GK戦線非常事態
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第18節、京都サンガFCvs横浜FCの一戦です!
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サンガにとって今年はまさしく勝負の年でした。J1復帰1年目となる昨季は、12年にも及ぶJ2生活の最後の一年という側面もあったのに対して、今年はサンガにとって文字通りのJ1の1年目だったんじゃないか…というのは開幕前にも書いた通りです。
波のあるシーズンの推移は連勝と連敗を共存させ、3連勝を達成した後にことごとく勝てない季節が続いたのはクラブや選手の精神をもすり減らしていった事は否めません。一方、川﨑颯太がA代表に招集されるという久しくサンガが知らなかった感覚を与えてくれるようなビッグニュースも舞い込んだ。ずっとアップダウンの中にいたのが今年の前半戦でした。
第17節新潟戦、サンガはどうにか連敗を脱して一つのトンネルは抜けましたが、それは残留争いを脱した事にはならない訳で、未だに綱渡りのような航路を進んでいるのは間違いないです。横浜FCとの6ポイントゲーム、ここからは勝たなければならない試合を一つ一つ勝っていかなければならない後半戦です。このクラブがどのような未来を描くのかはわかりませんがその一つ一つが全て積み重なっていく訳で、全てがこの先の歴史に繋がるという意気で戦っていかなければなりません。さぁ、後半戦開幕です!
両チームスタメンです。
サンガは前節新潟戦からスタメンを3人変更。代表帰りの川﨑颯太は今日は欠場となり、アンカーはルヴァン杯FC東京戦と同様に金子大毅が起用され、インサイドハーフには今日は平戸太貴でななく松田天馬が起用されました。4バックと3トップは新潟戦からの変更はありません。GKは天皇杯富山戦でマイケル・ウッド、ルヴァン杯FC東京戦で若原智哉が負傷退場した事から太田岳志が起用されており、若原は欠場となりましたが、ウッドはベンチ入りという形で戦列に復帰しています。
対する横浜FCは前節浦和戦から2名先発を変更。右WBは近藤友喜から山根永遠、山下諒也と組むシャドーはカプリーニから小川慶治朗に変更。小川はスタメンとしては第12節神戸戦以来の先発になりました。海外移籍も噂される小川航基は今日はベンチ外となっております。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
本日は京セラコミュニケーションシステムのスペシャルデーという事でオリジナル付箋が貰える他、ハーフタイム抽選会ではサンガグッズ詰め合わせの福袋が当たるチャンスも。また、PUMAフェア開催という事でPUMA商品を一定金額購入した方を対象にサイン入りサンガグッズが当たる企画も行われます。ちなみにサンガスタジアムが稼働して以降横浜FCとは絶妙にカテゴリーが入れ違いになっていたので、横浜FCは初めてのサンガスタジアムとなります。ようこそおいでやして!
いよいよ来月から女子ワールドカップが開幕しますが、オーストラリアとニュージーランドで行われる2023年大会は元々日本も日本招致を目指していました。もし日本招致が実現した場合、サンガスタジアムは開催会場のリストに加えられていたようで。
https://twitter.com/rstadiumguide/status/1672544299744129027?s=46
普段はボール非保持の立場からプレスで押し上げてハーフコートゲームに持ち込もうとすることの多いサンガですが、今日は横浜FCがブロックをしっかり組んで構える形でサンガに対応してきたことで、立ち上がりからサンガがボールを持たされる立場で戦う事となっていました。
ただ、その中では今日のサンガは「持たされている同様」よりは「ボールを持てている」という立場ではプレー出来ており、WGを中に寄せながらSBも高い位置をとって攻撃を連続的に繰り出せる状況では試合を進めていきます。
横浜FCの攻撃は比較的割り切ったロングカウンターで、何度かゴール前まで到達される事はあったものの、そこは各々のプレスバックやサンガの麻田将吾と井上黎生人がしっかり時間を作る守備ができていた事、横浜FCが割と単騎的に来てくれた事が幸いし、井上は一度危険なミスがあったものの基本的に横浜FCが攻め込んだ時には上手くカウンター対応をしながら人数をそろえた状況で守る事が出来ていました。
サンガは25分、豊川が粘ったボールをフォローした白井康介の折り返しから福岡慎平がシュート。こぼれ球に再び豊川が詰めましたが、最後はGKブローダーセンの好守に阻まれてゴールならず。
前半終了間際にはサンガが右サイドでスローインを獲得。しかしこの後、ベンチに入っていた三田啓貴に退場処分が課される事態が発生し、横浜FCとしては動揺の募る前半終了間際に。前半は0-0で終えます。
サンガは後半も押し込み続けていました。人数をかけて攻め込み、ゴール前であと2歩…くらいの場面には多々迫るものの、そこまでは運べるサンガとそこからを行かないサンガのジレンマのようにそこから先の崩しのアイデアと仕組みに乏しく、一方的に押し込む割には62分にセットプレーの混戦にもつれ込んだくらいしかシュートチャンスが出てきません。
サンガは60分に山﨑凌吾を下げて一美和成を投入すると、横浜FCは63分に小川慶治朗を下げて坂本亘基を送り込みます。
この辺りからサンガが押す展開自体は変わらなかったものの、横浜FCが単騎突破的だったそれまでのカウンターが2列目の選択肢が増えた事で鋭さを増していき、サンガのワンサイドゲームなのにシュートチャンスは横浜FCの方が多いという試合展開になっていきました。67分にはユーリ・ララのクロスにファーサイドを走った山根永遠のシュートがクロスバーに当たると、サンガも70分に木下康介と福岡慎平を下げて山田楓喜と平戸太貴の投入で変化をつけようとしますが、72分には山下諒也のカットインからのシュートが左ポストを叩き、サンガにとってはメンタルが削られる試合展開へ。
ここまで押し込みながら横浜FCの方が決定的な場面が多く、もしここで先手を取られれば考えられる最悪のケース…サンガファンの誰もがそれを理解していたその直後でした。山下のシュートがポストを叩いた直後に横浜FCはサウロ・ミネイロと伊藤翔を投入。そのファーストプレーとなったセットプレーのこぼれ球を繋ぐと、最後は山根のクロスに伊藤がほぼファーストタッチで決めてしまって横浜FC先制…。
失点直後、サンガは松田と豊川雄太を下げてイヨハ理ヘンリーの投入でシステムを変え、そしてここまで取っておいたパトリックを召喚します。チームのムードはどう見たって敗色濃厚。しかしサンガは意地を見せました。
84分、自陣でFKを得たサンガはDFも攻め上がっていくと、太田のキックをパトリックが折り返してから展開。左サイドでボールを受けた一美がクロスを入れると、ニアの少しゴールから遠い位置で麻田が合わせてサンガが同点!!同点!!!サンガの選手として初めて挙げたゴールはキャプテンマークを巻いての同点弾!!
情熱のドラマはまだ終わりませんでした。
87分、右サイドでのスローインからパス交換を経てボールは平戸へ。平戸がニアサイドにボールを入れると、DFとDFの間のスペース…そこに飛び込んだのはパトリックでした!!最後はやっぱり熟練の技と圧倒的な勝負強さを誇るJリーグ屈指のスーパーストライカー!!その漢の全てを象徴するかのような一撃で逆転!!
横浜FCもそこからはパワーでもって果敢な猛攻を仕掛けてきます。サンガは全精力を注いでそれを跳ね返し続けていきました。アディショナルタイム、ほぼラストワンプレー。中村拓海のCKを途中出場の西山大雅が放ったヘディングシュートは、幾多の苦労を乗り越えてJ1のゴールマウスを守る男・太田がスーパーセーブ!
…そして試合終了!サンガ、後半戦の初戦となる6ポイントゲームも魂の逆転勝利で制しました!!!
まず、純粋にトータル的な試合内容で言えば不満点はあります。もし仮にこの試合が0-0、あるいは0-1で負けていたとして、試合を単体で捉えればサンガが推していた、悪くない試合だったというニュアンスのブログの書き方も出来たでしょうが、基本的にサンガはアタッキングサードまでは持っていける設計は手にした上で、そこから先が進む上での崩しにアイデアや工夫が足りないというのは今季のサンガが陥ってる病巣でもあると。前節新潟戦では天皇杯富山戦から試している新たなアプローチが少し形になっていましたが、今日は横浜FCに引かれた事もあってそれも出せていなかった。試合内容だけで表現すれば「良いように見えて同じ課題を引きずっている」というところがあって、そこの改善案・解決策を早急に見つけなければならない状態は何一つ変わっていないと思います。
そういう意味では、80分までのサンガはワンサイドゲームを戦えているようで今季の悪いところが全部出たような試合ですらあったとも言えると思ってみていました。今日に関しては麻田と井上のカウンターに対する対応が素晴らしく、あの2人の計算が立ったからこそ前に人数をかけれた部分はあった訳で、押し込んでる割には綱渡りなところもありましたし。
ただ…ここまで押し込んだ試合展開で先制点を取られるって、メンタル的に一番辛い試合展開だと思うんですよ。それも6ポイントゲームで、相手の方が順位は悪い状況な訳で。選手達が負った心へのダメージは少なからずあったはずです。ましてや新潟戦で勝ってこれから!という時だっただけに。
正直なところ、あの状況の中からサンガが逆転して跳ね返せるだけのメンタリティを発揮してきた事はサンガファンとしても予想外でしたし、そして何より感動しました。このクラブもこういう反撃が出来るようになったのかと。パトリックという強力な武器ゆえみたいなところはあるにしても、あそこから押し返せるパワーを押し出せるチームになったのかと。訴えるべき課題と共に、こちらに訴えてくるような情熱は間違いなく感じたゲームでした。上で書いたように色々修正しなければならないところはあるぞという事をメッセージとしては送りつつ、一方でピッチの中の彼らから貰ったエモーショナルな感覚は途轍もなく大きかった。理屈で語れる難儀の向こうに理屈で語れない感動があった。この試合はそういう90分でした。なんというか、新潟戦でも追いつかれてすぐに取り返したこともそうですが、そういう地力は知らないうちに備わり始めたのかな…と。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
明治安田生命J1リーグ第18節分はガンバ大阪vs鹿島アントラーズの試合のマッチレビューページに掲載しております。
やっぱりパトリック。
ではでは(´∀`)