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親善試合の活かし方〜キリンチャレンジカップ2023 日本代表vsコロンビア代表 マッチレビュー〜

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鶴心らぶ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューキリンチャレンジカップ2023、日本代表vsコロンビア代表の一戦です!

 

カタールW杯、保ジャパンのチーム造りと全4試合の考察

 

カタールW杯が終わっても楽しめる、振り返り企画なども更新中のカタールW杯観戦ガイド〜日本代表編〜も是非ご覧くださいませ。

 

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日本代表史上初となる5年目を迎えた森保ジャパン。その2度目の初陣となった24日のウルグアイ戦では節々に粗のような部分もあったものの、試合を通じてチャレンジングな姿勢を見せつつ南米の強豪・ウルグアイ相手に最後は1-1のドローに持ち込みました。

 

 

ウルグアイ戦でのチャレンジの継続と、特に今回はメンバーが刷新された守備陣の擦り合わせや新戦力の登用…ウルグアイ戦は指針を示すという側面もあった試合でしたが、今日のコロンビア戦はウルグアイ戦以上にチャレンジとテストの意味合いが強く含まれるように思います。

ウルグアイ・コロンビアと続く南米の強豪との2連戦。彼らはいつも、キリンチャレンジカップとてしっかりと戦ってくれるチームですから、今日の試合で挑むチャレンジは決してシャドーボクシングのような事にはならず、言ってしまえば「上手くいかなかった事すら収穫」と呼ぶべきものがあるはずです。思えば、コロンビアとは節目節目で対戦してきました。今宵もこの試合が何かのターニングポイントのようになる事を祈って…

両チームスタメンです。

 

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森保一監督が示唆していた通りウルグアイ戦から大幅なメンバー変更はなく、基本的にウルグアイ戦の後半に近いメンバー構成となりました。ウルグアイ戦からの先発変更は4人で、そのうち左SBに入ったバングーナガンデ佳史扶がA代表デビューとなり、ウルグアイ戦で得点を挙げた西村拓真、ウルグアイ戦では出番のなかった町野修斗がそれぞれ先発に名を連ねています。その他、普段はトップ下の鎌田大地がボランチ、左SBの伊藤洋輝がCBにシフトするなど新たな起用位置での起用になっている部分も。

本日の試合は吉田麻也が招集外で遠藤航がベンチスタートとなった事でキャプテンマークは板倉滉が巻く事になりました。また、今日の試合では初めて2ndキットの白いユニフォームで試合に挑みます。

 

本日の会場は大阪府大阪市ヨドコウ桜スタジアムです。

普段はセレッソ大阪が本拠地とするスタジアム。スタジアム自体は1987年に完成していましたが、大規模改修工事の末に2021年にリニューアルオープンとなったスタジアムです。パナソニックスタジアム吹田が2016年に開場するまでは大阪会場として頻繁に代表戦が行われていたヤンマースタジアム長居に隣接する形というか同じ長居公園内に位置しており、世代別代表の試合は2021年7月に五輪代表がホンジュラス戦を戦いましたが、A代表の試合開催としては今日が初となります。

前回のウルグアイ戦と同様に、今日の試合もハチマキやフラッグといった来場者プレゼントが配布される他、小島伸幸氏と本並健治氏の参加するPK対決、各種抽選プレゼントなど様々なイベントが予定されています。

 

 

本日は現地観戦です!スポーツ観戦日記は後日掲載します。

やっぱり良いですね、現地で観る代表戦は。なんか童心に帰れるよ…。

 

 

試合は想定外なほど早い時間に動きます。3分、右サイドに抜け出した町野がボールをキープするとフォローに入った守田英正にパス。その守田がダイレクトで上げたクロスをファーサイドの三笘薫がヘッドで叩き込んで日本が先制!

単なるドリブラーではないゴールゲッターと化した三笘。今季のブライトンでも見せているような力強いヘッドで日本が幸先良く先制に成功します!

 

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基本的に日本代表はウルグアイ戦と同様にボール保持をベースにしたスタンスを取りつつ、両サイドが伊東純也と三笘だった事や鎌田をボランチで起用していた影響もあるのか、ストレートな前進と広いスペースを目指すような動きはウルグアイ戦よりも高かったような形になっていました。

実際、25分くらいまではプレスも効いて全体的に良いバランスで進んでおり、意識から構築する流れとしては割と上手く回っていました。

 

しかし25分を過ぎたあたりからは、日本はコロンビアに前傾姿勢の背後をとられやすくなる形になってしまい、言わばコロンビアに剥がされやすい形になり始めていきます。33分には左サイドを板倉を振り切って突破したマチャドのマイナスの折り返しをデュランが冷静に流し込んでコロンビアが同点。

 

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知ってんの少し前くらいからはコロンビアも深めにプレスをかけてくるようになった事で、チームとしてはまだ未熟なポゼッションはじわじわと押し込まれるような形になり、コロンビアにラインを押し下げられる事で一発のボールロストが即失点に繋がりかねないシチュエーションにもなって来た事で、そこからはコロンビアペースな試合になり始めていきました。

それでも40分には伊東の折り返しに西村が合わせるような場面もありましたが、前半は1-1で終了。

 

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日本は後半から町野を下げて上田綺世、鎌田を下げて遠藤航を投入。54分には三笘を下げて堂安律を投入し、伊東を左サイドにスライドさせます。

前半終了間際はコロンビアに押し下げられていたラインは、後半はプレスで強度を出せるようになった事で押し返せるようになり、58分には伊東のボール奪取から堂安と上田の関係でゴール前までなだれ込むも、最後はDFとGKにシャットアウトされてゴールには至らず。59分にはバングーナガンテを下げて瀬古歩夢を投入し、伊藤を左SBにスライド。そして西村を下げてトップ下の位置に久保建英を配置します。

 

しかしその直後、右からのボールを受けたカラスカスが1人で持ち込んでシュートを放つと、瀬古に一度当たったボールはクロスバーに直撃。さらにそのCKのこぼれ球をウリベがミドルで放ち、これはGKシュミット・ダニエルが好セーブを見せるもコロンビアがゴールに迫ってくる時間が続きます。

そして61分、デュランと瀬古が競り合ったボールを拾ったアリアスのシュートはGKシュミットが弾くも、ふわりと浮いたこぼれ球をボレが衝撃的なオーバーヘッドで叩き込んでコロンビア逆転。脱帽するしかない一撃を刺され、日本は一転、ビハインドを追う立場に。

 

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日本も好機が無かった訳ではありませんでした。66分には左サイドでボールを持った伊東のヒールパスを伊藤がダイレクトでクロスを上げると、上田が圧倒的な跳躍力で翔んでヘッド!しかし同点を確信したヘッドはGKバルガスのスーパーセーブに阻まれてゴールならず。直後にも伊東のCKを再び上田が合わせましたが、今度もGKバルガスにキャッチされて得点には至りません。

ただ上田の決定機はあったもののチームとしてこの時間の流れは芳しいとのではなく、それこそ前述の58分の上田と堂安の決定機も然りですが、選手間の距離が良いとは言えず選手同士で渋滞・ノッキングするような場面も少なからず発生していました。ましてやボール自体は持てる展開になっていた事でプレスからのショートカウンターのような攻撃に繋げる事も出来ず…。

 

すると78分に森保監督は浅野拓磨ボランチの守田に代えて投入。浅野と上田の2トップかつ、遠藤をワンボランチとしたダイヤモンド型の4-4-2という超攻撃的なシステムにシフトして得点を狙いにいきました。

クラブではFWですが、所属クラブでこのシステムをやっている久保がトップ下の位置でフリーマン的に動きながらチャンス創出を目論み、チームとしての開き直った前傾姿勢を提示した事もあって強引な形でチャンスに漕ぎ着けられるようにはなりましたが、密集とノッキングの問題は解消されず。終盤は猛攻を仕掛けて姿勢は示したものの試合終了…第2次森保ジャパンのスタートとなる3月シリーズは1分1敗となりました。

 

 

 

ウルグアイ戦とコロンビア戦の共通のテーマはチームとしてどうボール保持をしていくか…というところでした。それはサイドバックの動き方もそうですし、選手のコメントを見てもそういう狙いを意図的に持ってプレーしていたのは明らかで、その上でのチャレンジであり、トライと呼ぶべき180分だった…という事が前提にあります。

今日に関しては、前半は伊東と三笘という両翼の動きが日本にとってのストロングポイントとして機能しやすい形になっていた事もあって、そこで縦への鋭さを担保出来ていたようなところはありました。対して後半は前傾姿勢になるにつれて選手同士がノッキングする場面も多く、あまり相手もプレスに来なかったので開き直って裏をとるような動きもやりにくくなっていました。その上で、固まってしまった構図から選手の動き出すタイミングとパスを出すタイミングがことごとくズレてしまった。浸透していない状態でゲームプランに少し引っ張られ過ぎたところはあって、そこでの歪みは確実にピッチに出てしまっていたと思います。

最後にかなり極端な攻撃的なシステムになったのは森保さんにとって一つのサンプルを見ておきたかったところもあるでしょうが、選手間の距離があそこまで渋滞するならば、強制するよりはいっそ極端にしてサンプルとしたかった部分もあったように感じました。

 

 

 

ただし、まずウルグアイ戦とコロンビア戦がどういう試合だったのかと言えば上で書いた通りとして、日本として今日の戦い方がこれからずっと継続して取り組んでいくテーマか…といえば決してそういう訳ではないのだろうと思っています。

 

 

W杯後に書いたブログでも書いた話ですが、森保ジャパンは一つの戦術を10あるうちの8〜9まで極めるよりも、5〜6は保証できる戦術というか戦い方のパターンを手札として複数枚持っておいて、そのカードを対戦相手や状況に応じて使い分ける…というやり方でチームビルディングを進めていました。それは久保が試合後に語った「4-3-3、4-2-3-1とあるけど、そんな3個も試してる余裕はない。(クラブ)チームじゃないので2個が浸透しているだけでもすごいことだと思う」というコメントにも表れていますし、私としてもそのスタンスには基本的に賛成なんですよね。それは日本代表が「集まっては散らばる」を繰り返さざるを得ないところが他国よりも顕著であったり、アジアでの立場と世界での立場が大きく異なるギャップを常に感じなければならないという立ち位置もそうですし、そこを踏まえた時に森保監督のアプローチは合理的だよな、と思っています。

 

 

結果的にそれがそのままドイツ戦スペイン戦の勝因になった訳ですし、戦い方というよりそういうスタンスは第一次体制と変わらないんじゃないかと思っています。実際に年齢を踏まえると次のW杯メンバーの主軸はカタールW杯メンバーからそう大きく変わる訳ではないでしょうから、それは自然な流れだと言えるでしょう。

そもそもこの2試合のようなトライはカタールW杯のコスタリカ戦クロアチア戦で足りなかったものと言いますか、あまりプレスをかけてこない相手をどう剥がしてどう崩すかというテーマだった。これまでにやって来たカウンター方式はおそらくある程度パッとやれる状態ではあるし、逆にそれを極めてそれしかできないチームになった末路はカタールW杯の複数国で見た。コスタリカクロアチアを崩す為に足りなかった手札を集める…その上での第一歩として、この2試合でトライした事の意義はあったと思いますし、親善試合を親善試合として捉える事が出来たという事で意義深い2試合だった事は確かです。

 

その意味では内容が良かったのはウルグアイ戦の方が良かったですけど、トライの目的がはっきりするというところでは今日のコロンビアは強化試合の相手として非常にありがたいスタンスで来てくれたように思います。要は、今日のコロンビアのような相手を崩す為の選択肢としてこの2試合のサッカーをトライしている訳で。

ウルグアイにしてもコロンビアにしても、彼らがキリンチャレンジカップをなあなあなテンションではなく真剣に戦ってくれたことにも感謝したいですね。結果と内容が必ずしも芳しいものでは無かったのは確かですし、批判するべきところはある。ただ、親善試合をどう使ったか?みたいな観点ではポジティブな2試合だったんじゃないか、というのが私としての感想です。

 

 

ではでは(´∀`)