おつかれ川﨑、山田楓喜
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第25節、京都サンガFC vs 名古屋グランパス の一戦です。
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パリ五輪の熱狂はまだ続く中、各クラブが戦力強化や欧州クラブとのプレシーズンマッチに勤しむ2週間の中断期間を経ていよいよJ1リーグが再開します!パリ五輪では普段応援しているチームの垣根を越えて日本代表に熱視線を注ぎましたが、今日からはまたお互いに敵同士。優勝、ACL、残留…それぞれの目標とノルマに向かって死力を尽くします。
5月までにあれだけの敗北を喫し、あれだけ勝点を落としたその時点で、それ以降の試合という試合全てが正念場となる事は誰の目から見ても明らかでした。それがまさしくサンガにとっては試される展開と言えたのは、2000年も2003年も2006年も2010年も……サンガが今までに喫してきた4度の降格はいずれも、前半戦での大幅な取りこぼしを最後までカバーする事ができず、そのまま沈んでいった…そういうシーズンだったからこそ、このクラブの潮流を変化をこの状況だからこそ示さなければならなかった部分はあったと思います。
その観点で考えれば、少なくともサンガは最悪の状況から確実に持ち直しました。今季は湘南や鳥栖といった同じフェーズを戦う面々が揃って復調したので順位的には大きく何かが変わった訳ではありませんが、サンガとしては最下位から熾烈な残留争いと呼べる段階にレースを引き戻したのは養われた一つの地力とも言えるでしょう。周年イヤーだからこそ、サンガはこれまで蝕まれてきた一つ一つの悪しき歴史を脱していかなければならない……夏の補強もその姿勢を示したものだったと考えて良いと思います。相手は名古屋。言わずもがな強大な敵を前に、その真価が問われます。
両チームスタメンです。
サンガは前節磐田戦からはスタメンを2人変更。直近のシュトゥットガルト戦では基本的にスタメン組で戦った事もあり、名古屋からのレンタルゆえに契約上の理由で出場できない米本拓司以外はシュトゥットガルト戦と同じメンバーを起用。金子大毅は出場時はアンカー起用が主だっていますが、今日はここ数試合の流れを踏まえて福岡慎平をアンカーにしています。ラファエル・エリアスはリーグ戦では初スタメン。また、他クラブではパリ五輪から帰国した選手が出場しているクラブもありますが、川﨑颯太に関しては慢性的な腰の不調を抱えていた事もあって試合前の時点で曺監督が欠場を明言していました。
名古屋は前節の神戸戦からはスタメンを1人だけ変更。野上結貴ではなく左WBとして和泉竜司を起用し、前節は左だった中山克広を右WBにスライドさせました。先日、今季限りでの退団を発表したランゲラックもいつも通りに先発出場。パトリックや重廣卓也は古巣対決です。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
本日、大変暑くなっています💦
— 京都サンガF.C.【公式】 (@sangafc) 2024年8月7日
スタジアム東広場では、巨大な恐竜の口からミストが出るクールスポットと、ダンボール迷路を楽しむことができます‼️
皆様のお越し、お待ちしています! pic.twitter.com/snXAMhydKN
本日は明治安田のパートナー10周年記念マッチとして開催され、先着でオリジナルエコバッグかクリアファイルがプレゼント。また、グッズを1000円以上購入した方にJリーグカレー、来場者に場内フードの割引券がそれぞれ先着で配られる他、場内でビールが半額で販売されています。
サンガスタジアムの2024年はU-23日本代表戦や海外クラブとの親善試合など、一つ一つの「はじめて」を積み上げています。これからもどんどんクラブとスタジアムが育つ軌跡を紡ぐためにも兎にも角にもJ1に…。
シンプルにロングボールを入れてくる名古屋に対し、ハイプレスを心情とするサンガは如何に名古屋に翻されないようにするか、或いは如何に狙いのあるロングボールを蹴らせないようにするかという事が問われていました。実際に序盤からそれに準じた試合展開になる中で、いきなり出鼻を挫かれたのが5分の出来事。自陣でのビルドアップがハイプレスをかけてきた名古屋に捕まると、三竿雄斗がGKに戻そうとしたところをパトリックがカットして一気にラインブレイク。そのままGKク・ソンユンをかわして名古屋先制…。
更に14分には左サイドでの流れるような攻撃から森島司がファーサイドにクロスを入れ、走り込んだ稲垣祥が豪快なシュート。この場面はクソンユンのファインセーブで防ぎましたが、19分には和泉竜司のクロスに反応した山岸祐也のシュートのこぼれ球をまたしてもパトリックに詰められて0-2…。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年8月7日
🏆 明治安田J1リーグ 第25節
🆚 京都vs名古屋
🔢 0-1
⌚️ 5分
⚽️ パトリック(名古屋)#Jリーグ pic.twitter.com/DmsoMyaRh8
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年8月7日
🏆 明治安田J1リーグ 第25節
🆚 京都vs名古屋
🔢 0-2
⌚️ 19分
⚽️ パトリック(名古屋)#Jリーグ pic.twitter.com/PRBxVgimA3
サンガはどうにか3トップにボールを当てて攻め込みたいところでしてたが、今日の名古屋は「サンガの3トップがボールを持てない状況」をしっかりと作っており、サンガのDF陣にはハイプレスをかけることでロングボールを蹴ろうにも引っかかるような状況に追い込む、中盤にボールが渡れば逆に泳がせて、3トップへのコースを切る守備を徹底する…そういうプレス管理で上手くサンガを嵌め込んでいました。
時間経過と共にサンガもマルコ・トゥーリオのところからいくつかのチャンスを作れるようになりましたが、それがなかなか得点チャンスには繋がらず、逆に名古屋のカウンターを受ける場面の方が目立つ展開に。
サンガは後半から福岡を下げて松田天馬を投入。
そして後半最初に試合に動きをもたらしたのはサンガでした。47分、飛び出して行った原に対する内田宅哉のファウルにレッドカードが与えられたことで内田は退場。名古屋は直後にパトリックを下げて野上結貴を投入して守備のテコ入れを図りますが、いずれにせよサンガは後半のほとんどの時間を数的優位で戦うことに。
58分には名古屋に波状攻撃を喰らいましたが、この場面をクソンユンのファインセーブなどもあってどうにか凌ぎ切ると風向きの変化を味方に捉えた瞬間が59分でした。
宮本優太のサイドチェンジを受けた三竿がプレスに来た相手を交わして左サイドに走った原へ。原の絶妙なクロスを頭で合わせたエリアスのヘッドが見事に決まって1-2!サンガ1点を返します!
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年8月7日
🏆 明治安田J1リーグ 第25節
🆚 京都vs名古屋
🔢 1-2
⌚️ 59分
⚽️ ラファエル エリアス(京都)#Jリーグ pic.twitter.com/5VXzphIZTX
その後のサンガは試合展開こそ一進一退の状況にはできていたとは言え、名古屋の攻撃の鋭さと速さはやっぱり一級品ゆえに中盤でのボールロストから刺されるようにチャンスを作られる場面は多く、必ずしも試合を優勢に持っていけている訳ではありませんでした。
しかしそれでもサイドから人数が減ったことで劇的に増えたスペースをサイドの選手が上手く使えるようになると一気に攻撃の流動性を生み出せるようになり、闇雲なクロス攻勢ではなく一枚剥がす、ないしは守備の統率を崩してからのクロスが次第に入るようになっていきました。名古屋は森島と和泉を下げて重廣卓也とハチャンレを投入。守備固めに入ります。
そして伝説は71分から生まれます。
左サイドのCKから平戸が一度トゥーリオに当ててショートコーナー。リターンを受けて絶妙なクロスを上げると、これに原が合わせてサンガ同点!!
更に更に79分。今度は右サイドの深い位置でFKをまたしても平戸が蹴り込むと今度はニアサイドのトゥーリオが頭で合わせて逆転逆転逆転!!!電光石火の大逆転劇!!6〜7月の救世主マルコ・トゥーリオはこれまでの労が最もアガるシチュエーションで報われる移籍後初ゴール!!!
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年8月7日
🏆 明治安田J1リーグ 第25節
🆚 京都vs名古屋
🔢 2-2
⌚️ 74分
⚽️ 原 大智(京都)#Jリーグ pic.twitter.com/g0giqi6c2Y
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2024年8月7日
🏆 明治安田J1リーグ 第25節
🆚 京都vs名古屋
🔢 3-2
⌚️ 79分
⚽️ マルコ トゥーリオ(京都)#Jリーグ pic.twitter.com/h9zCGy3J3H
名古屋は2-2になった段階で怪我から復帰したユンカーを投入し、同じタイミングで投入した山中亮輔からのクロスボールを駆使して同点を狙ってきましたが、空中戦での戦いはサンガにも強さがありしっかりと対応。むしろ前半よりも遥かにピンチというピンチは少なく抑えてゲーム・エンド!
サンガ、2年連続真夏の大逆転勝利!!!
言ってしまえばラッキーな試合でした。その部分は間違いなくて…今日の勝利は「チームとして鵜呑みにしてはいけない勝利」であって、それはこっぴどい負け方をしても会見ではポジティブな言葉を並べる事の多い曺監督ですら今日は反省の弁が先に出ていたところに見ても明らかですし、前半の内容を見れば「11対11でも勝てていた」とはとてもじゃないが言えない。「勝って反省できるのはいいことかなと思います」という試合後の監督のコメントが全てではあるのかなと。
まず名古屋の今日の戦い方は「対京都戦のゲームプラン」として完璧だったと思います。基本的に名古屋はプレスの整理が上手いチームという印象があるんですが、基本的にサンガはDFラインから一度3トップに当てたいと考えている中で、DF陣にはハイプレスをかけてロングボールを蹴ってもブロックされてしまう状況、横パスやバックパスしか選択肢のない状況をつくる事でサンガの前進はある程度阻む事ができる。逆に中盤がボールを持ち出した時はリトリート気味に守り、今度はボールホルダーではなく3トップへのコースを切る守備に徹する。ここのプレスの使い分けを見事にやられてしまった事で、前半のサンガはトゥーリオ辺りが頑張って個人突破するくらいしか攻め手が無くなっていました。あの部分は名古屋の前線にパトリックと山岸祐也というプレスの掛け方が以上に上手いFWが2人もいる強みも活かした形と言えるでしょう。
加えて今日のサンガのCBはアピアタウィア久と鈴木義宜のコンビでしたが、アピアタウィアが相手にぶつかり鈴木がカバー…という役割分担を明確にしている中で、中盤がハイプレスに駆り出されてしまったところをロングボールでかわされ、アピアタウィアがパトリックと山岸のどちらをケアすべきかの選択肢が絞れなくなっていました。そこに森島が入る事で、森島のゲームメイクのセンスを持ってすればパトリックや山岸が触れたボールをフォローするだけでそれが決定機の2つ前になってしまう。代表ウィーク明けの試合を異常に苦手としているサンガは良くも悪くもリズムとテンポが命のようなチームで、そういう構図に名古屋の選手のタイプとクオリティが完全に合致していた。長谷川健太監督もそれを認識していたからこそ「対京都」を強く意識したゲームプランを仕込んでいたように思います。内心、これ5月の広島戦(●0-5)みたいになるんじゃないかって過った瞬間もありましたし…。
ただ後半に関しては、試合を決定付けたのが内田の退場であった事は間違いありませんが、前半の惨状を踏まえた上での後半の入り方は素晴らしかったと思います。
監督が明確な指示と修正を与えたのか、或いは心理的なアプローチで開き直れたのか、あの状況から後半の立ち上がりにしっかりと反撃姿勢を示せた事は良かった。特に後半は金子をアンカーに戻し、平戸の位置を少し下げた。これによって前半から機能しまくっていたDFラインに対する名古屋のハイプレスの対象に中盤の平戸と金子を引き込む事ができ、リードしているはずの名古屋が若干前がかりになっていて、3トップに当てるというよりも3トップが背後を狙えるようになった。ましてや中盤省略の間を縫うように走れる松田天馬を投入した事で前と後ろをリンクさせられたのは大きかったなと。実際、内田の退場のきっかけとなった平戸→原のラインブレイクはそういう流れで訪れた場面でした。今日の名古屋は11人である事を前提としたプレスの管理をしていましたから、どう見積もれど少なくとも18位以下の訳はない戦力を持つサンガはそれで瓦解したスペースを独力でこじ開けられるだけのタレント性は持っている。ましてやサイドのスペースをどう利用するか…みたいなところはマルコ・トゥーリオの好調や、本来は中に居て欲しいけれど高精度のクロスを入れられる原のボールに飛び込めるエリアスの加入で劇的に向上した部分ですから、そこをしっかりと突けるようになったところは復調の要因ではあるでしょう。
サンガにとっては名古屋の交代策も優位に働きました。パトリックはどの道早めに下げる予定だったでしょうし、森島はあのまま放置していれば2枚目のイエローを受ける可能性もあったので、相手の長谷川監督の采配ミスと言うにはあまりにも酷と言いますか、あの時点ではあれが最善だった事は間違いないと思います。ただ、サンガにとってはパトリックと山岸と森島に怯えていた状況が「山岸だけ気にしておけばいい」という状況に変わった事は、守りやすくなったというよりもチーム全体として攻撃態勢に転じやすくなったというメリットがあった。森島がいたら、森島が受けた時に山岸に走られるカウンターが怖くて思い切った攻撃参加は難しくなっていたでしょうし。そこはもう、名古屋からしたら「不幸だった」というしかない部分はあったように感じました。
繰り返しますが、曺監督が「勝って反省できるのはいいこと」と語ったように今日の勝利は手放しで喜べるものではなく、11対11でも勝っていたとは言えないようなゲームでした。あの退場は単なる数的優位のみならず名古屋のプランの瓦解がセットになっていましたし、あそこから流れが一変した事は自然の摂理と呼ぶべきでしょう。
しかしながら、良い内容や有利な展開ながら敗れた時によく使われるフレーズが「良い時間帯で点を取れなかった」「取るべき場面で取れなかった」「数的優位を活かせなかった」などである事を考えると、少なくとも今日のサンガはしっかりと機を捉え、風向きに乗ることができた。考えてもみれば、長い歴史の中でサンガのそういう姿を見た記憶ってあまりないんですよね。代表ウィーク明けの試合を苦手とするサンガだけに、前半が終わった時は「あー、またこれか…」と思った方は多くいる事でしょう。しかしながら、結局のところ大事なのは一つ一つの機をしっかり掴む事であり、一つ一つの風と流れにしっかりと乗る事であり、その2つの積み重ねが最後に勝点という形で数字になる。サンガがそういう胆力みたいなものを少なからず持てるようになった事はすごく喜ばしいなと。
…なんなら、結局現地で観てて一番心揺さぶられるのはこういう試合だからね!
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
2024明治安田J1リーグ第25節
1位 FC町田ゼルビア(50)
2位 鹿島アントラーズ(47)
3位 ガンバ大阪(45)
4位 サンフレッチェ広島(43)
5位 ヴィッセル神戸(42)
6位 セレッソ大阪(38)
7位 FC東京(37)
8位 アビスパ福岡(36)
9位 横浜F・マリノス(35)
10位 東京ヴェルディ(34)
11位 浦和レッズ(33)※1
12位 川崎フロンターレ(31)
13位 名古屋グランパス(31)
14位 アルビレックス新潟(29)
15位 柏レイソル(29)※1
16位 京都サンガFC(28)
17位 湘南ベルマーレ(26)
18位 ジュビロ磐田(25)
19位 サガン鳥栖(23)
20位 北海道コンサドーレ札幌(15)
※1 1試合未消化
パトリック100得点おめでとう!
圧倒的な破壊力、類稀なる献身ぶり、滲み出る人間性……少なからず存在する良い選手ではなく、間違いなく特別な選手。
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年8月7日
特別な選手がそれに相応しい特別な称号まで到達してくれてただただ嬉しいです。
100得点おめでとうございます!Parabéns!! Nosso herói!!#パトリック@patricaguiar pic.twitter.com/2eHlnlVYZl
ではでは(´∀`)