RK-3はきだめスタジオブログ

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仕掛けと手当て〜2024明治安田J1リーグ第35節 横浜F・マリノス vs 浦和レッズ 爆速マッチレビュー&試合考察〜

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DeNAの運命やいかに

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第32節、横浜F・マリノス vs 浦和レッズの一戦です。

 

 

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

オリジナル10として駆け抜け、リーグの中でも屈指の歴史と実績を残してきたこの2チーム。トリコロールの勇者と赤き戦士が相対するこのカードも今や「伝統」と称していいほどの歴史やドラマ、思い出を詰め込んでいると思います。

しかしマリノス、レッズが置かれた2024年シーズンは共に苦しいものでしたし、この2チームの軌跡には図らずも共通するものがありました。両チームとも、望まずとも新監督を迎える形でシーズンが始まりましたが、新しいサッカースタイルの定着がうまくいったとは言えず、マリノスは7月、浦和は9月に監督交代を敢行。気がつけば両チームとも降格圏の18位磐田と勝点差7の勝点42という降格の可能性すら現実的に生じている状況です。

来年のことは今年の運命が定まらない事には語れない、考えられない……その宿命がある以上、この2チームが今求めていることは目の前で伝統あるライバルを蹴散らし、とにかく3ポイントを獲得して残留だけはセーフティーゾーンに飛び込むこと。それ以外、それ以外にはもう何もない。極限状態に至る前に己を取り戻すのはどちらの悩める名門になるのでしょうか。

両チームスタメンです。

 

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日曜日に行われた直近の天皇杯準決勝G大阪戦からはスタメンを5人変更。DFラインはG大阪戦から上島拓巳だけ残す形で入れ替えており、左SBの加藤聖はACLには出場していましたが、リーグ戦では第26節神戸戦以来の出場となります。サイドバックを本職とする小池龍太はACL山東戦に続いてボランチ器用。過密日程のマリノスですが、3トップは公式戦4試合連続で同じ組み合わせです。

前節柏戦でようやくスコルジャ体制2勝目を挙げた浦和ですが、今日は絶対的存在のマリウス・ホイブラーテンが累積警告により出場停止に。同じくホイブラーテンが欠場していた第33節C大阪戦と同様、CBは井上黎生人と佐藤瑶大の日本人コンビとなりました。前節からのスタメン変更は前述のホイブラーテンを佐藤に変更したのみとなっています。

 

 

 

本日の会場は神奈川県横浜市日産スタジアムです。

 

 

横浜スタジアムを本拠地とし、マリノスともコラボ企画を色々行っている横浜DeNAベイスターズ日本シリーズ進出を果たしたことで色々と盛り上がっている横浜。ベイスターズは今日は福岡での試合ですが、横浜の夜はサッカーでも熱くなると十分に言えるカードが平日にブチ上がりました。サッカー日本代表戦は主に埼玉スタジアム2002で、国立競技場が新たに建て直されて以降はビッグイベントの多くは新国立に移りましたが、それでもサッカーラグビーのW杯東京五輪サッカーの決勝を行ったこのスタジアムの価値は唯一無二。秋の味覚フェスと銘打った今日の試合では各店舗による限定メニューの発売や崎陽軒と渡辺皓太のコラボとなる炒飯弁当が販売されます。

 

 

試合は自陣からボールを繋ごうとするマリノスに対し、浦和の前線4枚が連動して狙い、挟みにいくような形でハイプレスを敢行しました。そんな中でマリノスは開始早々にアクシデントが発生。6分の時点で加藤蓮が負傷して天野純との交代を余儀なくされ、ボランチ起用されていた小池を右SBに落とす事で対応します。

マリノスの最初のチャンスは10分。ミドルゾーンで得たFKを天野が直接狙うも、見事な軌道と弾道ながらクロスバーにヒット。対する浦和もその直後の13分、自陣から佐藤が送った絶妙なロングフィードに松尾佑介が抜け出してクロス。ファーサイドに走り込んだ渡邊凌磨がドンピシャで合わせてネットを揺らしましたが、松尾の時点でオフサイドとなりゴールは認められず。

 

 

 

ただマリノスは自陣でしっかり繋いでから3トップへのコースを作ろうと試みてはいたものの、マリノス自体が過密日程の影響は如実に感じさせるようなパフォーマンスで、浦和もそれを理解してかマリノス陣内の間に激しくボールを奪いにいきつつ、かつボールを奪った際には両サイドが相手SBの背後に抜け出すようなボールを何度も供給し、背後対応が甘いマリノスを刺すと同時にチームとして相手が走らなければならない状況を作っていきます。

その為、試合としてはわかりやすいほどボールを保持してアクションを起こすマリノス、ボール奪取からその裏を徹底的に狙いに行く浦和というシンプルな構図で前半は進んで行きました。

 

 

 

とはいえ前半は両チームともにいくつかの決定機を迎えており、マリノスは小池のパスに西村拓真が抜け出してシュートまで持ち込むもGK西川周作がセーブ。浦和は前半アディショナルタイムに渡邊のスルーパスにリンセンが抜け出す決定機がありましたが、わずかに枠を捉えられず前半は0-0で終了。

 

 

マリノスは後半から上島を下げて渡邊泰基を投入。

基本的な構図としては前半と同様で、マリノスが攻め込みながら浦和が構えて守ってカウンターを狙う展開となっており、特に後半の立ち上がりはよりマリノスの方に「早めに決めたい」というギアの入れようを感じるような時間になっていました。浦和は63分にリンセンと関根貴大を下げてチアゴサンタナ原口元気を投入。マリノスも65分にヤン・マテウス井上健太を下げて水沼宏太宮市亮を送り込んで勝負に出ます。

 

 

 

65分以降は水沼と宮市をWGに配置したマリノスがよりプレスをかける強度を上げられた事、逆に浦和はサンタナの投入で長いボールを収めてくれるポイントを作れたことから、両チームとも後ろからビルドアップしつつサイドのスペースを狙うマリノス、中央に入れてそこから打開したい浦和という構図の攻防になっていきました。

74分には宮市が縦に仕掛けたクロスボールを水沼が上手く落とすとそこにアンデルソン・ロペスが反応。しかしロペスはGK西川のプレッシャーに遭いシュートまで持ち込めず。ロペスも粘って小池に繋ぎますが、小池のシュートはゴールラインギリギリで大畑歩夢にブロックされて得点には至りません。81分には今度は水沼のクロスに宮市が反応するも僅かに枠外。浦和も中島翔哉と二田理央を投入。すると88分に左サイドから切り込んできた原口のクロスをファーサイドに走った二田が頭で折り返すと、そのボールをサンタナが押し込んで浦和先制…かと思われましたが、これは二田がオフサイドを取られて浦和はまたしてもVARに泣く事に。

 

 

 

終盤はややオープンかつ激しいアップダウンを伴い展開となり、終盤はマリノスが攻め込む場面も見られましたが最後までゴールは生まれず試合終了。残留とプライドを巡る決戦は、残留争いとしては両者にとって大きな勝点1を分け合う展開となりました。

 

 

 

いかんせんマリノスは15連戦の15試合目という状況でしたし、直近のG大阪戦では120分の戦いを強いられている以上、マリノスのコンディションがどう考えても良い状態ではない事はわかっていた訳で、だからこそマリノスはどこでギアを入れるか、逆に浦和はそこをどう利用するかという構図のゲームだったと思います。

そこのゲームプランは両チームとも十分に意識していた展開になっていたと思いますし、実際に前半のマリノスマリノスにしてはゆっくりと自陣で繋ぎながらスローペースに攻めていこうとする意思が伺えた。一方、前半の浦和はマリノスがボールを持っている際にはハイプレスを仕掛けてマリノスのDFラインを後ろに下げさせる、逆にマリノスが攻め込んできた時には自分達が後ろに下がって構えて守り、攻撃時にはロングボールで関根や松尾(特に松尾)に対して長いボールを入れ、彼らがサイドを抉る形を徹底した。もちろんマリノスの背後守備の対応は甘いので、天皇杯準決勝でガンバがやったようにそれを繰り返す事で粗を引き出そうとする狙いもあったでしょうが、今日に関してはマリノスの守備陣に激しいアップダウンを強いる事で消耗させていく…みたいの意図があったように思いました。

要は浦和のゲームプランとしては、前半は機動力のあるメンバーでマリノスを消耗させ、サンタナや中島のような決定的な仕事をできる選手を投入する後半はマリノスがボロを出した時にそこを仕留めていく……いわばこの試合を持久戦の様相にしてしまおうという狙いがあったんだと思います。マリノスの崩れ具合を見て、チームとしてどのタイミングで一気にアクセルを踏み込むか…みたいな。63分にサンタナを投入した事はおそらくその一つの表れで、あそこから浦和はそれまで以上に後ろから繋いで、自分達にとってより良い状況でサンタナに長いボールを入れられるようなアプローチをシフトしていった。そこでマリノスを間延びさせる事でスペースを増やし、マリノスが勝手に崩れていく状況を作る狙いがあったんだろうなと。

 

 

 

ただ、浦和が自陣からしっかり組み立てようとしたタイミングでマリノスはWGをヤンマテウス&井上から水沼&宮市にまるっと替えたんですよね。疲弊しつつあったヤンマテウスと井上からフレッシュな水沼と宮市にスイッチし、よりプレスの貢献が高い2人を入れた事で、この2人が浦和のビルドアップを阻害できるようになり、それによって浦和もサンタナへのルートを思うように作れないまま押し下げられていったと。それにより、マリノスが浦和が仕掛けたギアチェンジのタイミングというエアポケットのような時間でWG交代という策を打った事で浦和を押し返し、間延びしかけていたところをコンパクトな陣形に戻せるよう時間と態勢が確保できるようになった。終盤にサンタナに一度ネットを揺らされたように守備対応への不安は覗かせたとはいえ、そこからはマリノスが攻め手を多く繰り出せる展開になった訳で。

そう考えると、トータルとしてはマリノスが攻めて浦和が守る構図だったこの試合ですが、展開としては浦和が仕掛けてマリノスが策を打ったゲームだったのかなと。浦和が敷いたプラン然り、マリノスが交代策で行った手当て然り、両チームとも苦しい状況ながら「その時点で最善のアプローチは何か?」みたいなところは実践できていたようには思います。

 

 

という訳で日シリにチャンネル変更。

ではでは(´∀`)