ワールドカップもEUROも結局ベスト16が面白いんだよ…
どーもこんばんは
さてさて、前回、前々回に更新した「ガンバ大阪、過去のACLを振り返ろう企画」…いよいよ本日最終回です!
現在ウズベキスタン、及びタイでセントラル開催されているAFCチャンピオンズリーグ2021、今年はJリーグ勢としては川崎フロンターレ、ガンバ大阪、名古屋グランパス、セレッソ大阪の4チームが参加していますが、実はガンバは何気にJリーグ勢としてACL最多出場である事をご存知でしょうか?
という訳でただいま当ブログではガンバ大阪の過去の全ACLを振り返っております。加えてガンバは今年がクラブ創設30周年ですから、その辺りの歴史を振り返る意味でゆっくりお楽しみください。…今回がとりあえず最終回。今回はクラブとしての屈辱を味わった後、再びガンバに歓喜をもたらした長谷川健太監督の下で迎えた3度のACLです。
②3年連続ベスト16と黄金期の終焉(2010、2011、2012)
③長谷川ガンバ時代(2015、2016、2017)
AFCチャンピオンズリーグ2015
監督:長谷川健太(3年目)
J1リーグ戦成績:準優勝
ナビスコ杯成績:準優勝
天皇杯成績:優勝
ゼロックス杯成績:優勝
スルガ銀行CS:準優勝
【ACL期間までの選手動向】
主な入団選手
GK 藤ヶ谷陽介←磐田
FW 赤嶺真吾←仙台
FW 長沢駿←清水
主な退団選手
GK 木村敦志→引退
MF 小椋祥平→山形(レンタル)
MF 岡崎建哉→愛媛(レンタル)
FW 佐藤晃大→徳島
【ACL2015成績】
グループF:1位(3勝1分2敗勝点10:得点10失点7得失点差+3)
→ベスト4
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第1節
2015年2月24日19:00@万博記念競技場
広州得点者:ハムダラー(10分)、汪嵩(80分)
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第2節
城南FC2-0ガンバ大阪
2015年3月3日19:30@炭川総合競技場
城南得点者:リカルド・ブエノ(8分)、ファン・ウィジョ(67分)
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第3節
2015年3月18日19:00@万博記念競技場
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第4節
2015年4月7日18:00@ブリーラム・スタジアム
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第5節
2015年4月22日19:30@超秀山体育場
G大阪得点者:パトリック(14分、45分)、阿部浩之(44分、68分)、宇佐美貴史(70分)
AFCチャンピオンズリーグ2015グループF第6節
2015年5月6日19:15@万博記念競技場
城南得点者:ファン・ウィジョ(15分)
AFCチャンピオンズリーグ2015ベスト16第1戦
2015年5月20日19:30@ソウルワールドカップ競技場
FCソウル得点者:ユン・ジュテ(90+2分)
G大阪得点者:宇佐美貴史(63分、86分)、米倉恒貴(74分)
AFCチャンピオンズリーグ2015ベスト16第2戦
2015年5月27日19:00@万博記念競技場
G大阪得点者:パトリック(15分)、倉田秋(45分)、リンス(86分)
FCソウル得点者:ユン・ジュテ(58分、90+2分)
AFCチャンピオンズリーグ2015準々決勝第1戦
2015年8月26日19:00@全州ワールドカップ競技場
AFCチャンピオンズリーグ2015準々決勝第2戦
2015年9月16日19:00@万博記念競技場
G大阪得点者:パトリック(14分)、倉田秋(76分)、米倉恒貴(90+3分)
全北得点者:レオナルド(13分)、ベラ(89分)
AFCチャンピオンズリーグ2015準決勝第1戦
2015年9月30日20:00@天河体育中心競技場
広州得点者:黄博文(36分)、鄭智(57分)
AFCチャンピオンズリーグ2015準決勝第2戦
2015年10月21日19:00@万博記念競技場
長谷川健太監督体制で最初のACLは「三冠王者」として挑むACLとなった。また、2008年以降ガンバのACLのユニフォームは斜めがけの模様が通例であったが、2015年から斜めの縛りは無くなっており、長谷川ガンバでのACLはむしろリーグ戦よりもシンプルなデザインになっている。
大会の開幕直後は今野の負傷もあり「スロースターターのガンバ」を象徴するようなパフォーマンス。第3節の時点で勝点1という成績は未だにガンバ史上最低である。しかし第4節、灼熱のアウェイ…タイで行われたブリーラム戦での逆転勝利をターニングポイントに一気に勢い付いたガンバは、勝たなければ敗退というシチュエーションで迎えた城南との直接対決を仕上げのリンス集大成とも呼べるようなゴールで制し、大逆転で首位通過を決めた。
決勝トーナメントでは韓国勢に2連勝。特に準々決勝の金北戦は今なお伝説であり、ACL史上最高の試合と言っても過言ではないかもしれない。敵地での第1戦を0-0で引き分けたガンバはホームでの第2戦、1-1で迎えた76分に倉田のゴールで勝ち越しに成功するが、アディショナルタイム直前に失点を許し、アウェイゴールの差で逆転を許してしまう。しかし遠藤保仁の一声で前線に上がった金正也の奇跡のスルーパスから最後は米倉が決め、万博ラストイヤーに史上最高クラスの万博劇場が誕生した。ちなみに、世にも有名な「ゴールに喜びすぎて走り回った長谷川監督が退席を喰らった」というのはこの試合での出来事である。準決勝では当時アジア最強の座を欲しいままにしていた広州恒大に惜しくも敗戦。広州相手にも善戦だけに、ある程度の充実感と、一層の悔しさが混在したベスト4となった。
ちなみに、2015年のACLでは過去と未来に繋がる様々な邂逅があった。全北戦ではかつてガンバで活躍した韓国代表FWイ・グノと対峙し、ホーム&アウェイの2試合でそれぞれFKとCKをぶち込んだブリーラムのティーラトンはその後ヴィッセル神戸を経て横浜F・マリノスでプレーしている。そして、城南の絶対的エースとしてガンバから2得点を奪ったファン・ウィジョとガンバのファーストコンタクトはこのACLであり、この2試合をきっかけにガンバは彼の核と調査を始めた。また、準決勝で広州恒大の守備のキーマンとしてガンバの前に立ちはだかったのも、現在はガンバの守備の要となったキム・ヨングォンである。
AFCチャンピオンズリーグ2016
監督:長谷川健太(4年目)
J1リーグ戦成績:4位
ナビスコ杯成績:準優勝
天皇杯成績:ベスト8
ゼロックス杯成績:準優勝
【ACL期間までの選手動向】
主な入団選手
MF 小椋祥平←山形(復帰)
MF 岡崎建哉←愛媛(復帰)
FW 小川直毅←藤枝(復帰)
主な退団選手
MF 明神智和→長野
FW リンス→フィゲイレンセ
FW 赤嶺真吾→岡山(レンタル)
【ACL2016成績】
グループG:4位(2分4敗勝点2:得点4失点9得失点差-5)
→グループステージ敗退
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第1節
2016年2月24日19:30@水原ワールドカップ競技場
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第2節
2016年3月2日19:00@市立吹田サッカースタジアム
メルボルン得点者:アンセル(3分)
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第3節
2016年3月15日19:00@上海体育場
上海得点者:エウケソン(41分、62分)
G大阪得点者:パトリック(60分)
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第4節
2016年4月12日19:00@市立吹田サッカースタジアム
上海得点者:武磊(66分)、呂文君(72分)
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第5節
2016年4月19日19:00@市立吹田サッカースタジアム
水原得点者:サントス(49分、57分)
AFCチャンピオンズリーグ2016グループG第6節
2016年5月3日20:00@メルボルン・レクタンギュラー・スタジアム
メルボルン得点者:ベリーシャ(13分)、トンプソン(17分)
市立吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田)に移転した初年度ともあってガンバ陣営の力の入れようは確かに凄かった。当時はDAZN参入前夜であり、Jリーグが2ステージ制を採用しなければならないほど営業不振に陥っていた中で、ガンバの新スタジアム誕生はガンバにとっての希望であるだけでなく、Jリーグにとっても現状打破の起爆剤と言えるものだった。近年一気に加速化した現代型球技専用スタジアムの先駆けともあったが、いわゆる「新スタジアムの代償」はガンバが大きく背負う事となってしまう。
敵地で水原と引き分けた初戦、遠藤のダイビングヘッドで追いついたメルボルン戦まではまだ良かった。しかしその後はまさかの4連敗。この年は元々Jリーグでも、特に慣れないホームゲームで勝てない時期が続くなど、これまでやこれからのスロースタートとはどこか気色が違った。第5節、勝たなければ敗退の決まる水原戦…0-0の前半にPKのチャンスを得たガンバは宇佐美がボールの下へ向かう。宇佐美のキックはGKに阻まれたが、GKの反則により九死に一生を得た。しかしやり直しの2度目のPKでも再び……黒を基調とした2016年のACLユニフォームは人気の高いデザインで注文も殺到したが、多くの購入者の下に届いた時にはガンバのACLは終わってしまっていた。
余談だが、2016年のガンバは「ホームでPKを決められない」というジンクスを患っていた。前述の宇佐美の1度で2度のPK失敗の他に1st第5節横浜FM戦で遠藤が、2nd第9節神戸戦でアデミウソンがそれぞれ同点に追い付くPKチャンスを逃している。また、実質的なアウェイではあったがホーム側として挑んだ浦和とのルヴァン杯決勝では呉屋大翔のPK失敗によりPK戦で敗れた。
AFCチャンピオンズリーグ2017
監督:長谷川健太(5年目)
J1リーグ戦成績:10位
ナビスコ杯成績:ベスト4
天皇杯成績:ベスト16
【ACL期間までの選手動向】
主な入団選手
DF 三浦弦太←清水
DF ファビオ←横浜FM
MF 泉澤仁←大宮
MF 井出遥也←千葉
主な退団選手
DF 西野貴治→千葉(レンタル)
DF 岩下敬輔→福岡
MF 内田達也→東京V(レンタル)
MF 阿部浩之→川崎
MF 大森晃太郎→神戸
【ACL2017成績】
グループH:4位(1勝1分4敗勝点4:得点7失点13得失点差-6)
→グループステージ敗退
2017年2月7日19:00@市立吹田サッカースタジアム
G大阪得点者:アデミウソン(26分)、長沢駿(29分)、三浦弦太(70分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第1節
2017年2月22日19:30@ハインド・マーシュ・スタジアム
G大阪得点者:長沢駿(21分)、今野泰幸(45+1分)、オウンゴール(81分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第2節
2017年3月1日19:00@市立吹田サッカースタジアム
済州得点者:オウンゴール(43分)、イ・チャンミン(43分、72分)、マルセロ(51分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第3節
ガンバ大阪0-1江蘇蘇寧
2017年3月15日19:00@市立吹田サッカースタジアム
江蘇得点者:ラミレス(39分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第4節
江蘇蘇寧3-0ガンバ大阪
2017年4月11日19:35@南京オリンピックスポーツセンター
江蘇得点者:ティシェイラ(3分)、ラミレス(7分)、ホン・ジョンホ(43分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第5節
2017年4月25日19:00@市立吹田サッカースタジアム
アデレード得点者:シリオ(43分)、オドハティ(54分)、ディアワラ(90+2分)
AFCチャンピオンズリーグ2017グループH第6節
2017年5月9日19:00@済州ワールドカップ競技場
済州得点者:チョン・ウーン(29分)、ファン・イルス(66分)
滑り出しは完璧だった。遠藤保仁をアンカーに置き、キャリアピークとすら形容できるほどのキレを見せていた今野泰幸と成長著しい井手口陽介を両脇に置いた、全盛期ACミランを彷彿とさせる4-3-1-2は抜群に機能し、プレーオフと初戦のアデレード戦を共に3-0で勝利。特に2008年ACL制覇の地で迎えたアデレード戦は圧巻の出来で、かつてFCバルセロナやスペイン代表活躍したアデレードのギジェルモ・アモール監督に「(国内リーグ開幕前で)リーグ戦が始まっていないにもかかわらず、とても強くて驚いた」と言わしめるほどのだった。しかしシステムを変更した第2節、済州との試合は対照的に長谷川ガンバ最悪の試合となってしまう。ここから歯車は狂い始めた。
強力な外国人選手を揃える江蘇には2試合通して1点も取ることが出来ずに完敗すると、突破の為には勝利必至だったアデレードとの再戦…長沢と堂安のゴールで2点をリードしながら追いつかれたガンバは、遠藤のPKが大きく枠の上を越えるショッキングなシーンに見舞われてしまう。それでも再度勝ち越したが、アディショナルタイムに同点に追いつかれ……一応最終戦の時点でも可能性は残してはいたが、事実上この年のACLはあの同点ゴールの瞬間に終わってしまった。若手ホープの堂安と新加入の三浦が確固たる存在感を誇示して一気にレギュラーに食い込んだ事はこの年のACLでの収穫でもあったが、しかし堂安の海外移籍もあり、珍しく前半戦のリーグでの調子は悪くなかったが……結果的に長谷川体制ラストシーズンとなる2017年は、降格した2012年を除けば21世紀で唯一2桁順位に沈んだシーズンとなった。
余談だが、この年はPOのジョホール戦からGL最後の済州戦までのアウェイゲームを含む全試合を1stユニフォームで戦った。これはガンバのACLの歴史の中で唯一である。
今回はガンバにとっては記念すべき10回目のACL。10回目のACLはいささかイレギュラーな大会フォーマットになっていて、かつガンバ自体が超過密日程になっている事もあって難しいACLになるのは間違いないですが、クラブ創立30周年イヤーを飾る結果を期待したいところです。
EUROとACLちょいちょい被るのつらい
ではでは(´∀`)