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基礎が先か応用が先か〜明治安田生命J1リーグ第5節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 マッチレビュー〜

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ふいにプロ野球ストライキのあれこれ読んでたらJRAストライキが発生してた…

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第5節、ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌の一戦です!

 

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「産みの苦しみ」とはよく使われるフレーズですが、その産みの苦しみの前の痛みなるものも世の中には存在すると思っています。

今、ガンバが陥っているのはそういう状況でしょう。トライはしている。チャレンジもしている。でも意思だけではどうにもならない癖もある。それを掻き消すにはきっかけが要るし、そのきっかけは時として運や偶然に救いを求める事も必要になる。まぁ…なんにせよ、今のガンバはなかなか拭い去りきれないものと戦っているようなもので、手探りで光を求めているような状態です。

とはいえガンバはそれが冷たい水の中だろうが、吹き荒れる花粉の中だろうが、迫り来る黄砂の中だろうが進んでいかなければならない。何かを変える、新しいことにトライするとはそういう事です。まずは一つのきっかけを、まずは一つの勝利を。何かを打破する為の糸口を今、文字通りこじ開けて欲しいところ。その為に一つのやり方を徹底してここまでやってきた札幌が相手というのは、なかなか意味のあるところもあるのかもしれません。

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節広島戦からスタメンを2人変更。広島戦で負傷退場となった宇佐美貴史は今日は欠場となり、インサイドハーフ前節は右WGとして先発したファン・アラーノと今季初先発となる山本理仁のコンビとなりました。アラーノが下がった右WGには、杉山直宏がリーグ戦では開幕戦以来となる出場。GKは引き続き東口順昭が起用され、石毛秀樹はリーグ戦では今季初のベンチ入りです。札幌から海外移籍を果たし、昨年7月にガンバに加入した鈴木武蔵にとっては初の古巣対決ですね。

前節は横浜FM相手に2-0の快勝を収めた札幌は、ベンチメンバーの7人を含めた登録メンバー18人を横浜FM戦からそのまま引き継ぐ形となりました。今日も中盤を本職とする小林祐希がワントップの位置に入り、浅野雄也と小柏剛がシャドーに入る形。3-4-2-1とも、或いは3-4-1-2とも取れる布陣となっています。

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

ガンバが春のホームゲームでシリーズ的に銘打つ「春のファン祭り」の一貫として、今日は「GAMBA GIRLS DAY」として開催。ファンクラブの女性会員を対象にチェキ風選手カードが配布され、近年ガンバがコラボレーションを行っているアクリルキーホルダーの販売などの企画が行われています。試合前にスタジアムビジョンで放送される番組「HEAT UP TIME」にはOBの武井択也氏が出演。また、今日から毎年恒例の選手コラボメニューの2023年版が解禁されます。近年のホーム札幌戦は30周年記念試合だったり、或いはモフレム発表だったり何かと派手めなイベントがあったりしましたが、今回は珍しく目立つものはなし。ナチュラルな環境で勝利を見せて欲しいところです。

ちなみにこの試合はイングランドとの審判交換プログラムの一環として、プレミアリーグでも主審を務めるトム・ブラモール氏が主審を担います。

 

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しかし今日も昨今の悪癖が飛び出してしまいます。開始早々からセットプレーをいくつか札幌に与えてしまっていたガンバ。6分、右から福森晃斗が蹴り込んだクロスが溢れたところを、最後は小林が2試合連続となるシュートを沈めるように決め切って札幌が先制。ガンバは神戸戦広島戦に続いて開始早々の失点を喫する事に。

 

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フルコート・マンツーマンを仕掛けてくる札幌を相手にガンバはボールキープの段階で苦しんでいた事もあり、ガンバはロングボールも駆使しながら、とりあえず高い位置に出ていく事をベースにプレーを試みます。するとガンバも20分過ぎくらいからは高い位置で前向きにボールを持てるようにはなっていきました。

しかし札幌の連動した個人に当たってくるプレッシングを前に、ガンバの選手は頭の中がボールキープやセーフティーファーストの方に気が傾き始めるようになって、なかなか「攻めた」と思えるような場面に繋がっていきません。

 

32分、ガンバは敵陣にいながらもビルドアップ的なボール回しを行うと、福田湧矢のバックパスが江川湧清と三浦弦太の間にちょうど入り、江川もこれに反応しきれなかったところを小柏がカット。三浦が猛然とカバーに入ろうとしますが追いつけず、そのまま仕留められて0-2…。

 

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前半アディショナルタイムには左サイドを崩したところから黒川圭介がクロスを上げるとファーサイドの杉山がダイレクトボレー。このシュートが逸れたところを鈴木が回収してアラーノに繋ぐと、アラーノの落としをネタ・ラヴィが走り込んでミドルシュートを放つも枠の上。前半は苦しすぎる展開で2点ビハインドで終えます。

 

 

後半はガンバも、長いボールも用いながらとりあえず札幌のファーストDFをどうにか外す事で局面の打開を図りました。51分には右に流れたボールを入れ直した杉山のクロスを福田が折り返し、鈴木の足下に一度入ったボールを最後は山本が飛び込んできますがGKク・ソンユンに阻まれてゴールならず。57分には山本と福田を下げて石毛とダワンを投入。アラーノを一列前に上げます。

 

すると怒涛の展開に試合が飛び込んだのは59分でした。東口のパスを受けた三浦の縦パスを降りてきた鈴木がはたくと、これをダワン、アラーノ、ラヴィとワンタッチで繋いでラヴィが絶妙なスルーパス。これに一気に抜け出した半田陸のクロスに石毛が飛び込んで1点を返したガンバ!!

想像以上に美しいゴールに戸惑う最中、再び東口のパスを降りてきた鈴木が左サイドにいたラヴィに展開すると、ラヴィのパスは石毛を経由して今度は左サイドの黒川へ。黒川のクロスをファーサイドの杉山が折り返せば、最後はアラーノが詰めて一気に同点!!なんだこれは!!何が起こったんだ!!

 

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70分になるとガンバはアラーノを下げて食野亮太郎、前半の時点で浅野の負傷により馬場晴也を導入してきた札幌は宮澤と福森を下げて中村桐耶と中島大賀を送り込んできます。

ガンバは前半から降りてボールを貰うとしていた鈴木に対し、インサイドハーフに入ったダワンや石毛が鈴木と入れ替わるように前に出るようになった事でスペースが上手く出来る土壌にピッチが仕上がっていった事でオープンな試合展開になり始めていきました。後半はガンバもかなりボールを持てるようになると、縦に入れる事・縦に走る事にチーム自体が積極的に。

 

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86分に黒川と杉山を下げて福岡将太と山見大登を投入したガンバは更に果敢に攻めていきました。

壮絶なカウンターゲームとなった終盤。87分には相手のクロスを三浦が弾くと、このボールを拾った食野のボールに山見が一気に抜け出せば、このカウンターは一度頓挫するもこぼれ球を回収してから最後は左の鈴木へ。鈴木のクロスに石毛とダワンが飛び込んだ流れで山見が上げ直すと鈴木が再びヘッド…しかしこれもク・ソンユンがファインセーブ。

 

アディショナルタイムもガンバは猛攻を仕掛け続けました。しかしこの試合の最後のチャンスが転がってきたのは後半は劣勢続きだった札幌でした。ほぼラストワンプレー、右サイドで粘った小柏の折り返しに最後は中島が詰めますが、最後の最後で前節はやらかしてしまった東口がチームを救うスーパーセーブ!

壮絶な試合は2-2で終了。2点ビハインドを追いつく意地を見せましたが、一方で開幕5戦未勝利という事になってしまいました。

 

 

 

まぁ…エンターテイメントとしてはクソ楽しいというか、情緒不安定な試合だったというか、ジェットコースターというかなんというか……。全てが何も噛み合っていなかった前半と、色んなことが急に噛み合い出した後半と。

前半はやはり宇佐美という潤滑油を欠いた影響が大きく、中盤でいわゆるフリーマン的に動ける選手が誰もいなかった。おそらく、鈴木がやたらとポストプレーに降りてきたのはそのポジションが思っていた以上にスカスカになってしまっていた部分があったのでしょうが、チームとしてのパスの流れがどうにかサイドに出してサイドからクロスを入れるしかない状況になると、今度は別に中盤でボールを捌けていた訳でもない鈴木が中にいない弊害が発生してしまう。鈴木の判断自体は間違ってないんですけど、前半のガンバの状況ではありがた迷惑にも似た状態と化していました。

そもそも前半はフルコートマンツーマンを敢行して徹底して個人に対してプレスに来る札幌を前に、激しいプレスを前にビルドアップをしくじって刺された神戸戦広島戦の記憶もあるのか、完全にチームとしての矢印がゴールではなくボールキープの為のポゼッションに変わってしまっていた…と。いわば、わかりやすく札幌にビビった状態になってしまっていたんですね。

 

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で、まず後半は…ポヤトス監督がどういうメッセージを投げたのかはわかりませんが、少なくとも後半開始から前への姿勢は見せた。正確にはダワンと石毛の投入はハーフタイムの時点で考えていたような気はしますが、まず前半の11人で前に向く流れに戻したところは一つだったのかなと。そこで56分からインサイドハーフとしてダワンと石毛を配置した采配はドンズバにハマりました。

というのも、前半に同じポジションに入ったアラーノは福田の補佐に行くような形でサイドに抜けていきたい、山本は高すぎない位置でパスワークに貢献するタイプ。この2点と前述した鈴木の動きに札幌の守備のやり方が合わさった時に前半のような機能不全が発生したのですが、石毛とダワンには3列目から徹底的に前に、それも中央で出る事を要求したんですね。すると鈴木の動きとインサイドハーフの動きが、簡単に言うと

 

↑ 鈴 ↓

石 ↓ ダ

 

みたいな状況で噛み合い始めたんですよね。

鈴木が降りてポストプレーをすれば、それがガンバ陣内であっても札幌は絶対に誰かがプレスに来る。札幌は自分達がリードをしても大きく戦い方を変えてくるチームではない。要はその時点で相手の守備者一人を鈴木の対応で消す事が出来るので、単純計算で相手のDFラインが一枚分減るんです。札幌の守備はスペースではなく個へのアプローチが極端ですので、言ってしまえば鈴木が降りれば降りるほど守備の陣形は狂ってくる。そしてその一枚分のスペースに対して石毛やダワンが縦を、中央をしっかりと走って行く事で、ズレた札幌の位置関係をめくって剥がして攻めることが出来る……前半と後半の最大の違いといえば「石毛とダワンの投入で鈴木の動きの意味が変わった」ところだと思います。考えてみれば、ガンバの2得点はいずれも[GKからのビルドアップ→自陣に降りてきた鈴木のポストプレー→ネタ・ラヴィのロングスルーパス→サイドからのカウンター]という形で生まれた訳ですから、後半の鈴木・石毛・ダワンの関係性、そしてそれにしっかりと呼応したラヴィ・黒川・半田の動きは実に秀逸でした。元札幌でペトロヴィッチ監督の薫陶を受けた鈴木がそこまで考えてその動きを意固地な程に繰り返していたかはわかりませんが、少なくとも鈴木の動きが同点劇の伏線になっていた事は確かです。

後は試合がオープンになる中で、札幌のカウンターの芽をことごとく潰した三浦の奮闘も忘れずに触れておきたいですね。

 

 

今日の前半と後半を見ると、なんというか……今日のガンバは「基礎問題を間違えたのに応用問題を解けてしまった」とでも言うべき試合だったように思います。

正直なところ、後半の戦い方を90分出来ればそれがベストです。ただ、それは今のサッカーの完成度が高くなったところで体力的な面でも困難でしょう。むしろ、45分でも出せれば上出来です。だからこそ、試合開始早々のふわっと感や札幌のプレスの前に見せた前半の姿勢だとか、そういう根本の病巣と一層向き合わないといけない。今日の試合は可能性を存分に見せた一方で、神戸戦広島戦で露呈した長年の課題を解決するヒントにはなっていない…みたいな側面はあります。

まぁ、本当に、二面性というか、色んな切り取り方のある試合でした。でもエンタメとしては純粋にクソ楽しかったので、初めて来たような人にとっては「あたり」というべき試合だったのでは。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

 

明治安田生命J1リーグ第5節分は横浜FCvs京都サンガFCのマッチレビュー内に記載しています。

 

 

マイアヒー

ではでは(´∀`)