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情緒が矛盾を呑む先へ〜明治安田生命J1リーグ第34節(最終節) ガンバ大阪 vs ヴィッセル神戸 マッチレビューと試合考察〜

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レフティファイター

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第34節(最終節)、ガンバ大阪vsヴィッセル神戸の一戦です!

 

 

 

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苦難の一年でした。そして今はまだ苦難の季節を泳いでいます。

ガンバ大阪の今年は紆余曲折が激しく、フジヤマかとでも思うほどの美しいジェットコースターっぷり。それでも……それは自力ではなく、締まりが悪いとしか言いようのない結末ではあったとしても、残留という最小最低限の結果は手にしました。曲がりなりにもガンバは、曲がりなりにも来季もこの国のトップカテゴリーで戦う事を許された。その中でポヤトス監督続投の決断も早い段階で下し、今日はようやく心身が張り詰めるような展開から多少解放された部分もある事でしょう。

相手は神戸。今年の王者です。今振り返れば、ガンバと神戸の明暗は第3節の0-4という大差がついた強烈なゲームからはっきりと道筋は分かれたように見えました。もちろん実際にはもっとちゃんとした理屈があるんですけど、タイミングと気分的にはそういう思いを抱く人は多い事でしょう。シーズンの終わりは来季の始まりであり、そして今年の結果や、これまで旅を共にしたレジェンドとの別れを意味する。今年の憂鬱を断ち切り、来季へと希望を繋げ、そして今季で去る英雄への花道を。例えこの試合が最高の勝利だとしても終わりよければ全てよしなんて事はありはしない。それでも笑顔でシーズンを終えよう…それが今日の全てです。

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節広島戦からはスタメンを3人変更。システムは前節広島戦前々節福岡戦で採用した3バックから従来の4-1-2-3に戻しています。今日は鈴木武蔵広島戦で負傷退場となった事からイッサム・ジェバリがスタメンに復帰。GK東口順昭も欠場となった為、今日は石川慧が今季公式戦初出場。リーグ戦では昨年の第5節福岡戦以来の先発となりました。今季限りでの退団が発表されたクォン・ギョンウォンは先発。塚元大と藤春廣輝もベンチ入りを果たしており、藤春は第23節横浜FM戦以来のメンバー入りです。

前節名古屋戦で優勝を決めた神戸は複数の選手が状態に問題を抱えている事が報じられていましたが名古屋戦からのスタメン変更は一人のみで、今日は佐々木大樹ではなく今季は途中出場がメインだったジェアン・パトリッキを起用。佐々木がスタメンに定着して以降は左WGをメインにしていた武藤嘉紀は右WGとなっています。初瀬亮と井出遥也にとっては古巣対決となりました。

 

 

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

 

 

今季も最終戦。ガンバは歴史の中ではホーム開幕・アウェイ最終が多いクラブでしたが、2020年代は2022年以外ホームで最終節を行っていますね。

試合後には当然最終戦セレモニーも行われますが、今日はゲストも複数来場。お笑いコンビのアキナのトークショーから、12月16日に引退試合パナスタで行う橋本英郎氏が場外ステージで、そして今季の神戸の優勝に貢献し、昨季はガンバでも活躍した齊藤未月も挨拶にパナスタに訪れる他、試合前の番組では神戸OBでもあるガンバレジェンド・永島昭浩氏が来場しています。

そして…この試合は藤春廣輝ラストゲームです。いつだってこのスタジアムの左サイドは彼のものでした。その歴史に一つのピリオドが打たれる今日、そのレフティファイターの勇姿を勝利で飾りたいところ。

 

 

神戸のハイプレスもあって序盤はガンバもややそれに付き合わされる形になり、試合自体はガンバも神戸もやや落ち着きに欠けるというか、ボールの奪い合いのところでバタバタする場面が散見されていました。

それゆえに自陣でのビルドアップも含めてボールが落ち着かない時間が多く、攻撃はなかなか上手く回りきらなかったものの、守備面に関しては広島戦のような緩い対応がなされる事はなくきっちりと出る時は出る姿勢を失わずに対応。一進一退の攻防が繰り広げられていきます。

 

 

 

そんな中でガンバは13分に食野亮太郎がシュートに持ち込むと、20分にも山本悠樹が展開したボールに走った半田陸のクロスを宇佐美がヘッド。いずれもゴールを捉える事はできませんでしたが、しかしここで2つほどシュートチャンスを作った辺りからガンバはボールの落ち着きと展開の勢いを得られるようになっていきました。

神戸が若干押し下がる形になるとアンカーと両CBのところでボールを持てる時間が確保できるようになり、右寄りにポジションを取った山本や三浦のところからワイドに開いた半田へのパスから良い流れが生まれ始めていきます。実際にそこからは前半はほぼガンバペース。41分にはダワンのパスからジェバリが折り返したところに倉田が詰め、ここも神戸に跳ね返されますが…攻撃の流れとリズムは前半の中頃から有機的に動くようになっていきました。

 

 

 

クォン・ギョンウォンの負傷退場など少し試合が止まる場面が多かったこともあって長くなったアディショナルタイムでは神戸に2度ほどチャンスが訪れるも、この2つは枠を逸れてなんとか失点は回避。前半は概ね良い試合内容で45分を終えます。

 

 

後半開始早々の48分、神戸は負傷した扇原貴宏を下げて山口蛍を投入。

後半立ち上がりはガンバにも神戸にも決定機は多くありませんでしたが、ガンバがボールを持ちつつ神戸がカウンターを目論むという展開は比較的出来上がっているようになっていました。しかし神戸がカウンターから少しずつカウンターを作り始めると、56分にはマテウス・トゥーレルが低い位置でガンバのプレスを剥がしてから左サイドに展開。一気に抜け出したパトリッキのクロスボールをカットしたようとした三浦弦太に当たったボールは無情にもゴールネットは吸い込まれ…被弾。

 

 

先制を許したガンバば今季取り組んできたように自陣からビルドアップを組み立てながら前進を試みていましたが、ミドルサードに入る局面で神戸の中盤に捕まり、そこからショートカウンターを度々喰らう苦しい状況に陥っていきます。60分には井出のクロスが流れたところに入った大迫勇也が決定的なシュート。65分にはガンバも山本→倉田と繋いで宇佐美が得意な形でボールを持つ瞬間が生まれましたが、シュートに威力はなくGK前川黛也の正面に。

 

 

 

負傷退場となったクォン・ギョンウォンを除いて選手交代を行っていなかったポヤトス監督は77分にジェバリ、食野を下げて唐山翔自と山見大登を投入。すると83分、右サイドに流れていた黒川のパスを受けた倉田がエリア内にボールを入れると、走り込んだ唐山がGK前川と交錯しながらゴール…かと思いましたが、ネットを揺らした唐山のポジションは惜しくもオフサイド

85分には共にこれがラストゲームとなる塚元と藤春を投入。87分には途中出場佐々木大樹に訪れたカウンターの場面をGK石川の好セーブで阻止し、アディショナルタイムには宇佐美や山見のミドル、そしてラストプレーでは藤春にも好機が訪れますが……ゴールならず。ガンバの変革と苦難に満ちた2023年は、優勝を果たした神戸を前に7連敗で幕を閉じる結末となりました。

 

 

 

シーズンの総括的なところはまた後日連載でガッツリ書くとして(越年する可能性大ですが…)、とりあえずここでは今日の試合の事を書いて、サクッとだけシーズンを終えて的な事を書いて終わろうかなと。

試合内容自体はそこまで悪いものではなかったと思います。おそらくこれが開幕5試合くらいの試合内容…それこそ、ノエスタで行われた第3節の神戸戦の内容がこれであればポジティブな事を純粋な気持ちで書けたのかな…とも。今日に関しては両SBの距離感であったり、最終ラインやミドルサードからサイドに振って展開したり…など、今季のガンバが良い循環で戦えていたような攻撃の流れも少なからず見えていましたし、特に三浦や山本のところから右サイドの半田へ渡す流れはスムーズに構築されていた…福岡戦広島戦の反省もあったのでしょうが、キックオフ直後やリスタート時の集中力というものも気を張っていた。その辺りはやはり、不本意な形とはいえ残留は決まったというプレッシャーの軽減はあったのでしょう。ポヤトス監督の人選も含めて、特に心理面において良かった時期の感覚を多少取り戻していたような側面は見受けられました。

一方で、失点した後の明確な取り乱しぶりというか……やはりそこから落ち着かなくなってしまった。前半立ち上がりの攻防戦を乗り切った後はガンバがゲームをコントロールする形で戦えていたにも関わらず、明確にスコアで劣る形になってから再び混乱が帰ってきた。ある種、失点する前は悪くなかった展開が、失点から急速に壊れるようになった試合展開は今季のガンバの流れさながらでした。取り乱したようにガチャガチャしてしまったというか、受け手は前に急ぎ、出し手は詰まる、そうしているうちに……特に神戸は縦に速いチームでしたから、点を取られてからの方がむしろ劣勢になったのも自然な流れでした。トータル的に見れば決して悪くはなかったけれど、だからこそ今季のガンバを象徴するようなゲームでしたね。内容そのものというよりは、試合の流れそのものが…というか。

 

 

情緒不安定にでもなるしかないシーズンだったと思います。

上がっては落ち、落ちては上がり、沈むように終えていったシーズン。理想と現実の乖離を感じ、戦術性を目指す中で槍玉に挙げられる選手も増え、時として和式だの洋式だのの論争にも巻き込まれ、何を求めるか、誰を吊し上げるか、何を信じるか、誰が責を担うのか……その意見と感覚の相違がガンバファンの中でも生まれていけば、これほどまでに蝕まれていくような感覚を抱くシーズンは自然の成り行きだったのかもしれません。
ただそれでもガンバは賽は投げた。強いガンバを取り戻すと言っても過去には戻れない。いるべき場所は歴史の中にしかなく、現実の今いるべき場所はこれから作るしかない。いつか長い目で見た歴史の中で、この年が"いるべき場所“の一歩目だったと思える日が来る事を切に願って来年もガンバ大阪を追っていきたいと思います。誰が何と言おうとも、誰が脊椎反射的に勝手に邪智しようとも、投げられた賽の目に覚悟を持っていない選手は誰もいないはずです。ブーイングをする事は己の感情としては正しく、自然な発露。ただブーイングに乗せて叫ぶ非難が正しいものとは限らない。クラブの内部も、現場も、見ている外野も、今年のガンバは多くの矛盾の中で戦い、そして来季はその矛盾の中で拾い集めたもので何をつくるのか…そういう一年になるのでしょう。

選手、スタッフ、関係者の皆様、1年間お疲れ様でした!!良きオフをお過ごしください。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

 

明治安田生命J1リーグ第34節(最終節)分は、京都サンガFCvs横浜F・マリノス戦のページに記載しています。

 

 

ありがとう疾風のレフティーファイター

ではでは(´∀`)