RK-3はきだめスタジオブログ

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「きっかけ」を制圧する力〜UEFA EURO 2020 グループB第1戦 ベルギー代表vsロシア代表 マッチレビュー〜

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EUROは視聴者も過密日程

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューUEFA EURO 2020 グループB第1戦、ベルギー代表vsロシア代表の一線です。

 

https://youtube.com/shorts/VanhRolUEcU?feature=share

 

 

昨日のトルコvsイタリアの開幕戦で華々しく幕を開けた5年ぶりの欧州選手権。さぁ、今日もなかなかの注目カードですよ……優勝候補、かつFIFAランク1位のチーム、ベルギーの登場です。

 

 

……とはいえ、ベルギーも順風満帆かと言えばそういう訳でもありません。いわゆるベルギー黄金世代のメンバーはじわじわと高齢化しており、エデン・アザールを筆頭にコンディションが不安定な選手もちらほら。その上でベルギーのグループステージはロシア→デンマーク→ロシアという流れの移動をしなければいけないので、勝点3という一つの余裕を死守する必要があります

一方のロシアですが、ロシアもなかなか侮れないチーム。まずホームで戦えるというアドバンテージもそうですが、彼らは彼らで2018年ロシアW杯で躍進し、ポテンシャルの高さを見せました。当時のチームからGKイゴール・アキンフェウフらベテランは去ったものの、アルテム・ジュパやデニス・チェリシェフといった躍進を支えた選手にスタニスラフ・チェルチェソフ監督も健在。ロシアW杯で主役となった2チームが再びロシアの地で邂逅を迎えました。

両チームスタメンです。

 

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それぞれロシアW杯でも監督を務めていたロベルト・マルティネス監督、スタニスラフ・チェルチェソフ監督ですが、両者とも当時から採用しているシステムと言っていいでしょう。

ただし、現在FIFAランク1位のベルギーはロメル・ルカクが絶好調な反面、長年エースを張ってきたエデン・アザールは一向にコンディションが戻らずベンチスタート。更にチームの心臓とも言えるケヴィン・デ・ブライネは5月末のUEFAチャンピオンズリーグ決勝で負った負傷の影響で、次節からは復帰できるという話ですが今日のロシア遠征には帯同していません。

……余談ですが、この2チームはブラジルW杯でも対戦しており、その時はディボック・オリギのゴールでベルギーが1-0で勝利しています。

 

 

本日の会場はロシア、サンクトペテルブルクサンクトペテルブルク・スタジアムです。普段はゼニト・サンクトペテルブルクが本拠地として使用しています。

設計者は名古屋グランパスの本拠地である豊田スタジアムと同じ黒川紀章氏(故人)。その為、Jリーグファンはどこか豊田スタジアムっぽい雰囲気も少し感じるのでは。来シーズンにあたる21-22シーズンではUEFAチャンピオンズリーグ決勝も予定されており、今大会でも7試合開催はウェンブリー・スタジアムに次ぐ2番目の多さ。2018年のロシアW杯でも2番目のメインスタジアムの扱いを受け、ロシアはこの地でエジプトに勝利して決勝トーナメント進出をほぼ確定させ、ベルギーは準決勝フランス戦3位決定戦のイングランド戦をこのスタジアムで戦うなど、ロシアはもちろんベルギーにとっても栄光の地と呼べるスタジアムでしょう。

余談ですが……私、前述のロシアvsエジプト戦はこのスタジアムに観に行ったんですよね。過去のブログnoteにも書きましたが、見易さ、ビジュアル、ロケーション、雰囲気…どれをとっても最高のスタジアムです!トイレ少ないからハーフタイム混雑エグいけど…。その辺の事を綴ったロシアW杯観戦記も是非ご覧頂ければ幸いです。

 

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試合は早い段階で動きました。10分、ドリース・メルテンスが中に入れたボールがロシアのDFの誤処理が絡み、このワンタッチがなければオフサイドポジションにいたルカクが拾って冷静に流し込んでベルギー先制。

 

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ですがその後はベルギーも思うように試合を運べたわけではなく、ロシアも結構積極的に前に出ていくことで試合の形勢をスコア以外はイーブンに持って行きました。ただ、最前線で攻撃の要であるアルテム・ジュパのところはベルギーの3バックに絡め取られる形になり、サイドでは高い位置までボールを運べるものの、それがチャンスには結びついて行きません。

 

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すると27分にアクシデントが。セカンドボールの攻防の中でティモシー・カスターニュとダレル・クジャエフが頭同士をぶつけ合う形で負傷退場を余儀なくされます。ベルギーはトーマス・ムニエ、ロシアはロシアW杯でブレイクしたデニス・チェリシェフを投入しましたが、アクシデントに戸惑うロシアに対してベルギーは至って冷静でした。34分、トルガン・アザールのクロスにメルテンスがロシアのDFを引きつけつつGKの視界を奪い、それによってGKのセーブも微妙なものになってしまうと、こぼれ球をムニエが押し込んでベルギー追加点!

更に失点直後、ロシアはベテランのユーリ・ジルコフまで負傷退場を余儀なくされ、ロシアは前半だけで2人を負傷で替えざるを得ない混乱に陥ります。前半の最後の方は完全なるベルギーペース。前半はベルギーの2点リードで終えます。

 

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既に交代枠をしっかり使っている状況ながら、ロシアのスタニスラフ・チェルチェソフ監督は動きます。サイドハーフのロマン・ゾブニンを下げてCBのイゴール・ディヴェイェフを投入。一見守備的にも見える交代ですが、これによりシステムをベルギーと同じ3-4-2-1にシフトし、前半は孤立気味だったジュパと2列目(2シャドー)の距離を小さくする事で、ジュパを目掛けたシンプルなロングボールのこぼれ球を2シャドーが素早く回収する事で状況の打開を図ります。

 

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実際、このロシアの戦術変更は効果はありました。しかし可能性のあるロングボールが入ると飛び出してくるのが前半は静かにしていたGKティボー・クルトワで……。ロシアは早い段階で交代枠5枚を使い切り、システムを変更した直後からの20分間に勝負をかけましたが、それでも攻めあぐねているうちにベルギーも慣れ始めて…。

 

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メンバー交代も行いながら基本的には余裕を持ったカウンターを時折仕掛けるなど卓越したゲームコントロールモードに入ったベルギーは終了間際、ゆっくりとボールを運んでいたムニエが急にギアを入れてDFを引き剥がすドリブルを見せると、ムニエのスルーパスを再びルカクが仕留めて3点目!コンディションに不安がありながらも試合巧者ぶりを見せつけたベルギーが初戦を快勝で飾っています。


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実力差も勿論そうですけど、それ以上に「場数の差」みたいなのは出たのかな…と思います。正直なところ、早い時間でベルギーが先制したとは言っても、その後は別にそこまでベルギーの試合という訳でも無かったんですよね。ただ、27分のアクシデントの後で混乱に陥ったロシアと全く動じる事のなかったベルギーの集中力の差は大きかったと思います。これはロシアが悪かったのではなく、ベルギーがそういうところでの立ち振る舞いに慣れていた…と言った方がいいでしょう。例えばチェルチェソフ監督の後半のプランも、もし1点差の状態であのやり方をしたらどうなっていたかわからなかったけど、リードが2点あった事でベルギーも落ち着いて対応出来た……こういう大きな大会になればなるほど試合の流れは一つのきっかけで大きく変わりますし、実力以上にその「一瞬」を制したベルギーが順当に勝ったのかなと……そういう印象です。

 

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あと、この試合の事ではありませんが最後に一つ。

体力的にも日程的にもEURO全試合を制覇してやろう!とはさすがに思ってなかったので、ベルギーvsロシアに向けて仮眠しようと思って、スイスvsウェールズを観た後にちょっと寝たんですね。起きたのが2:00過ぎ…?くらいだったんで、まだWOWOWアーカイブを見ていないので情報は文字でしか追えていないのですが……ひとまずエリクセンの意識が戻ってよかった。ただ、何がどうなるかなんてわからないので、今はただ無理だけはしないでほしい…と。

そして一連のアクシデントの周囲にいたすべての方々のフェアプレーに賛辞を贈りたいです。

 

 

Jリーガー、EURO参戦。

 

 

ではでは(´∀`)