さてさて、遂に2023明治安田生命J1リーグが閉幕しました。
Jリーグも30周年という節目の一年を終えました。来季からはJ1のチーム数や賞金形態も変わり、秋春制の議論も活発になるなどJリーグは新たなフェーズを目指しています。当ブログではここからアジアカップに向けた企画と並行し、2023年のJリーグの閉幕企画を更新していく所存です。
という訳で今回は毎年恒例企画、J1全18クラブの満足考査です!
毎年恒例ですね。
例えば、ひとえに「5位」と言っても、それが「優勝を目指したクラブの5位」なのか「降格候補と目されていたクラブの5位」なのかによって、その5位の意味は大きく変わってくる訳です。という訳で、この満足度考査ではそのクラブの戦力や開幕前の期待値・目標を踏まえた上で、各クラブの満足度を【大満足】【満足】【普通】【不満】【超不満】の5段階で考えていこうや…と。
あくまで完全に独断と偏見ですので、実際に当該クラブのファンである方からすれば「??」と思う部分もありますが、その辺は他クラブのファンからはそう見えてるのね、くらいの感覚で思ってもらえれば幸いです。
それでは、優勝したヴィッセル神戸から振り返っていきましょう!!
【スタメン表の表記】
★→2023年度の新加入選手(ルーキー・レンタルバック含む)
☆→途中加入選手
▼→途中退団選手
2023年のJリーグを振り返る記事も色々更新しています。それらの記事はこちらにまとめておりますので是非!
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Jリーグ30周年記念特集はこちらから!
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オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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1位 ヴィッセル神戸
勝点71:21勝8分5敗・得点60 失点29 得失点差+31
ルヴァン杯:グループステージ敗退
天皇杯:ベスト8
監督:吉田孝行(2年目)[来季:クラブは続投要請]
チーム得点王:大迫勇也(22得点)
胸スポンサー:楽天(IT企業)
ホームスタジアム:ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)
満足度→大満足
まあ当然そうなるでしょう。どう考えても。
戦力を見れば優勝するのも自然と言える戦力ではあるものの、昨季を踏まえた時に優勝予想に神戸を挙げる人は殆どいなかったと思います(私も含めて)。その中での快挙は称賛する他ないです。プレースタイルや選手層の薄さから後半戦の失速を危惧する声はありましたが、後半戦に入ってから佐々木大樹が台頭し、扇原貴宏が復活した。こういう連鎖が生まれるのはやはりチームが上手く回っている表れでしょうし、終わってみれば優勝すべくして優勝したのかなと。
これまでのバルサ化路線から今季は大きく方針を変えた吉田監督の今季の戦略はアンドレス・イニエスタの処遇を含めて賛否が付き纏いましたが、もしこの方針転換が失敗に終わった時、吉田監督は相当苛烈なバッシングを受ける事になったと思うんですね。スタイル変換の是非は各々に考え方があるでしょうが、だからこそ今季の方針に対して選手起用の基準から徹底した吉田監督の覚悟と姿勢は天晴れと言うべきものだったのかなと思います。
そもそも、イニエスタや大迫らが目立つのは当然としても、神戸は古橋亨梧や本多勇喜、初瀬亮のようにJ2所属選手やJ1で決して常時出場していた訳ではない選手のピックアップも怠らなかった。三木谷浩史氏が実権を握って以降は練習場や育成組織といったハード面に積極投資をして、佐々木や山川哲史はその育成組織から生まれた訳で、バルサ化やスーパースター獲得といった派手な花火の裏で「やるべきこと」はしっかり押さえていたんですね。イニエスタがいなくなり、バルサ化が頓挫してもその恩恵はピッチに確かに跡を遺すましたし、その為にはそういう下地がないと遺るものも遺らない。神戸の派手さだけではない投資と計画はこれを機にもっと称えられるべきでしょう。優勝おめでとうございました。
2位 横浜F・マリノス
勝点64:19勝7分8敗・得点63 失点40 得失点差+23
ルヴァン杯:ベスト4
天皇杯:3回戦敗退
ACL:グループステージ(現在進行形)
富士フイルム杯:優勝
監督:ケヴィン・マスカット(2年目)[来季:退任決定→後任未定(ハリー・キューウェル?)]
チーム得点王:アンデルソン・ロペス(22得点)
胸スポンサー:日産自動車(自動車メーカー)
ホームスタジアム:日産スタジアム,ニッパツ三ツ沢球技場(共に神奈川県横浜市)
満足度→満足
総評としては良くやったと思います。
ディフェンディングチャンピオンでありながらも、昨季MVPの岩田智輝に仲川やレオセアラ、そして開幕直前には絶対的守護神の高丘陽平、シーズン途中には藤田穣瑠チマの退団に見舞われ、追い打ちをかけるように負傷者も続出。昨季のマリノスは実質的に2チーム組めるようなスカッドを用意しほぼローテーション的に先発を組む事で強度を担保する事をチームの特色と強みとしていましたが、マスカット監督もこの状況を前に今季はスタメンをほぼ固定せざるを得なくなっていました。その辺りを踏まえると最終盤まで優勝争いを演じてみせた事は良くやったと言うべき結果ですし、おそらくそれはマリノスがこれまで培ったベース、即ち貯金のようなスタイルの存在が確かにあった。要は立ち返るべき拠り所のようなスタイルを有していたのは大きな要因でしたし、クラブの長期的な計画の賜物と言うべきでしょう。
一方で、今季のマリノスはシーズンの経過と共にその貯金をかなり大きくすり減らしてしまったようにも映ったんですね。体力以上に、チームとしての消耗が幾ばくか可視化されていたというか。スタイルゆえに派手な負け方はこれまでもありましたが、今年のそれは去年までのそれとは少し違った感覚も覚えましたし。…期せずして来季は監督交代となりましたが、勝っているのに主軸が毎年のように抜けていく現状を含めて、マリノスが考えていかなければならない事は結果と印象以上に多いのかなと。
3位 サンフレッチェ広島
勝点58:17勝7分10敗・得点42 失点28 得失点差+14
ルヴァン杯:グループステージ敗退
天皇杯:3回戦敗退
監督:ミヒャエル・スキッベ[来季:続投濃厚]
胸スポンサー:エディオン(家電量販店)
ホームスタジアム:エディオンスタジアム広島(広島県広島市)
満足度→満足
昨季のチームと比べると安定感にはやや欠けていたのかなと。満田誠の長期離脱のようなアクシデントもあった中で、今季の広島は比較的○連勝や○戦未勝利みたいなものを繰り返していましたし、カップ戦で今ひとつ振るわなかった。チームとしては苦しい時期の多かったシーズンではありましたが、それゆえに「それでも3位になった」という部分が映える結果になったように思います。
調子の浮き沈みが激しい中でも3位という順位を手にしたという事実は昨季からの戦術的な完成度然り、個々やチームとしてのパフォーマンス然り…広島にとって、そういったサッカーチームを形成するあらゆる要素の最低ラインが高くなっている事を示していたように感じました。42得点という数字は3位のチームとしては看過すべきではない数字ですが、一方で失点数は28失点でリーグ2番目の少なさなんですね。夏に補強した加藤陸次樹やマルコス・ジュニオールを含めて攻撃陣は来季も色々な試行錯誤から始める事になりそうですが、大崩れはしないであろう安心感はトライをする上でも大きな助けになるでしょう。
来季からは新スタジアムがオープンします。今の広島も間違いなく強いですが、本格的に優勝を争うならもう一段階越えなければならないものがある。壁を越える為の台座には既に乗っていると思うので、来季も注目すべきチームとして戦えるのでは。
4位 浦和レッズ
勝点57:15勝12分7敗・得点42 失点27 得失点差+15
ルヴァン杯:準優勝
天皇杯:4回戦敗退
ACL2022:優勝
ACL23-24:グループステージ敗退
監督:マチェイ・スコルジャ(1年目)→[来季:退任決定→後任:ペア・マティアス・ヘグモ]
チーム得点王:ホセ・カンテ(8得点)
胸スポンサー:ポラス(建設業)
ホームスタジアム:埼玉スタジアム2002,浦和駒場スタジアム(共に埼玉県さいたま市)
満足度→満足
クラブW杯の結果次第で変わってくる可能性はありますが、現段階という意味では満足できるシーズンだけど大満足とは言えない…くらいだと考えています。
ただ、チームとしては素晴らしかったです。昨季までのリカルド・ロドリゲス監督からスコルジャ監督へのスイッチは、前体制の戦術ベースを活かしてブラッシュアップさせる引き継ぎ体制の理想系とも言えました。2010年代中頃の広島や近年の川崎、或いは今年の新潟の成功もこのパターンではありますが、これらのチームは前体制でもコーチを務めていた人物が監督に就いていたのに対し、スコルジャ監督は完全外部どころかこれまで日本とは縁もゆかりもなかったところからこれをやってのけたので、その辺りはスコルジャ監督の手腕と、CBコンビを始めとしたそれに追随する個が圧倒的だったと言うべきでしょう。終盤は過密日程に苦しめられた事、ホセ・カンテを除いて攻撃陣になかなか厚みを出せなかった事は痛手ではありましたが、それでも今季の浦和を見た時にベストイレブンを4人出した事は自然だったと思いますし、言ってしまえば過密日程は過酷ではありますが、それだけの試合数を戦う権利を与えられていたという考え方も出来る訳で。
ただ、実質的にワンマッチだったACLを除いては優勝できなかった事は痛かった。もちろん前述の過密日程の影響は大きくあったにせよ、今季のチームでタイトルを獲りきれなかったのは結構痛かったのかもしれません。
5位 鹿島アントラーズ
勝点52:14勝10分10敗・得点43 失点34 得失点差+9
ルヴァン杯:ベスト8
天皇杯:3回戦敗退
監督:岩政大樹(2年目)[来季:退任決定→後任未定]
チーム得点王:鈴木優磨(14得点)
胸スポンサー:メルカリ(情報・通信業)
ホームスタジアム:茨城県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)
満足度→普通
接客補強を敢行するなど予算も積極的に投じましたし、その意味では明らかに不完全燃焼。一方で、近年のJリーグの力関係を踏まえた時に、鹿島がこれまでのように「タイトル獲得」をノルマとして扱えるのかどうか?と言えばそれも首を傾げざるを得ない部分がある。それを合わせて考えれば、5位という結果はある程度収まるところに収まったような印象も受けます。
全体的にはチームとしてもそうですけど、個のパフォーマンスに於いても大当たりか期待はずれか、みたいなところで個人差が結構大きかったなかなと。特に新戦力の間に。佐野海舟のように代表デビューを果たすほどブレイクした選手もいれば、昌子源のようにコンディション不良も重なって期待されながらも思うように出場機会を得られなくなった新戦力も多かった。強化部としてもそういう差は生じ得る事を踏まえて複数の即戦力を補強していたと思いますが、スタイルという理想を追うのか、数字という結果を追うのかの判断基準も含めてアンバランスだった感は否めません。
一方で、そういう状況の中でも5位という一般的には上位と呼ばれる順位でフィニッシュさせた事には意地と鹿島というクラブの底力を見た気はしました。少なくとも鹿島は、底力は貯金みたいなものでいずれ無くなる瞬間が来る事は理解していて、それを踏まえた試行錯誤をしているようには見えます。来年どう転ぶかはわかりませんが、おそらく鹿島にとって歴史の中でここ数年のような期間を過ごしたことがないように感じるので、その行く末には注目ですね。
6位 名古屋グランパス
勝点52:14勝10分10敗・得点41 失点36 得失点差+5
ルヴァン杯:ベスト4
天皇杯:ベスト8
監督:長谷川健太(2年目)[来季:続投決定]
チーム得点王:キャスパー・ユンカー(16得点)
胸スポンサー:トヨタ自動車(自動車メーカー)
満足度→普通
前半戦と後半戦で大きくチーム事情が異なり、なんといっても後半戦…特にシーズン最後の1/4の大不振があったので印象と後味はどうしても悪くなりましたが、順位としては落ち着くところに落ち着いた…という印象なんですよね。前半戦は出来すぎでしたし、逆に後半戦の不信が実力だとも思わないですし。実際に私も順位予想は6位にしていましたから、6位という順位自体はそれなりに妥当…みたいな考えはクラブも有していたでしょうから続投という決断になったんだと思います。
やはり長谷川健太監督のチームは基本的にハードワークを主体とした堅守を構築し、そのパーツとして積極的に若手選手を登用。攻撃は圧倒的なタレントを活かす…という特徴を有していて、特に今季の名古屋はその強みと弱点がどちらもモロに出たのかなと。昨季からですが森下龍矢や藤井陽也が代表クラスに育った一方で、攻撃はマテウス・カストロの移籍以降は急速に冷え込んでいった…。今季はフィットが遅れた途中加入の森島司が上手くハマってくる事は必須ですが、永井謙佑も今は潤滑油に近いタイプですし、それこそユンカーやマテウスのような強烈なパワーを持つ選手は2人はいて欲しかったのかなと。
「ハセケンのピークは2年目」とは言いますが、名古屋の就任経緯はガンバはFC東京のときとは前提条件が違っていたと思うんですよね。そういう意味では、おそらく今季の名古屋は後味は悪くとも、フロントの開幕前の目標にはある程度沿った結果と内容になっていたように思っているので、「3年目のハセケン」が見られることに期待したいです。
Part2(福岡・川崎・C大阪・新潟・FC東京・札幌)につづく。
ではでは(´∀`)