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宇佐美とポヤトスと、戦術徹底の功罪と-おのれクロスバー編-〜明治安田生命J1リーグ第9節 ガンバ大阪 vs 横浜FC マッチレビュー〜

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恋はみずいろ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第9節、ガンバ大阪vs横浜FCの一戦です!

 

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このクラブの昨季の敗因を振り返った時、よく「きっかけが掴めなかった」というように表現されますが、しかし実際のところはきっかけだけなら何度も手にしていたと思います。ただ、そのきっかけの火を燃え広がらせることがどうしても出来なかった。その繰り返しの末に堕ちた先があの残留争いだったように思います。

 

 

今季、ガンバはダニエル・ポヤトス新監督の元でチャレンジングなサッカーに取り組んでおり、そのトライの成果はピッチ上に反映されつつあることは確かです。ただ、第7節川崎戦の勝利からの前節京都戦敗北の流れが少し昨季のそれを思い起こさせたことも私や中で否めない事実でした。きっかけはきっかけで終わってしまってはこれまでと同じで、きっかけは燃え広がった時に初めて脱皮に繋がる。絶対に勝たなければ行けない状況に追い込まれた相手との対戦は爆弾ゲームのようなもので、その時にガンバもまた絶対に勝たなければならない立場に追い込まれる。掴んだきっかけの羽を伸ばす為、このトライを確信に変える為、繋がりのある勝利がこのクラブに求められています。

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節の京都戦からはスタメンを3人変更。負傷離脱した福田湧矢に代わってファン・アラーノが左WGにスライドし、杉山直宏が右WGに復帰。そして負傷離脱していた宇佐美貴史がリーグ戦では第4節広島戦以来となる先発復帰となり、クォン・ギョンウォンの出場停止に伴い福岡将太が今季初先発となりました。ベンチには倉田秋がリーグ戦では第2節鳥栖戦以来となるメンバー入りを果たしています。

横浜FCも前節広島戦からの先発変更は3人。今日は和田拓也が先発に復帰し、開幕戦から今季はここまで全試合に途中出場していた山下諒也が今季初めて先発出場となりました。そしてGKは前節までは市川暉記、開幕時点では永井堅吾が起用されていましたが、今日はスベンド・ブローダーセンが今季初スタメンを飾っています。

 

 

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

先日はクラブOBでもある播戸竜二氏のYouTubeチャンネルでも潜入特集が組まれていたパナスタ。今や関西の代表戦会場といえばヤンマースタジアム長居だった時代が過ぎ、今となっては関西会場の第一候補、また、豊田スタジアムと並んで日本代表自体の準ホームのような形生なっています。今更といえば今更ですけど、駅を降りたら太陽の塔があって、1970年大阪万博の名残を残す各施設からEXPO CITYやらなんやら、万博記念公園って結構なエンターテイメント施設ですよね。そういえば万博アリーナ計画ってどうなったのかしら。

ちなみに本日はスタジアム内でミニ動物園が開催。ペンギンとの撮影会や各種小動物との触れ合いコーナーも設けられています。

 

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序盤からガンバも横浜FCもスタンスの違いは色濃く出てきました。DFラインでのビルドアップから長短を使い分けたパスで相手を剥がそうとするガンバに対し、横浜FCもカプリーニを起点としながら近藤友喜、山下諒也を活かすサイド攻撃を徹底。特に序盤はどちらかと言えばシンプルな形を標榜する横浜FCの方がアタッキングサードに近いところまで入る場面は多く作れていました。

 

 

 

しかしガンバも前節のように「インテンシティーで殴り合おう!」みたいな試合展開では無かった事から、ネタラヴィを起点にして宇佐美を中心に出し入れしながらじわじわと横浜FCを押し込み、高い位置でキーパスを狙う為の準備としてのパス回しが出来るようになっていきました。13分、左サイドでダワンとアラーノが連動してボールを奪うとアラーノがそのまま左サイドを突破。グラウンダーでマイナスに折り返したボールはニアに入ったジェバリがスルーし、走り込んだ宇佐美のグラウンダーショット!まさにゴールにパスをする、まさしく背中のNo.7が憑依したかのような流れもフィニッシュも美しい一撃でガンバ先制!

 

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その後も試合はガンバペースでした。24分には宇佐美のパスを受けたジェバリ、27分にはアラーノのクロスにまたしてもジェバリが合わせるもいずれもGKブローダーセンの好セーブもあっていずれもゴールには至らず。ガンバは高い位置でチャンスメイクが出来ていたことで良い流れを生んでいましたが、それがどうも点に繋がらないことで少しずつ流れが軋み始めます。

 

 

 

流れが軋み始めたのは30分でした。横浜FCは左サイドを突破した山下の折り返しを受けた小川航基が巧みなボディコントロールからシュート。これは僅かに枠の右。更に33分には右ポストを叩くミドルを放ち、横浜FCに希望と予感を、ガンバに危機と不安を抱かせるような流れになっていきました。

そして43分、横浜FCは左からカプリーニがCKを蹴ると、これにンドカ・ボニフェイスがヘッドで合わせて同点。追いつき切れなかった立場のガンバにとっては痛い同点弾に。前半は1-1で終えます。

 

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メンバー交代なく迎えた後半、最初のチャンスはガンバでした。47分、宇佐美の縦パスをジェバリがフリックしたところに抜け出したダワンがGKと1対1の場面を迎えましたが、ここはブローダーセンがファインセーブ。53分には今度は横浜FCがカウンターからチャンスを迎えて最後はカプリーニが狙いましたが、今度はGK谷晃生が好セーブを見せます。すると55分には今度はアラーノがシュートに持ち込み、後半はお互いのスタンス自体は変わらないものの展開としてはなかなかオープンな展開に。

 

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65分には宇佐美の絶妙なミドルパスに抜け出した杉山が千載一遇のチャンスでシュートをきっちり流し込みましたが、惜しくも杉山がオフサイドを取られてゴールとは認められず。

すると横浜FCは60分にカプリーニに代えて投入したユーリ・ララに続き、68分にサウロ・ミネイロ、新井瑞希小川慶治朗を一気に投入して配置を変えると、ガンバと69分に杉山を下げて山見大登を投入して勝負に出ます。73分には宇佐美のパスから右サイドを抉ったアラーノが折り返してジェバリがシュートを放つも相手DFがブロック。こぼれ球に対する宇佐美のシュートも枠を捉え切れません。

81分には黒川圭介の折り返しから宇佐美がシュートを放つもDFに当たった末にクロスバー。更に87分には山見のパスを受けた宇佐美が巧みなトラップと完璧なシュートは結末だけが完璧でないクロスバーアディショナルタイムには宇佐美が得意なパターンで放ったシュートが左ポスト。ついでに山見もシュートを左ポストに当ててしまい…。

 

 

 

シュート27本、枠内シュート19本、しかし得点は前半の1本のみ。チームとしてのトライであったり、久々の先発となった宇佐美や途中出場の山見、髙尾瑠など個々のパフォーマンスには躍動感を見せたガンバでしたが、その結果はあまりにも無情なドローに終わりました。

 

 

 

いやぁ…なんというか、ね。内容としての面白みはある試合だったと思います。個々としてのパフォーマンスは良かったと思いますし、言ってしまえば、まずシュートを27本もかますような試合は近年あんまり無かった訳ですから。フィニッシュまで持っていける場面を多く作れたところとしては良かったです。前半はガンバのポゼッション仕様の戦い方と横浜FCのシンプルなサイドアタックがぶつかる形になった事で難しい展開にはなってしまいましたが、戦術って結局のところ、どこかを埋めればどこかが削れる、それが全てを解決してくれる訳ではないのはどの国のどのチームでもそうな訳で、後半にしてもあそこまでフィニッシュに到達してこの結果となれば…戦術や戦い方にケチをつけてもしょうがない試合ではあったのかなと。

 

 

 

個人的に感じたのは、ポヤトス監督のスタンスというか…宇佐美のプレーを見て、ポヤトス監督の周囲のイメージと本人が考えていそうなことはちょっと違うかも、みたいなところは感じましたね。一般的なイメージだと、ポヤトス監督はフィールド上の11人全員が徹底して戦術にコミットして戦う事を求めているように見えて、実は本人が一番あんまりそういう形にはしたくないんじゃないか、とは思いました。11人全員でビジョンやコンセプトは共有する必要があるとはいえ、11人全員に同じ役割を求めてもしょうがないし、全員を戦術マシーンみたいにしてアベレージを高くしたところで、それだとチームとして突き抜けるべきところで突き抜け切れないんじゃないか、どこかでどん詰まりになるんじゃないか…そう考えると、基本的には戦術にコミットさせつつ、スペシャル枠というか異空間みたいなポジションを一つ設けたいと考えていて、その観点でポヤトス監督はファンが想像する以上に宇佐美を高く評価しているような感じはします。宇佐美に合わせる・宇佐美に合わせないというよりも、10+1というか、宇佐美を異物として組み込む妙が理想形なんだろうなと。いつか誰かが言った「宇佐美は他の選手ができないことを出来るが、他の選手ができることが出来ない」という言葉も、逆説的にいえば宇佐美に他の選手ができる事をやらせてどうするの?みたいな部分にもなってくる訳で。

 

 

もちろん、守備時の対応等に於いて宇佐美が足りない部分はあるとはいっても、それが宇佐美を外す理由にはならないというか、以前ポヤトス監督が言っていた「宇佐美と石毛を比べることはしない」みたいなセリフは穿った味方ではなく本心であり、無理に戦術仕様に矯正させる事はかえってマイナスだろうみたいな考え方なのかなと。最終的にポヤトス監督は絶対的なベースとしての戦術を置きつつ、戦術至上主義的なチームにはしたくないんじゃないか…みたいなところは今日の試合と宇佐美のプレーぶりを見て感じましたね。戦術を徹底しすぎるマイナス面はかなり意識しているというか。そう考えると個人的には色々と納得はできる気はしました。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

明治安田生命J1リーグ第9節分は京都サンガFCvsサガン鳥栖の試合のマッチレビューに記載しています。

 

 

つまるところ、基本的には宇佐美起用肯定派ですわたし。

ではでは(´∀`)