォン・ギョンウォンが欠場となり、代わりに最近出場機会を減らしていた昌子源が左CBでスタメンに復帰。右CBの福岡将太と三浦弦太の3人が同時に起用された第20節川崎戦は福岡を右にした4バックだったので、この3バックの組み合わせは初めてになります。倉田秋ボランチ起用でのスタート。新加入の鈴木武蔵、復帰した食野亮太郎もスタメン起用です。今日は交代が12人まで認められており、それに応じてベンチメンバー枠も拡大されているので、リーグ戦では久しくベンチからも外れているレアンドロペレイラウェリントン・シウバらも今日はベンチに入っていますが、坂本一彩は今日は外れています。

浦和戦から中1日でこの試合に挑むパリは、マルコ・ヴェッラッティとパブロ・サラビアを除く9人を変更。浦和戦から…というよりは、7月20日の川崎戦のメンバーからイドリサ・ゲイェとキリアン・ムバッペを外してヴェッラッティとサラビアを入れた形でしょうか。パリは今回の日本ツアー、というか今季から就任したクリストフ・ガルティエ監督体制では一貫して3バックを採用。前線はリオネル・メッシネイマールとサラビアよりは一歩引いた位置でのポジションとなっています。

ちなみにウェリントン・シウバとネイマールは世代別代表でチームメイトだった経験があるとか。そして、余談ですがメッシとクリスティアーノ・ロナウドの両者と対戦経験を持つJリーグクラブは、今日のガンバで3チーム目となりました(鹿島と浦和)。

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

7月24日のパリ・サンジェルマンの有料公開練習も、通常のガンバの試合同様の飲食店が出店したりと大変な盛況を見せていましたが、今日の盛り上がりっぷりは昨日を遥かに上回るのは言わずもがな。今日はジャパンツアーのアンバサダーを務める、パリ・サンジェルマンOBで元カメルーン代表、そしてガンバ大阪のレジェンドとして、1997年にJリーグ得点王を獲得した"浪速の黒豹"パトリック・エムボマ氏が来場。ガンバ時代に2トップを組んで優勝争いを戦った松波正信氏と共に、試合前の場内放送番組「HEAT UP TIME」にも出演します。

2016年に開場したこのスタジアムですが、ACLを除いて日本国外のサッカークラブとガンバが試合するのは当然ながら初めて。客層も普段とは異なるでしょうし、また異なる空間のパナスタになるのではないでしょうか。初めてサッカーを観に来るような方には、贔屓目があったとしても決して言い過ぎではない、日本が世界に堂々とアピールできるこのスタジアムを、この劇場の魅力を是非心ゆくまで堪能していってほしいところです。

 

 

本日は現地観戦!チケットゲットしました!!

この日の観戦日記は後日、たっぷりとブログでお届け致します!

 

 

立ち上がりに攻め込んだのはガンバでした。第15節広島戦第22節C大阪戦の良い時間帯にも多く見られた展開でしたが、早い段階でサイドの深いところにボールを入れることでチームとして押し上げ、相手陣内でハーフコートゲームのような形を取るような状態にする事で、攻撃の時間を長くするというよりはガンバのターンを長く続けていくような戦い方を試みます。その中で両WBの小野瀬康介や黒川圭介が良い仕掛けを何度か見せた事で試合の入りは上々な形を見せ、13分には石毛秀樹の右CKからの混戦に倉田と昌子が立て続けにシュートを放つも、いずれもDFにブロックされてゴールならず。

 

しかしパリは素早い攻守の切り替えでロングカウンター気味の攻撃を立て続けに繰り出します。ボランチや最終ラインから一気に攻撃のギアを入れると、ガンバの高くなったサイドの背後をネイマールが度々突き、3トップの中では黒子的な働きが出来るサラビアが一つ噛む事で、文字通り圧力でガンバのラインを無理矢理押し下げていきます。

それでもネイマールのカウンターは度々三浦が超人的なカバーで防ぎ、逆にパリがアタッキングサードで落ち着いてボールを持った際には、対面する形になった昌子がさすがのDF能力で対応。そして何と言っても圧巻だったのが我らが神・東口順昭で、15分にヴェッラッティの浮き球のパスで完全にネイマールに逆を突かれながらも逆脚で阻止とかいう訳わからんセーブを披露。

 

 

しかしここからはパリの猛攻が始まりますが、ガンバはある種神懸かり的な守備の連続で防いでいきます。16分、ハキミの鋭いクロスにメッシが飛び込んだ場面は三浦がスーパークリア。20分には左を抉ったネイマールの折り返しにフリーにサラビアが至近距離でシュートを放ちますが、ここも東口が異常なまでの反射神経を見せて阻止すると、27分には右サイドを抜け出したハキミとの1対1も阻止してみせます。

 

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しかし失点は思わぬところから生まれます。28分、この日何度も攻守を見せていた三浦のロングボールは近くにいたメッシに直撃。リフレクションを拾ったネイマールからボールを受けたメッシのシュートはまたしても東口が弾くも、こぼれたところをサラビアに詰められてガンバは遂に失点。

更に32分には、早くも世界拡散されてしまったらしい「劇団ネイマール」が炸裂。ネイマールへの三浦のファウルとしてPKを与えてしまうと、ネイマールが自らこれを仕留めて0-2…。

 

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それでもガンバは34分、右サイドでボールを持った小野瀬が中央の倉田に当たると、倉田のロブパスで小野瀬は完全にキンペンベの背後を突いて折り返し。身体ごと突っ込んだ鈴木のシュートこそGKドンナルンマに掻き出されるも、こぼれ球に左サイドから突っ込んできた黒川が押し込んでガンバが得点!!

試合前に片野坂知宏監督は「流れの中から点を取りたい」と公言していた通りの流れの中からの得点となり、更には鈴木のシュートを挟んだとはいえ、右WB→左WBの流れでのゴールという3-4-2-1の理想的なゴールをパリからもぎ取ります。

 

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しかしリスク上等で戦った弊害は、やはりスピード・パワー・テクニックを揃えるパリの脅威に曝されやすい形ではありました。37分、ヴィトール・フェレイラの浮き球スルーパスに抜け出したヌーノ・メンデスが確実に決め切って1-3とすると、39分にはカウンターでドリブルで持ち運んだメッシのスルーパスを受けたネイマールがライナー性のクロスでリターン。これをメッシがダイレクトで合わせてとうとう4点目。

1-4というスコアの印象よりは遥かに奮闘したガンバでしたが、同時に個のクオリティも見せつけられたところで前半は終了。

 

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後半に入ると、パリがメンバー変更なしで後半に挑んだのに対し、ガンバはハーフタイムに東口・昌子・黒川・食野の4人を残して7枚替え。ワントップにペレイラ、シャドーに中村仁郎、右WBに柳澤亘、ボランチを齋藤未月と奥野耕平で組ませ、3バックは昌子を真ん中にスライドし、右に髙尾瑠、そしてなんと左CBで藤春廣輝を起用してパリに挑みます。

 

49分にはいきなりメッシが髙尾を振り切って決定機になりかけますが、ここは昌子が粘り強い対応でメッシのシュートミスを誘発。52分にはフェレイラのミドルシュートをまたしても東口が弾くと、57分には食野のスルーパスに抜け出した柳澤の鋭いクロスにペレイラが飛び込みますが…僅かにミートせず。

ですが60分、パリ陣内でボールを持ったメッシのミドルゾーンからのロングスルーパスは完全に髙尾の背後をとり、抜け出したネイマールはここまで散々立ちはだかってきた東口までもをかわしきってゴールに流し込んで1-5…。

 

すると62分、ガンバが黒川と食野を下げてシウバと山見大登を投入したところで、パリはメンデス、ヴェッラッティ、サラビアを下げてフアン・ベルナト、レアンドロ・パレデス、そして遂にキリアン・ムバッペを投入。メッシ-ネイマール-ムバッペの3トップがパナスタの地で実現する事に。

しかしここからはパリの疲労もあったのか、試合は想像以上にオープンな攻撃の応酬になっていきます。ガンバは65分に齋藤がミドルシュートを放つと、直後にはパリがネイマール→ムバッペと繋いで最後はハキミがシュート。そんな流れの中で迎えた70分、左サイドでボールを運んだガンバは一度ボランチの奥野にボールを戻すと、奥野はそれを右サイドにループスルーパスで展開。抜け出した柳澤の折り返しを山見が詰めてガンバ2点目!!

 

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2-5になった直後にパリはメッシやネイマールなど、途中出場選手とGKドンナルンマを除く全選手を交代。ガンバも後半から入った中村を下げてパトリック、そしてGKも東口を下げて加藤大智を送り込みます。ガンバもここからはサイドで度々好機を作り、サイドでのパスワークを起点に何度も可能性のあるシーンを創出していきました。しかしその姿勢は裏返せば背後に広大なスペースを生み、そこにはムバッペがいる。これにより、残り時間はスリリングな時間が最後まで続く事になります。

81分、ムバッペのパスを受けたマウロ・イカルディは昌子のところで止めるも、こぼれたところを拾ったムバッペが僅かワンタッチで昌子と藤春を振り抜き、ツータッチでGK加藤までぶち抜いてシュート。これは藤春がラインギリギリで掻き出し、こぼれ球に詰めた日本ツアー絶好調のアルノー・カリムエンドのシュート、それに続くイドリサ・ゲイェのシュートは昌子が連続ブロック。

 

82分にはシウバが山見とのワンツーで抜け出しますがまたもドンナルンマの牙城に阻まれると、86分には髙尾がムバッペをエリア内で倒してしまってこの日2度目のPK献上。これをムバッペにゴール右に仕留められて2-6。このツアーで唯一、メッシ・ネイマール・ムバッペの3人がゴールを記録する形に。

 

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終盤に入るとパトリックやパレデスが惜しいシュートを放ち、アディショナルタイムにはペレイラが強烈なミドルシュートを放ち、最後までパリは7点目を、ガンバは3点目を最後の最後まで狙いに行きましたが、スコアはそのまま2-6でタイムアップ。スコアは大差でしたが、まさにこれこそが"娯楽"。90分に及ぶ極上のエンターテイメントは幕を閉じました。

 

 

 

凄く楽しかったです。とにかく楽しかった。クッソ楽しかった。この日にパナスタのスタンドに座っていられた事に感謝せずにはいられない試合でした。

 

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ガンバにとって、まずこの試合がどういう試合だったのか、というところは重要なポイントでした。よく"花試合"と言われる通り、この試合は勝っても負けても数字としては関係ないし、仮に0-100で負けようが順位に影響を与える事は無い訳です。これが例えばパリと戦うリーグアンのチームとか、もしくはパリがJリーグにいたとすれば、その時はセーフティーファーストで引き分けなら万々歳、負けても得失点差をどうにか-2程度で抑える事が重要になってくるけど、この試合でそれをする必要はないし、逆に言えばこの試合でそんな事をしても意味はない。その点で言えば、ガンバはこの試合を十分意味あるものに出来たと思いますし、この試合で享受できるメリットを得るに相応しい90分を過ごせたなと。

もちろん、パリのコンディション的な影響はこの試合を語る上で避けては通れないですけど、その中でもガンバは自分達が取り組んでいる事にトライして、チャレンジして、その中から好機を何度も生み出す事が出来た。ましてや、流れの中から2点も取れた。特に1点目はまさしく今取り組んでいるスタイルの中から生まれたゴールでしたし、収穫も課題もぶつかってこそ生まれる訳で、今日の試合に対してガンバが見せたスタンスはこれ以上ないものでした。

 

 

 

そういうリスク上等な戦いをしたので、当然ながら狂ったようにカウンターを喰らいまくって、結局6失点はそういう流れで生まれたのも事実。とはいえ、それは流れとしては自然なものでしたし、ガンバもそれを覚悟の上であの戦いを選択して。前述の通り、パリにはコンディションや疲労の問題があったし、ましてや本気だったか?と言えば本気だった訳はないでしょう。ただそれでも、ボールを持った時にその時のベストを出さない選手はいない訳で、メッシやネイマール、ムバッペが織りなすその一瞬によってガンバはギタギタにやられた。それに対してもやり合えていた昌子や三浦はやっぱ凄ぇなと思いましたし、その一瞬に対峙出来た福岡や髙尾にとっては悔しさだけでなく、まさしく財産のような45分になったはずです。髙尾に関しては、最後の方はムバッペに喰らい付いていけてましたし。

この試合の興行的な意義については後日のスポーツ観戦日記で書くのでここでは割愛しますが、時として「無意味」と仰る人もいる興行試合を、意義あるものに出来たのはガンバ自身のスタンスが呼び込んだ成果だったと思います。これがチームの向上・個々の成長に繋がってくれれば……この試合の真の価値を高めるのは、これから先の戦いです。

 

 

楽しかった。

ではでは(´∀`)