どきどき
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第26節、サンフレッチェ広島vsガンバ大阪の一戦です!
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片野坂知宏監督、解任───。
前節、残留争いの大一番となった清水戦に敗れたガンバは、片野坂ガンバという決して一朝一夕では無かったはずの長期プランと現実を天秤に掛け、そして最後の勝負に出ました。
私としては……解任が仕方ないのは確かですが、片野坂ガンバに対する喪失感はやっぱり大きく、どこか心には穴が空いたような気持ち。それでも試合は待ってくれないし、他チームだって自分達の残留の為、もたつくライバルは振り切る選択肢しかない。松田浩監督を新たに迎え、今日からガンバは新たな戦いが始まります。
対戦相手は広島。奇しくも松田監督、片野坂前監督が共にプレーし、互いに現役選手として最良の時を過ごしたこの地が、ガンバが歩む修羅の道の出発地となりました。片野坂ガンバの最後の勝利も広島だったことを思うと、不思議な感覚も感じますね。
言うまでもなく広島は、今季のJで最も良いインパクトを残し続けているチームの一つです。ただ、今のガンバの置かれた状況は「相手が強いから勝点を落としても致し方ないよね」なんて言ってられるような悠長な状況じゃない。相手がどこだろうが、監督が誰だろうが、先発がなんだシステムがどうだ晴れだの雨だのそんな事知らない…勝たなきゃ始まらないんじゃなくて、勝ち続けないと終わってしまうのがここから先の戦いです。
その事そのものへの是非はともかくとして、クラブは一つの判断を下しました。望まずとも、誰もが色々なことを覚悟した中で今日のこの試合はやってくれる。賽は投げられました。どの目が出るか、出た目にどんな意味を持たせるか。残り10試合、試合という試合の全てが背水の陣です。
両チームスタメンです。
片野坂監督体制では3バックがメインだったガンバですが、4-4-2を代名詞とする松田監督就任という事で、予想通りシステムは4-4-2にシフト。前節清水戦からのスタメン変更は5人となっており、髙尾と藤春を両SBに配置し、両サイドハーフはFWやシャドーで起用されていた食野亮太郎と移籍後初スタメンのファン・アラーノを起用。2トップはこのところベンチから外れる機会も多かったパトリックとレアンドロ・ペレイラのパワーコンビかつ元広島コンビとなり、特にペレイラのリーグ戦出場は第17節横浜FM戦以来。スタメンに限れば第14節C大阪戦以来となりました。前節のスタメンから外れた5人では石毛秀樹とダワンはベンチに入っていますが、小野瀬康介、黒川圭介、坂本一彩の3人はベンチを外れています。
一方の広島は柏との上位対決を制した前節からは先発を2人変更。前節は3-4-2-1の布陣を用いましたが、今日は併用している野津田岳人をアンカーに置く3-1-4-2を採用しました。右WBに入った茶島雄介は今季初スタメン。また、8月15日に入団が発表されたばかりのキプロス代表FW、ピエロス・ソティリウがいきなり先発メンバーに名を連ねました。お互いに外国人2トップ同士で戦う構図ですね。
本日の会場は広島県広島市、エディオンスタジアム広島です。
今年でクラブ創立30周年となる広島は、今季のホームゲームではOB選手を招いてのトークショーを積極的に開催しており、今日はかつて「アジアの大砲」と称された高木琢也氏が来場。ハーフタイムには花火の打ち上げや、桃鉄コラボ企画として桃太郎と貧乏神の来場も。先着で応援ハリセンが配布され、キャンプ地でお馴染み安芸高田DAYという事でハーフタイムには特産品のプレゼント抽選会がある他、ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督に因んでドイツビールとソーセージのセットが限定販売されます。
2020年に招致計画が立てられていた広島五輪が実現していた場合、メインスタジアムになる予定だった会場です。30シーズン目を迎えたJリーグですが、1993年当時から大規模改修をせずに当時のスタジアムを使用しているのは広島のここと清水のIAIスタジアム日本平のみ。ちょうど30年前、アジアカップ1992から動き出した日本サッカーの歴史が染み込んだスタジアムです。というか、2020年はヤットさんのラスト、2021年は活動休止明け一発目とツネ様ラスト、今年は片野坂ガンバラスト勝利と松田浩初陣って、ガンバは広島戦に色々背負わせ過ぎでは…。
試合はいきなり動きました。ロングボールにパトリックが競ったところを食野が拾うと、ルーズボールを拾ったペレイラがパワーで突き進むドリブル突破を開始。エリア内で一度阻止されたものの、フォローに入ったパトリックが粘ったところをペレイラが左脚を振り抜いてガンバ先制!!
悩めるブラジリアンFW・ペレイラ兄さんにとっては第5節福岡戦以来となるゴール!ある意味、片野坂監督体制からの最大の変化とも言える2トップのパワーで先制点をもぎ取ります。
しかし、やはり地力と総合力で勝る広島に対して、基本的にガンバは受け身に回る時間が続いていきました。ガンバもボールポゼッションは今日は最初から捨てていたスタンスなので、それも想定内ではあったものの、11分には左サイドに走り込んだ満田誠のクロスをゾーンディフェンスの間を突いてフリーになったナッシム・ベン・カリファがヘディングシュートを確実に仕留めて広島がすぐさま同点に。
それでもガンバは松田監督の代名詞とも言える4-4-2の布陣を常にキープしたゾーンディフェンスの姿勢を徹底しており、ボール支配率は広島に圧倒的に握られながらも、ガンバは焦れる事なく4-4のブロックを集中力高く保ち続けていました。
そして36分、自陣の深い位置で齋藤未月とアラーノが連動してボールを奪うとそこから一気にカウンターアタックを発動。2トップ+齋藤とアラーノの4人で攻め込むと、パトリックのパスを受けたアラーノが折り返し、最後は齋藤が右足一閃!!圧倒的に押されながらも、ガンバが勝ち越した状態で前半を終えます!
ガンバは後半からペレイラを下げて鈴木武蔵を投入。後半もガンバの戦い方は基本的には変わらず、広島の攻撃を受けながらロングカウンターを狙う形を徹底していきました。一方の広島も攻撃の形をサイドの割合をかなり強くしていて、56分には左からの野津田のCKをベン・カリファが合わせたこぼれ球を柏好文が落として森島司が叩き込みますが、これは柏のところでオフサイド判定となりなんとか救われます。
ガンバは62分にアラーノと食野の両サイドを下げて山本悠樹と倉田秋を投入し、本来ボランチの山本も右サイドの位置に置いて両サイドを入れ替えます。対する広島は70分にソティリウ、茶島を下げてドウグラス・ヴィエイラとエゼキエウを投入。
72分、左サイドで細かいパスを繋いだ広島は佐々木翔の横パスを受けた野津田が絶妙なクロス。これをベン・カリファがワントラップからゴラッソを叩き込んで広島が再び同点。雨脚が強まる中で広島は勢いを増すと、77分にはルーズボールの応酬から野津田がダイレクトボレーでサイドチェンジ。これを右サイドで受けた満田が左にパスを送ると、もはやゾーン状態に突入していたベン・カリファが天晴れとしか言えないコントロールショットでハットトリック………。
なんとか同点に追いつきたいガンバは79分、左サイドを抜け出した藤春廣輝のマイナスの折り返しに詰めた山本がシュート。しかしゴールライン上で柏がこれをブロックして決定機で同点に追い付き切れず。
逆に広島は83分、3点と同様に左サイドでボールを繋ぎ、佐々木のロブパスに柏が抜け出してクロス。ベン・カリファには合わなかったものの、ファーサイドに走り込んだ満田がアウトがかりのミドルシュートを叩き込んで致命的な4点目………。
89分には佐々木の縦パスに抜け出した途中出場の松本泰志が昌子を振り切ってシュート。これが決まって広島が5点目。
全てを破壊したベン・カリファの銃弾…終盤は茫然自失状態となったガンバになす術はなく、痛恨の大敗です。
ゲームプランとしては正しかったというか、まぁ、これしかないだろうな…という感じでしたし、松田監督は自分に要求されていた仕事が何たるか、みたいなところはよく理解していたと思います。大前提に、本来ならクラブは片野坂体制を続けたかったはずで、にも関わらずこの決断をしたという事の意味を踏まえての3日間だったでしょうし、応急処置としては見事な仕事ぶりでした。3日間でお馴染みの4-4-2ラインを仕込んで、少なくとも前半はほぼ文句なしの戦いに持ち込めていたと思います。広島に押される事は前提で組み立てられたプランでしたし。
ただ後半に入ると、前半は持たされる形にもなっていた広島がかなり大胆に左右に振るようになってきて、サイドアタックを前半以上に徹底してきた。そこに3バックの佐々木までもが絡んできた事で、ほぼ一夜漬けのスライド式ディフェンスで立ち向かう事になったガンバはここで著しく消耗してしまったのは確かです。加えて交代策も、結果としてはサイドの強度を落としただけになってしまった。それでも耐えていたところに、ベン・カリファの抗えないようなシュート2発……これだけでガンバの心を折り、手応えを破壊し、自信を打ち砕くには十分で、直後の山本のシュートをギリギリでブロックされた時点で、ガンバにとってはほぼゲームオーバーでした。
前半の戦い方は今後のヒントになるというか、活路になる部分はあったのは事実です。それはこの試合で得た手応えと捉えていいでしょうし、収穫のない試合では無かった証左ではあります。ただ、だからこそ、見えた活路を残酷なまでの美しさで閉ざされる心理的なダメージは、切り替えという単語一つで咀嚼できるほど浅い傷ではなくて。
少なくともガンバには、もう切り札はないんです。切れる手札は全部切った。これから先に続くのは茨の道どころかブレイブメンロードになってくるんですけど、そういう死と隣り合わせのような戦いを残り9試合で進んでいかなければならない。確かに今日の広島戦は松田監督の応急処置で戦っていた部分はあります。名古屋戦までの1週間……ひとまず作った4-4-2の箱の中に、なるべく多くのものを詰め込まなければなりませんし、運命の転ぶ先に縋り付くしかない。残留争いとはそういうもので………もうどう締めていいのかわかんないよ今日のブログ…。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
明治安田生命J1リーグ第26節
ではでは。