日本vsドイツ,トルコとかいうルーカスポドルスキうきうきコース
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはキリンチャレンジカップ2023、日本代表vsトルコ代表の一戦です!
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2023年9月9日、そのあまりにも強烈なインパクトは余韻とショックに分かれ、今もまだ心と頭を漂い続けています。それだけあの90分が解き放ったパワーは大きく、あの一戦は日本にサッカーという概念が生き続ける限り語り継がれていく事でしょう。
ただ大事なのはそれを一夜の花火ではなく、これを武器に勝ち続けていく事。それこそドイツは遥か昔からずっと花火を打ち上げ続けて、そして勝ち続けていった事で今日の「サッカー大国」としての地位を築き上げた訳ですから、結局のところ、サッカー大国と呼ばれる為の条件は勝ち続ける事なんです。それを踏まえると、今日の対戦相手…トルコという相手はドイツとは違った意味で興味深い相手です。
ある意味、ドイツやスペインのような相手はわかりやすい対戦相手なんだと思います。誰もが知るこの世界の頂点に手をかけた国々ですから、心の底からチャレンジャーとして殴りに行くことに迷いがない。だからこそ、欧州中堅の実力国であるトルコとどのような試合を展開出来るのかは日本にとって大きな意味を持ちます。その点では、テストマッチという意味ではドイツ以上に日本の今を測る相手でもあるのかもしれません。何より、トルコには21年前の因縁がある…今宵はそれ以来の一戦です。トルコの試合巧者ぶりに絡め取られていくように自国開催の夢を閉じた日本の進化形態を、今こそ彼らにぶつける時です。
両チームスタメンです。
森保一監督が公言していたように、日本はドイツ戦からは左SBの伊藤洋輝を除いてスタメンを全員変更。町田浩樹と毎熊晟矢はこれが代表デビュー戦となり、伊藤敦樹も代表でのスタメンはこれが初めて。2列目は右から堂安律、久保建英、中村敬斗のセットになり、ワントップには古橋亨梧が起用されました。GKは中村航輔が務め、キャプテンマークは田中碧が巻きます。
本日の会場はベルギー、ゲンクのセゲカ・アレーナです。
1990年に開場し、98-99シーズンの終了後に大規模改修を行って現在の形になりました。普段はKRCゲンクがホームスタジアムとしており、21-22シーズンまでゲンクでプレーしていた伊東純也にとっては凱旋試合。ベルギー代表には関係のない試合ではありますが、この事はKRCゲンクの公式Twitterでも言及されています。
UEFAのスタジアムカテゴリーではカテゴリー4として認定されている事から代表戦も多く開催されているスタジアムで、欧州遠征時はベルギーで試合を行う事が多い日本も、今や伝説として語り継がれている2013年とのオランダとの試合(△2-2)はこのスタジアムで行われました。ベルギー代表は基本的にはブリュッセルのボードゥアン国王競技場で試合を行うのでその他のスタジアムの使用頻度は少ないですが、2010年南アフリカW杯予選ではボスニア・ヘルツェゴビナ戦(●2-4)でこのスタジアムを使用しています。
ドイツ戦と比べると磐石という立ち上がりではなく、日本もボールを持つ時間がドイツ戦よりは長くなる中でサイドの幅を使いながら攻めようとした日本でしたが、微妙に攻撃に詰まる時間も少なくなく、逆にトルコにショートカウンターを喰らう形でのピンチも数回あるなど開始10分は思うようにはいかない時間を過ごしました。
しかし10分過ぎからは日本も少しずつリズムを掴み始めると16分、右SBの毎熊がインナーラップ気味にボールを持つと、逆に右に開いたボランチの伊藤敦樹が中央の堂安律とワンツー。堂安のリターンを受けると自らカットインして左脚一閃!!伊藤の代表初ゴールとなる一撃はゴラッソ!!!!日本先制!!!!
続く20分には毎熊のパスを受けた久保建英がドリブル突破。相手を引き付けたところで膨らむように走り込んだ古橋にスルーパスを送り決定機を迎えましたが、古橋のシュートは枠の左に逸れてゴールならず。26分にも右サイドに流れた久保からのスペースに堂安が走り込みますが僅かに合いませんでしたが、ここからの時間は久保に入った縦パスから2列目とFWが動き出す形でリズムを組み立てていき、同時に毎熊・堂安・久保の3人がポジションを入れ替えながら試合は完全に日本ペースと化していきました。
すると28分、ボール奪取から攻め込んだ日本は久保がミドルシュート。これはGKチャクルが弾きましたが、こぼれ球を中村がいち早く駆け寄って押し込んでゴール!!!!敬斗中村ァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
さらに36分には毎熊がボール奪取から一気に右サイド独走。古橋と久保がゴール前に走り込む事でマイナス気味のコースがあると、この隙を見逃さなかった毎熊がそのコースへパス、隙と古橋・久保の動きを見てステイした中村が受けて冷静にシュート!2点目!敬斗中村ァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
しかし前半終了間際、左サイドの深い位置でFKを与えると、コクチュが入れたボールをファーサイドに走り込んだミュラドゥルがヘッド。一度はGK中村航輔が弾きましたが、こぼれ球をカバクが押し込んで日本失点。それでも日本は久保を中心に両サイドとの連携を上手く回しながら良いリズムを作り、前半を3-1の2点リードで終えます。
日本は前半の失点シーンでの接触で負傷退場したGK中村をシュミット・ダニエルに替えたのに続き、後半からは堂安、中村、毎熊を下げて伊東純也、前田大然、橋岡大樹を同時に投入。対してトルコも選手を5人同時に交代し、チャルハノールやデミラルといったヨーロッパサッカーでお馴染みの選手を投入してきました。
後半は少しトルコに持たれる時間も増えましたが、55分には右サイドに開いた伊東のクロスを中央で受けた久保のフィニッシュはポストに。58分にも中央でボールを受けた伊東のスルーパスに古橋が抜け出しましたが、ここは相手DFの帰陣もあってうまくフィニッシュには持ち込めず。
しかし61分には左サイドから攻め込まれると、サリのクロスが谷口彰悟に当たってコースが変わったところをユルドゥルムに押し込まれて1点差。日本からすれば3-0を3-2まで持ってこられる嫌な展開になり、ベルギーに大挙して訪れたトルコサポーターも大盛り上がり…。
失点直後、日本は久保のスルーパスに抜け出した前田の折り返しに古橋が詰めるセルティックホットラインで決定機を迎えましたが、今日は何かに見放されたかのような古橋のシュートはポストに阻まれてゴールに至らず。64分には伊藤敦樹を下げて遠藤航を投入する事で落ち着きを取り戻そうとしており、後半はなかなか劣勢を跳ね返せない時間が続きます。
それでもいくつか相手に許した決定的な場面をGKシュミットの攻守もあって凌ぎ切って中で迎えた76分、トルコのCKを跳ね返したボールを拾った伊東純也がもうTHE IJとでも表現するべきスーパー独走カウンターでぶっちぎると、途中出場のユクセクに倒されてPK獲得。これを伊東が冷静にGKの逆を突いて決めて日本追加点!トルコに押し込まれた嫌な流れを跳ね返したのは、かつてこのスタジアムのスーパースターとなった男の個人としての強さでした!
後半は全体的にオープンというかやや落ち着かない試合展開にはなりましたが、4点目を獲ってからは日本も落ち着きを取り戻したような形になり、町田を下げて冨安健洋を投入しながら試合を締めてゲームセット。ドイツとトルコとの連戦でいずれも4得点を挙げた日本代表。2023年のメインイベントとなった欧州遠征を2連勝で飾りました!
ドイツ戦のように、ポゼッションではなく試合の主導権という意味での「ずっと日本がボールを持った状態」という試合ではなかったのは確かです。前半に関しては10分以降は久保にボールが入ったところを基点に右サイドでゲームを作って左サイドでフィニッシュに持ち込む流れが上手く作れていましたし、そこは日本にとってのパターンBを示せていました。
パターンBとはなんぞやと言うと、今の日本は単純なレギュラーチームとベンチ組というよりは相手の出方を踏まえたパターン別で物事を考えているフシがあるので、ドイツ戦とは違ってボール保持の時間が長くなると考えられたトルコ戦で久保と堂安の環に伊藤敦樹や毎熊が絡む事でゲームを作る、そして左の古橋や中村で刺そうとする左右非対称システムとしての有用性は示せたと思います。そこの部分のコンビネーションに於いて、伊藤や毎熊があそこまで絡んできたのは素晴らしかったですし、特に毎熊は堂安久保との調和も上手く行ったというところで森保監督を悩ませるだけのインパクトをここで残す事は出来たのではないでしょうか。
ただ、後半に関しては…もちろんトルコがギアを変えてきたところもあるとはいえ、ギアを変えて押し込んだトルコに対し、日本は前半よりも一人一人が対応するスペースが増え、そこを突かれるような形で攻め込まれてしまった。特に前半は田中碧と伊藤で役割分担が出来ていましたが、後半は田中が伊藤に釣られるような形になってしまって、そこで中央が空洞化してしまった部分はあったと思います。逆に、後半のようなスタンスをトルコに示された事で伊東と前田の個人能力がより活きた部分はありましたが、前半の優位性と後半の劣勢は、森保ジャパンで持ち合わせるユニット毎のパターンの効能と悩ましさも見せた部分はあったように思います。遠藤と冨安をクローザー的に起用して状況が少し改善された部分はありましたが、後半はボールの落ち着きどころがまるでなかった事は確かで、ボール保持の時間が長くなる時はこのメンバー、逆に短くなりそうな時はこのメンバーみたいなところは少し露骨になったのかな…と。ただそれでもトルコはやっぱり欧州の実力国な訳で、そこに対して質で殴るようなサッカーを展開できたところは一つのポイントというか、日本サッカーの発展をもそこには含んだものである事は確かです。
課題をクリアすれば新たな課題が出るし、障害を超えて前に進めば新たな障害が出てくる。それは確かですが、前にそれをテーマに記事を書いたように、森保ジャパンは戦術クラスタ的に善しとされるサッカーとは別の角度でチームビルディングを試みていると思うんですよね(下記ツイートやブログも参照)。
クラブチーム的に絶対的な完成度を求めるよりは、ユニットをパターンとして考えて、それらを手札として捉える事でリアクション的なアクションを起こしていく…。ドイツ戦にしてもトルコ戦にしても、そしてカタールW杯にしても一見、戦術だけ見れば一貫性のないように見えるけれど、実は直訳的な意味での戦術とは少し違う角度で見ればそのスタンスやアプローチは実は一貫したものがある。その試みは個人的にはなかなか期待できるものがあるのではと思っていますし、課題や粗は常にあるけれど、この欧州遠征の2試合はしっかりそれを提示しながら結果を出せた。ここは相当大きなポイントでしょう。
親指の皮がささくれるとブログ書くの辛い
ではでは(´∀`)