湯葉を食いながらこのブログ書いてます
どーもこんばんは
さてさて、日本代表史上初となる5年目を迎えた森保ジャパン。その初陣となる2試合の3月シリーズが終わりました。
南米の強豪・ウルグアイとコロンビアと対戦。近年は代表人気の低下も叫ばれていましたが、カタールW杯の影響もあってかウルグアイ戦では国立競技場に61855人の大観衆を集まる盛況ぶりでした。私自身もヨドコウ桜スタジアムで行われたコロンビア戦を現地観戦しましたが、つらつらと偉そうなブログを書くようになった私も(というかここから偉そうに書くんですけども)、結果とか内容以前に純粋に楽しかったです。代表戦の現地観戦は良い意味でミーハーに帰れるというか、童心を取り戻せるような感覚を味わえますね。
既に各所で議論されているように、今回の2試合で日本代表にとって大きなテーマになっていたのは「ボール保持」…もっと具体的に言えば「自分達でボールをキープしながら周囲をどう連動させていくか」みたいなところにありました。俗に言う「偽SB」という単語が頻繁に踊りましたが、その辺りの方針はW杯後に新たに就任した名波浩コーチを中心に組み立てている事は各種メディアでも報じられている通り。
で、個々の試合の考察は下記のマッチレビューで書きましたし
個々の試合の緻密な分析に関してはそこに長けた識者やブロガーさん、YouTuber辺りに委ねるとして。
当ブログでは、そもそも今回の戦術的なアプローチであったり、2試合を通じてのトライ・チャレンジがこれまでの森保ジャパンの文脈の中でどういう位置付けになっているか…というところを考察していきたいと思います。
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【第2次森保ジャパン初陣メンバー】
監督:森保一
コーチ:★名波浩
コーチ:斉藤俊秀
コーチ:★前田遼一
フィジカルコーチ:松本良一
GKコーチ:下田崇
※★印は新任コーチ
《GK》
☆シュミット・ダニエル(シントトロイデンVV)
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
谷晃生(ガンバ大阪)
《DF》
☆板倉滉(ボルシア・メンヒェングラードバッハ)
★町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)
☆伊藤洋輝(VfBシュトゥットガルト)
橋岡大樹(シントトロイデンVV)
瀬古歩夢(グラスホッパーCZ)
菅原由勢(AZアルクマール)
★藤井陽也(名古屋グランパス)
★バングーナガンテ佳史扶(FC東京)
★半田陸(ガンバ大阪)
《MF》
☆伊東純也(KRCヘンク)
☆守田英正(スポルティングCP)
☆鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)
☆三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)
☆堂安律(SCフライブルク)
☆田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)
《FW》
西村拓真(横浜F・マリノス)
☆前田大然(セルティックFC)
☆上田綺世(セルクル・ブルージュ)
★中村敬斗(LASKリンツ)
※★印は初招集選手、☆印はカタールW杯メンバー
※JFAの公式発表では《MF/FW》として発表していますが、ここでは筆者の判断で《MF》《FW》は分けて記載しています。
まず大前提として、今回取り組んだボール保持を基調としたスタイルを森保ジャパンが2026年に向けたメイン戦術として据える……みたいな考えは持っていないと見ています。
というのも、以前のブログに書きましたけど、基本的に森保ジャパンは一つの戦術を8〜9くらいまで磨き上げるというよりも、5〜6くらいまでは出せる戦術の手札を数枚用意しておく事をチームビルディングのコンセプトとして進んできました。
日本がクラブチーム的な代表の強化を行うハードルはかなり高く、クラブチーム的な常識とは異なる考え方でチームビルディングを試みる必要性がある。その上で森保監督が考えている事は一枚でも多くの手札を持つ事、そしてそれを臨機応変にスイッチできるキャパシティーを持っておく事の2点が大きく、森保監督のアプローチはそこに基づいて施されていると考えられます。それこそカタールW杯は「クラブと代表は根本的な考え方が違う」という部分が強く可視化されたような大会になったと思いますし、その象徴的な存在が日本代表で、象徴的な試合がドイツ戦とスペイン戦でした。
そもそも、代表活動は長期で断片的な活動を繰り返ざるを得ない性質を持っている。ここが毎日を毎年繰り返すことが出来るクラブチームとの最大の違いで、特に日本代表はそれが一層顕著な立場に置かれていますから、緻密な戦術を積み上げようとする事自体がハイリスクな作業になってしまう…という側面があります。
…まぁ、その辺は過去のブログの内容の繰り返しになるので、それについては以前のブログを読んでほしいところ。
では、それで言うならばなぜ逆に新しいことに取り組もうとしたのか。
基本的に2026年に向けてのチーム造りはこれまでのチームを踏襲するスタンスで進められると思います。世代交代が急務だったロシアW杯後とは異なり、現在の日本代表は世代交代自体は割と進んでいるんですよね。
即ち、カタールW杯に出場した選手の多くはおそらく2026年のW杯でも主軸になってくる。となると、カタールW杯で出来た事と出来なかった事を洗い出した時に、その結果を2026年に向けた強化として組み込みやすかったんですよね。現在のメンバーが比較的継続していくので、ドイツ戦やスペイン戦で見せたようなプレス重視のカウンター型の戦い方は既に手札として有しているので、いわばいつでもそこに戻る事が出来る。今そこを早急に積み上げようとする必要はないので、それならばコスタリカ戦やクロアチア戦で切れなかった手札を作る作業をしたい…というところでのトライだったと思います。
これに関しては、ウルグアイ戦後の遠藤航のコメントがまさに全てなんだろうな…と感じさせるものでした。
「日本人は結構そういう『ああしようこうしよう』みたいな戦術の理解度は高いと思っているので、今までずっと積み上げてきたベースである4-2-3-1であったり、4-1-4-1であったり、3-4-3だったり、そこに戻ろうと思えばすぐ戻れる。今はそこにプラスして新しいオプションをチームとして持てるかどうかというところだと思う。オプションが増えれば増えるほど、相手は捕まえづらくなると思うし、自分たちもより相手の状況によってどの引き出しを使うか、どう良さを出していくのかというところにフォーカスできる。」
その意味で言えば…例えばウルグアイ戦はウルグアイが激しくプレスをかけてくるタイプの相手だったので、ビルドアップに手間取りながらも相手DFを剥がしながらの前進はある程度達成できていました。一方、コロンビア戦…特にその後半はコロンビアも構える守備をしてきて、日本もあまり戦術として成熟させたものを見せられず、攻撃は渋滞してしまうような形になっていました。特にコロンビア戦に関しては、内容的に芳しかったか?と言えばそうとは言えない試合ではあったと思います。
ただ、むしろ「後半のコロンビアのような相手をどう崩すか?」みたいなところが今日本がボール保持に取り組んでいる根源でもあったりするんですよね。終盤に試したダイヤモンド型の攻撃的なフォーメーションに関しても、その答えになるかもしれない選択肢の一つである…と。
要は、森保監督もこの2試合の勝敗にはこだわりつつも囚われてはいなかったように感じています。
これも以前のブログに書いた話ですが、森保監督は親善試合を親善試合として使う意識がめちゃくちゃ高い監督だと思うんですよね。試合としては上手くいかない試合だったとしてもサンプルを取得できればOK…みたいな。好き嫌いはあると思いますし、そのスタンスは時として一試合として見れば空虚に映ってしまう時もあるんですけど、個人的にはこの意識って代表チームにとっては特に大事な事だとも思っていて。「出来る事」「出来ない事」をハッキリさせるためにもトライって大事なんですよ。そしてその出来る事は大枠としてのポゼッションだけでなく、ボール保持をする上で「この部分は出来た/出来なかった」「今日は出来なかったけど伸びしろはある/伸びしろもなさそう」みたいな。出来る事を一つずつ集め、出来なかった事を一つずつ潰す。そしてそうやって集めたサンプルを最後にまとめてぶつけてチームを完成させる…森保監督のチーム造りって多分めちゃくちゃ特殊なんですけど、代表チームとして考えると実は合理的だったりするんですよね。
付け加えて言うと、JFAの森保監督への信頼の厚さって、おそらくそういう計画を森保監督が事前に協会、或いは技術委員会に提示できているから…みたいなところはあると思います。そして選手達に対しても、カタールW杯のチーム造りの手法がそのテイストだった事で内部的にはある程度の説得力が備わり始めた部分は少なからずあるんじゃないかなと。
今回の場合は何より、ウルグアイとコロンビアがこの親善試合に真剣なモードで取り組んでくれた事がとにかくありがたかったです。そのおかげで森保ジャパンのトライは難しいものになりましたが、逆にシャドートレーニングみたいな快勝にならずも済んだ。難しい結果に終わった事がもたらしたものこそ森保監督が今回の2試合で求めていた事だと思いますし、ウルグアイ戦の前に森保監督がロッカールームで「難しくなったって前向きにトライするよ」「隠れるな。ミスしてもいいから自分からどんどん関われ」と語っていたのもその表れだったのでしょう。
結果は良くなかったですけど、得たものは凄く多い2試合だったように感じています。賛否両論ありますけど、個人的にはそこの意欲がすごく感じられたので面白い2試合でしたね。
なので、否定的な声もありますが個人的には悲観視はしていない…むしろポジティブにすら捉えているんですけど、ちょっと一つ不安だった事はCBでした。
この2試合のCBは板倉滉+瀬古歩夢or伊藤洋輝の組み合わせでした。個々のパフォーマンスとしては決して悪くはなかったと思いますが、特にウルグアイ戦の前半なんですけど、結構DFラインが際限なく上がってしまったりして乱れる場面が多かったんです。そこで感じた事が「吉田麻也不在の影響が想像以上に大きい」という部分でした。例えばウルグアイ戦の前半なら、ラインを上げてコンパクトにしようと努める意思は良いものの、これまでは行き過ぎそうなところを吉田がセーブしていた部分は少なからずあった。そこの歯止めが効かなくなっていたところは感じました。
思い返せば、日本代表のCBって10年以上、ライン統率を気にせず個人のパフォーマンスに集中出来たところがあるんですよね。なぜならその役割は全て吉田がこれまで一人で担い続けていたから、吉田と相方を組む選手はそれを考える必要さえもなかった。それは板倉にしても冨安健洋にしても同じでしょう。最終予選で吉田不在で戦わざるを得なかった時はむしろそういうDFリーダー的な能力を売りに代表に食い込んだ谷口彰悟がいたので大きな問題にはなりませんでしたが、この2人がいなくなった今、明確なDFリーダーがいなくなったことで制御が効かなくなった状況が生まれていました。
この部分に関しては板倉に心から期待したいです。実力は勿論、状態と年齢、そして冨安のコンディションを踏まえると、2026年までDFの主軸を担うのはおそらく板倉でしょう。この問題は吉田を戻せば多分一応の解決は見ると思いますが、最終手段としてならともかく、この段階でそのカードを使うことは何の解決にもならない。だからこそ、実力やパフォーマンスに間違いのない板倉にはもう1ステージ上の仕事をやってもらいたい。冨安が帰ってこようが吉田が帰ってこようがワイが手綱を引くんや…と、板倉にはそれぐらいの気持ちでやってほしいですし、それが出来るだけのクオリティがある選手だと思っています。
逆に言えば、今回で言えば瀬古であったり、これまで代表の常連ではないCBにとってはそこで存在感を示せばCBのレギュラーを掴む道筋が開けるかもしれないですし、このポイントは今後一つの鍵になってくるところなのかなと。
ハメスよ…
ではでは(´∀`)