RK-3はきだめスタジオブログ

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いつものように〜2024明治安田J1リーグ第38節(最終節) ガンバ大阪 vs サンフレッチェ広島 マッチレビュー&試合考察〜

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ガンバと広島の奇縁

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第38節(最終節)、ガンバ大阪 vs サンフレッチェ広島の一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

今シーズンを一言で表すことは難しいですが……簡単な言葉で表すと楽しい一年だったと思います。

これまでと違って勝てて楽しかった。やってきたサッカーを表現できて楽しかった。楽しくはなかったけど、残留争いに敗れる悔しさが優勝争いを逃した悔しさに変わった。それもすごく幸せな事な訳で。

 

 

思えば去年、優勝を前節に決めていた神戸の前で行った最終節セレモニーで、マイクの前に立った監督や主将に注がれたのは苛烈なブーイングでした。あれなら一年、今日の試合がどうなれどもパナスタで見るものは全く違う景色になる事でしょう。それは間違いなく、そういうシーズンを歩んだガンバ大阪の戦士達に向けられる賞賛のはずです。

相手は広島。今年のガンバは積み上げを見せてこの順位に辿り着きましたが、そのプロセスで先を行っているチームが彼らと言えるでしょう。学ぶべきところ、尊敬すべきところは彼らからいくらでもある。しかし彼らをこの場所で喜ばせる訳にはいかない。これだけ素晴らしいシーズンの最後の記憶を他所のチームのシャーレリフトにする訳にはいきません。ここで紫を打ち砕き、そして自分達で、ポヤトス監督と宇佐美主将を先頭に築き、走ったこのチームでアジアの扉を開きましょう!

両チームスタメンです。

 

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宇佐美貴史が負傷離脱中のガンバは1-0で勝利した前節新潟戦からのメンバー変更はスタメン、ベンチ共にありません。負傷離脱だったイッサム・ジェバリ、ウェルトン、ネタ・ラヴィといった選手も第36節磐田戦から順番に復帰しており、今日も坂本一彩と山田康太を縦関係にした形でスタートです。

対する広島はベンチ入りメンバー18人は5-1で圧勝した前節札幌戦からの変更はありませんが、今日はワントップをゴンサロ・パシエンシアから前節2得点のピエロス・ソティリウに変更。一時負傷離脱していたソティリウは第23節福岡戦以来の先発起用ということになりました。今季限りで退団する柏好文、そしてこれが現役最後のゲームとなる青山敏弘もベンチ入り。直近の試合となったACL2東方戦からはスタメンを総入替えしています。

 

 

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

 

 

2年連続のホームでの最終戦となりました。11月には音楽イベント「SUPER POP」が開催されましたが、ガンバのホームでの試合は10月末の天皇杯準決勝横浜FM戦、リーグ戦では第35節名古屋戦以来のパナスタ開催です。来場者にはホッケーシャツがプレゼントされる他、OBの岡中勇人氏、お笑い芸人のインディアンズ、そして映画とのタイアップ企画でソニック&シャドウが来場。また、モフレムカップケーキも特別に販売されます。

今年はブルストリアに展示していた歴代のシャーレやトロフィーをカテゴリー6コンコースに移設したり、スタグル飲食スペースを新たに設けるなど日々進化するパナスタを体現。このスタジアムから新たなスポーツエンターテイメントの活性化とガンバの躍進を期待したいだけに、なんとしてもアジアの切符を掴んで欲しいところ。

 

 

序盤こそ広島が攻勢に出ようとした場面がありましたが、前半から試合のペースを握ったのはガンバでした。

ガンバは今シーズンを通して貫いてきた戦い方のベースを今日もしっかりと実践。WGが幅を取りながらピッチ上のスペースを拡げて戦いますが、今日は広島のハイプレスがいつもの広島としてもアバウトと言いますか、わかりやすくガンバの選手に食いつくようなプレスになっており、ガンバからすればプレスによってマークが外れたところへのパス、或いは一枚剥がした時のスペース攻略ができるエリアが想像以上に作れる展開になっていました。

 

 

 

その結果、今日のガンバは左サイドにボールを通したところからウェルトンが突破し放題の状況となっており、うまく連動できていない広島のプレスを嘲笑うかのように縦へのドリブル突破を何度も敢行していきます。

13分にはウェルトンの突破からのクロスで獲得した右CKを鈴木徳真が蹴り込むと、このCKはブロックされますがこぼれ球を山田康太が回収。山田のパスを受けたウェルトンのグラウンダーの折り返しを坂本一彩が冷静に流し込んでガンバ先制!!坂本は今季9点目。躍進を象徴するヤングスターがここでも結果を残します!

 

 

その後もガンバペースの時間が続いており、ガンバはピッチ全体を支配するようにゲームをコントロールしていきました。ここ数試合でよく見られる鈴木を中盤から一枚落とすような形でのボール回しで広島をいたしながらゲームを展開。

広島と時間経過と共にとにかく前にボールを入れて攻撃機会を作る場面もあり、少しずつようやく広島のプレスが連動してくるような場面も出てきましたが、GK一森純もいくつか好セーブを見せて前半終了。前半はガンバがリードで終えます。

 

 

後半も基本的には前半同様にガンバがボールをコントロールする形で試合が進んでおり、リズムが良いのはやはりガンバの方でした。一方、広島は後半は明確にソティリウにボールを収めさせたところから攻撃の流れを生み出せるようにアプローチしたことで前半よりも攻撃機会は増やせている形にになっていきます。勝つしか方法のない広島は60分にソティリウと川辺駿を下げてパシエンシアと中島洋太朗を投入。この時間帯になるとガンバも少し中盤でのプレスが甘くなり始める場面もありました。

すると70分、ミドルゾーンで中島が左サイドに展開すると、東俊希の絶妙なクロスボールを加藤陸次樹が巧みな胸トラップから前に出てシュート。これがネットを揺らして広島同点…かと思いきや、加藤がトラップの段階でオフサイドを取られてVARでノーゴールに。ガンバは73分に山下を下げて福田湧矢、78分に山田とウェルトンを下げて美藤倫とファン・アラーノを投入し、鈴木をアンカーに美藤とダワンをインサイドハーフに押し出した4-1-2-3の形にシフト。広島も同じタイミングでアルスランと東を下げて満田誠と柏好文を送り出します。

 

 

 

81分、ガンバは右サイドの深い位置でFKを獲得すると、鈴木がファーサイドに蹴り込んだボールをダワンが持ち味のスーパーヘッドで折り返し。ここに中谷進之介が身体ごと押し込むようにして2-0!!今季の主役の1人でもあるDFリーダーがシーズンの締めに相応しい追加点!!

更に89分には中央で細かいパスを回すと黒川がエリア内に入れたパスにアラーノのシュート性のボールがパスとなり、反応した坂本がGK大迫との1対1を冷静に制して3点目!!坂本はこれで二桁得点達成!!

 

 

アディショナルタイムには今季限りでの退団を表明している柏のクロスを加藤が合わせてクリーンシート達成はならず。しかしそのまま試合終了の笛がパナスタに木霊し、ガンバ大阪見事勝利!

18勝12分8敗の勝点66。ここ数年が嘘のようにではなく、この数年の苦しさの上に立ち見事4位!川崎と横浜FMのACLEの結果にもよりますが、2025/26シーズンのACL2出場の可能性を残してシーズンを終えました!

 

 

 

素晴らしいゲームだったと思います。

というのも、今日はほとんどの時間でガンバがゲームを支配しながらプレーできていたと思いますが、感想としては別にガンバが特段に良かった…という訳ではないと思うんですよね。言うなればガンバは今季やり続けたサッカーをいつものように、いつも通りに発揮した。そう言い切れるパフォーマンスを出していましたし、逆に広島は…「絶対に勝たなければならない立場」という事で、動きが硬いというよりも前のめりになり過ぎているような印象がありました。特に前半ですね。すごく食い付くようにプレスに来ていたというか……それゆえにいつものように落ち着きながらボールを動かせていたガンバは2対1のパスワークでぽんぽんとDFを剥がせたり、中途半端なコースで襲ってきたプレスをウェルトンが蹂躙するように突破する場面がいくつも見られた。そういう連鎖が試合を通してずっと起こせていたと思います。

それは今季…昨季からポヤトス監督の下でしっかりと作り上げたベースを土台として、その上に選手の個性、対戦相手の特性や状況を乗せるという試合ごとのルーティーンがしっかりと活きた賜物と言うべきでしょう。最終節にして、チームの土台が向上したことを示すようなゲームをしてくれたのは見事という他ないですし、努力の跡という感じがしてまさしく脱帽です。いつも通りのサッカーだったからこそ、いつも通りの状況ではなかった相手に対して抜群にハマった。その点で今季の良い面を象徴するゲームの一つと言えるんじゃないでしょうか。

 

 

 

一時期、色んな人が言っていた言葉が「強いガンバを取り戻す」だった事を思い出します。

 

 

ただ結局のところ、どんな努力を重ねても過去は過去でしかなく取り戻せるものではない。復活を期すならば時代を新しく塗っていく事でしか軌跡は紡げない。過去を取り戻そうとして失墜していったチームなんていくつもあった…ガンバもその領域に片足を突っ込んでいたと思います。

その中で、今季のガンバ…2023年から紡いだ変革は、今年その道のりを一つ肯定してくれたような一年でした。過去を取り戻すのではなく、過去から繋いだものと共に新しい道を拓く。スペイン人監督がもたらした知見で彩った新しいページの上を、受け継がれた7の文字を背に踊る象徴の姿は、そんな変革と継承をまざまざと表現してくれているような光景でした。2年前に鹿島で残留を決めた時の事を宇佐美貴史は「残留争いに勝って喜ばせるくらいなら優勝争いに負けて悔しがらせてあげた方がいい」と述懐していましたが、今年の悔しさと屈辱にも、どこか美味な後味が残っていた…そこまで連れてきてくれた、この悔しさに酔えるようなシーズンを作ってくれた事に感謝しかありません。100%の正解はなく、そして100%ではない正解が多すぎるこの世界で「絶対」という言葉は存在しないのでしょうが、ガンバ大阪が今歩いているこの道はきっと正しい…間違いなくそう信じさせてくるシーズンだったと思います。

一年間ありがとうございました。来年こそ10個目の星を!!!!!!!!!!

 

 

どうなるんだACL

ではでは(´∀`)