RK-3はきだめスタジオブログ

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パリ五輪のサッカー男子日本代表、オーバーエイジ予想【GK/DF編】

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おー、しゃんでりーぜ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、なんとか!無事!どうにか!

U-23日本代表、パリ五輪出場を確定させました!!!!

 

 

 

…まずはお見事。素晴らしい。

初戦の中国戦準々決勝のカタール戦は絶対に負けられないシチュエーションの中で苦境に陥りながらもなんとか勝利を掴み、王手をかけた準決勝イラク戦では今大会ベストのパフォーマンスで勝利を掴んできた。大会全体として芳しい試合ばかりではありませんでしたが、それでもこの一連の流れは素晴らしかったですし、3月の親善試合ウクライナ戦の後、大岩監督が「敗れたマリ戦を踏まえた上でのウクライナ戦へのリアクション」を評価していましたが、今大会もそういう部分が活きていたように思います。そして決勝のウズベキスタン戦も制して見事優勝!とにもかくにも、五輪出場が当たり前になったという低そうで高いハードルを超えた選手・スタッフ・関係者の皆様に感謝でございます。

 

 

…で、五輪に出るとなるといつも話題になるのは「オーバーエイジをどうするのか?」という問題です。

このブログをわざわざ読んでくださっている方には今更説明するまでもないでしょうが改めておさらいをすると、オーバーエイジとは五輪の男子サッカーに於ける選手登録のルールの一つで、23歳以下(厳密には今大会であれば2001年以降に出生した選手)のみが出場資格を有する五輪の男子サッカーで、1チーム3人のみ年齢制限のない選手を登録できる…というもの。ルール上はオーバーエイジは必ずしも使う必要はなく、1人も使わないだとか1人や2人のみ使用でもいいのですが(何気に日本は3人フルで使った大会の方が少ない)、好成績を狙うのであればやはり3人はフルで使いたいところ。ただ五輪はW杯と違って選手招集に拘束力が無く、所属クラブとの兼ね合いや選手の移籍事情により呼びたい選手を確実に呼べる大会ではないので、「誰を呼びたいか」「誰を呼ぶべきか」「そもそもそいつを本当に呼べるのか」はこの時期のサッカーファンの良い肴となっています。

という訳で今回は、2023年11月のアルゼンチン代表戦、2024年3月のマリ戦及びウクライナ戦、そして今回のAFC U-23アジアカップの3度の代表活動に招集されたメンバーをベースに、大岩ジャパンがパリ五輪に向けてオーバーエイジをどう考えるべきなのか、どのポジションにオーバーエイジを充てがうべきなのかを考えていきたいと思います。

なんとなく補強みたいですね。こういうの。

 

 

 

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GK

オーバーエイジ候補】

《本命》多分なし…?

 

そもそも「1人しかピッチに立てない」という事実が全てを物語るように、やはりGKは特殊なポジションです。男子サッカーに限れば五輪はW杯までの道中にある世代別大会という表現もできる以上、GKだけはその世代の枠としてキープすべきだとは思っています。

ただ、そもそも今大会に関してはオーバーエイジを考える必要もそこまでないのかなと。昨年から野澤大志ブランドンと藤田和輝が台頭し、U-23アジアカップでは小久保玲央ブライアンが実に素晴らしいプレーを見せてきた。小久保に関してはクラブの出場機会の無さがどう影響するかという不安はありましたが、出場機会の有無を問わずクオリティを発揮できる事を今大会で証明できた事は大きかったなと。ましてやこのポジションは交渉が上手く運べばA代表アジアカップで正GKを務めた鈴木彩艶もパリ五輪世代として招集可能になる。現有戦略の面でも3枚しかないオーバーエイジ枠をわざわざGKに充てる必要は薄いのかなと。

 

 

 

CB

オーバーエイジ候補】

《本命》板倉滉(ボルシアMG)

《有力》冨安健洋(アーセナル)

《対抗》谷口彰悟(アル・ラーヤン)、町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)

《大穴》植田直通(鹿島アントラーズ)

 

まず1枠は確実にCBに充てるでしょう。実際にスポーツ報知の報道では板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹の名前が、日刊スポーツの報道ではこの3人に加えて冨安健洋と左SBも兼ねた伊藤洋輝の名前も挙がっています。今回のパリ五輪世代の個人的な印象って、全体的なアベレージは高いながらも、良い意味でも悪い意味でも編成としてのストロングポイント、ウィークポイントがどちらもあまりハッキリしていないところだと思っていて、だからオーバーエイジの3枠をどこに振り分けるかっていつもより難しいな…と見ているんですが、その中でもCBに関しては明確に手薄と表現せざるを得ない状況です。

 

 

 

理想で言えば板倉なんですよね。A代表ブンデスの名門でレギュラーだからという一言だけで理由付けには十分事足りるんですが、このブログでもアジアカップの敗因考察記事などで「吉田麻也がいなくなった事に伴い、これまで吉田麻也が担っていた守備陣を牽引するDFリーダーとしての数値化できない能力が板倉にも冨安にも不足していたように見えた」というような事を書いたんですけど、個人的にその役割を継げるのは板倉だと思っていて。そう考えた時に、やっぱり吉田が東京五輪カタールW杯で見せたリーダーシップの根幹を辿れば、まだ代表で後輩の立場だった2012年に文字通りリーダーとして参加したロンドン五輪鈴木大輔を牽引してプレーしたあの時の経験が間違いなく大きい。オーバーエイジは戦力強化と育成のどちらを優先すべきかみたいなジレンマはよく議論になるところですが、こと板倉に関してはかつての吉田麻也がそうだったように「板倉滉を完成させる」という育成の意味合いも持てるのかなと。

ただ現実問題として、じゃあ板倉の招集にボルシアMGが応じてくれるのかと言うと……板倉が契約に「オーバーエイジの打診があった際は選手の意思を優先する」みたいな文言でも盛り込んでいない限り、ブンデス1部でも上位層の規模を持つ彼らの許可が出る可能性は高いとは言えない。冨安に至ってはほぼ不可能でしょう。所属クラブが所属クラブですし、ただでさえ冨安が負傷がちと考えると…そこはもう、JFAアーセナルとの交渉には臨まないんじゃないかと。A代表とは異なり、五輪のメンバー招集はJFAがあくまでお願いする立場になる訳で。

そう考えると、JFAはベストな選択肢として板倉、次点の候補として谷口や町田を考えているのでは。実際に呼べるかどうかはともかく、名前が挙げられた選手に関しては自分の感覚と一致する名前だったと言いますか、まあみんなそう思うよねというラインナップだったのでは。もし上記に挙がった面々以外で国内組から選出するならば…実力的には植田直通中谷進之介でしょうか。特に植田の場合は五輪出場経験と大岩監督の下でのプレー経験を両方持っていますし。

 

 

 

SB

オーバーエイジ候補】

《本命》町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)

《有力》中山雄太(ハダースフィールド・タウン)

《対抗》伊藤洋輝(VfBシュトゥットガルト)

 

五輪の日本代表は伝統的に…やはりDFというポジション自体が前の選手と比べるとある程度熟して一人前みたいなところがあるので、相対的に層が薄くなりがちなところはあります。過去の五輪代表でもそうでしたが、今大会も2/3はDFラインにオーバーエイジを使ってくるでしょう。

とはいっても、右の関根大輝と半田陸、左の大畑歩夢とバングーナガンデ佳史扶、左右OKの内野貴史…計算できる人材としてはある程度揃っているのがパリ五輪世代のSBです。特にこれまで不動のレギュラー扱いだった半田からU-23アジアカップでポジションを奪った大卒ルーキーの関根にはインパクトがありました。そう考えると、確かにタレントはそれなりにいる。特に右SBに関しては人数調整の末にどちらかが落ちる可能性もあるでしょうが、基本的には関根と半田の計算で考えるのが自然でしょう。結果的に右SBもやれる選手が来ることはあっても、右SBとしてオーバーエイジを充てるつもりはないだろうなと。

ただ、左に関してはU-23アジアカップでの大畑の働きには素晴らしいものがあった一方、内野にしてもバングーナガンデにしても代表を固め切れていない印象は少なからずあり、レギュラー候補のバングーナガンデに至っては松木玖生や荒木遼太郎もいるFC東京所属の為にアジアカップ同様1クラブからの招集人数に引っかかる可能性もある。そう考えた時にオーバーエイジとして中山雄太、町田浩樹、伊藤洋輝をCBと左SBを兼ねた選手の登用というのが多くの人が予想するところでしょう。SNSのファンのオーバーエイジ予想を見てもほとんどの人が板倉+上記の3人のうちの誰かというところでしたし、実際に上記の報道でもこの3人の名前は挙がっていました。

 

 

 

この中で言えば、伊藤洋輝に関しては…普通に考えれば招集は困難かなと。やっぱり5大リーグ所属選手はハードルが高いという前提の上で、来季はチャンピオンズリーグを控えるシュトゥットガルトがプレシーズンにレギュラー格の選手を貸してくれるとは正直考えにくい。逆に町田に関してはもし6月までに移籍が決まるようならば難しくなるでしょうが、そうでない場合はクラブ側に「五輪で活躍させて金額を上げる」という事を考えてくる可能性もありますし、上でも書いたようにオーバーエイジに関しては「選手枠を一つ使う事で育成枠を一つ潰す事になるのでは」というジレンマも語られますが、JFAとしても町田はおそらくまだ育成していくべき立場という認識だと思いますし、そのジレンマもそこまで大きくはないという意味でも良い選択肢なのかなと。

ただ正直なところ、理想はおそらくCBメインで左SBも可能な町田よりも左SBメインでCBも可能な中山や伊藤になると思うんです。上で書いたようなジレンマは町田ならそう大きくないとは書きましたが、一方でCBのレギュラーを板倉と町田で組ませることが五輪代表として正しいのか?みたいなところはJFAや大岩監督の頭にもよぎるそう考えると理想としては中山か伊藤になってくるのかなと思ったりもして。

そして中山は招集できるかどうかの考え方が難しいところで、現在負傷中の中山は五輪には間に合うと仮定した時、所属リーグが3部に落ちた中山は移籍を第一に考えるでしょうから、まず移籍交渉が早期にまとまりそうならむしろ五輪は出られないし、クラブに残留するならクラブが招集に応じるとは考えにくい。ただ移籍を前提とした上で夏に入る前に移籍が固まっていないのであればむしろ五輪に積極的に参加したい、五輪を見本市的にしたいという判断になる可能性もある。直近で長めの怪我を2回してしまった立場という選手もあるので、むしろコンディションに問題がないことをアピールする為に五輪で存在感を出したいと考える可能性もありますし。ここは色んな意味で難しいところですね。

 

MF/FW編につづく

 

 

ではでは(´∀`)