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利害と権利〜明治安田生命J1リーグ第36節 ガンバ大阪vs名古屋グランパス マッチレビュー〜

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安心して残留争い見れるわ…

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第36節、ガンバ大阪vs名古屋グランパスの一戦です!

 

オリジナルアルバムの配信も開始したのでそちらも観てね

 

 

前節大分戦、パトリックのハットトリックもあって今季初の3得点を挙げたガンバ。3-2で残留を争う大分を自らの手で下した事でJ1残留が確定しました。少なくとも1年分のサイズではないだけの量のバッドイベントを詰め込んだようなこのシーズン……まずはひとまず、この4チームも降格の憂き目を見るしんどい残留争いを制した事実に安堵しています。本当にヨカッタ…。

その上で、ACL出場権争いという別のサバイバルの渦中にいるルヴァン杯王者名古屋相手に、ガンバがどういう戦いを見せるのかは非常に大事になってきます。ここからの残り3試合は一つでも多くの勝利、一つでも上の順位を目指すだけでなく、苦難だらけの今シーズンに別れを告げ、いかに多くのものを31年目の来季に繋げることが出来るかが問われる試合になってきます。

少なくとももう、背後を常に気にしなければならないとか、常に見えない何かを背負うような極限のプレッシャーからは解放されました。今のガンバは重たいモノを脱ぎ捨てる事は出来たはずなので、その上で見せる躍動に期待したい一線ですね。

両チームスタメンです。

 

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ルヴァン杯準々決勝で負傷退場し、そのまま離脱していた三浦弦太が戦列に復帰。リーグ戦としては第26節横浜FC戦以来の先発となり、左サイドに入った小野瀬康介第29節鹿島戦以来のスタメン。小野瀬が右、倉田が左というのがこれまでの基本形でしたが、最近は倉田秋の右サイド起用が定着しているので小野瀬は左に入っています。尚、小野瀬康介は100試合、宇佐美貴史は200試合出場のメモリアルマッチです。

ACL圏内を目指して3位神戸を追う立場の名古屋は今日はマテウスがベンチ外。前田直輝が右サイドに入り、ワントップにシュヴィルツォクを起用してきました。CBの木本恭生は今日はボランチ起用です。

 

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

残りのホームゲームは2試合。入場制限も50%まで緩和されました。入れる観客も増えた事、今季はガンバ自体がずっとバタバタしていた事もあってなかなか出来ないでいましたが、ようやく試合前にガンバOBで元日本代表、現在はガンバ大阪アカデミーのストライカーコーチを務める大黒将志氏の引退セレモニーが行われるとのこと。また、今節はガンバ大阪サッカービジネスアカデミー(GBA)」の企画・運営による「1 DAY PREMIUM VIP観戦チケット」なるチケットが発売されており、限定30席のこのチケットではVIPラウンジ、バルコニー席での観戦が出来るチケットで、お値段は張る分、食事・ドリンクや大量のお土産、更にはスタジアムツアーまでついたパックになっているそうで。

 

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本日は現地観戦です!

「君、確かガンバファン兼サンガファンって言ってなかった…?」とのツッコミも飛ぶかもしれませんが、まあ色々タイミングもありまして…。その辺りは後日更新のスポーツ観戦日記にて。

何はともあれ、ガンバが30年を共にしてきた現在のエンブレムで戦えるのは残り3試合です。このエンブレムの下で一つでも多くの勝利を!

 

 

 

しかし出鼻は挫かれました。8分、名古屋が自陣でビルドアップすると、吉田豊の縦パスが相馬勇紀に入り、柿谷曜一朗に落とすと相馬は柿谷のスルーパスで完全に三浦の背後を突きます。髙尾瑠も高い位置にいたので、エリア内で完全に数的不利になったところを相馬に折り返されるとシュヴィルツォクに流し込まれていきなり被弾……。

 

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それでもこの日のガンバは非常に有機的なサッカーをやろうとする姿勢は見えていましたし、実際にそれなりに形も出来ていました。

中央辺りで比較的自由に動いていた宇佐美貴史と、宇佐美の位置に合わせて小野瀬がポジションを取る事で流動的な攻撃には繋がっており、時間軸が前後しますが6分には井手口陽介の横パスをワンタッチで宇佐美が右サイドへループ気味のスルーパス。そこに髙尾が飛び出すような好機は度々作れていました。19分にも髙尾、倉田、井手口のパス交換で抜け出した髙尾がエリア内で倒されるも笛は鳴らず。

 

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しかし髙尾の右サイド突破は度々ガンバに可能性を感じさせる場面を与えてくれていたのものの、守備面では完全にここを突かれて相馬に何度も危険な場面を作られていました。22分、山本悠樹のパスをカットされると今度は名古屋は右サイドからカウンター開始。前田直輝の折り返しにトラップでDFを振り切った柿谷がニアを抜くシュートで名古屋追加点。

29分にはこの日も、なんなら4月の名古屋戦でも何度も見せられた相馬の突破から再びシュヴィルツォクにやられて0-3……。

 

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前半終了間際には東口順昭のフィードを受けた藤春廣輝が縦パス。これを宇佐美が上手くタメを作ってからパスを出すと、小野瀬が抜け出してあわやキーパーと1対1…という場面を作りましたが、コントロールの際に小野瀬の足元に入ってしまう形になってシュートまで打てず。前半は0-3。豪快なリードを許して終えます。

 

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後半開始からガンバは髙尾、山本を下げて柳澤亘と奥野耕平を投入。すると53分でした。名古屋に対して果敢なハイプレスを仕掛けたガンバは奥野がボールを奪取すると、井手口とのワンツーを経て宇佐美へ。宇佐美の折り返しは木本恭生にカットされましたが、このカットがバックパスのような形でGKランゲラックに渡り、そこにもしっかりプレスをかけていたパトリックがそのまま押し込む形でガンバが1点を返します!

パトリックはこれで2015年の12得点を上回り、ガンバでのキャリアハイとなる13点目をゲット。

 

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すると松波正信監督は小野瀬と倉田を下げて福田湧矢と山見大登を投入。最初はそのままサイドハーフ同士の交代のようにも思われましたが、ここでシステムを3-4-2-1へ。しかも藤春を左CBとして使う初めての形にシフトします。ただここから、ガンバはハイプレスを敢行して名古屋を名古屋陣内に押し込むような形になっていきました。

70分、奥野の縦パスを受けた宇佐美の絶妙なパスに柳澤が抜け出して折り返し。山見のシュートはブロックされるも、1点目と似たような状態になったところに再びパトリック!…しかしこれは柳澤の時点でオフサイド判定されておりゴールは認められず。

 

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80分には井手口を下げてウェリントン・シウバを入れて、宇佐美と山見をインサイドハーフにした3-1-4-2というかなりイケイケドンドンシステムに変更。しかしこれが意外にも上手く機能しており、カウンターを喰らう場面こそあったものの確実に押し込める展開にはなっていました。

しかしそこはさすが名古屋というべきか……結局、1-3になってからは再び堅守を取り戻したように守り抜き、それ以上の失点は許さずに試合終了。名古屋がACL出場圏獲得に望みを繋いだ一方、ガンバにとっては実力差を痛感させられる試合となりました。

 

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今季のJ1はこの名古屋戦を入れて36試合戦った訳ですが、この36試合の中だと…割と一番というレベルで内容だけなら良かったと思った人は少なくないと思います。それゆえに名古屋との実力差も一層感じた訳ですが…。一言で言えば、ある意味この試合はガンバと名古屋の利害が一致したようにも見えました。

第33節鳥栖戦の前に松波監督が「ボールを握るのは今季残り数試合での熟成は難しい」と語ったように、第32節浦和戦〜前節大分戦までのガンバはとにかく結果だけを目指した、残留の為の戦いを選択しました。そしていざ残留を手にした今、極端な話…残り試合が全部13-1で負けたとしても降格しない状況になったと。今日みたいに宇佐美をフリーマン的に扱った天皇杯湘南戦の形は間違いなく今季ベストゲームでしたし、残留の為に封印したロマンを再び追える状況になった訳です。「来季に向けた戦い」というのはこの時期に目指すべき順位がなくなったチームがよく口にする言葉ですが、おそらくガンバは来季の新監督はポゼッション志向で選ぶ事でしょう。それを踏まえれば、今日松波監督がやったのは、もちろんポゼッションといっても色々な形があるのでどれも同じではないですが、来季の為に今から少しでもポゼッションの意識付けを行う事だったように思います。前半から3点取られた試合内容も含めてちょっとこれデジャブだなぁ…と思ったら、多分松波監督初陣の浦和戦なんですよね。中身は全然違いますけど、意識付けというか、ある種の矯正みたいな試合内容として。

 

 

残留も決まったし、当然ながらACLも無いガンバにとって今日の試合は最初から「結果<内容」くらいの気持ちで位置付けていたようにも思います。この割り切りはガンバが残留を確定させたからこそ得た権利のようなもので、残留が確定していなければ無茶苦茶な話かもしれませんが、残留が確定した以上は意義のある90分には出来た…と思っています。

 

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付け加えていうなら、今のガンバの成熟はしていないポゼッションは前述の天皇杯湘南戦の形で挑んだ第31節札幌戦でマンツーマンでハイプレスをかけてくる札幌にフルボッコを喰らったように、そういう相手とやった場合は意識付けどころかただのトラウマになる可能性もありました。

しかし名古屋の場合、彼らは彼らのスタイルとしてあまりボールを奪いにこないので、少なくともバイタルエリア辺りまでならボール保持は出来ますし、…まぁ、すごい語弊があるというか、悪い言い方になりますが、ガンバにとってはこの上なく理想的なテスト相手でもあったんですね。結果が最優先事項となる順位にいる名古屋は「ガンバのポゼッションをどうにかするよりも裏を狙った方が早い」…即ち、対処しないままにしておいた方が名古屋にとっても都合が良いと当然考えるはずで、そう考えると、バイタルである程度の繋ぐ自由を名古屋は多分与えてくれるでしょうし、そう考えるとこの状況は…今更結果がそこまで必要のないから来季に繋がる内容の試合をしたいガンバにとっても、内容なんかいらないから結果が欲しい名古屋にとっても利害が一致するような状況だったんじゃないかな…と。

上でも書いたように、もしこの試合を残留が確定していない状況でやったらおそらくキレてると思います。ただ、今はそういう状況ではないし、残り3試合の意味という観点から見れば今日の試合は価値はあったというか、日本代表が欧州の強豪とテストマッチして割と良い試合した、みたいな感覚を抱いています。この3試合をどう使うかという部分に於いて結果より内容を追う事は、残留確定という形でガンバが手にした権利…とも言えますしね。結果は残念ですし、4月の名古屋戦と全く同じ形でやられた事はおいおい…みたいなところもありますが、スタンスは支持したい気持ちはあります。

 

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【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

明治安田生命J1リーグ第36節

ベガルタ仙台0-2湘南ベルマーレ

浦和レッズ2-1横浜F・マリノス

FC東京0-2徳島ヴォルティス

ガンバ大阪1-3名古屋グランパス

セレッソ大阪1-4川崎フロンターレ

サガン鳥栖1-0北海道コンサドーレ札幌

鹿島アントラーズ0-0大分トリニータ

横浜FC0-2ヴィッセル神戸

清水エスパルス1-0サンフレッチェ広島

柏レイソル0-0アビスパ福岡

 

1位 川崎フロンターレ(88)

2位 横浜F・マリノス(75)

3位 ヴィッセル神戸(70)

4位 名古屋グランパス(65)

5位 鹿島アントラーズ(63)

6位 浦和レッズ(62)

7位 サガン鳥栖(59)

8位 アビスパ福岡(52)

9位 FC東京(49)

10位 サンフレッチェ広島(46)

11位 セレッソ大阪(45)

12位 北海道コンサドーレ札幌(45)

13位 ガンバ大阪(43)

14位 柏レイソル(41)

15位 湘南ベルマーレ(36)

16位 清水エスパルス(36)

17位 徳島ヴォルティス(33)

18位 大分トリニータ(29)※降格決定

19位 ベガルタ仙台(27)※降格決定

20位 横浜FC(27)※降格決定

 

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優勝は前々節の時点で川崎で確定。その川崎はかつて川崎で3年連続得点王に輝き、前日に引退を発表した大久保嘉人擁するC大阪と対戦し、4-1で快勝を飾っています。また、2位を確定させたかった横浜FMは浦和に敗れて足踏み。ACL出場圏を巡る争いは神戸が勝利して一歩前進。G大阪に勝利した名古屋がそれに喰らいつく一方、引き分けに終わった鹿島はこれでACL出場の可能性が消滅。天皇杯を除けば残り一つとなるACL出場圏は神戸か名古屋に絞られました。

そして白熱の残留争いですが、まず残留争いの大一番となった仙台と湘南の試合は湘南が終始試合を支配して2-0で勝利。大分、横浜FCはそれぞれ鹿島、神戸というにACL圏を争う相手に敗れた一方、湘南、清水、徳島の3チームが揃って勝利した事で、大分、仙台、横浜FCの降格が今節で決定。3チームの降格が同時に決まるのは当然ながら史上初の出来事であり、特に仙台は12シーズン守り続けたJ1の舞台に別れを告げる事になりました。

降格枠は残り一つ。これを巡って湘南、清水、徳島が争いますが、次節は全ての鍵を握るとすら言える、湘南vs徳島の直接対決です。

 

 

3チーム同時降格て…

ではでは(´∀`)