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海外ド音痴、ロシアに翔ぶ〜英語もまともに喋れない私のロシアW杯観戦記〜第14話 遠く離れて


   

ロシアに着いてから1週間ほどが経とうとしていた。

意外と自分は、あくまで思っていたよりはという程度だが思っていたよりも環境適応能力があるらしい。ロシア初日に抱いていたような緊張はすっかりなくなり、言葉が絡む事は友人に頼らないとどうしようもないとはいえスーパーでの簡単な買い物くらいなら自力でなんとか出来るくらいの余裕は出来ていた。このご時世はカードとかもあるわけだし。

 

そんな旅も、いよいよ最後のイベントを迎えようとしている。

この日は遂に今回の旅の全ての始まりとも言える試合、ロシアvsエジプト戦の観戦である。

 

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ホテルを出てずーーーっとまっすぐ進んだところにゼニト・サンクトペテルブルクのオフィシャルショップがある。

昼食前に、密かに出発前から購入のチャンスを伺っていたゼニトのオフィシャルジャージとW杯のオフィシャルTシャツを購入。ガンバのユニはフランスvsオーストラリアの時に着用したし、さすがにロシアvsエジプトで日本代表ユニを着るのは違うかなと思っていたから、これを着込んでスタジアムに向かう。

 

元ロシア代表のアルシャビンが大好きだった事もあってヨーロッパのサッカーチームの中でもゼニトは好きな方のチームだったし、ゼニトのオフィシャルジャージなんて日本で買える場所はゼロではないだろうけど多くはないはず。実際帰国後に実家に戻った際も、Jリーグは見るが海外サッカーには詳しくない母が「またそんなもん買うて…」と言った反面、海外サッカーもそこそこ見ている父は結構羨ましそうにしていた。冬になったらヘビロテしてやろうと思っている。

 

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この日の昼食はロシアではメジャーなファーストフード店、テレモクにてロシアの名物料理ブリヌイを食す。これも非常に美味しかった。

ちなみに右下のブリヌイは中にサワークリームオニオンが埋め込まれている。ロシア人はとにかくサワークリームが大好き。右もサワクリ、左もサワクリである。

 

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ホテルから歩いた道をまっすぐに進む。

若干急ぎ足になる。少し時間に追われていた。

迫る時間というのはロシアvsエジプトではない。この試合はナイトゲーム。それも21:00と遅めの時間なのでまだまだ全然余裕がある。

 

我々が急いでいたのは日本vsコロンビアの試合を観るべくして急いでいた。

 

   

ホテルの部屋に帰った我々は早速テレビをつけてチャンネルを回す。

だがここであまりにも残酷な事件が起こってしまうのだ。

 

あまりにテレビの画質が酷すぎるのである。

 

そこまでハイクオリティな画質を求めるつもりはない。

だがこのテレビの画質はほぼほぼ砂嵐も同然で、砂嵐の隙間から試合を覗くような、まさしく嵐の砂漠で遭難した時の生き残り方のような状態で、さすがにこれはフロントを呼んで友人が交渉にあたった。

 

   

原因としてはホテルのアンテナがゆるゆるだったらしい。

早めに直すと言ってはくれたが、それでも終わる頃には日本戦がどの辺りまで進んでいるか読めない。何より少しずつロシアに慣れ始めた私にとってロシアの「早め」という言葉の基準が相当にガバガバである事は感覚で解りつつあるし、アンテナについては日本だとしてもすぐに終わる保証はない。

 

結局、部屋で見るのは9割方無理という結論に至った。

だがフロントの方の計らいもあり、ホテルのフロント前のテレビで試合を観せてもらえる事になったので試合は無事観れる事になった。日本人の切実すぎる事情に気を遣ってくれたのだろうか。ロシアは怖いイメージが強くあったし実際に怖いが、ロシア人というくくりではイメージより優しい人が多い。

 

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妙にBARみたいな雰囲気があり、コーヒーメーカーも好きに使っていいとの事だったので快適な観戦環境だった。

日本vsコロンビアの試合結果は皆さんご存知だろうからここでいつものマッチレビューまで細かく言うつもりはないが、日本とサランスクの会場でみんなが吠えまくったのと同じように私達も何度も声を挙げた。いや、場所が場所なので一応最初は声を抑えようとした。しかし開始3分の時点でその心持ちは崩れ去る。

W杯というものは容赦なく人を壊す。

 

   

やはりW杯期間中という事もあってかこのホテルには色々な国籍の人が居た。

我々が日本のゴールで喜んだ際にロシア人スタッフや通りすがりの外国人宿泊客は拍手をくれたりもした。

 

一つ面白かったのが、このホテルにはウズベキスタン人のスタッフが一人いた。

彼に対して「シャツキフジェパロフは知ってるよ!」的な事を言うと、友人曰く「俺達の国の選手を日本人が知っていたなんて!」と言っていたそうでえらくウケた。その後何度か彼とすれ違う度に「シャツキフジェパロフ」とまるであだ名のように呼ばれる事になるのだが。

 

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なんとなくな国際交流を果たしたちょっとした高揚感とともに時間は流れていく。

元々快晴の日が少ない街ではあるらしいのだが、曇りのサンクトペテルブルクにはまた一つの趣と雰囲気に包まれていた。

ロシアを発つ日は近付き、日本が恋しい気持ちはゼロではないが深刻なものではなく、ロシアを発つ事にもまた寂しさと名残惜しさを感じるようになっていた。

 

つづく。