RK-3はきだめスタジオブログ

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泥濘の灯〜2024明治安田J1リーグ第13節 京都サンガFC vs アビスパ福岡 マッチレビューと試合考察〜

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祝・海外クラブとの対戦決定!

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第13節、京都サンガFC vs アビスパ福岡の一戦です!

 

 

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

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正念場とはじわじわとその予感を漂わせ、そしてその陰に蝕まれた時にその姿を表すもの。サンガはまさに今、そのフェーズの前に立たされています。

無理に去年のチームと比較するつもりはありませんが、去年のサンガはアウェイ新潟戦の勝利で6連敗から抜け出した後、そこからのリーグが中断するまでの4試合は2勝1分1敗。負けなかった3試合には鹿島や名古屋が含まれていたことを思うと、久々の勝利をきっかけとして活かすことが出来たと言えるでしょう。当然ながら、苦境に一筋の光を見出したような第10節神戸戦の後に期待したのはそういう軌跡でした。しかし現実は虚しくFC東京に敗れ、前節は"J1の先輩"としての意地をまったく持って見せられないまま0-3の完敗。神戸戦の勝利がきっかけにならず、3〜4月頭に出来ていた事も難しくなっているのは非常に由々しき事態です。

正念場……サンガにとって、ここから先はどの試合ももれなくそのフレーズを重く捉えなければならない時期が続く事でしょう。少なくとも2022年も2023年も、前半戦である程度の勝点を稼げた事が残留争いを制するに繋がり、そして2022年はプレーオフに転落したとはいえ、両年とも降格枠で過ごした時期はそう多くなく、いわば差し迫るプレッシャーからは少し離れた場所でプレーできていた。今年はそれがない。それゆえにここからはずっと危機と共に過ごさなければなりません。

サンガは今年が創立30周年。思えば、同じ年にJリーグに参入した…いわばJリーグ同期生なる福岡とは、サンガにとっては近い立ち位置にいるライバルという印象が最も濃いクラブの一つだったと思います。しかし時代はすぎ、ここ数年でいつの間にか福岡は遠い存在になってしまった。それでもまだサンガは福岡と同じステージには立っている。これ以上同期の前で苦しい姿になる訳にはいかない……長い正念場の入口はサンガにどのような意味を与えるのでしょうか。

両チームスタメンです。

 

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サンガは前節町田戦からスタメンを6名変更。連戦も考慮してか町田戦は開幕から11試合連続で先発していた福田心之助や原大智をベンチスタートとしましたが、両者共に今日は先発に立っています。松田天馬や武田将平も先発に復帰した他、今日は鈴木義宜がサンガ移籍後初の先発出場。そして今日はなんと言っても右WGで宮吉拓実がスタメンに名を連ねており、宮吉がJ1リーグ戦で先発するのは2022年7月30日のG大阪戦以来ほぼ2年ぶりです。

対する福岡も連戦を考慮して前節川崎戦が前々節G大阪戦から大幅にメンバーを入れ替えた形になっており、川崎戦からは奈良竜樹、田代雅也、松岡大起の3人のみ残して8人入れ替えてきました。メンバーとしては前々節のG大阪戦と同じ11人を起用しています。WGの湯澤聖人と岩崎悠人は共に元サンガであり、特に岩崎は宮吉が13番を柳沢敦から受け継いだ2011年以降で唯一宮吉以外で13番を背負った選手。ここに来て直接大事するとは…。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。

 

 

堀場製作所によるHORIBAスペシャルデーとして開催される今節。本日は小学生以下の観客に先着でレジャーシートがプレゼントされる他、堀場製作所の農場で生産されたブルーベリー製品が抽選会の商品となっています。また、5月4日から6月30日までスタジアム敷地内にて「SANGA LIFE LAB. by KYOTO SANGA F.C.」のポップアップストアが期間限定で営業中です。

世代別のサッカー男子代表戦が今年行われましたが、7月28日はVfBシュトゥットガルトとの親善試合が開催される事が決まるなど、西京極時代には知らなかった景色を見せてくれているサンガスタジアム by Kyocera。思い起こせばこのスタジアムで、初めて有観客の公式戦を戦った相手は福岡でした。今季のホームは5戦全敗という苦しい状況が続きますが、そういうメモリアルな相手を前にどうにか、なんとか…。

 

 

ファーストチャンスはサンガでした。

福岡が元々対戦相手にボールを持たせようとしてくるチームという側面はあるとはいえ、単にボールを持たされているというよりはバイタルエリアでサンガがスピードを出せるだけのスペースは与えられており、そこからサイドへの展開やボールを持ち運ぶような動作ができるようにはなっていました。5分には左サイドで麻田将吾が入れたスローインから松田が股抜きで湯澤を突破。折り返しを原が狙いますが僅かに枠外。7分にも自ら持ち運んだ武田がミドルシュートに持ち込むもゴールならず。ただ、立ち上がりからこの数試合で欠けていたスピード感は見せることが出来ていました。

 

 

 

しかしリズムとしては悪くなく、ここ数試合では見られなかった躍動感と連動性は見えていた一方、福岡がカウンターで差し込もうとしてくる場面は少しずつ増え始めていき、サンガのハイラインに対して背後を狙うような福岡のアクションも目立つようになってきました。

19分、福岡は自陣でサンガのプレスに対して苦しい体制ながらもGKまでボールを戻すとGK村上昌謙が一気にロングフィード。湯澤と鈴木義が競り合ったボールに月間MVP候補ザヘディが抜け出すと、折り返しに対して佐藤凌我が押し込んで福岡が先制。昨季負った大怪我から第10節東京V戦より復帰した佐藤は復帰後初ゴールということに。

 

 

ここ数試合、いつも見た光景。少しアグレッシブ感を取り戻したかと思えばまた………。しかしその不穏な空気を前に、今日はそこにこのチームのスーパーレジェンドがいました。失点後のキックオフ。川﨑颯太のリスタートでアピアタウィア久に落とすと左サイドにロングボール。前線で競り勝った麻田が落としたボールを拾った松田天馬が奈良と田代を一気にかわしてエリア内に侵入。シュートはGK村上に阻まれたものの、こぼれ球に走り込んだのは宮吉拓実!!

スタメン表にその名前を見た時に誰もが待ち望んだその男のゴールは、このクラブを覆う澱んだ空気に風穴を開ける大きな大きな一発!!!!

 

 

ただ、その後はサンガはパスコースを切ってからハイプレスを仕掛けていきたいところでしたが、福岡は個人突破である程度のところまで持ち運んでアタッキングサードに入ってから展開していく攻撃の形を見せてきて、それへの対応に手を焼く展開となりました。33分には紺野和也のドリブル突破からある程度ピンチになるような場面に入ってから右に拡げられて湯澤がシュート。これはどうにかポストに阻まれますが、前半の終盤は福岡に明確にチャンスがいくつか生まれる形に。

 

 

 

それでも前半アディショナルタイムにはどうにか押し込まれている陣形を持ち直し、いくつかセットプレーのチャンスを得られるようになったところで前半終了。失点は許しましたが、代わりに一番手を待ち焦がれた男の一発で同点に持ち込んで前半を終えます。

 

 

後半開始早々、その快晴に似合わぬ暗雲がサンガスタジアム全体を覆うようになりました。

49分、福岡はCKがゴール前の混戦を誘発すると、エリア内で反応した岩崎のシュートのこぼれ球を田代がジャンピングボレーで叩き込んで1-2。そのゴールのVAR確認を終えてリスタートしたその直後、左サイドを突破した岩崎のクロスをエリア内に入ってきた紺野がボレーで叩き込んで1-3。そしたら今度はサンガが右サイドで持ち運んだ福田からボールを受けた宮吉のクロスがオウンゴールを誘発して2-3。なんだこの急な馬鹿試合は。オレでなきゃ見逃しちゃうね。というかちょっと見逃しちゃったね。というかリード許してるやないかい。

 

 

あまりにハードな展開が少し落ち着いてからはやはり1点をリードした福岡がセーフティーに構えてきた中で、ある程度はサイドのエリアに対してボールを入れるところまでは到達できており、そこに原が流れて収めて時間を作りながらWGやIHが絡んでくるようなリズムを作れるようにはなっていました。しかしそこからエリア内に切り込んでいくところの福岡の守りはやはり堅く、そこからの一枚を剥がし切れないまま時間が経過。

福岡は60分に前寛之を下げて重見柾斗、73分に田代を下げて井上聖也を投入。リズムは悪くなかった事からスタメン11人を割りかし引っ張った曺貴裁監督も75分に松田と武田を下げて平賀大空と平戸太貴を送り込んで最後の突破口を探りに行きます。直後の77分、右サイドで鈴木義からボールを奪った紺野のクロスをドンピシャでザヘディがヘッド。ここまでサンガがどうにか押さえ込んでいたスーパーFWのこの日初めての決定機でしたが、ここは我らがク・ソンユンスーパーセーブ!!!!ただ81分にも左サイドのギリギリのところでボールを残した岩崎にシュートまで持ち込まれ、ここもクソンユンのセーブでどうにかしたものの……福岡のカウンターが決定的な場面に繋がり始めていました。

 

 

 

サンガは79分、前述のプレーの際に麻田と負傷した鈴木義を下げて佐藤響と松田佳大を投入。83分には宮吉を下げて塚川考輝を送り込みます。82分には佐藤の意表をついた横パスを受けた川﨑からのパスに原が反応しますが、最後まで相手DFのマークに遭って上手くシュートまで持ち込めず。

……チームとしてのこの試合に対するアプローチ、そして見せたアクションは必ずしも悪いと言えるものではなかった。しかしいつの間にか手の届かないところまで成長していたJリーグ同期を前に払った代償はあまりにも大きくタイムアップ。2-3。ホーム6連敗。皮肉なほどの快晴の下、ピッチは曇天を履むような泥濘に絡め取られていました。

 

 

 

この試合に向けたアプローチとしては間違っていたとは思わないですし、狙いを形にすることはある程度出来ていました。

今福岡と戦う全てのチームが気にするであろう「ザヘディをどうするのか」の部分に関しては、守備時はアピアタウィアを徹底的にぶつけて中盤やCBがそのフォローに入ることで成果は出せた。攻撃に関しても、福岡はボールをこちらに持たせてくる守り方をするチームだという前提の中で松田天馬や宮吉が積極的に福岡の背後を狙うような動きを見せることでラインを下げさせ、ミドルゾーンでのボール保持時にスピードを出せるようなスペースを確保し、アタッキングサードまで攻め込めば福岡に阻まれてもセカンドボールの奪い合いに持ち込める……言ったらそれは元々サンガの得意な戦法ではある訳で、スクランブル状態を複数の選手が絡みながら制した1点目のように、福岡を相手にサンガのストロングポイントを出す為のアプローチは実行できてはいました。その点で、今日の試合をあくまで単体で見るならば……FC東京戦や町田戦と比較した時の後味とは異なるものは確かにあって、サンガができること、できないことを踏まえた時の本来の強みを出す為のゲームプランに沿った戦い方は出来ていましたし、そういう意味ではゲームプランとしてはサンガにとっての正しい道筋でプレーはできていたように思います。

 

 

 

しかし…ザヘディはちゃんと抑えたのにザヘディ意外に3点取られたという事実がそれを一番わかりやすく物語るように、ザヘディへの対処とフォローで中央をケアしすぎた結果、皮肉にもサンガの一番辛かった時期を知る両WBに好き放題やられる…即ちサイドの守備までケアできなかったりだとか、サンガが得意なゾーンに持ち込む為のランとボールの入れ方なスコアが同点の時は良かったものの、リードを許して固められたらやはりスペースのないところには突っ込めなくなってしまったりだとか……良くも悪くもこの試合はサンガの現在の強みをちゃんと出せるゲーム展開になった代わりに、失点という代償を払った末路はシングルタスク的になってしまうサッカーを露呈するような勝ち方になってしまった。言ってしまえば、今日のポジティブな面もネガティブな面もサンガにとっての王道パターンだったのかなと。

宮吉と松田のWGとしての躍動は少なからず手応えがあったと思いますし、今のチームができること、今のチームが何を強みとしてこの国のトップカテゴリーに辿り着いたかの感覚を思い出させるプレーぶりでは確かにあった。ただそれはいつも表裏一体の欠点とセットでもある。この試合が例えば開幕戦であれば…それこそ第4節横浜FM戦のようにある程度ポジティブに解釈する事ができたでしょう。しかし今はそれを状況が許さない訳で。……なんでしょうね。難しい、難しい………。ザヘディを抑えられたら抑えられたで、ちゃんと外から、逆に言えばアピアタウィアをザヘディで消せたかのようにプレーした福岡に、Jリーグの同期で同じ場所にいたはずの福岡に見せつけられた"差"は、どこか大人が持ち得るコンプレックスでも見せられたような気になったり。

ただ、FC東京戦と町田戦を踏まえた今日という視点で見ると、まだ内容面で持ち直したという感覚は一応ありますし、その観点で言えば持ち直すだけの馬力はまだこのチームには残っていたということではあると思うんです。まだこのチームに火は残っているところを見せてくれた部分はあったというか。もう今はそこに縋るしかない。いずれにしても2024シーズンという賽は投げられている。それが例え泥濘に小さく灯る火であったとしても、潰えて消え失せるまでは生きている。。今日垣間見せたその意地が再び火を燃えたぎらせる日まで…。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

 

2024明治安田J1リーグ第13節

アルビレックス新潟2-4浦和レッズ

ジュビロ磐田0-3サガン鳥栖

京都サンガFC2-3アビスパ福岡

川崎フロンターレ3-0北海道コンサドーレ札幌

湘南ベルマーレ0-0FC町田ゼルビア

名古屋グランパス0-1ガンバ大阪

セレッソ大阪1-4ヴィッセル神戸

FC東京3-3柏レイソル

鹿島アントラーズ(5月12日13:05)東京ヴェルディ

横浜F・マリノス(6月19日19:00)サンフレッチェ広島

 

 

宮吉の意地には震えました

ではでは(´∀`)