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アジア各国のリーグをざっくり紹介してみる〜第1回 中国サッカー・スーパーリーグ(中国超級リーグ)〜

IPPONグランプリの次の日にTHE MANZAIを観れるしあわせ。

 

どーもこんばんは

 

(大体いつ頃に書いたかバレる)

 

さてさて、現在ACLが絶賛開催中でございますので、今回は雑にアジア各国のリーグを紹介してみたいと思います。

あくまでざっくりです。多分調べれば、そのブログに特化したすごく詳しい事を書いてらっしゃる方とかもいらっしゃるので、あくまで基礎知識くらいの感覚で読んで貰えればと思います。

 

記念すべき初回は中国サッカー・スーパーリーグです。

 

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俗に言う「中国超級」ってやつですね。

ACLの際はとにかくその強力な戦力を武器に日本勢に襲いかかってくる奴らです。

 

移籍の季節になる度に名前を聞くこやつら。

でも、案外どこに誰がいるのかがごっちゃになってたりもして。リーグの成り立ちやシステムも含めて書いていきます。

 

 

「中国選手権」という前身となったコンペティションが1951年から開幕していましたが、中国選手権は元々、各省の選抜チームが地域ごとのブロックで戦って代表チームを決めた後、最後はセントラル方式の大会で王者を決める方式で行われていました。この頃の中国スポーツといえばいわゆる「ステート・アマ」の時代でしたが、時代も移り変わっていき、中国側も競技力向上の為にはスポーツのプロ化を始めとした改革が必要と捉えるようになり、Jリーグ開幕の翌年に当たる1994年に発足しました。

しかし、中国は社会主義国家というお国柄もあってなかなかプロリーグ、各々のプロクラブとしてとしての発展はなかなか進まず、ACLの舞台で上海申花山東魯能が存在感を見せる事はあっても、結局1994年以降は前身となるアジアクラブ選手権も含めて中国勢の優勝はゼロ。決勝進出も97-98シーズンに大連万達が進出したのみという状態でした。

そんな中で2010年、不動産企業の広州恒大地産集団が広州にあるクラブを買収して「広州恒大」というチームが発足すると、彼らは早速クラブに多額の資金を投入してムリキ、ダリオ・コンカといった有力選手をヨーロッパ並の移籍金と待遇で獲得。その結果広州恒大はリーグ7連覇と2度のACL制覇を達成し、この広州恒大の成功例に多くのクラブが続く事で、かつてのスターやアジア・南米の有力選手に留まらず、強豪国の現役代表クラスまでが中国に参戦する「中国サッカーバブル」的な状態まで発生していました。爆買いって言われた時期ですね。

ただ、昨今はその傾向も少し落ち着き気味。というのも、移籍金や年俸の高騰に伴う過剰なインフレ状態で給与未払いなどが多く発生し、更にはなかなか中国人選手が育ってこない事もあってリーグ側か移籍金などに規制をかけるようになりました。例えば2017年に規定された制度では一定額以上の移籍金で選手を獲得した場合、その同額を中国サッカー発展ファンドに支払わなければならなくなった(=実質2倍の移籍金が必要になった)り、2020年からは移籍金や支出額の上限が設けられたり。中国スーパーリーグは一つの岐路を迎えているとも言えます。

 

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基本的には1部リーグ(中国超級)は16チームで構成されており、ホーム&アウェーで15試合×2の30試合。上位3チームが来季ACLへの出場権を獲得、下位2チームが2部リーグ(中国甲級)へ降格という一般的なリーグシステムです。ただし、2020年シーズンに関しては新型コロナウィルスの影響で半年近くリーグが中断した影響を考慮し、16チームを8チームずつの2グループに分けて7試合×2の14試合のリーグ戦を行い、各組上位4チームと下位4チームでの順位決定トーナメントを行う異例のレギュレーションとなりました。9位で降格の可能性あったのエグいな……。という訳で現時点で来年どうなるのかはわかってないです。

 

とりあえず、2020年シーズンの最終順位はこんな感じです↓

 

1位 江蘇蘇寧(A組2位)※ACL2021出場

2位 広州恒大(A組1位)※ACL2021出場

3位 北京国安(B組2位)※ACL2021出場

4位 海上(B組1位)

5位 山東魯能(A組3位)

6位 重慶力帆(B組3位)

7位 上海申花(A組4位)

8位 河北華夏(B組4位)

9位 河南建業(A組8位)

10位 天津泰達(B組8位)

11位 広州富力(A組6位)

12位 大連FC(A組7位)

13位 深圳FC(A組5位)

14位 青島黄海(B組7位)

15位 武漢卓爾(B組5位)※降格

16位 石家荘(B組6位)※降格

 

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プレーオフでは準決勝でB組1位の上海上港を、そして決勝でA組1位の広州恒大を下した江蘇蘇寧がクラブ史上初となるリーグ優勝を達成しました。中国超級は2011年からリーグ7連覇、その間ACLを2度制覇した広州恒大の独壇場とも化していましたが、2018年に上海上港が優勝するなど、…まぁ今季は特殊なレギュレーションであったとしても、少しずつ広州恒大を脅かすチームも出つつありますね。

 

という訳で今回は何チームかピックアップしてざっくり紹介していきます。

(データや情報は全て2020シーズンのものです)

 

 

 

広州恒大

 

創設年:1954年

2020年順位:準優勝(A組1位)

ACL最高成績:優勝(2013、2015)

監督:ファビオ・カンナヴァーロ(3年目)

本拠地:広東省広州市

ホームスタジアム:天河体育中心体育場(58500人)

☆ACL2021出場決定!

 

絶対王者であり、現在に至る中国超級の流れを作った張本人とも言えようクラブ。近年は中国勢の勢が少し緩くなった事とJリーグ勢の再興もあってそこまで感じなくなってきているが、2010代中頃は本当に勝てる気がしなかった。2015年のACL準々決勝で柏レイソル、準決勝でガンバ大阪を連続で潰していく様はなんというかもう…。現在は外国人選手としては元ブラジル代表のMFパウリーニョ、FWタリスカらがいるが、FWエウケソン(ブラジル)やFWリカルド・グラール(ブラジル)、DFティアス・ブラウニング(イングランド)など獲得した外国人選手を帰化させる事も多く、これに関しては賛否両論あったりする。最近は各クラブも有力な中国人選手が出てくるようになったが、中心選手であるチャン・リンペンを筆頭に広州恒大だらけの時もあった。

広州恒大の成功例に倣い、他のクラブもいわゆる「爆買い」に動いた時期はあったが、他のクラブに比べると広州恒大マルチェロ・リッピルイス・フェリペ・スコラーリといった優秀な監督を招き、総工費250億円以上とされる資金を投入して施設を建設したアカデミーを設立させるなど、他所よりも強化方針がしっかりしているところが広州恒大がなんやかんや勝ち続けている要因とも言える。

 

 

海上

 

創設年:2005年

2020年順位:4位(B組1位)

ACL最高成績:ベスト4(2017、2018)

監督:ヴィトール・ペレイラ(3年目)

本拠地:上海市

ホームスタジアム:上海体育場(56842人)

 

チーム発足は2005年とその歴史は比較的新しいチーム。上海といえば上海申花の時代が長かったが、2015年に上海国際港務グループが買収して以降急激に成長。元ブラジル代表でヨーロッパでバリバリやっていたFWフッキやMFオスカルを補強し、今ではすっかりACLの常連になると共に2018年には遂にリーグ初優勝。これは広州恒大の8連覇を阻止するものでもあった。ACLでは2度準決勝まで駒を進めたが、いずれも浦和レッズに敗れている。現在、スペインのエスパニョールでプレーするウー・レイはここの出身。

一般的に現在では広州恒大に続いて近年で最も成功を収めているクラブとして考えられている。オーストラリア代表MFアーロン・ムーイやオーストリア代表FWマルコ・アルナウトビッチなど実力者の補強にも精力的だが、今季のリーグ戦ではB組を1位で突破しながらも4位に終わるなど脆い一面も。2021年シーズンからは今年10月にオープンした浦東足球場へホームスタジアムを移転する。

 

 

上海申花

 

創設年:1951年

2020年順位:7位(A組4位)

ACL最高成績:ベスト8(2006)

監督:チェ・ガンヒ(2年目)

本拠地:上海市

ホームスタジアム:上海虹口足球場(35000人)

 

上海の企業グループである上海申花集団が持っているクラブ。広州恒大や上海上港はどちらかといえば新興勢力の扱いだが、上海申花は割と昔から有力クラブの一つで、第1回ACLとなった02-03シーズンでは同組になった鹿島に4-3で勝利している。2007年に上海聯城と合併したのが今のクラブである。

かつてはニコラ・アネルカディディエ・ドログバも獲得し、カルロス・テベスとは世界最高額とも言われる年俸で契約するなど資金力は中国超級の中でもピカイチ。現在もカメルーン代表のMFステファン・エムビア、イタリア代表FWステファン・エル・シャーラウィ、更に南米の有力選手も多く所属しているが、中国超級が急激に発展した2010年以降でトップ4に入ったのは僅かに2回とリーグでの成績が芳しくなく、上海上港に存在感を奪われつつある。

 

 

北京国安

 

創設年:1951年

2020年順位:3位(B組2位)

ACL最高成績:準々決勝進出(2020)

監督:ブリュノー・ジェネシオ(2年目)

本拠地:北京市

ホームスタジアム:北京工人体育場(66166人)

☆ACL2021プレーオフ出場

 

首都、北京を本拠地とする名門クラブ。ホームスタジアムの北京工人体育場ではかつてGLAYSMAPがコンサートを行った。元々は金融コングロマリットの中信国安グループが親会社だったが、2017年に不動産業の赫置地有限公司が最大株主となってチーム名も変更されたが、国安の名前は残っている。主な主力はスペイン代表経験のあるMFホナタン・ビエラ、ブラジル人のFWアランとMFレナト・アウグスト、FWセドリック・バカンプ等がいる。特に中国で5シーズン目を迎えたレナト北京国安の選手としてリオ五輪(OA)やロシアW杯に出場しており、バカンプは前述の移籍金と同額を中国サッカー発展ファンドに支払わなければならないルールにより中国史上&アフリカ人史上最高額での移籍となった。

元日本代表監督アルベルト・ザッケローニを始め、グレゴリオ・マンサーノやロジャー・シュミット、現在のブリュノー・ジェネシオなど欧州でも名の知れた監督が多く率いていた。中国バブル到来前からACLの常連チームでありながらも芳しい成績は残せていなかったが、今季はベスト16でFC東京に勝利して初のベスト8進出を果たしている。

 

 

 

江蘇蘇寧

 

創設年:1994年

2020年順位:優勝(A組2位)

ACL最高成績:ベスト16(2017)

監督:コスミン・オラロイ(3年目)

本拠地:江蘇省南京市

ホームスタジアム:南京オリンピックスポーツセンター(61443人)

☆ACL2021出場決定!

 

2020年シーズンの王者。今まで準優勝とカップ戦の優勝は何度かあったが、今季の特異なレギュレーションも味方してB組1位の上海上港、そしてA組で江蘇より上だった広州恒大を2撃破して初優勝を達成した。現在の主力は元ブラジル代表でロシアW杯ではレギュラーだったDFミランダ、元イタリア代表のFWエデルなど。現在指揮を執るオラロイ監督はジェフ千葉で現役を引退している。

親会社の家電販売グループ「蘇寧電器」はインテル・ミラノ筆頭株主であるように中国の中でも上位の資金力を誇り、昨年にはギャレス・ベイルと合意寸前まで至った。かつてはファビオ・カペッロが年俸10億円で監督を務めていた時期もある。2017年のACLガンバ大阪と対戦した際、江蘇リードで迎えた終了間際には日刊スポーツのテキスト速報に「右コーナーフラッグ付近で65億円男FWアレックス・テイシェイラと36億円男MFラミレスがボールをキープ」という文が踊った。

 

 

大連FC

 

創設年:2009年

2020年順位:12位(A組7位)

監督:ラファエル・ベニテス(2年目)

本拠地:遼寧省大連市

ホームスタジアム:大連体育中心(61000人)

 

元々は建築業の企業をスポンサーとして大連阿爾という名前だったが、2016年に大連一方に改称。現在の大連プロフェッショナルFCという名前は2020年から採用されている。2012年にはACL清水エスパルスガンバ大阪との対戦経験があり、広州恒大の躍進以前に超級リーグ最多優勝回数を誇っていた大連実徳を吸収合併した。

2018年からは投資額も一気に増加し、アルゼンチン代表MFニコラス・ガイタン、ポルトガル代表DFジョゼ・フォンテを獲得したが、特に当時大ブレイク中であったベルギー代表MFヤニック・カラスコの獲得は大きな衝撃をもたらした。上記の3人は退団したが、現在はナポリのレジェンドであるMFマレク・ハムシク(スロバキア)、昨年11月の日本代表戦で4ゴールを挙げたベネズエラ代表FWサロモン・ロンドンらがおり、監督はリバプールなど欧州屈指のキャリアを持つラファエル・ベニテスが務める。

 

 

深圳FC

 

創設年:1994年

2020年順位:13位(A組5位)

ACL最高成績:ベスト8(2005)

監督:ジョルディ・クライフ(1年目)

本拠地:広東省深圳

ホームスタジアム:深圳龍崗大運中心(60334人)

 

1997年に「平安グループ」という保険会社と契約して以来、コロコロチーム名の変換を繰り返していた。2004年に優勝を果たし、翌年のACLではジュビロ磐田水原三星と同居したグループを突破してベスト8に駒を進めたが、それ以降は低迷が続き元日本代表監督フィリップ・トルシエが率いた2011年には2部降格の憂き目を見る(最初の半年は巻誠一郎も所属していた)。2019年から超級に復帰。

傾向としては選手よりも監督の方に有名人が来る事が多い。トルシエ以降はクラレンス・セードルフスヴェン・ゴラン・エリクソンロベルト・ドナドーニが監督を務め、現在指揮を取るジョルディ・クライフは言わずと知れたヨハン・クライフの息子である。

 

 

山東魯能

 

創設年:1993年

2020年順位:5位(A組3位)

ACL最高成績:ベスト8(2016)

監督:ハオ・ウェイ(1年目)

本拠地:山東省済南市

ホームスタジアム:済南オリンピックスポーツセンター(56808人)

☆ACL2021出場決定!

 

上海申花北京国安同様、近年の中国バブル以前にACLの常連チームと呼ばれていたクラブ。2016年は14位と残留争いにまで巻き込まれたが、それ以外は今でもそれなりに安定した成績を保っているチームである。親会社の山東魯能グループは山東電力を中心とした企業グループの一つ。2019年からはベルギー代表MFのマルアン・フェライニを獲得。その他にも元イタリア代表FWのグラツィアーノ・ペッレやハンガリー代表DFタマーシュ・カダールといった選手が所属する。

中国のクラブの中では育成面で成功を収めているクラブの一つであり、所属する中国人選手はアカデミー出身選手が大半を占める。また、ジュビロ磐田とはクラブ間交流がある。2016年のACLではグループステージでサンフレッチェ広島を倒して準々決勝まで勝ち上がったが、グループステージで対戦したFCソウルとの再戦に敗れている。

 

 

 

ロシアのトランジット先は深圳広州でした。

ではでは(´∀`)