11月頭にシーズンが終わるって不思議。
って言おうと思ったら2016年もそんな感じだった。
どーもこんばんは
さてさて、本日は2022年シーズンのJ1全チーム監督名鑑Part3です。
詳しい企画概要は前々回のPart1の方をご覧下さいませ。さぁ、今回でラストです!
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(ガンバ大阪)
生年月日:1971年4月8日
国籍:日本
現職:2022年〜(新任)
過去の主な実績:J3優勝(2016大分)、J2準優勝(2018大分)、天皇杯準優勝(2021大分)
★J2優秀監督賞(2018)
☆J1優秀監督賞(2019)
2016年に大分で監督デビューを果たしてから常に印象的な活躍を見せた近年の日本人監督の中で最も評価されている監督の一人。J3に降格した大分を1年でにJ2に戻すと、2018年には2位でJ1昇格に成功。降格候補筆頭と目される中で迎えた2019年は残留どころか「カタノサッカー」と称されるほどセンセーショナルなサッカーを見せ、一桁順位となる9位でフィニッシュ。2021年は4チーム降格というルールも影響してJ2降格を喫したが大分に関しては降格よりも昇格・残留に成功した事をフォーカスするべきだろう。シーズン後には天皇杯準決勝で絶対王者川崎を撃破し、決勝戦でも浦和をあと一歩まで追い詰めた。
それだけにガンバは「Jで最も評価を高めている監督」の招聘に成功した事になるが、それと同時に「満を持して」の招聘でもある。現役時代に在籍経験のあるOBという側面もあるが、それ以上に大きいのはコーチとしてガンバで活躍してきた実績だ。2007年から2009年までの西野監督体制ではアシスタントコーチ、2014年と2015年の長谷川監督体制ではヘッドコーチを務め、ガンバが過去に獲得した9つのタイトルのうちの8つにコーチとして絡むなど、ガンバの黄金時代に大きく貢献をしており、2016年に大分の監督に就任する為にガンバを退団してからもフロントは将来の監督候補として常にリストには入れていた。コーチとしては2010年〜2013年の広島でもリーグ2連覇に貢献しているなど「影の立役者」というよりも「影の優勝請負人」と言えるかもしれない。また、コーチとして西野朗、ミハイロ・ペトロヴィッチ、森保一、長谷川健太…J1での監督勝利数上位3人+現日本代表監督と共に仕事をしており、名だたる名将のエッセンスを吸収しているのは大きな強み。本人曰く、戦術的な影響はペトロヴィッチ監督のスタイルを最も強く受けているとの事。
ピッチ外でも親しみやすいキャラクターとして知られており、昨年は試合後にGK髙木駿と踊り狂う、ワッキー氏の芝刈り機を全力でやるなどエンターテイナー性も持っている。ガンバでの現役時代は遠藤保仁とも共にプレーしたが、当時は片野坂監督が背番号7を背負っており、遠藤在籍時のガンバで背番号7を背負ったのは片野坂監督とマルセリーニョの2人だけである。児玉新アシスタントコーチと松波正信アカデミーダイレクターも現役時代のチームメイト。
ちなみに、実はガンバでの監督デビューは既に済んでいる。コーチ時代の2015年、ACL準々決勝で長谷川監督がランランルーを決めて退席処分を喰らった為、監督代行として広州恒大との完全アウェイでの準決勝、しかも相手はW杯優勝監督でもあるルイス・フェリペ・スコラーリというとんでもないデビュー戦となった。全部ハセケンさんが走っちゃったから……。
小菊昭雄
(セレッソ大阪)
生年月日:1975年7月7日
国籍:日本
現職:2021年8月〜(2年目)
過去の主な実績:ルヴァン杯準優勝(2021C大阪)
昨季の8月末にレヴィー・クルピ監督に代わって監督に就任。監督デビューから2ヶ月後にはルヴァン杯決勝の舞台も経験している。監督就任から最初の5試合がガンバガンバガンバ札幌札幌とこの世界にはサッカーチーム3つしかないのかみたいな状態だった。セレッソとしては最初から2022年から小菊監督を昇格させる予定だったらしく、監督就任時にはクルピ監督から「自分の中では君にすべてのことを伝えてきたつもりだ」との言葉をかけられていた。
セレッソには下部組織から強化部スタッフを歴任しながら在籍は20年以上に及び、トップチームのコーチとしては小林伸二、クルピ、ユン・ジョンファンミゲル・アンヘル・ロティーナらに師事するなどまさにセレッソの生き字引と呼べるだろう。スカウト時代には別の選手を目当てに視察に訪れた試合で香川真司を発掘。ユース選手ではない高校卒業前の選手を獲得するのは前例のない事だったが、当時の強化部を説得して獲得に漕ぎ着け、香川もFC東京からも話を受けていた中で「最終的にセレッソにお世話になることを決めたのは、やはり小菊さんの存在が大きかったから」とわざわざ大阪からこまめに仙台まで足を運んだ小菊監督の熱意にも押されてセレッソを選んだという。
プロ選手としてのキャリアが無い監督は時折いるが、小菊監督の場合は最初にセレッソの下部組織のコーチに就任した際はアルバイトとしての採用だった。ガンバファンとしてはシャクではあるが、彼の成功はJリーグの監督として新しいパターンを提供してくれる事に繋がるだろう。
(ヴィッセル神戸)
生年月日:1974年7月24日(46歳)
国籍:日本
現職:2020年9月〜(3年目)
過去の主な実績:ACLベスト4(2020神戸)
★Jリーグ月間最優秀監督賞(2021年7月、2021年10月)
開幕前は続投に対して猛批判にさらされたが、過去一度もトップ5入りすら果たした事がなかった神戸を過去最高成績となる3位に導いてACL出場権もゲット。アンドレス・イニエスタを始め夏に大迫勇也などを獲得して圧倒的な戦力を有していたのは確かだが、それらの豪華な戦力を上手く整理した戦い方を構築出来たのは見事な手腕だった。昨季の働きは十分評価されるべきだろう。選手時代は「三浦淳『宏』」であったが、引退後は「三浦淳『寛』」に改名している。
「バルサ化」を推進した神戸でスポーツディレクター(SD)として強化部のトップを務めていた2020年9月に監督就任しており、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの石井一久監督も三浦監督同様にGMから監督にスライドしているのは興味深い。就任の経緯もあって三浦監督への風当たりはまだ弱くは無い部分もあるが、神戸が度々指摘されていた「現場とフロントのバランス」を一番うまく保てるのは三浦監督なのかな…という気もする。現役時代はブレ球FKの名手として知られていたが、2020年ACL時にYouTubeで公開された密着映像の中で今でもブレ玉を蹴れる事が確認されている。
2018年と2019年は吉田孝行監督がいて三浦監督と平野孝氏が強化部にいたが、今季は三浦監督の後を継いでSDを務めていた平野氏がコーチに就任。逆に強化部のスタッフとして吉田氏が入閣するなどまさかの逆転現象が起きている。奥様は元女子選手の大竹夕魅氏。彼女のInstagramではそれこそ外国人選手選手ばりの頻度で三浦監督のプライベートが投稿されている。
ミヒャエル・スキッベ
生年月日:1965年8月4日
国籍:ドイツ
現職:2022年〜(新任)
過去に率いた主なチーム:ボルシア・ドルトムント(98-99〜2000.2)、U-18ドイツ代表(2004.8〜2005.10)、レヴァークーゼン(2005.10〜07-08)、アイントラハト・フランクフルト(09-10〜2011.3)、ギリシャ代表(2016〜2018)など
2022年から新獲得を迎える事は既定路線だった広島だったが、そこにスキッベ監督を招聘してきたのは小さくないサプライズだった。実績としては今季のJリーグ監督の中では屈指のキャリアを有し、ボルシア・ドルトムントやバイヤー・レヴァークーゼンの監督も歴任。前者はUEFAチャンピオンズリーグにも監督として経験し、後者でもUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)にコンスタントに出場。ギリシャ代表監督時代にはプレーオフに敗れてロシアW杯出場を逃したが、グループステージでベルギー、プレーオフでクロアチアというロシアW杯で大躍進した2チームと同居していたのは考慮されるべきである。
監督としてのタイトル獲得経験は少ないが、ドイツではむしろ「育成の重鎮」として知られている。ドイツは21世紀に入ってから長期的な視野で育成体制の抜本的な改革を行ったが、その改革の中心人物の一人として力を注いでいたのが彼であり、自身も「例えばわれわれはドイツ全土で育成アカデミーとシュツットプンクト(トレセン)を整理することができたと思う。」と後に振り返っているなど、ブラジルW杯優勝に代表されるその後のドイツ代表の躍進に間接的に貢献していた。世界でも屈指の育成期間を持つとされているドルトムントではユースチームの監督や育成部門の責任者を歴任している他、U-19ドイツ代表の監督を務めた事も。日本屈指の育成組織を有する広島との親和性は高いかもしれない。
怪我で選手キャリアを早期断念した影響で早くから指導者として活動しており、ドルトムントの監督に就任した時は33歳だった。指導者としてはドルトムントを中心にキャリアを構築しているが、選手としてはユースからがっつりシャルケ。2002年日韓W杯にはルディ・フェラー監督率いるチームのヘッドコーチとして参加し、参謀として戦術的な決定とトレーニングの権限を与えられていた中で準優勝を果たした。それからちょうど20年となる2022年にJリーグの地を踏むというのもなかなか縁深いキャリアである。ただ、入国制限の影響でいつから広島に合流出来るかが不透明なのは鹿島のレネ・ヴァイラー監督同様に気掛かり。
(アビスパ福岡)
生年月日:1971年4月23日
国籍:日本
現職:2020年〜(3年目)
過去に率いた主なチーム:ジェフユナイテッド千葉(2016.7〜2016.12※代行)、水戸ホーリーホック(2018〜2019)
過去の主な実績:J2準優勝(2020福岡)
★Jリーグ月間最優秀監督賞(2020年9月)
昨季のJ1の最大のサプライズといえば福岡の躍進であり、その下地には昨季から継続して行ってきた長谷部監督のソリッドなチーム造りがある。多く補強した外国人選手のストロングポイントと既存の日本人選手の良さを上手く組み合わせながら、最終的には残留どころか8位でフィニッシュ。特に本拠地のベスト電器スタジアムは鹿島、浦和、そしてそれまで無敗だった川崎を撃破するなど要塞と化していた。怪我人が多くいた中でもDF三國ケネディエブスのFW起用などのサプライズも混ぜながら結果を出していった手腕は見事という他ない。
現役時代はいわゆる黄金期ヴェルディに所属した選手の一人としても知られており、その後は神戸と市原(現:千葉)でのプレーを経て現役引退。指導者としては神戸で長く活動した事もあり、昨季開幕前は神戸の新監督候補に挙げられているとの報道もあった。そのリーダーシップはヴェルディ時代に共にプレーしたキングカズこと三浦知良も「クレバーな選手でね、技術もしっかりしていてリーダーシップもある選手だった」と太鼓判を押す。また、選手に対しても敬語で接するエピソードは有名。
ちなみに現役引退後はそのまま指導者の道を志したのではなく、一度プロゴルファーに転身した後に神戸のスカウトとしてサッカー界に戻ってきた異色のキャリアの持ち主。
川井健太
(サガン鳥栖)
生年月日:1981年6月7日
国籍:日本
現職:2022年〜(新任)
過去に率いた主なチーム:愛媛FCレディース(2015〜2017)、愛媛FC(2018.5〜2020)など
今季のJ1では唯一1980年代生まれとなる監督。愛媛では好成績を残した訳では無かったが、それはクラブ自体の規模による部分も大きく、ポジショナルプを重視した攻撃的なスタイルは支持を集めていた。特に愛媛の監督を務めた2020年は「3点差をひっくり返しての逆転勝利」「3点差を追い付いてのドロー」「3点差をひっくり返されての逆転負け」というどれか一つでもそうそう起こらないシチュエーションを一年で全て経験している。昨季はシーズン途中からピーター・クラモフスキー監督と共に山形のコーチに入閣。昨年の鳥栖は金明輝監督の下でロジカルなフットボールを体現していただけに、クラブとして培ったポジショナル志向のスタイルを継続する為の人選という事だろう。ちなみに監督就任が発表される直前に鳥栖は福田晃斗の獲得を発表したが、そのリリースの際に間違えて川井監督の写真を掲載してしまうといううっかりミスで就任がバレた。
愛媛県在住の小林有吾氏が手掛ける人気サッカー漫画「アオアシ」のスピンオフ作品、「アオアシ ブラザーフット」は愛媛FCをモデルとした作品になっており、登場する剣崎誠監督のモデルは川井監督であり、川井監督の実際のエピソードも一部盛り込まれているとか。
今年は新たに就任した監督も多いので楽しみですね!
さて、戦力診断作り始めっか…。
ではでは(´∀`)