京都の至宝よ、永遠なれ!
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第38節(最終節)、京都サンガFC vs 東京ヴェルディの一戦です。
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波のあるシーズンでした。
クラブ30周年を迎える今シーズン、サンガが掲げたスローガンは「史上最高で最強」でした。結果として、当初想定していた数字との乖離はそんなに無いな…という印象はある一方、トータルで見ればやっぱり最高・最強とはかけ離れたシーズンではあったのかなと。それが現時点での率直な感覚です。しかし、これまでサンガはずっとスパイラルの中にいました。3年以上J1に残れない、序盤で躓いたらもう取り戻せない…30年間ずっと回り続けたこの輪廻から脱した年だったとも思います。史上最高、史上最強ではなかったとしても、このクラブは歴史の風向きを確かに変えた…2024年はそういう一年でした。
同じところを回り続けたクラブ史は今、これまでと違うところに線を紡ごうとしているようにも映ります。この最終戦、対戦相手はかつては遠く目標でさえもなく、いつしか追い抜いた日もあって、そして今再びJ1リーグに旋風を巻き起こした30年前のスーパーヒーローです。新たな時代を歩いている彼らの背中に手をかけ、それが来季に繋がるように。アニバーサリーイヤーのラストに相応しい相手を前に、築き上げたスタイルがどうぶつかるのか…その一挙手一投足、一分一秒に期待し、今シーズン最後の日常を楽しみたいところです。
両チームスタメンです。
サンガは前節町田戦からの先発変更は2人。町田戦を累積警告により欠場していたマルコ・トゥーリオが先発に復帰しましたが、今度はラファエル・エリアスが累積警告の出場停止となった事で、平賀大空が左WGに入り第26節新潟戦以来の先発。エリアス起用時は左WGに入る原大智も第26節以来となる真ん中での先発となりました。ベンチには今季が高卒ルーキーだった安齋悠人、来季入団内定の特別指定選手となる中野瑠馬が入った一方、今季限りでの退団が発表された宮吉拓実はメンバーから外れています。
ヴェルディは前節川崎戦からのメンバー変更は1人。ワントップに入っていた木村勇大はサンガからレンタル中の選手なので今日は出場不可となっており、代わりに染野唯月が第32節G大阪戦以来の先発に抜擢されています。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
2024シーズンJ1リーグ
— 京都サンガF.C.【公式】 (@sangafc) 2024年12月8日
ホームゲーム総入場者数257,170人🏟️
年間で過去最多となる入場者数を記録いたしました🙇♀️
多くの方にご来場いただき誠にありがとうございました💜#sanga#京都サンガ#共創#強く超える#Jリーグ pic.twitter.com/NTyRFr9IcI
最終戦という事で、来場者の先着1万名には選手及び監督からの直筆メッセージが刻まれたボンフィンキーホルダーがプレゼント。メッセージはスタジアム内にも掲示され、先日発表された2025年シーズンのユニフォーも展示も実施されます。試合後のセレモニーでは恒例となったボランティアの方へのセレモニーや監督・主将・社長の他、セレモニー終了後には別枠として宮吉拓実がスタジアムを周回。サンガスタジアムでシーズンを戦うのは今季で5シーズンとなりました。今年はサンガスタジアムでJ2を戦った年数をJ1で戦った年数が遂に上回った一年。そういう特別な一年でした。このスタジアムがやがて「J1クラスのスタジアム」ではなく「J1クラブのスタジアム」という印象が自然になっていってほしいもの。
なお、この試合では17040人の来場を記録。2023年までのサンガスタジアム1試合最多入場者数を上回る数字を3試合も出し(第23節浦和戦、第31節G大阪戦、第33節神戸戦)、特にG大阪戦ではクラブ史上2位かつ西京極時代の2002年以来22年ぶり2万人を突破した今季は、クラブ史上最多の年間来場者数となる257170人の集客を達成しました!
立ち上がりにチャンスを作ったのはサンガで、立ち上がりの10分はサンガのハイプレスが機能し、最終ラインを高くしたハーフコートゲームに近い状態からプレスを繰り返すことでリズムを作るサンガの得意な戦い方ができていました。
しかしそこでなかなか決定的な場面を作れずにいると、ヴェルディはロングボールでサンガのプレスを回避し、前線の3枚がサンガの高くなったDFラインに対してスピードとコンビネーションで翻弄する…というパターンが目立つように。
しかし15分、ロングボールを受けた山見大登が巧みなトラップでボールを収め、そこからドリブルで抜け出してシュート。これはネットを揺らすも、トラップの時点で山見がハンドをしていたと判定されてVARでノーゴールに。
しかし19分には齊藤功佑がミドルを放ち、この場面はGK太田岳志のファインセーブで防ぎましたが、ロングボールを確実にチャンスに繋げたヴェルディがその連鎖の中で陣地回復に成功し、今度はヴェルディが高いラインからハイプレスを繰り出せる状況を確保。ここからサンガはヴェルディに押し込まれる形になり、攻め手がロングカウンターに委ねる展開になっていきました。
サンガも36分には平賀大空のボールを受けたマルコ・トゥーリオ、前半終了間際にも宮本優太から原大智のチャンスがありましたがいずれも活かせず。逆に前半終了間際にはヴェルディペースの試合展開を崩せないまま猛攻を受ける形になりましたが、ここはどうにか耐え切って前半終了。0-0のまま後半に向かいます。
後半に入ると曺貴裁監督は54分の段階で平賀を下げてムリロ・コスタを投入。後半は前半と比べるとサンガがボールを保持する時間も増えており、そこから平戸をやや前に押し出した形でプレーする後半戦のサンガの良い形が出やすい試合展開に持っていく事は出来るようになり始めました。しかしヴェルディもハイプレスの場面とリトリートの場面をうまく使い分けており、サンガはなかなか前線に入った時の攻め手をクロスに頼らざるを得ない形に。
サンガもトゥーリオやムリロコスタが抜け出す好機をいくつか作りながらもチャンスに結びつけられない間にヴェルディは山見と染野を下げて山田剛綺と松橋優安、綱島を下げて千田海人を立て続けに投入。すると比較的前半に近い形でヴェルディが三度陣地回復を図るようになってきました。サンガも77分に平戸を下げて推進力のある安斎悠人を投入し、トゥーリオを中央に移す事でサイドと中央をリンクさせようと試み、試合はサンガのヴェルディの陣取り合戦のような様相に。
83分には右からのクロスボールに合わせた川﨑のシュートが枠を捉えられず、87分には押し込んだサンガが原、川﨑、コスタの絡んだ攻撃から最後はトゥーリオが決定機を迎えますが、ヴェルディの厚い壁にコースを消されてシュートも僅かに枠外へ。
試合は結局、最後までスコアが動くことなく終了。サンガのシーズン最終戦は0-0のドロー。最終成績は12勝11分15敗の14位という事になりました。
難儀なゲームだったと思います。
序盤はサンガが攻勢に出て、いわゆる「サンガの得意なパターン」を発揮できそうな時間もありましたが、ヴェルディにうまくプレス回避をされ、そこからうまく陣地回復をされてしまった事で、全体的に長い距離のカウンターに頼らざるを得ない前半になってしまいました。後半に関しても同じような入り、同じような展開の末にサンガがややヴェルディをオープンな展開に持ち込めたので五分に近い展開に持っていく事は出来ましたが、守備はGK太田のスーパーセーブに救われたところはありながらも安定したパフォーマンスを見せていた一方、攻撃に関してはどうしても単調気味になってしまったところがあったと思います。
前節と違って今日はトゥーリオがいたので、平戸と共に中盤の高い位置で攻撃時間をつくるアプローチはできていましたし、試合がオープンになってからはトゥーリオやムリロコスタが裏に抜けて決定機になりそうな場面もいくつかありました。ただ今日はエリアスがいなかった事で……得点王がいない事というよりは、エリアスが定着してからは「ニアに走るエリアス、ファーに走る原」みたいな関係性ができていましたから、ラストパスやクロスの行き先の選択肢がぐっと減ってしまっていた。抜け出したトゥーリオがシュートかパスかドリブルで逡巡している間に相手の帰陣を許した場面はその典型だったんじゃないかと思います。豊川ならまだエリアスに近い動きができたかもしれませんが、平賀にその動きを期待するのはタイプ的に酷な話でもあるでしょうし。
そもそも、ヴェルディはチームとしてハイプレスで潰す場面、リトリートで割り切ってブロックを組む場面の切り替えが抜群に上手かった。それでサンガはスピード感を止められてしまっていましたし。ヴェルディ躍進の要因はイキイキした動きを見せるアタッカー陣にフォーカスが当たりがちですが、攻守というよりも守と守のフェーズの切り替えと言いますか、同じ攻撃、同じ守備の局面でも複数のパターンを提示してくるようなやり方が肝なんだろうなと。ここは本当にサンガが学ぶべきところで、来季に向けて求められているところだと思います。
以前書いたブログにも書いたことですが、サンガの得意なパターンは得意なパターンで大事にするべき形ですし、そういうパターンを一つ持っていることはすごく重要な事なんですけど、サンガは横幅のバリエーションがやっぱり少なくて、それ以外のパターンを提示できない部分があります。
個人的には来季に関しても、まず監督は続投する訳ですから大幅にスタイルを変えるべきだとは思っていません。ただ、やれることをチームとかで増やすアプローチは必要でしょう。少なくとも今季、0-5になってからの推移はサンガだってそれをやれるポテンシャルはある事を見せたと思いますしね。それができるような戦力強化、キャンプの取り組みを求めたいところです。
シーズンの総括ブログはまた追々書いていくとして…(多分越年)
終わってみれば想定と比較して悪い数字では無かった。ただ、開幕前に掲げた「史上最高で最強」とは程遠いシーズンではあった。どんなチームのどんなシーズンにも波は少なからず起こりますが、サンガは特にそれが激しかった。このクラブが今後も"J1クラブ"という印象を持たせたいならば、今季前半の体たらくは本来起こるべきでは無いものです。開幕前の時点から、サンガの戦力は少なくとも下から3番以内ではどう見積もっても無かったので。それを踏まえれば、掲げた高い目標には到底及ばなかったシーズンだったと思っています。
ただ30周年を迎えた歴史の中で、サンガが降格する時のパターンはいつも同じでした。去年や一昨年もそうであったように、サンガが残留する時のパターンは前半戦のうちにある程度の勝点を稼ぎ、比較的余裕のある立場での残留争いを過ごすことり一方、3年連続で残留さえも出来た事がなかったこのクラブが降格するシーズンのパターンは出だしで躓き、前半戦で最下位に堕ち、少しばかりの反撃をしたとしても這い上がる事なくJ2に沈んでいく。2000年も、2003年も、2006年も、2010年も……。底が見えたその時が最期、それがクラブがJ1で歩んできた30年の負の歴史でした。ああ、このパターンか……雨が降り頻るサンガスタジアムで見た0-5より前から、このクラブのスパイラルにハマってしまったその感覚は確かにありました。
それでも今年は、底が見えたあの瞬間から立ち直ってみせた。これまで底を見たところから跳ね返すことができなかったこのチームが、30年間ずっと呑み込まれて、呑み込まれたこの場所こそが定住地とさえ思っていた場所から顔を出した。30周年が史上最高にはならなかったけれど、30周年の年に30年のスパイラルから抜け出した…間違いなくそう一年ではあったと思います。
サンガはまだ、世間の印象は"J2からJ1に出てきたクラブ"でしょう。ここからサンガはあらゆる意味で"J1のクラブ"にならなければならない。このアニバーサリーイヤーを起点に、そういうクラブになる為の邁進をしていってほしい…そう願いながら来年も追っていきます。
帰っておいで・・・
ではでは(´∀`)