ガンバ大阪は宮本恒靖を解任すべきなのか?その③ツネ様が多分監督として本来やりたいであろうサッカーとは?

……はい、ね。

ガンバ大阪緊急事態宣言企画として今回は3回目です。

 

 

今年のガンバが絶不調状態で、宮本恒靖監督には特に大きい批判、及び解任論が噴出してきているのは前回前々回のブログでも述べましたし、そもそもこのブログを読んでくださっている方には今更概要説明をするほどでもないでしょう。

色々な批判を浴びている宮本監督ですが、その中に一つあるのが「どういうサッカーをやりたいのかわからない」というもの。まぁ、今季は色々あって…宮本監督にやりたいことがあるのか、やりたい事をやろうとしているのかが不明瞭なところはありますが、そこは前回のブログでも書いたように「ベストよりはベターを選ぶ」習性を持つところが起因していて、少なくとも宮本監督が多分やりたいサッカーってこんな感じなんだろうなー…というサッカーはおそらくあって、そしてそれが形になりかけていた時期は確かにありました。

今回は多分宮本監督がやりたいであろうサッカーがどんなものか、そしてそれが形になっていた時期とは?について書いていきます。

 

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宮本監督がおそらく理想としていたスタイルは2019年にあり、実際に、2019年第12節C大阪戦〜第19節清水戦、第28節札幌戦第34節浦和戦、この期間は結構見ていても楽しいサッカーが出来ていたように見えました。この期間の勝ちゲームを見てもらえば、ハイライトシーンだけでも当時の攻撃コンセプトが伝わるシーンを多く見られます。

 

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宮本監督はボールポゼッションは重要視していましたが、宮本ガンバの中で内容面が一番攻撃的だった2019年はポゼッションとショートカウンターを上手く組み合わせたような攻撃を常にしていました。

攻撃の起点は基本的にサイドに置いて、WB、インサイドハーフ、2トップの中からそれぞれ1人ずつで狭いエリアで三角形を作り、この3人が流動的にポジションを入れ替えながら誰かが抜け出す、そして最終的には逆サイドの三角形で仕留める…みたいな。狭いエリアで少ないタッチで細かくパスを回し、相手が釣り出されたところでショートカウンター気味に一気に抜け出していく、それを右サイドでも左サイドでも繰り返す…と。特に前期は食野亮太郎、髙江麗央、髙尾瑠といったU-23で宮本監督の指導を受けていたメンバーも一役買って、例えば小野瀬康介なんかはこの2019年のプレーはキレッキレのキレッキレでした。その上でアンカーとして配置した矢島慎也、或いは遠藤保仁は比較的このトライアングルには関わらず、中央でコントロールタワーとして位置する事で配球のバランスを担っていました。例えば第14節鹿島戦では1-1のドローに終わり、序盤戦のスランプもあって当時は17位だったんですけど、鹿島サイドの記者が記事で「相手は17位のクオリティでは無かったが〜」的な事を書いていたのを覚えていますし、第17節松本戦、第19節清水戦辺りの出来は圧巻とも言えました。

ですが、この若手も多く絡んだ魅力的なサッカーでしたが、夏場にファン・ウィジョ、中村敬斗、食野亮太郎らトータル10人を越す選手が一気に退団してしまった事で事実上の決壊。宇佐美貴史井手口陽介、パトリックを復帰させた事で戦力的な増減は最低限に抑えたものの、せっかく出来上がりかけたチーム戦術を1から作り直さないといけない…という事態に直面したのです。

 

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宇佐美や井手口のコンディションが上がらなかったことや、主力の大量退団もあってイチから作り直し、悪い意味で2度目の開幕を迎える形になったガンバは、ここから悪魔の5連続ドローを喰らう事になってしまいます。特に第21神戸戦第22節広島戦第23節磐田戦は3点セットの悪夢そのものでした。ブログも3点セットみたいな感じで更新しましたもん。その間に天皇杯で法政大学に負けたし……。

 

 

ただ、徐々に宇佐美や井手口の状態も上がってきて、4バックへの一時的な回帰などらの紆余曲折を経た第28節札幌戦、前半こそ互角の内容だったものの、後半に大爆発して5-0で勝利しました。宇佐美や井手口の復調もあり、ここからの7試合は試合内容が飛躍的に上昇したと思っていて、前述した常に狭いエリアの三角形を作ることでの攻撃パターンが抜群に効果を発揮していたのです。

 

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上でも書いたことを改めて書くと、WBとIHと2トップから一人ずつ出して細かいパスを狭いエリアの中で…上の表で言うなら、右サイドなら小野瀬+井手口+アデミウソン、左なら藤春、倉田、宇佐美の3人で三角形を作る形になって、この三角形さえ作れてしまえば誰がWBにいようが誰がFWの位置にいようが関係なく、ボールが転がるのと同様に3人がポジションチェンジを繰り返しながらそのままシュートまで持っていて仕留める…という。ゴールシーンで言えば、札幌戦の2点目、宇佐美のゴールと4点目の藤春廣輝のゴールはわかりやすい例だったと思います。逆に1点目の倉田のゴールは三角形のまま前線に駆け上がって折り返す事で、今度は逆サイドの誰かが詰める…と。同時にこれは第32節仙台戦アデミウソンのゴールがそうだったんですが、高い位置でボールを奪う事で即座に三角形を作り、少ないタッチ数で一気に前線に駆け上がるカウンター攻撃としても非常に機能しました。

カウンターとかポゼッションというよりは、とにかく「緩」と「急」のスイッチを入れる瞬間を作るような攻撃で、札幌戦以降の成績は5勝1分1敗。ガンバのロッカールームに密着したDVDに記録された映像の中でも、仙台戦の後に宮本監督は「後半は(試合を)やってても楽しかったと思うし」と選手に語りかけていたほど、この頃の攻撃パターンは快心の出来でした。

 

 

伝統的にガンバは足下の技術が高い選手が揃っていました。それもあって宮本監督はピッチをワイドに使うよりも、逆にエリアを限定する事によって攻撃を組み立てようとしていたのです。

宮本監督は何かとつけて守備的と言われる事が多く、実際に守備的なサッカーに舵を切った事も多かったですが(そもそもそれを悪いことだとは思いませんが)おそらく宮本監督が本来やりたかったサッカーの形は2019年の5〜7月、10〜12月にあったと思っていて、この頃のサッカーは実際に面白かったです。前述の仙台戦の後半なんかもう完全にやりたい放題でしたからね。

 

 

 

そして2020年、移籍が報道された小野瀬や三浦弦太も残留が決まって、出場機会の少ない選手をレンタルで放出した以外はほとんど主力の流出がなく、そこに小野裕二新里亮を補強し(始動時点では昌子源は未獲得)、キャンプから宮本監督は新たな戦術に取り組みました。あの頃、しきりに「ハイプレス」という言葉が叫ばれていたのを覚えている人も多いと思います。

 

 

上に貼った去年の中断期間中に書いたブログで詳しく書きましたが、宮本監督がハイプレスを強調した戦術に取り組んだのは上記の2019年終盤の手応えがあったからだと考えています。

要するに、高い位置でハイプレスをかけて追い込むという事は、DFに行く前に2トップ、IH、WBの間にボールを奪い切ってしまい、そこでエリアを限定してボールを取り切る事が出来れば、そのボールを取ったままの勢いで上記の攻撃パターンに繋げる事が出来ます。小野裕二の獲得しかり、それ以前に仲間隼斗や和泉竜司獲得の話があったのもWBで高いインテンシティーを発揮できる選手という部分があったのでしょう。横浜FMとの開幕戦こそ、どちらかと言えばマリノス対策が先行したので少し別枠ではありましたが、シーズン初戦となったルヴァン杯の柏戦の後半なんかは敗れたものの期待は出来る内容でした。

当然、このサッカーは狭いエリアに人数をかけて、攻撃時は最大6人くらいがエリア近くに行くわけですから、ハイプレスという事を差し引いても背後を取られる可能性は高くなります。そこで大きかったのが昌子源の獲得で、昌子、三浦、キム・ヨングォンという超絶ドリームオールスター3バックを組む事でそのリスクへの対処を計算出来る……補強プランも含めて理に適っていましたし、2020年の頭は色々な意味で相当期待していました。

 

しかし………パンデミックの影響でオフシーズンより長い中断期間がぶっ込まれてしまい、当然キャンプで培ったきた事はパーに。大幅な日程変更もあって、ガンバは断片的にはハイプレスの名残を残しながらも、宮本監督はベストよりベターを選択するタイプの監督という事もあって現実的な戦い方を選択しました。

今季から取り組むと表明していた4-1-2-3にしても、2020年の発展形ではなく2019年の発展形だと私は思っていて、ゼロックス杯川崎戦で可能性を見せながら、ガンバにとってクラブ史上類を見ないショックに見舞われ……またしても頓挫。2020年はベターの選択が当たった事で連勝街道をひた走れましたが、ベターの選択が上手くいかなかった時には他に手段がなくなってしまう……その最終的な結末が18位という順位と宮本監督の解任でした。

 

 

 

……よく言われるのが「宮本監督がまともにフルシーズン監督をできたことがない」という不運なんですが、確かに…もし2020年と2021年をまともに過ごせていたら…とはずっと考えてしまいます。よく「宮本監督がやりたいサッカーがわからない」「つまらん」という声が、特に最後の方は上がっていましたが……ハイライトでいいから2019年の5〜7月、10〜12月くらいの試合を本当に見てほしい。やっぱり宮本監督がやりたいサッカーの形は2019年に表れていましたし、2020年のハイプレスも2021年の4-1-2-3もその土台はあの年に見せたサッカーにあったんです。

 

 

 

また宮本監督との邂逅がある事を切に、切に願っています。

ではでは(´∀`)