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ロシアW杯観戦記〜あれから1年…《海外ド音痴、ロシアに翔ぶ。〜英語もまともに話せない私のロシアW杯観戦記〜》2019年再編集版〜第2話 決戦は水曜日

【ロシアW杯観戦記再編集版、第1話はこちら↓】

 

 

 

なんとか、なんとかロシアW杯のチケット最終販売日までにパスポートの発行は間に合わせた。本籍地が京都じゃないという事態が発生したり、京都駅のパスポート発行場についた時点で証明写真を持ってくる事をガチで忘れていたり、バスの中で日本代表監督交代の一報を聞くなど、もう何かと慌しくグダグダもグダグダ、なに?この段階から緊張でもしてんの?とでも言いたくなるようなドタバタ劇こそあったが、結果的には予定通りに事は進んだ。

 

迎えたロシアW杯チケット最終販売日、私はその友人と常に電話を繋いだ状態にしておき、双方のスマホとパソコンと4デバイス体制でチケット争奪戦に臨む。これまで、日本代表戦や阪神タイガースクライマックスシリーズなど、結構な倍率のチケット争奪戦を戦ってきた。しかし今回はW杯のチケットである。全世界のサッカーファンが、この日にチケットサイトにアクセスするのだ。言ってしまえば世界戦みたいなものである。

チケット争奪戦が始まるのはロシア時間の正午…日本時間では18:00だ。この件に関しては、時差に正直なところ助けられた、という程では無いが、18:00の方が12:00よりも都合は良かった。W杯開催国によっては、時差でド深夜のインターネット戦争を強いられる可能性だってある訳だから、そこはロシア開催でラッキーだった部分だったのかもしれない。

 

 

 

さて、ロシアW杯のチケット最終のシステムだが、第一次、第二次販売を経た後に組み合わせ抽選会が行われる。友人がサンクトペテルブルクで開催される2試合のチケットを抑えたはこの段階で、ロシア戦は狙って獲得したらしいが、そのロシアの対戦相手、そしてもう一つのBグループの初戦がどうなるかはわかっていなかった。このもう一つのチケットの対戦カードがモロッコvsイランになった次の日、Jリーグ観戦で神戸で出会った彼が嘆いていたのは前回述べた通りだ。

そして抽選会後に行われるのが抽選で行われる第三次販売、そして先着順の最終販売である。ここでチケットを買い逃す事になれば、後は事情によって行けなくなったチケットをFIFAが仲介する形で公式によって認められている転売であるリセールに賭けるしかない。W杯クラスになればリセールに出るチケットだってそう多くないのに、その僅かなチケットにとんでもない数の人間が食いつく訳だから、リセールでチケットを手にするには抽選販売でチケットを手にする以上に相当な運が必要となる。

いかんせんW杯だ。世界中の人々がリセールに群がるのだ。人気アーティストのコンサートチケットのリセールとですら比較にならないと思う。その点に関して言えば、我々のスタンスはあくまで「モロッコvsイランを削ってでも、優勝候補のチームのチケットを買い足そう」というスタンスで、買えなくてもW杯に行けなくなる訳では無かった分、今思えば気は楽になれる状況ではあったのかもしれない。

 

 

 

今回のW杯チケットでは、チケットの競争倍率の問題がより一層顕著だったように思う。

 

この最終販売は当然、既に抽選結果は出ている。その為、優勝候補の試合とそうでもない国の試合では倍率に大きな差が出てくるのは当然の事で、それは別にロシアW杯に限った話ではない。

しかし、今回のロシアW杯はブラジル、南アフリカW杯以上に広いロシアの国土面積という問題がこの倍率問題に更に拍車をかける。要はW杯開催エリアが余りにも広過ぎるのだ。ロシアW杯はモスクワ、サンクトペテルブルクニジニ・ノヴゴロド、カザン、サマーラ、サランスク、カリーニングラードヴォルゴグラード、ロストフ・ド・ナヌー、ソチ、エカテリンブルクの11都市12会場で行われる。最西の開催地、カリーニングラードから最東のエカテリンブルクまでは実に3053km。文字通り、今回のW杯で1チームを追うとすれば、それは完全にロシア連邦横断レベルの話となってしまうのだ。それだけ開催都市間の距離が尋常じゃないくらいに離れているし、また都市としてのレベルも交通機関の発達具合も全然違う。

例えば日韓W杯の時の日本で言えば、ナイトゲームでさえ無ければ札幌だろうが茨城だろうがその日のうちに東京まで行けるし、大分であればその日のうちに福岡というある程度なんでも揃った都市まで移動する事が出来る。しかしロシアは違う。飛行機での移動にしても、普通に国から国への移動と変わらない時間を要する場所もある。ロシア最大の都市モスクワと、第2の都市であるサンクトペテルブルクがある程度離れていれば、都市としての拠点が2つ出来てこの問題は多少和らいだのかもしれないが、よりによってロシアとサンクトペテルブルクはそこまで距離が離れている訳じゃない。だからこの問題はより一層観戦者にとっては一考を要する問題となる。

 

説明が長くなってしまったが、要するにこのような開催都市が広過ぎるという問題がある為、倍率は人気カードかどうかのみならず、その試合の会場がどこか…という事にも大きく左右されたのだ。

当然、そうなるとモスクワ、サンクトペテルブルクで開催される試合の倍率はグッと高くなるし、この2都市から比較的行きやすいカザン、ニジニ・ノヴゴロド、2014年冬季五輪の影響で多少交通整備がされて行きやすくなったソチなどのカードの倍率は通常通り対戦カードに左右される一方で、カリーニングラードエカテリンブルクのようにどう見てもとんでもない場所にある会場やサランスク、ヴォルゴグラードのようなロシア人からしてもヤベェ場所で開催されるカードの倍率は必然的に下がるのだ。

今大会、日本代表の試合のチケットは比較的購入のハードルが高くなかった。それはロシアに行く日本人がそこまで多くない事、日本vs優勝候補の試合が組まれていない事、ロシア人にとって日本代表がそこまで人気があるチームじゃないという事も然りだが、その最大の理由は日本の試合会場はサランスク、エカテリンブルクヴォルゴグラードという観戦ハードルが高過ぎる場所ばかりで試合が組まれた事であり、日韓W杯で言えば茨城→札幌→大分みたいなスケジュールをロシアサイズでやられるようなものである。日本代表チーム一行はもちろん、この3試合を追いかけた日本代表サポーターにも心から敬意を表したいほど。特にサランスクについては、地図で見ればモスクワからそこまで離れていないから行きやすそうにも見えるが、ロシア人にとってもとてつもなく行きにくい場所らしく、「マジでサランスクでW杯やんのかよ…」という声すらあったらしい。

 

 

 

前置きが長くなってしまったが、そうなると我々が考えなくてはならないのはどの試合のチケットを取るか、だ。

まず第一に、開催国の試合は観てみたいという事から6月19日のロシアvsエジプト戦は固定されている。そして何より、我々は大学生である。飛行機をブンブン乗り回すような資金力などある訳も無い以上、移動には半日以上の時間を要する事が確定していた。そうなると必然的に、6月18日と20日の試合を観戦する事は物理的に難しい。また、飛行機のチケットの都合上、ロシアに入国する日と出国する日は既に固まっていたので、そもそも我々の購入対象試合はその期間内に限られてくる。そして前述の開催都市の都合もあり、資金力を含めた我々の体力でカリーニングラードエカテリンブルクに挑もうものなら、それはもはや旅の失敗の可能性だけが高まるだけだった。

その結果、前提条件として挙げられた事が以下の3点である。

 

1.6月15〜21日の期間内の試合で、19日はサンクトペテルブルク、21日夜にはモスクワに居る事が出来るスケジュール。

2.モスクワの2会場、もしくはサンクトペテルブルクでの試合優先。

3.2が厳しい場合、カザン、ニジニ・ノヴゴロド、ロストフ・ド・ナヌー会場の試合でも可。

 

その結果、購入候補となった試合が以下の6試合である。

 

6月16日 フランスvsオーストラリア(カザン)

6月16日 アルゼンチンvsアイスランド(モスクワ)

6月17日 ドイツvsメキシコ(モスクワ)

6月17日 ブラジルvsスイス(ロストフ)

6月20日 ポルトガルvsモロッコ(モスクワ)

6月20日 イランvsスペイン(カザン)

 

このうち、アルゼンチンvsアイスランドは最終販売前の時点で完売となっていた為、事実上5試合の中から1試合、あわよくば2試合のチケットを確保出来れば…。という状況になった。

そもそもこれは、友人の同行者が直前で私に代わった事で、スケジュールを少々無理のあるものにする事が可能になった事から発案された、チケットをグレードアップさせたいが為のチケット争奪戦であり、この5試合のチケットが取れなくとも、ロシアvsエジプトは観に行けるし、そうなればリセールに出さずに普通にモロッコvsイランを観に行けばいい。そう、既に友人がチケットを確保していた訳で、W杯はどのみち観に行けるんだから、そんな壮大なプレッシャーを感じる必要はないはずだった。

 

 

 

そして時刻は運命の18:00を迎える。

そこまでのプレッシャーはかからないだろう、元々自分は、そこまで緊張も抱きにくいタイプだ。

 

そんなこれまでの経験からの楽観は15:00頃からカウントダウン形式に崩れていき、そして始まる前には緊張とも違う、今までに味わった事のない緊迫感がこの身を襲うのだ。

 

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つづく。