それぞれの軌跡の果てで〜Jリーグが急に中断期間に入っちゃったから印象に残るシーズンを振り返ろう企画・第6回 2011年J1優勝争い〜【2011年J1最終節特集】

2020年2月25日、Jリーグは開幕戦とルヴァン カップを1試合ずつ終えたタイミングで新型コロナウィルスの影響により、3月15日までのJリーグ主催全公式戦を延期する決定を発表した。

 

事情が事情である為、こうなってしまった以上中止はやむを得ない。ただ、同時にJリーグファンにとってはやっとシーズンが始まったのに、またもオフシーズンのような状態に、退屈な日々に戻った事も確かである。そこで…昨年のリーグ閉幕前に5回連載していた過去のJリーグの印象的な優勝争い・残留争い・昇格争いを振り返る企画を一時的に再開しようと思う。中断期間の暇潰し程度に使ってもらえれば幸いである。

今回は本日3月5日からちょうど9年前に開幕した2011年を取り上げる。スポーツ的な意味でも日本サッカーがまさしく新時代に突入したこの年はまさしく激動の一年だった。最終節、最後の最後には3チームが可能性を残した激闘の一年を振り返る。

 

2011年のJ1チーム

ベガルタ仙台(前年14位)

モンテディオ山形(前年13位)

鹿島アントラーズ(前年4位)

浦和レッズ(前年10位)

大宮アルディージャ(前年12位)

柏レイソル(前年J2、優勝)

川崎フロンターレ(前年5位)

横浜F・マリノス(前年8位)

ヴァンフォーレ甲府(前年J2、2位)

アルビレックス新潟(前年9位)

清水エスパルス(前年6位)

ジュビロ磐田(前年11位)

名古屋グランパス(前年優勝)

ガンバ大阪(前年2位)

セレッソ大阪(前年3位)

ヴィッセル神戸(前年15位)

サンフレッチェ広島(前年7位)

アビスパ福岡(前年J2、3位)

 

 

 

開幕戦まで

 

1月、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表はカタールで開催されたアジアカップ2011を劇的な展開の連続で優勝を成し遂げ、更には長友佑都が当時世界最強クラブの一つであったインテル・ミラノ入団が決定するなど、日本サッカー界は2010年南アフリカW杯から続くかつてない上昇気流の中にいた。そんな中で開幕を迎えた2011年シーズンだったが、下馬評が最も高かったのは当然ながら2010年シーズンを圧倒的な強さで制した名古屋。第二勢力として優勝争いの常連であるガンバと鹿島、そこに近年若手を中心に躍進を遂げたセレッソや広島、積極補強を実現させた浦和などがどう絡むか…が優勝予想の争点と言えた。

3月5日に迎えた開幕戦では名古屋や鹿島がアディショナルタイムのゴールで何とか同点に追いついた一方、ガンバがいきなりの大阪ダービーとなった試合で2-1で勝利。その他、前年のJ2で圧倒的な成績を残したネルシーニョ監督率いる柏は、上位常連だったものの長谷川健太監督の退任、岡崎慎司を筆頭に主力が大量流出した清水相手に3-0で快勝。各チーム、3月12、13日に予定されていた第2節の試合会場へと向かった。

 

 

しかし3月11日、未曾有の大災害が日本を襲う。東日本大震災である。

Jリーグは即日、第2節の延期を発表。そして後日、仙台や鹿島などのホームスタジアムにも被害が及んだ事も影響し、4月23日までのJリーグ主催試合を全て延期する事が発表された(※1)。これにより、この時点でこの年は夏場に過密日程を余儀なくされる事が確定し、各チームはそれぞれの調整の練り直しなどが求められるようになる。

そして1ヶ月半後…J1は第2〜6節を延期する形になった為、4月23、24日に第7節からリーグを再開した。

 

※1 なお、名古屋、G大阪C大阪、鹿島が出場したACLに関しては3月15日に日本国内で開催される予定だった名古屋と鹿島の試合が延期された以外はJリーグ中断期間中も名古屋、G大阪C大阪の3チームの試合は予定通り開催されている。鹿島は本拠地の県立カシマサッカースタジアムが被害を受けていた為、ホーム&アウェイの順番を入れ替える、鹿島ホームの会場を国立競技場に変更するなどの措置をとってACLの日程を消化した。

 

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第7節(中断明け)以降

 

開明け最初の試合、最大のハイライトは何と言っても仙台だった。敵地、等々力陸上競技場で川崎と対戦したが、先制を許しながらも73分に太田吉彰、87分に鎌田次郎のゴールで2-1と劇的な逆転勝利を収める。昨季はギリギリのところで残留を決めた仙台だったが、手倉森誠監督率いる堅守速攻をベースにしたチームは実力以上のものを発揮し、開幕戦の引き分けを合わせて12戦無敗を成し遂げて序盤のリーグ戦を引っ張った。

 

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仙台と共に序盤戦で首位争いを繰り広げたのは木村和司監督体制2年目のマリノスミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下、アジアカップでヒーローになった李忠成を筆頭に優秀な選手が多く台頭していた広島。そんな中で開幕からの10試合で7勝1分2敗の成績を残して首位に立ったのが昇格組の柏だった。2009年は広島(※2)、2010年はセレッソが昇格1年目ながらACL出場権を獲得した流れがあった事で、被災地を背負う仙台と昇格1年目の柏にはこの辺りから期待が大きくなる。

一方、名古屋、ガンバ、セレッソ、鹿島といった昨季のACL組は軒並み低迷を強いられた。特にセレッソと鹿島は浦和を加えて残留争いに片足を突っ込んでしまっているほど。10試合を消化した時点での順位表は近年ではなかなか見ない並び方であった。

 

※2 広島は2009年に4位だったが、3位に入ったG大阪天皇杯で優勝した事で繰り上げで2010年のACLに出場している。

 

迎えた第18節、柏、マリノスが勝利した一方で仙台は清水相手に初黒星を喫する。広島の調子が落ちた一方、ガンバは仙台、マリノス、柏、広島との上位チームとの4連戦で3勝1敗、4試合で12得点を叩き出して調子を取り戻し、8試合無敗を達成した川崎と共に上位争いに食い込み始めた。ここから延期分となる試合を含めた夏場の連戦が幕を開ける。

 

第18節終了時順位表

1位 柏レイソル(28)

2位 横浜F・マリノス(24)

3位 川崎フロンターレ(24)

4位 ベガルタ仙台(24)

5位 ガンバ大阪(22)(※3)

6位 サンフレッチェ広島(22)

7位 名古屋グランパス(20)(※3)

8位 ジュビロ磐田(19)

9位 清水エスパルス(19)

10位 大宮アルディージャ(18)

11位 ヴィッセル神戸(16)

12位 鹿島アントラーズ(15)(※3)

13位 セレッソ大阪(12)(※3)

14位 浦和レッズ(12)

15位 アルビレックス新潟(12)

16位 ヴァンフォーレ甲府(11)

17位 モンテディオ山形(8)

18位 アビスパ福岡(1)

 

※3 この時点で名古屋、C大阪は1試合、G大阪、鹿島は2試合消化試合が少ない。

 

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中盤戦以降

 

序盤戦で躍進した仙台だったが、第18節の清水戦を落とすとそこからの9試合で4分5敗と大きく失速してしまい、上位戦線からの後退を余儀なくされる。ここからは首位柏をマリノスと川崎が追う構図が展開されたが、川崎がホームで首位柏を迎え打った第5節延期分を終盤のジュニーニョのゴールで3-2で勝利し、柏を遂に首位から引きずり下ろす事に成功。柏の代わりに首位に立ったマリノスと共にここから快進撃を見せていくと見られたが、あろう事か川崎はここから怒涛の8連敗を喫してしまい、優勝争いはおろか順位は一気に2桁まで転落していった。

一方、アドリアーノ宇佐美貴史の退団でこの先が不安視されたガンバだったが、ザスパ草津から獲得したラフィーニャが大ヒット。西野朗監督の下で10年間築いてきた攻撃力がここに来て大爆発し、失点の多さこそ相変わらずだったが開幕から26試合連続得点の破壊力を前面に押し出して第6節延期分の試合から11戦無敗(7勝4敗)。更に序盤は不振に陥っていた前年王者の名古屋も16戦無敗で一気に勝点を積み上げて行くと、シーズンが後半戦を過ぎた頃には優勝争いは柏、マリノス、ガンバ、名古屋の4チームに絞られていた。

 

延期分の5試合を消化して迎えた第20節、首位のマリノスはアウェイに乗り込んで2位柏との1位2位直接対決を迎える。だが8分、柏はレアンドロ・ドミンゲスが先制ゴールを奪うと、66分にはジョルジ・ワグネルが追加点を決めて柏が2-0で勝利。柏が再び首位に返り咲いたが、翌21節で柏は磐田に1-6という大差で敗れると再び首位から転落してしまったのだ。そしてACLによる延期分となった第9節では柏に代わって首位に立った名古屋を勝点差2で追うガンバの直接対決が実現。ガンバはラフィーニャキム・スンヨンのゴールで2度リードを奪ったが、終盤にケネディに同点ゴールを許してドローゲーム。首位に立つ事は叶わなかった。

 

2011Jリーグディビジョン1第20節

柏レイソル2-0横浜F・マリノス

2011年8月6日19:04@日立柏サッカー場

柏得点者:レアンドロ・ドミンゲス(8分)、ジョルジ・ワグネル(66分)

 

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2011Jリーグディビジョン1第9節延期分

ガンバ大阪2-2名古屋グランパス

2011年8月17日19:03@万博記念競技場

G大阪得点者:ラフィーニャ(45+1分)、キム・スンヨン(74分)

名古屋得点者:ブルザノビッチ(56分)、ケネディ(85分)

 

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直接対決をドローに持ち込んで無敗記録を16にまで伸ばした名古屋だったが、次の第22節で仙台に0-1で敗れて17試合ぶりの敗戦を喫する(※4)。逆にガンバはホーム万博で連敗中の川崎相手に6-3と乱打戦を展開して勝利し、今季初めての首位に立つと、翌第23節では2位柏をこの日がこの年唯一の出場となった大塚翔平のゴールで2-0と撃破。第26節では今度はマリノスが2位として首位ガンバとの天王山に挑むが、もはや手のつけられない状態になっていたガンバを相手に1-1の引き分けに持ち込むのが精一杯。勝点差こそ2位柏とは1点差でしか無かったが、勝点差以上に今のガンバを止められるのか?という空気感がJ1全体に漂った状態になりつつあった。

 

しかし…ラスト8節というタイミングで、ガンバにとって事件とも言えるよう試合が起こる。

 

第26節終了時点

1位 ガンバ大阪(54)

2位 柏レイソル(53)

3位 横浜F・マリノス(51)

4位 名古屋グランパス(50)

5位 ベガルタ仙台(41)

 

※4 仙台にとってもこれは10試合ぶりの勝利だった。

 

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終盤戦

 

第27節、昼の試合で名古屋は神戸に勝利したが、マリノスは仙台に1-3の逆転負けを喫した事でガンバにとってはマリノスを突き放す絶好のチャンスで、翌日に試合が予定されていた柏にプレッシャーを与える意味でも勝利したい試合だった。対戦相手は甲府。ガンバは前半戦で甲府に敗れているとはいえ、16位で残留を争うチームに11戦無敗でこの年ホーム万博で一度も負けていなかったガンバが負ける理由を探す方が難しかった。…のはずだった。だが62分にパウリーニョに決められて先制点を許したガンバは甲府の守備陣に苦しめられて同点に追いつく事が出来ない。逆にアディショナルタイムハーフナー・マイクに追加点を許して0-2の敗戦を喫してしまう。ガンバにとってこの敗北は無敗記録が11で止まるだけでなく、2011年初のホームでの敗戦、そして初の無得点に終わった試合となった(※5)。

 

※5 最終的にも2011年のガンバがホームで敗れた試合、無得点に終わった試合はこの甲府戦が唯一となった。

 

この一戦をきっかけに、2011年のJ1は更なる大混戦へと突入する。

まず、マリノスはガンバを引きずり下ろせなかった第26節からの5試合で2分3敗とブレーキがかかった事で優勝戦線から交代し、優勝争いの行方は首位ガンバ、2位柏、3位名古屋の三つ巴の様相を見た。柏、名古屋が上り調子で勝点を詰めてくる一方、ガンバは第28節で浦和に勝利こそしたものの、どこか甲府戦以前の勢いは見られない。そんな中で迎えた第29節、今季最後の直接対決となった名古屋とガンバの一戦では、名古屋の中村直志藤本淳吾が2点ずつ挙げて4-1で圧勝。遂にガンバは首位から転落し、再び連勝街道に乗った柏が首位に返り咲く。第30節、第31節では3チームとも両試合で勝点3を挙げ、優勝争いは一つの負けどころか一つの引き分けが命取りになる最終局面を迎えた。

 

第31節終了時点

1位 柏レイソル(65)

2位 ガンバ大阪(63)

3位 名古屋グランパス(62)

4位 横浜F・マリノス(55)

5位 ベガルタ仙台(52)

 

第32節

 

ガンバと名古屋の試合が土曜日、柏の試合が日曜日に組まれていた第32節。名古屋はアウェイで優勝の可能性こそ消滅したが、なんとかACL出場圏内に入る可能性を残したいマリノスとの一戦だった。1点を先制した名古屋は71分に中村俊輔に同点ゴールを決められたが、終盤にケネディのゴールで何とか勝ち越しに成功。優勝戦線に踏み止まる。

一方、同時刻にアウェイ新潟の地に乗り込んだガンバは苦しい展開を強いられた。前半終了間際に三門雄大にロングシュートを決められると、次々と攻撃的なカードを投入していくが逆に70分にはブルーノ・ロペスに追加点を決められてリードを広げられてしまう。終盤、なんとか途中出場の川西翔太の2ゴールで同点に追い付く粘りを見せたが、引き分けすら命取りのマッチレースに於いて痛すぎる黒星を喫した。そして試合から4日後、ガンバは10年間指揮を務め、弱小チームだったガンバにフィロソフィーと確かな実力を植え付けた西野朗監督と来季の契約を結ばない事を発表。何とか優勝してクラブW杯に出場し、少しでも西野ガンバを長く見る為に……文字通りガンバは後の無い状況となる(※6)。

 

2011Jリーグディビジョン1第32節

横浜F・マリノス1-2名古屋グランパス

2011年11月19日14:04@日産スタジアム

横浜FM得点者:中村俊輔(71分)

名古屋得点者:小川佳純(13分)、ケネディ(83分)

 

2011Jリーグディビジョン1第32節

アルビレックス新潟2-2ガンバ大阪

2011年11月19日14:04@東北電力ビッグスワンスタジアム

新潟得点者:三門雄大(45+1分)、ブルーノ・ロペス(70分)

G大阪得点者:川西翔太(77分、83分)

 

※6 G大阪天皇杯ではこの時点で敗退が決まっていた為、リーグを制してクラブW杯に出場しない限りリーグ最終節でシーズンが終わる事になっていた。

 

翌日、柏は敵地で清水と対戦した。敗れれば名古屋に首位を奪われる柏だったが、前半終了間際にボスナーに超絶ロングFKを叩き込まれてしまう。それでも62分にこの年ブレイクを果たした工藤壮人が同点ゴールを奪うと、85分にはレアンドロ・ドミンゲスが逆転ゴール。勝負強さを見せた柏が逆転勝利を収めた首位固めに成功した。

 

2011Jリーグディビジョン1第32節

清水エスパルス1-2柏レイソル

11月20日13:05@アウトソーシングスタジアム日本平

清水得点者:ボスナー(43分)

柏得点者:工藤壮人(62分)、レアンドロ・ドミンゲス(85分)

 

 

第33節

 

第32節を終えての上位3チームの順位が以下の通りである。

 

1位 柏レイソル(68)

2位 名古屋グランパス(65)

3位 ガンバ大阪(64)

 

第33節は3チームともホームでの試合となったが、柏は勝利した場合は名古屋が引き分け以下、引き分けた場合でも名古屋が敗れてガンバが引き分け以下なら優勝が決められる状況だった。逆にガンバは負ければその時点で、勝利しても柏が勝利した時点で優勝の可能性が消滅する。首位柏はセレッソ、名古屋は山形、ガンバは9戦未勝利が解けてから11戦無敗を記録していた仙台と対戦する事になっていた。

最初に試合が動いたのは名古屋。既に降格が決まっている山形相手の試合でケネディのゴールで先制点を奪う。更にその後、田中マルクス闘莉王が2ゴールを叩き出して前半だけで3点のリードを得る。3チームの中では一番厄介な対戦相手を引いたガンバも、10年間指揮を執った西野監督のホームラストゲームを勝利で飾りたい気持ちは強く、25分に藤春廣輝のクロスからイ・グノが頭で合わせて先制点を奪った。柏の試合は動かず、名古屋とガンバがリードした状態で前半を終える。

 

後半、名古屋が安定した試合運びと大量リードで勝利を確定的なものにした一方、スリリングな展開となったのは柏とガンバの2試合だった。

柏は48分にセレッソ上本大海に先制点を決められてしまう。このままで名古屋に首位の座を譲った上での最終節となる柏は猛攻を仕掛け、65分にレアンドロ・ドミンゲスのゴールで同点に追いつくものの勝ち越し点を奪えず優勝決定は持ち越し。だが首位の座は守って最終戦に挑む事になった。一方、ガンバは柏が勝点を積んだ以上引き分けすら許されない。終盤に入ると好調を取り戻していた仙台の猛攻を受けるが、これを何とか凌ぎ切って1点のリードを守り抜いて勝利し、優勝の可能性を繋ぐ。2011年のJ1は最終節まで3チームに優勝の可能性が残される事になった。

 

2011Jリーグディビジョン1第33節

名古屋グランパス3-0モンテディオ山形

2011年11月26日14:02@豊田スタジアム

名古屋得点者:ケネディ(7分)、田中マルクス闘莉王(39分、45+2分)

 

2011Jリーグディビジョン1第33節

柏レイソル1-1セレッソ大阪

2011年11月26日14:04@日立柏サッカー場

柏得点者:レアンドロ・ドミンゲス(65分)

C大阪得点者:上本大海(48分)

 

2011Jリーグディビジョン1第33節

ガンバ大阪1-0ベガルタ仙台

2011年11月26日14:04@万博記念競技場

G大阪得点者:イ・グノ(25分)

 

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最終節

 

最終節を前にした順位が以下の通りである。

 

1位 柏レイソル(69)

2位 名古屋グランパス(68)

3位 ガンバ大阪(67)

 

浦和レッズvs柏レイソル@埼玉スタジアム

アルビレックス新潟vs名古屋グランパス@東北電力ビッグスワンスタジアム

清水エスパルスvsガンバ大阪@アウトソーシングスタジアム日本平

 

条件などの詳細はWikipedia2011年J1最終節の項目を詳しく見て頂きたいが、こちらでも説明を載せておく。

 

柏は勝てば他会場の結果を待たずに優勝が出来る。引き分けた場合でも名古屋、ガンバも引き分け以下、敗れた場合も名古屋、ガンバも敗れれば優勝出来るが、勝点で並ばれた場合は柏の得失点差+21に対して名古屋は+30、ガンバは+25となっていた事で、勝点で追いつかれた場合(※7)は柏が優勝になるシチュエーションは存在しなかった。名古屋は敗北、ガンバは引き分け以下で優勝の可能性が消滅する上で、名古屋は勝利して柏が引き分け以下、名古屋が引き分けでも柏が敗れれば優勝。ガンバ勝利した上で柏と名古屋が共に勝利を逃せば優勝という計算になっていた。

第33節は3チームともホームでの試合だった為、最終節は3チームともアウェイゲームとなる。唯一自力優勝が可能な柏は埼玉スタジアムでまだ残留が決まっていなかった15位浦和(※8)と対戦。名古屋は13位新潟、ガンバは9位清水とそれぞれ中位から下位のチームと対戦する構図。柏は史上初の昇格即J1優勝と2000年にあと一歩で逃した雪辱を晴らすべく(※9)、名古屋にはV川崎、鹿島、横浜FM以来4チーム目となる連覇が、ガンバにはクラブ創立20周年と西野監督のラストを飾るべくそれぞれがそれぞれの情念を抱えながら15:30のキックオフを迎える(※10)。

 

※7 柏が引き分けてG大阪が勝利した場合、柏が敗れて名古屋が引き分けた場合に柏が勝点で並ぶ状況が生まれるが、いずれの場合でも柏がG大阪、名古屋を得失点差で上回る事は出来ない。

※8 15位浦和と16位甲府の勝点差は3差で数字上は浦和にも降格の可能性は残されていたが、浦和と甲府の間には得失点差が14点も開いていたため事実上浦和の残留と甲府の降格は確定的だった。

※9 柏は2000年に当時2ステージ制だったJ1の年間勝点で1位に輝いたが、ステージ優勝を達成出来なかった事でチャンピオンシップにすら出られず3位扱いとなった。尚、当時の柏の監督はこの年最後まで柏と優勝を争った西野朗監督である。

※10 余談だが、12月3日は西野朗監督率いるガンバがクラブ史上初のタイトルとなる2005年のJ1優勝を決めた日でもあった。

 

勝てば優勝の柏は29分、ジョルジ・ワグネルコーナーキックからの混戦の中、レアンドロ・ドミンゲスのシュートはポストに弾かれる。しかしこぼれ球をジョルジ・ワグネルが叩き込んで柏が幸先良く先制点を奪った。

一方、ガンバは開始9分に伊藤翔に先制ゴールを奪われたものの、32分に二川孝広の浮き球スルーパスに抜け出したイ・グノがGKをかわして同点ゴール。更に37分には今度は二川のコーナーキックファーサイドで合わせて一気に逆転に成功して柏追撃態勢を整える。しかしガンバが逆転ゴールを決めた直後、埼玉では橋本和のオーバーヘッド気味の絶妙なシュートが浦和ゴールに吸い込まれ、橋本自身のJ初ゴールともなる一発で柏が追加点を挙げた。前半このまま終了。効率よく2点を挙げた柏が首位の座をキープしたまま試合を折り返す。

 

前半終了時点

1位 柏レイソル(72)

2位 ガンバ大阪(70)

3位 名古屋グランパス(69)

 

浦和レッズ0-2柏レイソル

アルビレックス新潟0-0名古屋グランパス

清水エスパルス1-2ガンバ大阪

 

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前半の浦和は山田直輝を頂点に置いたゼロトップが全く機能せずシュートさえも打てない状態だった事から、後半開始と同時に原一樹を投入して試合の流れを掴み始める。53分、平川忠亮のクロスに柏木陽介が飛び込んでヘディングシュートを決め1点差まで迫った。ほぼ同時刻、ガンバはイ・グノがボール奪取からカウンターを仕掛けると最後は二川が決めてリードを広げ、膠着状態の続いていた名古屋も玉田圭司フリーキックを直接決めて先制点を奪う。逆に埼玉では追いつかれれば優勝を失う状態になった柏に対し、ホーム埼玉スタジアムの大声援を受ける浦和は原口元気らを中心としたサイド攻撃で猛攻を仕掛け、立て続けに好機を作っていく。前半終了時には圧倒的に柏優位と思われた優勝争いは浦和の攻勢、名古屋とガンバのリードで一気にカオスな状況と化す。

 

この辺りから祈るような気持ちで浦和vs柏にチャンネルを切り替えた名古屋ファン、ガンバファンももしかしたらいたかもしれない。名古屋は1点リードだからまだしも、少なくともガンバの勝利は濃厚になった以上柏にとっても勝利は絶対条件になりつつあった。

しかし優勝争いは思わぬタイミングで事実上の決着を見る。76分、柏のコーナーキックがエリア外にこぼれたボールを茨田陽生ミドルシュート。一見なんてことのないシュートに見えたが、手前でバウンドした事で浦和GK加藤順大ファンブルを誘ってゴールイン。柏にとって決定的な3点目が入ると同時に、攻勢を活かし切れないままファンブルという形で失点を許した浦和の心の糸は切れてしまい、2点を取り返すだけの気力は浦和には残っていなかった。名古屋はどこまでも勝負強い前年からの持ち味を、ガンバは10年間で築いた西野ガンバの攻撃サッカーを最後の最後まで貫いて勝利を手にしたが、最後に2011年シャーレを高々と掲げたのはJ1昇格1年目の柏だった。

 

2011Jリーグディビジョン1第34節

浦和レッズ1-3柏レイソル

2011年12月3日15:35@埼玉スタジアム2002

浦和得点者:柏木陽介(53分)

柏得点者:ジョルジ・ワグネル(29分)、橋本和(38分)、茨田陽生(76分)

 

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2011Jリーグディビジョン1第34節

アルビレックス新潟0-1名古屋グランパス

2011年12月3日15:31@東北電力ビッグスワンスタジアム

名古屋得点者:玉田圭司(54分)

 

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2011Jリーグディビジョン1第34節

清水エスパルス1-3ガンバ大阪

2011年12月3日15:33@アウトソーシングスタジアム日本平

清水得点者:伊藤翔(9分)

G大阪得点者:イ・グノ(32分、37分)、二川孝弘(52分)

 

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2011年のJ1リーグ

 

1位 柏レイソル(72)

2位 名古屋グランパス(71)

3位 ガンバ大阪(70)

4位 ベガルタ仙台(56)

5位 横浜F・マリノス(56)

6位 鹿島アントラーズ(50)

7位 サンフレッチェ広島(50)

8位 ジュビロ磐田(47)

9位 ヴィッセル神戸(46)

10位 清水エスパルス(45)

11位 川崎フロンターレ(44)

12位 セレッソ大阪(43)

13位 大宮アルディージャ(42)

14位 アルビレックス新潟(39)

15位 浦和レッズ(36)

16位 ヴァンフォーレ甲府(33)

17位 アビスパ福岡(22)

18位 モンテディオ山形(21)

 

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最終節で柏、名古屋、ガンバの3チームが揃って勝利した事により、J1が18チーム34試合制になった2005年以降初めて勝点70を超えたチームが3チーム生まれたシーズンとなった。従って、ガンバの勝点70は2005年以降3位チームとしては最多の勝点かつ、3位チームとして唯一勝点70に乗せたチームとなる。

今思えばJリーグの戦略分布図がぐっちゃぐちゃになったきっかけはこの2011年だった気もする。2000年代後半から2010年までJリーグの上位争いを引っ張ったチームと言えば2007年から3連覇を達成した鹿島を筆頭にガンバ、浦和、清水、川崎、名古屋といった面々だったが、監督の代わった清水と川崎は2桁順位に沈み、浦和に至っては最終節まで残留が決まらず、鹿島も東日本大震災の影響でJ1の中でも特に変則日程を強いられた影響(※11)は否めず、終盤は盛り返してナビスコ杯も制したが結局この年一度も優勝争いに絡めていない。

逆に躍進を果たしたチームで言えば何と言っても仙台だった。前年は最終節でJ1残留を何とか決めたが、開幕から12試合無敗で文字通り前半戦の主役になった。初黒星を喫してからは9戦未勝利と苦しい時期も過ごしたが、第22節の名古屋戦で10試合ぶりの勝利を挙げてからの13試合は6連勝を含み8勝4分1敗という見事な成績を収めて4位に滑り込んだ。この年の仙台がシーズンを通して喫した黒星は6試合だったが、9試合未勝利期間以外での黒星は第33節のガンバ戦のみである。また、長らく低迷が続いていたマリノスも久し振りに優勝争いに絡んで5位でシーズンを終えた。

シーズン後にベスト16から再開された天皇杯は史上初の決勝戦京都サンガFCFC東京のJ2対決(※12)となった。同時に、同年のJ1上位4チームが天皇杯で1チームもベスト4入りしなかったのはJリーグ発足以降4回目のケースである(※13)。

 

※12 試合は4-2でFC東京が勝利。尚、FC東京はJ2優勝とJ1復帰を決めていた。

※13 1994年、1996年、2008年、2011年の4回。2011年の準決勝に進んだのは上記2チームと横浜FM(5位)、C大阪(12位)。

 

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その後…

 

予想外のチームの躍進や低迷があった2011年だったが、2012年のそれは2011年を遥かに上回るものだった。優勝争いを牽引したのは2011年は中位の広島、残留争いに巻き込まれていた浦和、そしてこの年初めて躍進した仙台の3チームで、2011年最終節に優勝を争っていた柏と名古屋は優勝争いに全く絡めないまま、最終的には6位と7位という中途半端な順位に終わる(※14)。

そしてガンバに至っては西野監督の退任とジョゼ・カルロス・セホーン監督、呂比須ワグナーヘッドコーチの二頭体制が完全に裏目に出てしまい、クラブ史上最多の勝点を積んだ翌年にJ2降格の憂き目を見る事となった(※15)。だが、新たに長谷川健太監督を迎えて2013年にJ2を制すると、復帰初年度の2014年にJ1リーグを制してこの年の柏同様にJ1昇格即優勝を達成する(※16)。現時点でJ1昇格即優勝は柏とガンバの2例のみ。

 

※14 ただし柏は2012年に天皇杯、2013年にナビスコ杯を制し、ACLでも好成績を残した事でこの時期は黄金期として見なす事が出来る。

※15 1999年の浦和、2010年のFC東京など予想外の降格はこれ以前にも何ケースかあったが、前年トップ3に入ったチームが翌年J2に降格したのは現時点では後にも先にも2012年のG大阪のみである。

※16 この年のG大阪ナビスコ杯と天皇杯も制しており、三冠達成チームとしても2000年の鹿島以来の記録を成し遂げている。

 

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今回の決して短くない中断期間が各チームにどのような影響を及ぼしてくるのかは現時点ではわからない。

ただ、一つ確かなのはこの段階で今年のJリーグは一つのターニングポイントを迎えたということだ。事情が事情なだけに「中断があって良かった」という事には絶対ならない。だが、避けられない中断期間を少しでも有意義に扱えるかどうかは各チーム次第でもある。