カタールW杯が盛り上がっております。
既にベスト4が出揃い、残すところはあと4試合。狂気の祭典ももう少しで終わりを迎え、一つずつ過ぎゆくカレンダーに寂しさを覚える今日この頃。その裏では、Jリーグのストーブリーグもまた、活発化しています。
…という訳で、今日は久々にガンバ大阪のブログを。というか、厳密に言えば更新しそびれていたスポーツ観戦日記をここで出していこう、という事でお届けいたします。
題して"ガンバ大阪、背水の2週間"。8月14日にパナソニックスタジアム吹田で行われた明治安田生命J1リーグ第25節 ガンバ大阪vs清水エスパルス、8月27日に豊田スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ第27節 名古屋グランパスvsガンバ大阪の2試合の観戦日記です。
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ガンバvs清水………重要どころか、お互いにとって死活問題となることを認識していたこの試合。なぜかこの日はここから始まりました。
残留争いという場所から、安定圏という滑走路へ。この滞留をどうにか脱出するべく、大阪モノレールに乗り込んでパナスタへの道を急ぎゆく…。
本日は【GAMBA EXPO】という事で。
……近年のガンバ大阪営業部躍進の象徴的なイベントでもあるGAMBA EXPOですが、まさかこんな笑えない状況での実現になろうとは…。
チームの状況は途轍もなく深刻。6月末に手にした流れは手から離れ、PSG戦で掴みそうになったきっかけは前節京都戦のショッキングな引き分けに掻き消され……。逆に清水は夏の大型補強で一気に形勢を変えようとしていました。…というか、ガンバも大型補強をキメた中で、明らかに残留争いしてる場合じゃない人件費の2チームの直接対決という非常にまあ、恐ろしいシチュエーションのエキスポになったんですね。この試合。
そんな中でこの日の大きなポイントは3つでした。
一つは怪我で長期離脱していた山本悠樹と一森純の復帰で、もう一つは鹿島から獲得したファン・アラーノの合流、そしてもう一つは……この日から、新コーチとして松田浩という男が加わった事でした。
この集客不況の中でも、例年ほど…という訳には行きませんでしたが、この状況の中では評価されるべき集客を達成したこの試合。踊るモフレム、炎が包むスタジアム。90分後、待ち受けていたのは溜息と落胆、そして順位表というあまりに重すぎる現実……あと、一緒に行っていた清水ファンの友人のキャッキャしたお顔でした。
いつも違うルート…というか、初めて使うルートで帰ったんですよね。この日。
この敗北を喫したガンバは、現実逃避をも許さない順位に叩きつけられた。その廃れた感情の前でバスの列を待つ訳です。
その列の場所っていうのがね…
あの日の夢と、今そこにある現実。
かつて魅せられた世界と、今目の前に突きつけられた現実。
あの日に戻ろうと追った理想と、今直面した、それが背伸びだったのかもしれないその現実。
こんな皮肉って……
--2週間後--
ナナちゃん
マヤ・ヨシダ
ここがトヨタだ、ここで跳べ!
という訳で豊田スタジアムにやってきたのが8月27日でした。
残留争いで切羽詰まり過ぎている状況とはいえ、個人的にも豊田スタジアムは一度は来てみたかったスタジアムだったので、遂に来ることが出来た喜びも感じつつ。
スタジアムも豊田大橋もマジでカッコいい。
ちなみに、スタジアム前広場に名古屋の選手達のパネルがフォトスポットとして飾ってありましたが、柿谷曜一朗のパネルで写真を撮るべくガンバユニフォームが列をなすという。
(ちゃっかり撮るやつ)
この試合の意味は言うまでもなく重要…ではなく、もはや重大でした。
片野坂知宏という夢を斬り、松田浩というリアリスティックに懸けたガンバの最初の試合は、松田体制としてのポジティブな変化を確かに感じる試合ではあったものの、広島の前に現実はあまりにも非情で……7試合未勝利という現実は重くのしかかり、前述の清水戦の頃からガンバは、まるで常に後頭部に銃を突きつけられているかのような状態での戦いを強いられていた訳ですよ。この時点で順位は17位。絶望へのカウントダウンには捕まっていた。そういう状況だった訳です。
少しでも気を紛らわせるべく牛たたき丼(サワークリーム)を食す。それにしても豊スタほんとかっけぇなあ。
…で、いよいよアップやらスタメン発表やらなんやら。この日は鯱の大祭典というグランパスの夏季恒例イベント開催日でしたので限定ユニフォーム着用、しかも席がゴール裏じゃなかったのでちゃっかりもらえました(そしてそれを後のASローマ戦で着ることになる)。
早すぎて先制点の瞬間ちょっと目離してたわ……
この試合のスポーツ的なところはマッチレビューの方をご覧くださいませ
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なんというか、これまでのガンバはやっぱり回すけど点が入らないもどかしさにずっと苛まれていたこともあって、早々と先制点を取れた事実のおかげで割りかし感情的には落ち着いた気持ちで前半を見れていたと思います……と言いたいところなんですけど、その前の広島戦が取っては取られの展開だったので……1-0だけど1-0じゃないような気分ではありました。
前半から後半にかけてVARで2点消されたりとか、じわじわと名古屋に押し込まれてハアハアゼエゼエ……ではあったんですけど。でもこの試合って、ガンバの守備からめちゃくちゃ機能していて。一番わかりやすいのが、名古屋ペースの時間が長い試合ではありながらも「東口ありがとう!!!!」としか言えないような展開は実はそこまで多くなかったんですよね。要は、そこまで危機に瀕した試合内容ではなかったように感じていました。
そして、鈴木武蔵が右足を振り抜いたその時!ぴゅーんっ、すぱーんっ、ずどーんっ、どーん!!!
がんば!がんば!おおっさっかがんば!
がんば!!がんば!!おおっさっかがんば!!
さすがに2点目とってからは心が落ち着きました。
いくらこれまでと比べて守備が安定していた試合展開といっても、今年散々見せられたあれやこれやを前にして、もう1点リードのラスト10分なんて口から臓器でも吐き出してしまいそうな勢いだったんですけど。2-0になってからは、この試合の前までのガンバが囚われていたカウントダウンから一瞬でも抜け出せたような気分というか、純粋な気持ちで試合終了の笛を待つ事が出来ていました。
7試合ぶりの勝利!!!
……勝つっていいね!
もう、この試合の感想はそれが全てでした。
やっぱりガンバってある意味では、ここ数年間の試行錯誤は長谷川健太体制のスタイルに抗おうとしているかのような時期だったようにも思います。ツネ様はともかく、クルピや片野坂さんの招聘はその典型だったような気もしていて。その上で言えば、名古屋戦…名古屋戦というか、長谷川健太の前で何をやれるのかは意外と精神的に重要な側面があったように思います。
そうでなくても、これは自分もそうですけど…○月までには形になっていればいい、○節には上手くやれていればいい……サッカーは我慢が大切であると同時に、そこに囚われてしまっていた部分も否めなかった。片野坂さんの下でやったチャレンジは決して否定したくはないという前提で話しますが、そんな中で松田監督がこのチームに落としたマジックは「目の前の試合に全てを懸ける」というマインドセットを徹底した事だったのかなと。夏頃には形になっているだろう、きっとそのうち強くなっている…じゃなくて、後にスローガンとも化すこのマインドセットこそが残留争いに必要な要素でした。
「ここがロドスだ、ここで跳べ」
いつかのイソップ童話が描きたその言葉と、監督の言葉がどこかリンクした終盤戦のガンバ。
リーグ戦という日常を生きるクラブチームにとって、ロドスとはきっと夢のまた先ではなく、ある日のパナスタであり、この日の豊田スタジアムであり、その日その時その時々のスタジアムと言うべきなのでしょう。それはカタールの地で戦った日本代表も同じだった訳で。
先日、松田浩監督のテゲバジャーロ宮崎の監督就任が発表されました。
ガンバも育成組織の仕事をオファーしていたというところで、このクラブに残ってほしかったなーという気持ちもありつつ、やっぱりこの男は監督であるべき男なのだろうと。多くのガンバファンがそうだったように、松田監督は一時期まではガンバファンにメタクソ嫌われていた監督でした(本人も後に言及してた)。コーチになった時点ではほとぼり自体は冷めていたでしょうが、特に当時を知るファンとしては複雑な想いを抱えていた人もいたでしょう。その3ヶ月後、カタルシスの主役は間違いなく松田浩でした。
8月、救世主になることを求められてやってきた男は、英雄として吹田を去る。松田監督、本当にありがとうございました!いつかまた、良い再会がある日を信じて……
\松田!オレ!/
ではでは(´∀`)