RK-3はきだめスタジオブログ

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【前編】なぜ今季の欧州クラブジャパンツアーは空席が目立つ試合が少なくなかったのか?

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新幹線で聴くいい日旅立ち鬼束ちひろのカバー版だと知った夏の午後

 

どーもこんばんは

 

さてさて、今夏はね、まあもうめちゃくちゃ来ましたね、欧州ビッグクラブが。ここまでラッシュだった事って近年はなかったように思います。

 

 

 

昨年はパリ・サンジェルマンのみでしたし、試合数もいっぱい。世界的ビッグクラブ、世界的スーパースター、日本人選手との再会…様々なトピックの下、スタジアムに観に行った方はその一挙手一投足に酔うサッカー観戦を楽しめたことでしょう。私も川崎フロンターレvsバイエルン・ミュンヘン行ってきましたわ。クーラーボックスに座るトゥヘルも見てきましたの。

 

 

しかして今季の場合、昨季のパリ・サンジェルマンジャパンツアーと異なって……目立ったのが空席問題でした。

6月に行われたヴィッセル神戸vsFCバルセロナの試合も含めると、今夏の欧州クラブの日本ツアーに於ける観客動員は以下の通りになります。

 

6月6日 ヴィッセル神戸0-2FCバルセロナ@国立競技場→47335人

7月19日 横浜F・マリノス6-4セルティックFC@日産スタジアム→20263人

7月22日 ガンバ大阪0-1セルティックFC@パナソニックスタジアム吹田→12482人

7月23日 横浜F・マリノス3-5マンチェスター・シティ@国立競技場→61618人

7月25日 パリ・サンジェルマン0-0アル・ナスル@ヤンマースタジアム長居→25432人

7月26日 バイエルン・ミュンヘン1-2マンチェスター・シティ@国立競技場→65049人

7月27日 アル・ナスル1-1インテル・ミラノ@ヤンマースタジアム長居→13805人

7月28日 セレッソ大阪3-2パリ・サンジェルマン@ヤンマースタジアム長居→32430人

7月29日 川崎フロンターレ0-1バイエルン・ミュンヘン@国立競技場→45289人

8月1日 パリ・サンジェルマン1-2インテル・ミラノ@国立競技場→50139人

 

 

マンチェスター・シティが絡んだ2試合が6万人を超す大入りを記録した一方で、その他の試合ではスタンドに結構な空席が目立つ事態になってしまいました。尤も、神戸vsバルサ、川崎vsバイエルン、PSGvsインテルに関しては国立のキャパシティーとの相対的な問題もあるので、空席は目立ったとはいえ十分に合格ラインの数字は出したと言えますが、その他の試合については数字としてはなかなか悲惨で、これは現地観戦したファンやネット、果てはメディアから香川真司まで様々な意見が噴出する結果になってしまいました。

こういう試合を大入りにする為に重要な要素は基本的に「①わかりやすいアイコン」「②稀有性」の2点をサッカーファン以上に一般層にまで波及されるかどうか…だと思うので、そこを踏まえればセルティックの2試合が不振だった事はある程度仕方ないと表現するべきなのかな…とは思います。ただ、セルティック戦以外でも全体的に芳しい数字を残したとは言いにくい状況になった以上、そこには「なぜ?」が生じてくる……金額の高さは額面の高い安いではなく、①と②を踏まえた結果のその値段をどう捉えるかな訳で、今回は特に②の部分に於ける難点があったように考えています。

という訳で今回は、その辺りの「なぜ?」について、3つのポイントから考えていけたらと。

 

 

 

①試合会場のバランス

マッチメイクのストーリー性(後編)

何をもってして"高い"と捉えるのか(後編)

 

 

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…まぁ、理由はなんだって言ったら簡単な話で値段ですよ。チケット金額設定ですよ。そんなことは皆様わかりきっている事でしょう。結局のところ、最終的な理由の全てはそこに帰結します。

今回のチケット…特にパリ・サンジェルマン絡みの試合のチケットはJリーグクラブの年パス並みの金額だったりして、セレッソ大阪vsパリ・サンジェルマンの試合後にはセレッソ香川真司がチケットの金額設定に苦言を呈するほど。

 

 

ただ、それを言っちゃうともうこのテーマでブログ書けねえもん。ここでブログ終わっちゃうのよ。金が高いの一点で終わっちゃうし。ここでブログの他の記事やって「ではでは」で締めてチャンチャンになっちゃうわけですよ。

だからそこでは終わらないようにする為にブログを書いていると言いますか、個人的には全てをその一点に帰結させるのも少し違うように思っているんですね。最終的な理由が「チケットが高過ぎる」というところは間違いない。ただ「高い」という言葉にも色々なニュアンスを含んでいると思いますし、高い金額にならざるを得ないなら得ないで、他にももっとやりようはあったんじゃないかと。今回のチケット不振に関しては、個人的な感覚としては「高いなら高いで工夫が足りなかった」というところが大きかったように思います。

以下、いくつか書いていきます。

 

 

①試合会場のバランス

 

夏のJリーグ中断期間中に行われたプレシーズンマッチは全部で9試合ありましたが、そのうちの7試合…もっと言えば、セルティック以外の7試合は全て国立競技場とヤンマースタジアム長居に振り分けられていたのは特徴的なスケジュールだったと思います。特に国立に関しては6月の神戸vsバルサ戦を合わせれば10試合中の5試合が国立開催だった訳で、セルティックも2試合のうちの一つがパナソニックスタジアム吹田…要は長居と同じ大阪府での試合でしたから、今回はかなり地理的には密集した試合日程になっていました。

 

やっぱりこれは興行的にはあまりポジティブなものでは無かったように思うんですよね。ミュージシャンが同じ会場で2日コンサートをやるのとは訳が違うというか。同じ場所で短期間に2試合やることのマンネリ感は確かにあったように感じました。

例えばアル・ナスルなんかは本当に長居スタジアムでの2試合しかなかった訳で、じゃあこれを1試合に関東に振り分ければ必然的にその試合の希少価値は増す訳で、もう少し違う興行成績もあったように思います。それこそ、大阪での2試合の入りが芳しくなかったPSGが1試合だけの開催だった東京で5万人を集めた事は大阪開催が立て続けに2試合あったのに対して関東開催はインテル戦しかなかった部分の影響したでしょうし、マンCはちょっと別格だとしても同じ事はバイエルンにも言えたのではないでしょうか。試合会場がほぼ固定されていた事はで1試合単位の希少性が若干削がれてしまった部分は否めません。スタジアムや対戦相手の都合が付くか否かの確認は出来ていないので適当な事は言えませんが、同じ関東・関西でも埼スタや日産、パナスタやノエスタに何試合か振る、或いは東名阪開催としてエコパや豊田スタジアム辺りも一つ挟む…みたいな振り分け方をした方が、1試合単位の訴求力は増したんじゃなかろうかと。

 

 

 

一方で、今回の国立と長居に固めるやり方は運営的には間違いなく運営しやすいスケジュールだったと思います。特に長居での3試合と8月1日以外の国立での3試合は運営が完全に同じところですから、例えば長居なら7月25〜28日の4日間(+必要なら準備・搬出の日程)だけを連続して押さえておけば、装飾や導線管理等の会場設営の手間とコストを最小限に抑えた上で3試合を開催出来ると。確かにそこは、運営サイドや現場スタッフからすれば合理的です。ましてやC大阪が本拠地をヨドコウ桜スタジアムに移した今、国立と長居をホームとして使用するスタジアムは存在しないので融通も効きやすいでしょうし。

ただ、このやり方で成功させるならば…例えば長居スタジアムなら、長居で行われる3試合を全試合行こうとする人間をどれだけ増やせるかが重要になってきます。いわゆる全通というやつですね。そして今回のチケット料金は全通するにはあまりも高すぎた。多くの観戦希望者は、たとえ全試合を観たいと思っていたとしても金銭的にどれか1試合を選ぶしかない料金設定でしたし、そういう状況になれば当然観客は3試合の中で分散してしまう…と。

 

付け加えて言えば、これは見栄えの問題で……こう言ってはなんですけど、じゃあアル・ナスルvsインテル戦のチケット(4.5万〜5万枚)が完売すると思っていた関係者が果たしてどれぐらいいるんや、と。この試合が3万人行くかどうかも怪しい事は多くの人は大体察していたと思います(実際は2万人もいかなかった)。であれば、5万人規模の長居よりサイズダウンしたスタジアムを選んで空席を減らすようなプランはあって良かったはずなんですよね。それこそアル・ナスルは4万人規模のパナスタ、インテルは2.5万人規模のヨドコウを練習場にしていたのでそのままこのどちらかを使う選択肢はありましたし、ヨドコウに近い規模の京都や神戸のスタジアムという選択肢もあった訳で。まぁ、今挙げた関西の4会場は指定管理権をホームチームが有していますし、ホームチームが絡まない試合への提供を認めない権利を持っているので、結局長居で全部倒した方が合理的だったのは理解出来ますが……。

 

 

 

次回、【②マッチメイクのストーリー性】【③何をもってして"高い"と捉えるのか】につづく!

 

でも東京たのしかった

ではでは(´∀`)