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どうした!?バルサ(どうした品川のリズムで)〜ちょっとFCバルセロナについて語ろうの柳沢玉田巻〜第1回 カンテラ王国の崩壊と形骸化

GLAYREMIXできた!!

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、UEFAチャンピオンズリーグはようやく19-20シーズンが終了。決勝はパリ・サンジェルマンを1-0で下したバイエルン・ミュンヘンの優勝で幕を閉じました。

 

いやー、強かった。

もう規格外に強かった。

 

どれぐらい強かったって、じゃあ全試合振り返ってみましょうよと。

 

GL1 vsレッドスター・ベオグラード(H)○3-0

GL2 vsトッテナムホットスパー(A)○7-2

GL3 vsオリンピアコス(A)○3-2

GL4 vsオリンピアコス(H)○2-0

GL5 vsレッドスター・ベオグラード(A)○6-0

GL6 vsトッテナムホットスパー(H)○3-1

B16-1 vsチェルシー(A)○3-0

B16-2 vsチェルシー(H)○4-1

準々決勝 vsFCバルセロナ(C)○8-2

準決勝 vsオリンピック・リヨン(C)○3-0

決勝 vsパリ・サンジェルマン(C)○1-0

 

 

 

準々決勝 vsFCバルセロナ(C)○8-2

 

 

 

 

 

 

 

FCバルセロナ2-8バイエルン・ミュンヘン

 

 

 

 

 

 

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ぴえん。

ぴえんすら出ねぇわ。

 

はい、今回のテーマはFCバルセロナについて語ろうです!

 

 

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第1回 カンテラ王国の崩壊と形骸化

 

今シーズンはリーガ3連覇を逃し、チャンピオンズリーグでも前述のように記録的な敗北…。この結果を受け、バルサはシーズン途中から就任していたキケ・セティエン監督を解任し、前オランダ代表監督でクラブOBでもあるロナルド・クーマン監督を招聘しました。うちの父親クーマン大好きだったらしくて喜んでました。

 

ただ、かねてからずっと言われているジョゼップ・マリア・バルトメウ監督を中心とした内部の混乱とゴタゴタ劇、チーム全体を覆う停滞感、そしてリオネル・メッシの去就……まぁクーマン新監督の前に待つ問題は余りに多く大きく……待つのは栄光への返り咲きか、はたまた更なる崩壊か……ファンは震えながら、アンチはニヤニヤしながらバルサの行く末を見守っていることでしょう。私の友人にも思いっきり2パターンともいました。

 

そもそも、なんかバルサがおかしくなりつつある事は何も今言われ始めた事でもありません。その為にはジョゼップ・グアルディオラが率いた「サッカー史上最強」とも言われた時代から振り返る必要があるので、その辺りの事から語っていきます。

 

 

 

08-09シーズンから11-12シーズンまで、世界のサッカーの凡ゆるタイトルと名声を集め続けたFCバルセロナがサッカーに於ける一つの理想形として見られていたのはそのサッカースタイルとカンテラ(育成組織)中心にした選手編成によって構成されたスカッドでした。

 

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(★が付いてるのがカンテラ出身の選手)

 

グアルディオラ体制の中でも最高のシーズンと言われている10-11シーズンのCL決勝、マンチェスター・ユナイテッド戦でピッチに立った14選手のうち、カンテラ出身の選手は実に8人(スタメン7人途中1人)同年12月のクラブW杯決勝のサントス戦に至ってはスタメンのうち9人がカンテラ出身でした。グアルディオラが退任した後はグアルディオラの下でコーチを務めていたティト・ビラノバが監督の座にスライドしましたが、その12-13シーズンの第13節、レバンテ戦の13分から75分までの間の62分は「ピッチに立つ11人全員がカンテラ出身」という状態になったほど。

 

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バルサについて語るとなるとどうしても比較対象としてレアルの名を挙げる必要が出てくるのですが、かつての政治的な背景もあってレアルが「とりあえず補強」をベースに圧倒的な財力でチームを組み立てていくのに対して、バルサが対抗するにはなるべく自前で優秀な選手を揃えてくる事、レアルと比べれば劣る予算は自前の選手をベースに作ったスカッドでどうしても不足する部分にピンポイントで投入する事が重要でした。

その為、今日に至るまでバルサは常にヨハン・クライフが基盤を作ったサッカーのスタイルを前提とした上でカンテラではトップチームと同じシステム、同じ戦術で「バルサで活躍する為の選手」を育てるメカニズムを持ち合わせるようになったのです。前述のCL決勝で言うならば、カンテラ出身のシャビ、アンドレス・イニエスタセルヒオ・ブスケツが戦術のキーマンであり、中央にはこれもまたカンテラ出身のメッシが王として君臨し、どうしてもカンテラでは補えなかったサイドバックダニエウ・アウベスエリック・アビダルを補強する……自身がカンテラ出身だったのもあるのでしょうが、そのメカニズムと富の両方を持ち合わせたグアルディオラ体制ではそれが一番上手くいっていました。

程度の差はあれど、それはグアルディオラの後任のビラノバ体制、前任のフランク・ライカールト体制でもある程度機能しており、90年代後半に監督を務めたルイス・ファン・ハール体制はアヤックス時代の教え子を中心に大型補強を敢行したとはいえ、ファン・ハール自体が攻撃スタイル志向と若手大好きおじさんみたいな性質があるので、バルサの育成の根幹と前提は長年ずっとクラブのベースとして生き続けていたのです。

 

 

 

結局、育成組織を充実させる事のメリットがどこにあるのかと言うと、先日川崎フロンターレと黄金期のジュビロ磐田について書いたブログでも似たような事を言ったのですが…

 

 

育成組織を充実させて、育成組織出身や生え抜きの選手を基盤に一貫したチームスタイルの下でチームを作る利点はどうしても足りない部分も明確にする事、補強ポイントを明確にする事で、そのポジションに対してピンポイントで最小限の予算投入が出来る…という部分が大きなメリットなります。

グローバル化が加速し、世界のサッカービジネスが巨大化を超えて肥大化していく中で、バルサはこのやり方でトップに君臨する最後の存在……とも言えました。結局、カンテラで育てる選手の全ては「バルサで活躍する事」を前提に育成しているのでレンタルに出しても意味がないし、その代わりにベンチには必ずカンテラの選手を多く置く事でじわじわと出場機会を積み、長い年月をかけて永続的に緩やかに世代交代を行い続けていくような。メッシはもう別次元だとしても、そうした過程の中で生まれた選手がプジョルでありシャビであり、イニエスタやピケ、ブスケツにペドロといった面々だったのです。

 

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しかし、巨大化するサッカービジネスの中でバルサもまた、当然ながらメガクラブと称されるポジションに入った事で徐々に事情は変わってきます。

…個人的に違和感を覚え始めたのは12-13シーズン、アレクサンデル・ソングをアーセナルから18億かけて獲得したところでした。当時、そのポジションには既にセルヒオ・ブスケツが君臨していたのでソングはどのみちバックアッパーです。これが他のビッグクラブならリーグとCLの両獲りを目指した戦力拡張という事でそこまで気にも留めなかったでしょう。しかし本来なら…という言い方もどこか変ですが、従来のバルサであればバックアッパーという役割にはカンテラ出身の若手……或いは外部から獲得したネクストスター候補であったり、或いは経験の還元も含めてカンテラ卒でピークを過ぎたベテラン辺りがこの位置に収まっていたのですが、別に若手という訳でもなければレギュラーとして使う気もないソングに大金を使った事は実力と即効性の面では有意義な補強ではあってもバルサの傾向からは明らかに外れていました。

 

そしてグアルディオラの後を引き継いだビラノバ監督が退任した13-14シーズン、バルサは新たなスター候補としてネイマールを獲得。更にルイス・エンリケを監督に迎えた14-15シーズンにはルイス・スアレスイヴァン・ラキティッチなど大型補強を敢行。しかしメッシやピケ、ブスケツなどのカンテラ黄金期とも言える1987〜88年生まれの選手がピークを迎えたタイミングでバルサが商業主義に走った事で、カンテラ出身の若手を育てるよりも完成した彼らに如何に完成した外部の選手を組み合わせるかにバルサが注力した結果、この88年組以降バルサは主力に定着するカンテラ出身選手が出てこなくなってきました。

時を同じくして、監督に就任したルイス・エンリケはメッシに加えてスアレスネイマールといった選手を見てある事に気付くのです。

 

 

 

とにかくMSNを活かすやり方でやった方が確実だと。

 

 

 

バルサで言えばヘラルド・マルティーノやセティエンがそうであったように、ビッグクラブの監督に与えられる時間は決して長くありません(なんなら、そこについてはバルサは比較的時間くれる方の部類)。となると、それはバルサOBのエンリケであっても短期間で、1シーズン目から結果を出す事が求められる……そして結果を出す為の最善策としメッシ、スアレスネイマールの3トップを活かすべく、ポゼッションサッカーに於ける司令塔の象徴的存在だったシャビとは異なり、自らもハードワークする事でリズムを作るタイプのラキティッチを中盤の一角に据えた4-1-2-3はグアルディオラ時代の4-1-2-3と同じものではありませんでした。要するにMSNの能力を最大に活かすべく、なるべく縦に速い効率性を重視する……と。2010年代後半のバルサのプレーモデルはこの14-15シーズンに形作られ、実際にこのシーズンは三冠という結果に辿り着いてしまった。結果的にカンテラの形骸化はエンリケの責任ではないけれどこのシーズンが決定的なきっかけでした。

 

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何が問題かというと、何度も言っているようにバルサカンテラ「将来バルサで活躍する為の選手」を育てる為、クライフのサッカーを基にしたバルサのポゼッションスタイル、パスサッカーを前提にした徹底したカリキュラムで選手の育成を行っています。逆を言えば、バルサカンテラで育てられる選手は最初から「バルサ専用」になる事を目指して育てられている節があるので、彼らにとっては「バルサで成功できなかったから厳しい」という状況が出来上がっているのです。グアルディオラ以前…例えばライカールトファン・ハールが指揮を執った時代も全く同じ戦術ではなくとも、ポゼッション重視という大原則は維持していたのでここが問題になる事は余りありませんでした。その戦術に対する理解度があるからこそ、純粋に実力では劣っても多くの選手が若いうちからある程度は使い物にはなっていたのです。それはシャビもイニエスタも、ピケもブスケツも。

ですが14-15シーズンからバルサ「個でぶん殴る」という1番簡単な勝ち方を覚えてそれに傾倒していき、エンリケの後に監督の座に就いたエルネスト・バルベルデエンリケの方向性を踏襲する形になりました。結果、トップチームがカンテラの育成方針とは異なるサッカーを志向するようになった事でカンテラの選手達はある意味で梯子を外されるような状態になってしまったのです。実際、87〜88年組以降でまともにバルサで主力としてやれてるカンテラ出身選手は今のところセルジ・ロベルトくらいであるどころか、バルサカンテラ出身選手の殆どは「バルサの特殊なサッカーで活躍する為」のカリキュラムで育てられているので、バルサの外に行っても余り大して活躍出来ない…みたいな状況に陥っています。勿論、度重なる怪我など本人の事情もあったとは言え、ヴィッセル神戸に所属するセルジ・サンペールも5年か10年早く生まれていれば別の未来があったのかもしれません。

 

最近では「レアルのカンテラの方が優秀じゃね?」とすら言われるようになってきました。トップチームでどれだけプレーしているかは別としても、少なくともバルサやレアル以外のトップリーグではレアル出身選手の方が活躍している割合が高いのは確かです。というのも、レアルは最初から「選手は獲るもの」という方針でやってますから、レアルのカンテラの基本方針は「トップチームはどうせ外部から選手を獲ってくるから、じゃあカンテラではレアルじゃなくても少なくともリーガ1部で活躍出来るだけの選手を多く育てよう」という方針で育成しているので、要するに潰しが効く訳です。

これについては次回に語ろうと思うのですが、バルサの近年の方向性はハッキリ言って「めざせレアル」と化しつつある訳です。にも関わらず、カウンターサッカーを基盤にした最近のバルサでもカンテラでは未だにポゼッションスタイルを押し付けている。その結果、バルサどころかリーガ1部でも中途半端な選手が続出しているという、結果的に誰も何も得しないような結末になってしまっているのです。

 

 

 

何もポゼッションスタイルを肯定している訳でも否定している訳でもありません。ただ、最近のバルサは「ここを変えるならここも変えないといけない」「ここは変えない方がいい」みたいな変化に伴う判断を尽く間違えています。それが今、こうして世代交代の失敗とカンテラの形骸化を招いたのだろうと…。

 

 

 

第2回もアルヨ。

 

 

Rakuten Cupも1年前か…。

ではでは(´∀`)